どーしよ。
エルフのねーちゃんがポーションっぽい液体自分に振りかけて多分応急処置終わったっぽいんだけどさ。
そしたら剣持ったねーちゃんが、仲間の2人になんか言ってさ。覚悟ガン決まりみたいな顔で「やー!」って俺につっこんできたんですわ。
エルフと獣人っぽいねーちゃん達が、ダメ、待ってー!みたいな声をBGMにさ。
いや言葉理解できんでもさすがわかるよ。顔とか声色とかめっちゃ必死なんだもん。
ええぇ…。
剣持ったねーちゃん、ガチでやってんのはわかるんだけど、レベル差があるんだろうなこれ。
ねーちゃんは身長が俺の太腿までくらいしかないから、なんか幼女が棒切れ持ってぺしぺし叩いてくる感じにしか思えないよね。
剣で切りつけられてんのにすげーな俺の皮膚。
ううーん、手を振ってさ、待ってくれ、落ち着いて‼みたいなポーズをとってみたけど効果なし。
しゃーない。剣持ったねーちゃんをやさしく握ってって。…って⁉あぶなっ‼獣人のねーちゃんすごい勢いで顔に槍投げてきた!
ギリよけたけど今のやばいでしょ。ほら天井に槍突き刺さってるしさ。なんかのスキル?こえーわ。
ああぁ…、ごめんて、ごめん。顔真っ青にして泣かんでくれよ。獣人のねーちゃん。
ほら、剣のねーちゃんもね、暴れんでくれ。二人の近くに離すから、ね?
ゆっくり丁寧に二人の隣に降ろしてやる。
腰が抜けたように座り込む剣のねーちゃんに他の二人が駆け寄った。
これマジでこれどうしたらいいのよ…?
なんて考えてたら三人が互いを抱き合って泣き始めた。
女性3人のすすり泣く声が迷宮に響く。
うおぉぉ…。きっつい。まじで精神に来る…‼
すっっっごい悪いことしてる気になる。いやゴライアスな俺が悪いんだろうけどさぁ!
止めてくれよ。ほんっとに心が痛い…‼
なんか君ら俺が君たち殺すとか思ってない⁉
まあモンスターで階層主なんだからそう思われてもしょうがないんだろうけどさ…。
しかもさ、がんばって「大丈夫だよ、危害加えないよ…。」って声出したいんだけどさ。いや言葉分らんけど。
発する音声が相変わらずの「ゴラァ…ゴラァァ…」みたいな感じなんよ。
どーなってんだよ声帯。
ゴライアスだからなの?だからゴラァ…って声なの?
なんなのこの生き物。いや俺なんだけどさ。
あっ⁉ほらまたねーちゃん達「ひいぃっ!」って泣いちゃったじゃん!
すすり泣く女性3人とちょっと離れた所で体育座りしてる巨人とかどんな風景だよ。
立ち去るのが一番だって分かってるけど、通路の陰からさっきのわんわん達が様子うかがってんだよなあ…。
これ俺がどっかいったらねーちゃん達襲う気まんまんでしょ。
あぁー。もうしょうがない。
がたがた震えて動かない3人に、そろそろとできるだけゆっくりゆっくり、怖がらせないよう近づいて、怪我したエルフちゃんを丁寧に右手でつまんで左手の掌で包む。
「あ゛ぁー!」とか叫ばんでくれ。頼むから。
エルフちゃんはもちろん残り2人もめっちゃ暴れてぽこぽこ殴ったりしてくるけど無視。
やめて、ほんと悲壮感漂う顔で殴るのやめて。
もうリヴィラに通じる階段まで直で送るわ。エルフちゃん持っていけば残り二人も付いてくるでしょ。
暴れるエルフちゃんを優しく包みつつ、足をぽこぽこ殴ってる二人を踏まないよう気を付けながら、俺が生まれた部屋。
嘆きの大壁の奥、おそらくリヴィラに通じているだろう階段の前でそっとエルフちゃんを下ろす。
降ろしたエルフちゃんにしゅぱぱーって2人が駆け寄りまた抱き合って3人泣いてる。
なんか切羽詰まってるところ悪いけど、この階段下りれば多分リヴィラだよ。
剣のねーちゃんの肩を指先でめっっっちゃ優しく叩いて、階段を指さす。
今、自分たちの状況に気が付いたのか、俺の指と階段を交互に見回す剣のねーちゃん。
それをみた他の二人が同じように首を回して驚いた表情になった。
「???????」
「???????????!!」
「????!!」
なんか言ってるけど理解できない。
とりあえず「ゴラァ…」とゴライアス語を発しながらもう一度階段を指さして3人から離れた。
そっちだよ。わかるよね?
離れる。近くに居たんじゃ怖いだろうしね。
三人は部屋の隅に俺が座るのを見届けると、あわてて、でも仲良く手をつないで階段を下りていった。