男役ばっかりやってたら「お前、女だったのか!?」とマジの男だと勘違いされてた星野アクアの幼馴染みちゃん 作:SUN'S
どうしよう、これ。
私は全世界の認める美少女こと不知火フリルとファミレスにいる。しかも私と彼女は二人っきりで見つめ合っているのだ。
こうなったのは全部ルビーちゃんの「あっ、そうだ。ごめん!ダンスのレッスンがあるの忘れてた!」とか言って、あっさりと帰ってしまったせいだ。……うぅ、どうすればいいんだ。
「つかさは何を頼むの?」
「…ファミレスって何頼むの?」
ふと私はそのまま思ったことを呟くと不知火フリルも「確かに何を頼むのかしら?」と首を傾げながら。じーーーっとファミレスのメニュー表を見つめている。……あれ?よくよく考えると私ってファミレスに入るの、はじめてだ。
「「あの、すみません」」
「はい!ご注文はお決まりですか?」
「これ、どうやって頼むんですか?」
「えっ」「はい?」
私は不知火フリルと店員さんの「さっきのほんとだったの?」と言いたげな眼差しを受けている。いや、だって、いつもママのごはんを食べてるし。こういうところに入ったことないし。
「私は珈琲、彼女には紅茶を」
「は、はい!」
そそくさとキッチンに向かう店員さんを見送りつつ。私は不知火フリルの「ほんとに知らなかったのね」という呟きに泣きそうになった。
どうせ、私は世間知らずだよ。
私はしょんぼりとしながら店員さんの持ってきてくれた紅茶を飲みつつ、とても優雅に珈琲を飲んでいる不知火フリルを見る。やっぱり、アクアはああいうお淑やかな女の子が好みなのかなあ…。
「ねえ、アクアのどこが好きなの?」
「ウ~ン。ぜんぶかなぁ?」
「うひゃわーっ、大胆だね」
「……私としては不知火フリルが『うひゃわーっ』なんてアホみたいな声を無表情であげてるほうが大胆に思えるんだが?」
「私だって人間だもの」
「まあ、そうだけど」
彼女はひょっとしなくても天然というやつなのだろうか?と考える。……とはいえ。同世代の頂点に君臨する不知火フリルが面白い女の子だってことを知れたのは良かったかもしれない。
やっぱり先入観ってすごいね。
「つかさ、ファミレス初心者のあなたでも安心して頼めるオススメを紹介しようと思う」
「へえーっ。そんなのがあるんだ」
「私のオススメは炒飯よ」
「…………バカにしてる?」
「これは私の持論なんだけど。最初に卵料理を頼んでおけばお店の腕前は分かるわ。そう、たまごの美味しくないお店はクソよ」
全世界の認める美少女の暴言なんて聞きたくなかった。いや、まあ、彼女独自の考え方なんだろうけど。ここは素直に従っておこう。
〈不知火フリル〉
陽東高校に通う女子高生。人生を楽しんでいる愉快な女の子。イケメンや美少女を見るたびに五感を高めているという持ちネタは人気である。ちなみに最近まで男だと勘違いしていた人だったりする。