はーい!
狭い道を匍匐前進してたらぶっ殺されたゴライアスだよー!
これで8回目ですよ。
分かる。気持ちは分かる。
そりゃ冒険者さんサイド的には殺るでしょうよ。
だって階層主が身動きできない感じで匍匐前進してんだから。
もう鴨がネギどころか、鍋とか昆布とかなんなら柚子胡椒とか薬味もって現れた状況だったもん。
出会った瞬間は冒険者めっちゃびっくりしてて草。とか思ったけど。
腹這い状態で満足に両手も上げれない状態の俺に気が付いて相手もめっちゃ草。って感じでそりゃもー虐殺されましたわ。
ちょっと離れた所から弓と魔法でぼっこぼこですわ。
ザ・エンドってね。
はいはいはいはい、まーた空間ピカーなって押し出されるんでしょ。知ってる知ってる。
はいピーカー。
こんにちは9回目の俺。
そんなマヌケな死に方した俺ことゴライアスですが、
その甲斐あって17階層のマッピングはほぼ達成できたと思う。
最初はそこら辺の石で嘆きの大壁に地図書いてたんだけど、すーぐ修復されちゃうのよ。
なんか、あー疲れたーって2、3時間ゴロゴロしてたら書いてた地図消えてるじゃん!って感じ。
なんで脳内マッピングよ。
まあ、多少広いけど実家(嘆きの大壁)周辺の地理なら歩き回ってれば肌感覚で覚えるでしょって感じ。
んで覚えた。
でさ、地理把握したから、いざリヴィラへ‼とか、上へ上でオラリオや‼
なんて考えたんだけどさ。
ふと変な考えが頭よぎって行けなかったのよ。
もし、俺こと階層主であるゴライアスが自由に動きまくってマイマザーであるダンジョンがおかしな反応したらどうしようって。
もし、もしもよ。万が一よ。
考えすぎかもしれないけど。
俺が好き勝手動いてダンジョンが、こいつなんやねん…。ってなって俺を排除しまーす!ってなったらって。
ダンジョンが俺という存在を許容できなくなった時、例えば17階層を守護しないで、自由に動き回るとか。
そんなことしたら例えば黒いゴライアスとかジャガーノートみたいな化け物生み出すんじゃないか?
俺を抹消するために。
考えすぎだとは思う。黒いゴライアスはヘスティア様の存在を察知しての反応だったと思うし、ジャガーノートは迷宮を破壊されることへの対応処置だった気がする。
でもでも、もしそんな化け物生み出されたら、被害に遭うの俺だけじゃすまない気がするんだよねぇ…。
最悪、俺が消滅したりするのはまだ許容できる。いやもちろん死にたくないけど。
だけど、そもそも俺の人生は前世で人間だったころに車にドーンされたことで終わったんだ。
オラリオやリヴィラ見たいってそんな俺の好奇心というか、勝手な思惑で。
何の関係もない冒険者たちを巻き込んでしまったら…。
んなこと考えだしたら動けなくなっちゃった。
で、しばらくぼけーっとしてたらさ。
「キャーッ‼」って女性の悲鳴。
おいおいおいおい、とゴライアスイヤーで聞き耳立てたら、なんか修羅場っぽい叫び声と怒声みたいなのが聞こえてくる。
あと火を吐くわんわんのがるるぅ‼みたいな声も。
いやこれまずいでしょ。
頭が真っ白になって悲鳴と騒音の元に走り出す。
だって女性の叫び声と怒声とか聞こえたら取りあえず現場に向かっちゃわない?
なんかふつーの日本人的感覚として。今俺ゴライアスだけどさ!
俺の住処こと、嘆きの大壁広間から直進して曲がり角を右へ。
争うような音がどんどん近づいてる。マッピングしといてよかった。
次の分かれ道は左へ。
その先に小部屋みたいなちょっとした広間があったはず。
音は近づいてる。正解でしょ。
はい。正解でした。
入った小部屋で見たのは、部屋の隅に横たわる血だらけスカートエルフっ子と、エルフっ子を庇う様になんかぎゃーぎゃー騒ぎながら立ちふさがってる2人の女の子。
種族は人間と獣人かな。
んで3人は火を吐くわんわん達に取り囲まれてる。…。6頭もいるよ。
2人はめっちゃ剣と槍振り回して周りにいる火を吐くわんわん達牽制してる。
やべーじゃん。
あっ‼右端わんわん火吐こうとしてない⁉
まてまてまて待って‼死ぬじゃん、火ぃ吐いたら間違いなく逃げれないエルフっ子死ぬじゃん‼
思わず「止めろ‼」って叫んだら「ゴラアアアァァァ‼」みたいな声出てビビった。
わんちゃん達もびくぅ‼って感じで、火を吐こうとしていた個体も含めてピョンって飛び上がった。
そのあと皆でこっちに振り向いた。
チャンス。
止めなさい‼って気持ちを込めての、もう一回「ゴラアアアァァァ‼」
うっわ、我ながらうるせぇ‼
きゃ、きゃうーん…。とか鳴きながら尻尾を丸めて、てけてけ去っていくわんちゃん達。
な、なんかごめんな、俺もここまででかい声出ると思わんかったんや…。
小部屋から逃げ出すわんわん達を見ながら心が痛い。
子犬を全力で怒鳴りつけたようなこの罪悪感よ。
きっつい。
まあね、でもね、人命助けたんだからね。炎吐かれたら多分この3人娘のだれか、つーかエルフっ子は死んでたしね。
すまんなわんわん。
さあ、大丈夫かい3人娘⁉
改めて少女たちを見つめると、真っ青な顔でガタガタ震えながら、3人寄り添っていた。
泣きながら。
やべーじゃん。