男役ばっかりやってたら「お前、女だったのか!?」とマジの男だと勘違いされてた星野アクアの幼馴染みちゃん 作:SUN'S
俺の幼馴染みは女の子だった。
昔のアイツは短い黒髪と短パン小僧みたいな格好でずうっとアイツと遊んでいた。…………よくよく考えるとトイレや体育の時は女子と一緒に着替えに行っていたような覚えがある。
しかし、ほんとにどうすればいいんだろうか。十数年も一緒に仕事も日常も過ごしてきた女の子の幼馴染みを男だと俺は勘違いしていた。いったい、どうすればいいんだ?
「なあ、大輝兄さん」
俺はそう姫川大輝に相談する。
「……絶望しかねえな。いや、えぇ、うそだろ?あんな可愛い女の子を男って勘違いしてたのか?あと兄さんって呼ぶな」
大輝兄さんは俺の相談なんて、どうでもいいと言わんばかりに切り捨てて舞台の台本を読んでいる。くそ、まったく使えない兄貴だ。
「そもそも間違えるか?」
「いや、あれは間違えるだろ」
「そんなんだから鈍感クソ野郎とか禿げてしまえとか言われるんだよ。アクア、有馬の嬢ちゃんやルビー、あの子だってお前の事を鈍感クソ野郎だと思ってるんだぞ?」
「いやいや、そんな…マジか」
どうやらマジのようだ。一応、生まれ変わる前はやり手とかなんとか言われるくらいすごかったんだが。やっぱり身体に合わせて、俺の精神も若くなってしまったのだろうか。
それはそれで問題ないな。
とはいえだ。ずいぶんと大輝兄さんはソワソワしている。イヤに不自然だ。まさか性懲りもなく新しい彼女を作ったのか!?と驚く。
ララライ一番の天才俳優こと姫川大輝は『女誑しクソ野郎』という呼び名を持つ変態だ。その演技力とルックスによって騙された女性は多く存在し、そして過半数はストーカーになった。
「で、アクアはどうなんだ?」
「なにがだ?」
「だから彼女とかいるのか?」
「…………」
有馬は違うし、つかさも違う。
ルビーは妹でアイはお母さんだ。そういう間柄の女の子は少なくとも不在だが、大輝兄さんに言ったら笑うな、絶対に。
ちらりと大輝兄さんを見る。どこか期待を孕んだ視線になんとも言えない不愉快さを感じるけど。まあ、ただの勘違いのはずだ。
「いや、とくに」
「うそつけ。三人もいるじゃねえか」
「三人?ふたりだろ」
「は?えっ、えぇ……」
俺の言い返しに大輝兄さんは困惑し、どうやって話そうかと唸り始める。そういうのは自分の部屋で…………いや、ここが大輝兄さんの部屋だった。
やはり人間というのは本当に困ったことに直面すると思考能力は下がってしまうらしい。つかさ、俺はどうすればいいんだ?とここにいない幼馴染みに問いかける。
しかし、なにも答えはない。
〈姫川大輝〉
ララライの俳優。
しっかりと星野家と交流を持っており、自分の弟や妹と接する時間を確保できるようにしている。ファンの間では『女誑しクソ野郎』なんて呼び名もある。だが、基本的に女難の悪さゆえにストーカー化することが多い。