投稿自体は2回目で、前作が全然書けなかったので今回のはあまり焦らずじっくりやっていきたいかなと思います。今はちょっと忙しいので始まりだけおいておきます。次の投稿は別サイトの作品(本作の前編)が終わってからになるかなー。
「わたしのこと、わすれないで」
目の前の少女が優しげな調子で、それでいてか細い声でそう言った。その様子はまるで"何か"をひどく恐れているような、もしくは必死に懇願しているような、でもその"何か"は終ぞ俺には
「わすれるわけないだろっ。おれたちはずうっとオマエがかえってくるのまってる」
俺は啖呵を切って降ろしていた視線を少女の方へ移すが、彼女の顔には靄がかかっていてよく見えない。分かったのは瞳から雫が頬を伝っていったことと口角が上がっていたこと、そして蒸し暑さを吹き飛ばす
「せ゛っ゛た゛い゛わ゛す゛れ゛な゛い゛よ゛お゛」
「もー、なかないで?よしよし」
隣でわんわんと泣く黒髪短髪の少女は、碧の彼女に頭を撫でられて慰められている。よっぽど彼女と別れるのが悲しいようで、大好きだったハグをされてもずっと泣き止まないでいた。
「なぁ___、ぜったいかえってこいよ。やくそくだぞ」
黄昏空を背に名も忘れた可憐な少女がその胸に黒の少女を抱きながら、向日葵にも負けぬ笑顔で言葉を返した。
「やくそくする。わたしはふたりのとこにかえってくるよ」
過去の遠い記憶は、そこで途切れていた。
目が覚める。知っている天井だ。
カーテンからは薄明の光が溢れて部屋を照らし、朝の訪れを告げる。体を起こしてベットから降りると、体中が汗でびっしょりになっているのに気づいた。
「そういえばクーラーの電源、時間経ったら切れるように設定したんだっけ」
夏の夜というのは恐ろしい。眠ったまま脱水症状とかになれば本当に洒落にならないので、次からはタイマー設定をしないようにしようと心に誓った。まぁ大概忙しすぎて忘れるのだが。
忘れるといえば…。
「今日もあの夢を見たけど…結局顔も名前も思い出せなかった」
喉のところまで出かかっているのにどうしても出てこない記憶というものは、多くの人間が持っているものである。が、俺の場合に限ってはここまでヒントを出されているのにも関わらず思い出すことができない。これは深刻な事態である。
何より、忘れないと約束したにも関わらず忘れてしまっているというのは、
「…」
おもむろに、ワークデスクの上に散らばったカードに目をやる。そういえば昨日はデッキの構築を考えていて、日付が回る頃ぐらいになって限界が来てベットに直行したんだった。7時くらいまでには片付けておかなければ。
ふとその中の、1枚のカードを手に取る。
「いっそ君のことを、綺麗さっぱり忘れることができたらよかったのに」
絶対に届かない恨み言を、俺は部屋の中で独り言ちた。
今んとこ1ミリも遊戯王要素ないですが、ほんのちょっとだけ東方キャラが出てます。当ててみてね。