仮面ライダーヴェスタ   作:虎ノ門ブチアナ

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 1年ほど前。
 竜胆 信真、中学3年生。
 彼は学校が終わると、大学病院へと走っていた。

「君、病院内は走らないように」
「すんません!」

 女医に叱られ、その歩みを緩める信真だったが、焦りは拭えずにいた。

「…よう、真白」

 息を切らしながら信真が話かけたのは、同年代の少女だった。

「信真くん、また来てくれたの?」
「まぁな、叔父さんも叔母さんも忙しくて来れてないだろ?」

 うん、と少女は静かにうなづく。

 寿 真白(ことほぎ ましろ)
 信真の従妹(いとこ)にあたる彼女は、生まれつき体が弱く病院での生活を余儀なくされていた。
 彼女の両親は信真の両親の仕事を手伝っており、真白と信真はお互い家族といられない孤独を味わっていた。ゆえに2人は寂しさを分かちあいながらも、同時にその気持ちを埋めあっていた。

「最近体調はどうなん?」
「それがね…あんまり良くないみたいで、いつまで持つかなって」
「! それは叔父さんたちに話したのかよ!?」
「まだ…言ったって何もしてくれないだろうし」

 寂しそうにつぶやく真白に、信真は部屋を飛び出して電話可能なスペースへと走る。

「もしもし叔父さん! 最近真白が体調良くないって…なんとかこっちに帰ってこれませんか!?」

 なんとか叔父に連絡を繋げ、娘に会いに来てほしいと頼み込むが、どうしても2週間後になるという。
 叔父の上司にあたる父親にも電話をしてみたものの、まったく繋がらなかった。

「―――ごめん、真白。叔父さんも叔母さんも来てくれんの2週間かかるって」
「大丈夫だよ、それまで元気でいればいいんだし。それに信真くんが来てくれるから寂しくないよ」

 病床の娘に気を(つか)わせている親のありさまに信真は憤りが隠せなかった。

 1週間後、真白の容態が悪化し、一時集中治療室に搬送されるまでの状況に至った。
 峠を越え高度治療室まで戻ってきたが、容体は快復したとは言えなかった。

「真白…ごめんな、叔父さんも、叔母さんも、連れてこれなくて……」

 手を震わせながらも彼女の手を握り謝罪する信真に、真白はかすかに笑う。

「だから大丈夫だって…信真くんがいてくれればそれでいいよ」
「わかった…ずっと俺がいてやる、俺がずっとずっとお前を守る!」

 信真の決意に、真白は表情を曇らせた。

「それはダメ」
「…?」
「きっと私は信真くんより長生きできない。今の信真くんの思いじゃ、私がいなくなったあと、ずっと辛くなっちゃう。だから、私との約束だけ覚えていて」

 約束―――それが何を意味するのかはわからなくとも、真白の残したいものならばずっと大事にしたいと信真は考える。

「わかった、約束。絶対守るから」
「うん…それじゃあ約束、まず1つ、”困っている人がいたら助ける”、できる限りでいいからね」
「ああ」
「次に、”助けられたらお礼を言う”、これは絶対。感謝は忘れちゃ駄目だよ」
「ああ…」
「これで最後かな…”愛を忘れないで”……えっと、どんなに悲しくても誰かを好きになる気持ちを持っててほしいの。好きな人と一緒にいれば辛いできごとも乗り越えられるって私は信じてるから」
「ああ……!」

「だから…私じゃなくて、信真くんが好きになった人のために生きて」

 真白は、これから間もなく自分の命が尽きることをわかっていた。それでもなお、信真のことを考え、託してくれた。その優しさに信真は悲しみの奔流に打ちのめされそうだった。

「…わかった、3つな! お前との約束守るよ、だから―――」

 笑顔のまま、旅立っていた。
 彼女はきっと幸せだったのだろう。
 だが、遺された信真の心にはぽっかりと穴が空いてしまった。

「親父ッ! どうしてだ、どうして叔父さんたちを連れて来れなかったんだ!? 真白は…ずっと家族に会えずに、ひとりで……!」

  “すまなかった“、それだけが父親の答えだった。
 それ以来、ほとんど口を聞かなくなった。

 またも親の都合で引越しと相成(あいな)り、孤独な生活を強いられ、唯一の家族とも言えた真白を失い、信真はただ空っぽのまま、生きていくだけになってしまった。




10TH LOVE 刺激的な愛のよみがえり

「―――でも今は、ひとりじゃないって思えてます。店長もハルカさんもいるし、それにユカリや紅子さんがいてくれるから」

「分かっている。しかし、君はその若さでそれだけの喪失を経験しているんだ。多少は周り、主に私に甘えたまえ」

「はは、ありがとうございます」

 

 確かに辛いことは何度もあったが、今は多くの人々に囲まれ、幸せを感じている。

 

 

 ―――けたたましい端末の通知音。

 

「こんの真夜中にトワイライト!?」

「敵、か……」

「紅子さんはウチにいてください。俺らでなんとかします」

 

 と、竜胆邸のインターホンが鳴り響く。

 夜遅くに訪問する人など普通はおらず、信真は直感のまま端末をのぞく。

 

「トワイライトの出現場所……ここだ」

 

 信真が呟くと、夜間ずっと待機していたであろうユカリが玄関に立ち、警戒態勢をとる。

 

「おや♪ 厚い歓迎ぇぇぇ♪」

 

 甲高く奏でられる言葉の1つ1つ。その耳障りな口調に紅子は反応を示した。

 

「この声…私を襲ったヤツだ!」

 

《ジェネレートドライバー》

 

「ならなおさら危険だ…紅子さんは下がって、ここは俺とユカリでなんとかします」

 

「…ラァァァア♪」

 

 テノールボイスのコーラスと共に扉が蹴り飛ばされる。彼らの目の前に、バッタの怪人が姿を現した。

 

「ッ! 変身!」

 

《インジェクト・エージェント・ジェネレート―――フォーム・アット・”ドラゴン”》

《激しく(ひるがえ)せ!》

 

 リンドがリビングから飛び立ち、ユカリと共に怪人を迎え撃つ。

 

「お前が紅子さんをッ!」

「イェス♪ アイアァム、グリーンホパー! トワイライトのォ…幹♪部っ♪」

 

 リンドの拳をその足で受けためた怪人―――グリーンホッパーは、パンチの威力を利用した跳躍で外に飛び出て着地すると、バネのようなその脚で再び跳躍、隙を見せたリンドに重い跳び蹴りを食らわせた。

 

「グガッ!?」

「久しきかな真剣勝負♪ 腕が? いいえ脚が♪」

 

 立ち上がるリンドへ、今度は回し蹴りを放つ。

 

「鳴ッる〜〜〜!!」

 

 なんとか防御したリンドだったが、グリーンホッパーの猛攻はまだ続く。

 

「ユカリッ!」

 

《インジェクト・エフェクト・ジェネレート―――イクイップメント・”アームド”》

《掴み取れ!》

 

 ユカリセイバーを手に、リンドも反撃する。

 

「おや♪ そんなものでは♪ ボクを傷つけは~♪ できない~~~♪」

「あーー耳障りだなもう!」

 

 どれだけ斬撃を繰り返してもグリーンホッパーには届かない。

 のらりくらりと動き続ける彼に、リンドは対応しきれていないのだ。

 

 

 と、グリーンホッパーの背後から気配、それを察知した彼は振り向こうとするが、その頃にはドリルアームが彼の肩を貫いていた。

 

《インジェクト・エージェント・ジェネレート―――フォーム・アット・”パンドラ”》

《希望を指し示せ!》

 

「すまねぇ…遅れた!」

「遅刻全部チャラっす、店長!!」

 

 オイオノスという頼もしい増援にリンドの声が弾む。

 一方右肩を貫かれて欠損したグリーンホッパーは嘆きの歌をうたう。

 

「Ohhh…なんてことだ♪ 我が腕が♪ 泣き別れェェェ♪」

「なんだコイツ!? 前の世界では見てないヤツだが色的に幹部か?」

「そうっす、グリーンホッパーとか名乗ってました」

 

 オイオノスが舌打ちをうつと、カセットア-ムをパワーアームに可変、迎撃態勢を取る。

 

「しかし問題ナシ♪ なぜならこちらも仲間がいるから♪」

 

 グリーンホッパーが言い放つと、リンド、オイオノスの背後から軍刀を地面へと叩きつける重い反響音が響く。

 

「再戦と行こうか…小僧ども」

 

 ブルーバット。以前2人が戦闘するも撃破に至らなかった強敵。

 たった1体でも凶悪な強さを誇った幹部級トワイライトアバターが2体。絶体絶命の状況にリンドは冷や汗を垂らす。

 

(オイオイオイ勝てねぇぞ……コイツらを同時になんて、全く勝てるイメージが湧かねぇよ!)

 

 心の中で弱音を吐くリンドをあざ笑うように、ブルーバットが軍刀を振るう。

 その体と同様に、武器までもが再生されており、以前と遜色の無い強さを見せつける。

 

 そして、彼らが苦戦している様子を目の当たりにし、紅子はもどかしい気持ちに襲われる。

 

(2人が戦っているのに…私は何も、できないのか…かつては私もあの戦士になっていたと聞くが…今でもアレを使えないのか…!)

 

 紅子が考えを巡らせている間にも、リンドとオイオノスが追い詰められていく。

 2対1の状況ですら勝利できなかったブルーバットに加え、彼と同等の戦闘能力を有するグリーンホッパーも加わり、戦況は完全にライダー側が不利であった。

 

(何か…私にできることは…!)

 

 思考の結果、何かのひらめきを得た紅子がキッチンへと走る。

 逃げたのかと考えたグリーンホッパーは彼女を追おうとするが、それをリンドが食い止める。

 

 と、すぐに紅子が戻り、戦場へと駆け出す。

 その手には調味料が握られていた。

 

「コイツを食らい…たまえッ!!」

 

 紅子の唐突な行動で呆気に取られたグリーンホッパーへと、胡椒(こしょう)が振りかけられる。

 

「なッ!? ぶぁ~~~クションッッ♪」

 

 グリーンホッパーがくしゃみを吹き出し、その隙を見切ったリンドによって一太刀浴びせられる。

 

「と思ったのかい?」

 

 剣戟(けんげき)がかわされ、リンドの背後にグリーンホッパーが立つ。

 くしゃみをしていた姿とは打って変わって、余裕そうな様相を(てい)していた。

 

「我々は機械人形♪ 哀れな鉄塊がくしゃみなどする訳が無いだろう♪」

「フン、気が動転していたかレッドベスパ。口ほどにも無い」

 

 オイオノスのトリッキーな戦術をいなしながらブルーバットが鼻で笑って見せる。

 確かに今の紅子は焦っており、決死の作戦は全くもって歯が立たなかった。

 

「愚かな女王蜂よ♪ 終わりの時だ…♪」

 

 グリーンホッパーはその跳躍力で紅子へと一気に距離を縮めると、彼女の眼前へと迫る。

 一手遅れたリンドは彼女らのもとへと駆け出すが、間に合わない。

 

(紅子さん……ッ!!)

 

 

 ―――と、リンドの真横を弾丸が抜けていく。

 凄まじい速度のその鉛玉は、紅子を狙うグリーンホッパーの頭へと撃ち付けられた。

 

「だッ!」

 

 トワイライトアバターの頑丈な装甲により貫通は(まぬが)れたものの、電脳を揺さぶる衝撃がグリーンホッパーに不快感を覚えさせる。

 

「今のは…一体…♪」

 

 そこにいる者たちの視線が玄関より先、外にいる人影に向けられる。

 

「ちわ~、おハジキの配達でェ~す」

 

 ふざけた言い草をした黒髪赤眼の男は、手に持った拳銃をしまうと不敵に笑ってみせた。

 

「貴様…何者じゃ」

 

 ブルーバットの問いに、男は親指を自らに突き立て名乗りはじめた。

 

「俺は『黒木 陽炎(くろき かげろう)』。カゲちゃんって呼んでね」

 

 唐突な乱入に場が呆然とする。が、次の彼―――陽炎の行動が全てを解き明かした。

 

《ジェネレートドライバー》

 

「ぁ変っ身っ」

 

「貴様…ライドエージェントかッ!!」

 

 ブルーバットが切りかかるが、時すでに遅し。彼のパートナーであろうダメージ風ギャルファッションの派手な少女が腕の小手(こて)で弾く。

 

《インジェクト・エージェント・ジェネレート―――フォーム・アット・”シャドウ”》

(くら)く忍び寄れ!》

 

 変身音と共に陽炎の姿は、筋組織を思わせる細工の施された装甲に包まれた黒と銀の戦士となっていた。

 

「キミは…♪」

「戦士ならば名を名乗れ」

 

 幹部2体に睨まれ、その凄みに圧倒されかけながらも戦士は、自らの名を明かす。

 

「俺こそは『仮面ライダーイオニアン』。永遠を名に(かん)するしがない派遣戦士くんサ」

 

 イオニアン、自らをそう呼ぶ戦士は先ほど手助けしていた少女へとこっちへ来るようジェスチャーを送ると、アームドロムカードを取り出す。

 

《インジェクト・エフェクト・ジェネレート―――イクイップメント・”アームド”》

《掴み取れ!》

 

「ヤッバい敵は匂いでわかるのじゃ、というワケでこちらも早速本気だ!」

 

 巨大かつ鋭利な手甲を装備したイオニアンが参戦する。

 新たな敵の方が危険度が高いと判断したブルーバットはオイオノスから距離を取り、イオニアンと交戦する。

 

「その殴打(おうだ)、その蹴撃、その切断…すべてが今までのライドエージェントとは違う…! 貴様、強者(つわもの)じゃったか!」

「いやー、褒められると照れるぜ」

 

 イオニアンのパンチがブルーバットの防御を崩し、態勢を狂わせその場に転がしてみせた。

 

「あんさんがオイオノスだったよな? ボケッとしてないで連続攻撃でしょ! 餅つきみてーになッ!!」

「あ、ああ…!」

 

 オイオノスも攻撃に加わり、その連撃が徐々にブルーバットへ伝わっていく。

 

「まさかこの短時間でワシが追い詰められようとは…! ならば四の五の言ってはおれんか……」

 

 ブルーバットが一気に力み、口を大きく開く。

 それが(くだん)の音撃であると見抜いたオイオノスはすかさず右腕をマシンガンアームに可変、隙を生じず銃撃を繰り返す。

 

「ブラッ…イオなんとか! アイツは人体に害を与える超音波を使ってくる! ヤツにその隙を与えるな!」

「そういうヤツね、おけおけ!」

 

 マシンガンアームが発熱により稼働限界を迎えるが、今度はイオニアンが拳による連撃を加えていく。息をつく暇も与えられないブルーバットはただただ彼らの猛攻を許すのみであった。

 

――

 

 一方、たった1人でグリーンホッパーと対敵しているリンドはかなりの負担を背負っていた。

 なんとか敵をひきつけ、紅子に近づかせないことしかできないほど、リンドの状況は切羽詰まっていた。

 

「あちらは善戦しているようだが♪ 君はどうだ♪」

「ほざけよッ!」

 

 悪態をつくリンドだったが、ついにグリーンホッパーのキックにより致命的なダメージを受け、変身が解除されてしまう。

 勢いよく床に打ちつけられ、反動でベルトが外れて紅子の足元に転がる。

 共に吹き飛ばされたユカリは衝撃により意識を失ってしまった。

 

「ぐッ!」

「あえて言おう♪ ―――君は弱い」

 

 グリーンホッパーから笑顔が消え、地を()う信真に冷酷なまなざしを向ける。

 

「その弱さでは、大切な者など守れやしない。奪われるだけだ」

「…まるで自分がそうだった、みてぇな言いようすね」

 

 信真の指摘にグリーンホッパーは激昂し、彼の顔面に蹴りを叩きこむ。

 と同時に頭痛に似た電脳の障害が発生し、頭を抱えて苦悶する。

 

「!? なんだ、この、”痛み”は……ああ、そうか、これは、喪った人の感情、か!」

 

 グリーンホッパーが行動を止めている間に信真が紅子へと叫ぶ。

 

「紅子ざん! ソレを…俺に! 今度こそ、あなたを……守りたいんだッ!!」

 

 拾い上げたその力に、紅子は硬直してしまった。

 確かにこれは信真が戦うために必要不可欠なものだ。だが、それを渡せば信真がまた傷つく。

 

 ならば。

 

《ジェネレートドライバー》

 

「!?」

 

 信真とグリーンホッパーが驚愕する。

 紅子がベルトを自身に装着したのだ。

 

「紅子さん何を!?」

「かつては私だって戦っていたんだろう! これ以上君が傷つく姿は見たくない、だから私が戦う! そして私から人としての生を奪ったこの緑飛蝗(バッタ)を打ち倒す!!」

 

 明らかに恐怖で震えているのに、その叫びで自らを鼓舞する紅子の姿に、信真は自分の不甲斐なさを恥じるが、体が動いてくれない。

 

「そんな…紅子さん!」

「詩白先生は言った、愛を忘れるなと! だから私は君への愛を…忘れてなるものかッ!」

「愛など無力! そんな戯言でボクは倒せないいいいい!!」

 

 グリーンホッパーの怒号にひるまず、紅子はホルダーから”ホーネット”のロムカードを取り出す。

 

「はは、案の定君が持っていてくれたか」

「・・・・・・は、案の定って」

 

 思わず出た言葉を信真につっこまれ、紅子は何かに気付いた。

 この力の使い方を全部知っているのだ。

 

 いや、それだけじゃない。

 これを使って倒した怪人のことも、助けた人々のことも、なんのために力を振るっていたのかも。

 

「そうだ、そうだった。これは私が君を守るための力だった」

「…何をほざいているッ!!」

 

 苦しみに耐えながらグリーンホッパーが攻撃をしかける。が、紅子によって華麗に回避されてしまう。

 

「あはは、ああ、そうだ……全部思い出したよ」

「…紅子さん?」

 

 グリーンホッパーをかわしたことにより、彼らの立つ位置は偶然にもかつて信真が初めて戦いに巻き込まれたときと重なった。

 

「人生に刺激を与えるのは(つら)さじゃなくて(から)さ…か。つまり刺激(スパイス)…愛という甘くて辛い喜びと悲しみのスパイスだ」

「愛などとのろけた世迷言(よまいごと)を……レッドベスパァ!!」

 

 グリーンホッパーが叫ぶが、戦士として生きた記憶を取り戻した紅子には届かない。

 

「レッドベスパなんて名前、とっくに捨てたさ! 今の私は朱音 紅子(あかね べにこ)…そこの少年を守る麗しのナイトさ!」

「…紅子さん、ホントに思い出したんすか」

 

 信真の問いに彼女は静かにうなづき、ロムカードをベルトに装填する。

 

「―――変身」

 

《インジェクト・エージェント・ジェネレート―――フォーム・アット・”ホーネット”》

《激しく刺し穿(うが)て!》

 

 懐かしささえ覚えるその変身音と共に彼女の姿は紅い鎧の戦士へと変わっていく。

 

「今の私は……仮面ライダーヴェスタ」

 

 窮地の中で復活した戦士は名乗りを上げると、敵へと見栄を切る。

 

 

「刺激的にいこうか」

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