男役ばっかりやってたら「お前、女だったのか!?」とマジの男だと勘違いされてた星野アクアの幼馴染みちゃん 作:SUN'S
私の幼馴染みはイケメンだ。
しかし、イケメンだからといって女の子の性別を十年近く勘違いした挙げ句、どうやったら許してくれるんだ?なんて聞いてくるのはダメだと私は一人の女の子として思う。
「まったくお出掛けしただけで許して貰えると思ったら大間違いだからね!」
「そうだな」
私の言い分にアクアは無表情でスマホを構えるだけだ。ほんとに分かってるの?と呟きながら左手でピースサインを作り、爽やかなスマイルでアクアとスマホを見つめる。
クッ、こんなところで仕事のクセを出してしまった。どうして、こう私は肝心なときに限って演技に逃げてしまうんだろう。
はあ、今日はアクアとのデートに集中しよう。
「ところで、つかさ」
「ん?なにさ、アクア」
「お前って俺の事好きなの?」
「…………」
いったい、どいつだろう。
かなちゃんは私のライバルだけど。こんな他人を貶めたりする行為はしない。まさかルビーが?いや、それも有り得ない。そして、アクアがその答えに気付くことはもっと有り得ない。
「なるほど、姫川だね…!」
「なにがだよ」
「……こほん。それで?」
「隠しきれてねえよ?」
うるさいなあ、もう!
ちらりとアクアを見る。かっこいいし。優しいし。欠点と言えば鈍感すぎるところだけ。少なくとも悪いヤツじゃないのは知っている。
ハッキリと言えば私はアクアの事が好きだ。その、キスしたってイヤじゃない。…………もし、もしもアクアに好きだって答えたら。私の期待しているとおりに彼は答えてくれるのかな?
「……そういうアクアはどうなのさ」
「俺か?俺は好きだよ(友達として)」
俺は好きだよ。
俺は好きだよ。
俺はつかさが好きだよ。
好きだよ、つかさ。
つかさが好きなんだ。
俺はつかさが好きだ。
あ、そっか。もう私ってアクアと相思相愛だったんだ。なんで、こんなに悩んでたんだろ?そうだよ、私はアクアと付き合ってるんだった。
「私も好きだよ、アクア」
「そうか。じゃあ一緒だな」
「ふふっ。そうだね」
なんていうか。ちょっとだけ疲れちゃったよ。はあ、まったくアクアの鈍感さに振り回されてばっかりだよ。私も振り回してやろうか?
そんなことを考えながらアクアの腕に絡み付いてみる。とくにアクアは私を振り払ったりせず、平然と歩き始めた。
こいつ、やっぱり女誑しだな?
たぶん、私はジットリとした眼差しをアクアに向けているんだろうけど。彼は普通に「どうした?」と首を傾げながらお店に寄ろうかと聞いてきた。ほんっとに鈍いなあ、もう。
「じゃあ、カラオケ」
「お前もか」
「えっ、なにが?」
いったい、なにが私もなのだろうか。
〈星野アクアの失態〉
恋心に対する鈍さ。
やはり精神年齢の低下に伴って星野アクアは鈍くなってしまったようだ。彼女のジットリとした眼差しに気付くことなく彼は生活する。