アイちゃんよりやべーのいたらアイちゃん救われる説   作:グナードン

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やべー奴、やべー奴らに愛されてるよぉ回です。
あ、あと原作読見直して、アクアが俺とか僕とか使ってるのがいまいちわからないです。僕でいいのか、俺でいいのか。感情昂ると俺になるのか、もうよくわからないですね。
俺に訂正します。


やべー奴はやべー奴らに愛されいます。

夜の公園で一人ベンチでうずくまっていた。

お腹が空いて力が出ない。草を食べようにも、その力がなく、動きたくないのが現状だ。

どうにかして何かを食べなければと意気込んで見るものの、その力を発揮することはできないでいた。

僕はこの肌寒い公園で息を絶えるのか。

そう思いながら目を瞑る。グルグルと頭が回転していく。その中で腹一杯食べものを食べることを想像していく。いいものだ。前に読んだマッチ売りの少女もこんな感じだったか、そんなことを考えた。

 

「こんなところで何してんだ?」

 

ふと、目を開けて首を上に動かすと男性が立っていた。金髪で、少しだけ髭を生やした顔の整った男性だった。

黒い革ジャンのポケットに手を突っ込みながら、見下ろすようにのぞいている。

 

「何してるか聞いてるんだよ」

 

イラついているのか、少しだけ語尾が強かった。

それに返答するには、まず口を動かさなければならず、声を出さなければいけなかった。

しかし、それができる余裕はどこにもない。

仕方ないので、僕は腹をさすってそれを表現した。男性は首を少し傾げたが、意味がわかったのか小さくなるほどと呟いた。

 

「腹が減ってるのか。その様子じゃ、草も食べられないな」

 

当たり前だ。そんな力がどこにもない。ここから降りることすらできないんだ。

 

「だったらこれを食え」

 

彼が革ジャンから差し出してきたのは、地面に落ちていた新聞紙だった。食べ物じゃないのか。それを表現するために目を少しだけ細めた。

彼はバカにするような笑みでこちらを見つめる。

 

「バカいうな、贅沢なんかするもんじゃない」

 

 

僕はこの日初めて新聞紙を食べた。

そして、最高な友人との出会いだった。

 

 

 

 

 

 

 

目を覚ますと僕は知らない天井だった。

こんな表現を現実に使う時が来るのか、そう感じたが、確かにそういう表現をするしか方法はなく、それ以外の別の表現が見当たらなかった。

自分の片方の手がやけに熱を帯びている。

少しだけ首を動かすと、アイが僕の手を握っていた。彼女は助かったんだ。そう思うと心からホッとする。僕は手の震えを抑えながら、そっと眠っている彼女の頭を撫でる。綺麗で、繊細なその髪がやけに手に馴染んだ。

 

「かずき、さん?」

 

反対側では見知らぬ男性が僕に話しかけてきた。男性は若く、非常に整った顔立ちをしていた。

奥には中年の男性が座っており、そちらも同様にこちらを目を見開いた様子で伺っていた。

僕は小さく頷くと、若い男性が声を少し荒げた。

 

「せ、先輩!目を覚ましたよ!!目を覚ましたんですよ!」

 

「やかましいな。見ればわかる。急いで担当医を呼びにいけ」

 

目を覚ました。そのワードが耳に届くと、どういう経緯でここにきたかが理解できた。

フードを被った男性に刺され、彼に刺されたんだ。よくも刺してくれたな。痛みはなかったけど、彼女に心配させてしまったじゃないか。

 

「先輩、急いで連絡を!」

 

「いわなくてもそうするよ。お前は早く担当医を呼べよ」

 

中年の男性は携帯を取り出し、病室から出ていった。

若い男性は僕の名前を連呼しながら身体をゆすった。

 

「いまから担当医を呼んでくるんで、待っていてくださいね!」

 

そう言いながら、若い男性も病室から出ていった。ナースコール、それを使えばいいんじゃないかとも思ったが、言葉が出てこなかった。

僕と彼女は二人きりになったが、いまだに目覚めることがない。僕は自分の手に浸透させるように彼女が目覚めるまで撫でようと考えた。

僕が一番触れたかったものに、いま触れている。そう思うとなんだか幸せな気分になった。

しばらくして、アイは違和感に気づいたのか、目を覚ました。おはよう、そう言いたかったが、口が思うように動かなかった。

僕はかすかに口角をあげ、それを表現してみせた。

そんな僕を見て、彼女は目を見開く。

 

「かず、き?」

 

息を呑むように呟いた言葉をしっかり耳に入れ、彼女の手を弱い力で握り返す。

その反応を見てか、アイは僕を抱きしめるように覆い被さる。

 

「かずき!かずき!」

 

君はロボットか何かなのか。

そんな冗談の一つを言えたらどんなに最高だろうか。いや、本当にいったら怒るだろうか。

僕の疑問は口に出していないため、彼女には通じないだろう。

 

「よかった……!もう二度と会えないんじゃないかって……!」

 

僕の手に水滴がつく。

君の涙は見たくなかった。僕のせいでまた見ることになってしまった。

君はどこまでも明るく、ポジティブな女性だったのに、僕がこうさせてしまったんだ。責任は僕にある。

 

「わかる……?またかずきは彼に酷い目にあったんだよ?」

 

わかっている。もう痛いのはこりごりだ。

 

「もう、絶対に危険な目に合わせないから……!」

 

彼女は僕の手に縋るように握る。

ああ、僕は愛されているんだな。彼女のその行動と表情にそんなことを思った。

アイの言葉に頷きながら、少し手を握る。

それを見てか、彼女は笑みを浮かべた。

僕が見た中で一番の笑みだった。ああ、僕は彼と縁を切らないといけない。その笑顔を見てそう確信を持った。

 

 

しばらくして、刑事二人が病室に入ってきた。それとほぼ同時のタイミングで、アクアとルビーを連れたミヤコさんが来る。ルビーは僕のところにすぐに駆けつける。

 

「パパ!」

 

「父さん!」

 

いいね、その反応。ますます自分がしてはいけない怪我をしたみたいだ。

ルビーの方は少し泣きそうになっており、アクアの様子を見てもかなり心配してくれている様子だった。

 

「アク……ア……ル……」

 

「喋っちゃダメだ」

 

アクアは僕の手に自分の指をかざしながら、そっと目を伏せる。その行為が脈を図っていることだと理解できた。君はすごいな、本当に幼児だとは思えない。天才と名付けても良いかもしれないな。

 

しばらくすると、複数人の医師が病室に入ってくる。その白衣の姿に少し安堵を覚える。

医師はバイタルチェックをし、異常がないことをアイ達に伝える。彼女の緊張した顔が緩む。

その後、僕は詳しい検査のため、ストレッチャーに移され、移動を開始された。

エレベーターに乗せられ、そのまま階を下っていく。

 

散々心配かけてしまった。これが僕の正直な感想だった。

今までも苦労をかけさせたに違いないが、今回はそれよりも迷惑をかけたと思う。

自分ではこれでようやく、彼との縁が切れると思うとスッキリするが、逆に同情も芽生える。

彼は僕に自分が救いだといっていた。

それは、自分自身が僕のことを一番の理解者であると自負しているためだ。確かに、その通りではあった。自分も彼女がいなかったら間違いなくそう思っていたことだろう。だからこそ、僕は彼についていったし、多少の怪我も別にと思った。現にいま抱いている、この同情の念もそこからきているのだから、相当僕は彼に執着をしていた。そう考えると、僕はやはりどこかおかしいんだ。

 

エレベーターが四階で止まる。

ここで降りるかと思われたが、どうやら違い、医師達は一人残してその階で降りていく。それと同時に失礼しますと人が乗ってきた。誰だろうか、そう思っていたが、その正体はすぐにわかった。

先ほど病室に来ていた若い刑事と警備員だった。警備員の方は初めましてか。しかし、刑事の雰囲気は先ほどとはどこか違っていた。

刑事は覗き込むように僕を見つめる。

 

「携帯は捨てました。全て計画通りです」

 

なんのことだ。僕は何も知らない。

次に口を開いたのは、側にいる警備員だった。

 

「ええ、間違いない。これで貴方は我々の救世主だ」

 

何を言っているんだ。まるで意味が通じない。

医者が口を開く。

 

「これより最終計画です。少し緩和させます」

 

そう言って医者がポケットから出したのは、注射器だった。僕は思わず目を見開く。

それは何度も打ったことがあり、それは何度も僕の窮地を救ってくれたもの。

その瞬間、彼の姿が頭をよぎった。

 

ーーこれか?これはおまじないの薬……モルヒネだーー

 

 

 

 

「……ま……て」

 

僕は掠れた声で彼らにそう言った。

僕の頭によぎった彼はこんな時なんて言うのだろうか。

 

『お前はいま死ぬとしたら何を思うんだ?』

 

君のセリフは突拍子だったな。

 

「親友を助ける」

 

「友達を助ける」

 

「我々の救世主にする」

 

そうか、君たちはもう、完全にそっち側か。何を言っても無駄だな。

僕の右手の静脈部分に針を入れると、ゆっくりと液体を注入していく。感覚が麻痺を起こしていくのがわかる。

時間の流れが次第にゆっくりとなり、頭が重くなる。何度も経験したこの感覚。忘れるはずがない。最後に打ったのは何年前だったか、確かアクアとルビーが生まれる前のあの怪我の時だっただろうか。彼はいつだって用意周到にことを済ませてくるので、これも彼が仕組んだ一つだ。

僕は三人に担がれ、あらかじめ準備されていたであろう車椅子に座らせられた。

チーンという音ともに扉が開くと、そこは森閑としている洞窟のような場所だった。機械音のゴォーという音が聞こえるばかりで、それ以上は特に聞こえない。

その中で車椅子の車輪の音と革靴の歩く音がまざり、聞く人によれば、不気味な音楽のようだった。ノイズミュージックといっても過言ではない。僕たちはそのまま霊安室の扉を開けることなく、そのまま出口のドアを開けた。

 

外の光が入ってくると同時に、目の前に見えるのは白のワンボックカーだった。二台あるうちの一台はバックドアが開いており、ちょうど車椅子一台が詰めるスペースが作られていた。

その両サイドにニ席ずつ座るスペースがあり、向かい合うように並べられていた。地面にはワンバックカーに乗せられるように、車椅子専用の台が繋げてある。

 

「さあ、こちらです」

 

刑事がそう言うと、僕をその中に入れようとする。すると、助手席のドアが開いた。

 

「おう、いい流れだ。全て予想通り」

 

革ジャンが似合っているのが憎たらしいな。

 

「まあ、乗れよ。話しはそれからだ。あまり時間がないからな」

 

彼はお前とお前はこっち、お前はあっちと言うと、刑事と一人の警備員はすぐさま車椅子ごとワンボックカーに入っていく。医者は隣のワンボックカーの助手席に入っていった。

僕は真ん中でぐったりとしながら、両サイドを見る。右側に刑事と警備員がじっと僕を見つめている。左側を確認すると、彼とフードを深く被っている男性が目に入った。刺した青年かとも思われたが、どうやら雰囲気からしてそうではなかった。

 

「んじゃあ、出発だ」

 

「了解」

 

運転席に乗っている男性が返事をすると、僕たちの車は動き出す。その運転は焦っておらず、落ち着いたゆったりとした運転だった。

全ての運転手が見習いたくなるような、そんな運転だった。

彼は胸ポケットからタバコを取り出すとライターで火をつける。

半目になりながらもそれをじっと見つめると、彼は気づいたのか、肘を膝につけ、前のめりな姿勢で僕を見る。

彼は僕が言いたいことを全て理解できる。

僕が関わっていた中でアイと彼だけが、僕よりも僕をわかっている人物だ。しかし、彼はそれが飛び抜けている。

彼は口を開いた。

 

「俺はお前を救いたかった」

 

そうだね、君はそう言っていた。

 

「しかし、気づいてしまった」

 

彼はいつも突拍子もないところで、物事の本質を理解する。まるで、天からの贈り物のようにそれが降ってくるらしい。

彼は以前、自分のことをジャンヌダルクだと言っていたのを思い出す。

 

「もはやこれは俺だけの救いじゃない」

 

僕は救いを求めていない。

 

「もはや俺、お前だけではない」

 

じゃあ、一体誰が含まれるんだ。

 

「俺たちだ」

 

そう言いながら彼は両手を広げる。

彼の言いたいことは、ここにいる全員、いや、組織の全員といった意味だろう。

彼は口でタバコをふかしながら続ける。

 

「あの時、お前を刺した青年は、彼女を狙っていた」

 

そうか、あの反応はそういう意味か。

どうして、あの青年が僕たちの住所を知っていたかは気にはなっていたところだ。

 

「俺だよ、俺が情報を渡した」

 

君が情報を渡したのか。

 

「正確には、計画を練った」

 

そうか、いや、そうに違いない。君は誰よりも物知りで、ミステリアスな人間だ。僕が思っている以上に君は頭が冴える人だからね。

 

「青年にはまず住所、ナイフを送りつけた。そして、出鱈目な腹部の急所」

 

僕が一撃で死ななかったのはそのせいか。

 

「俺は、俺たちに欠けているものはなんだ?」

 

さあ?僕にはわからない。

車はスピードを落とし、止まる。赤信号になったのだろう。

 

「それは救世主だ」

 

もうめちゃくちゃだ。支離滅裂していて、何も聞きたくない。

 

「お前は多量出血で一度死んだ。瞳孔も心肺も停止。あそこでAEDを起動してなかったら、死んでいたに違いない。そして、大量の輸血と治療を最大限にしなかったら死んでいた。つまり、お前は俺のおかげで、見事なまでの仮死状態を再現し、そして生きながらえたんだ」

 

君たちが僕を救ってくれたのか。

でも、刺したのは君で、殺そうとしたことには変わらない。君があそこで僕を殺さなかったというのは救世主と何か関係があるのか。

彼はめんどくさそうにしながら口を開く。

 

「察しが悪いな……。ここで重要なのは、俺がお前を刺した、治療を施した、そういう話ではない」

 

車はスピードを上げ、また走り出す。

少し小さく揺れるが、気にならないくらいの振動だ。

 

「重要なのは、お前が生き返ったことだ」

 

彼は車の床に灰を落とし、また咥える。

吸っているのか、タバコが赤く燃え出した。

彼が口を開くと大量の煙が口から漏れるように出ていく。

 

「お前は復活したんだ。これはこの世ができて以来、二度目のイースターだ」

 

出鱈目だ。茶番だよ。そんなことは。

 

「そうじゃない。これは儀式だ。俺たち、クソの掃き溜めである猿以下の下等生物には必要なんだ」

 

ふと、エレベーターでの言葉を思い出す。

僕を救世主だと言っていた。右側を見ると、二人は依然として僕をじっと見つめていた。二人は彼の言葉を聞くと深く頷いた。

 

「お前は俺たちの救いだ。そして、俺たちは救世主となったんだ」

 

彼はタバコを床に捨て、すぐさま足で揉み消した。右側に座っていた二人が突然、敬礼をし始める。

 

「貴方は我々の救世主であります」

 

「貴方はジャンヌダルクであります」

 

イエスじゃないのか。そう突っ込む気力が湧かなかった。僕はゆっくりとまた左側を見る。

彼は二本目のタバコを咥えていた。

 

「わかるか?もうお前はお前だけの人生じゃないんだ。俺、俺たちの人生なんだよ」

 

そんなこと、僕が知ったことではない。

 

「あそこに戻るのはもうやめな。あんな幸せはお前には向いてないんだよ。本物の愛は明るすぎて、目が眩む。クソの掃き溜め、猿以下の思想こそがお前を幸せにする最大の愛だ」

 

それは君の思想だ。僕の思想ではない。

 

「自己改革を望むな。自己破壊を望め」

 

彼はそういってタバコに火をつけると、僕の口に無理やり咥えてさせる。思わず煙を吸ってしまった。赤く火が燃え、ゆらゆらと煙が僕の頭上を通過した。フードを被った男は今も下を向いたままだった。彼はそんな男性の肩に手を回し、不気味な笑みを作る。

 

「お前ら、いま自分が死ぬとしたら何をしたい?」

 

何を思うかではなく、何をしたいか。君らしい言葉だ。そんなこと言わなくても碌なものではないことは僕たちは知っているだろう。なぜなら、それは僕たちが毎日言っていたことだからだ。それを実行するのは今日だろう?それも僕は知っている。

彼がそう言うと、すぐさま返事が飛び込んできた。車が加速して、重力がかかり、少しだけ前に移動した。

 

「実家を燃やす」

 

「大金を手に入れる」

 

「人を殴る」

 

最後のは滑稽だ。そんなことならいくらでもできるだろう。でも、殴って勝ってはいけない。僕たちのルールは負けること。負けて価値を磨くことだ。これは決まりだ。

 

「今日中に終わらせろ、いいか、今日中にだ」

 

彼がそう言うと、運転手を含めた三人が頷いた。君のカリスマ性には酷く驚かされる。

彼はフードを被った男性の方を見た。僕もつられて、男性を見る。いまだ言葉を発さないその姿に少しだけ魅力を感じた。

 

「ーー僕の願いは叶いました」

 

男性はゆっくりとこちらを向いた。同時に、フードが後ろに落ちる。

綺麗な顔立ちと金髪の髪が特徴的で、ここにいる誰もが魅了されてしまいそうな雰囲気を身に纏っていた。

僕は何故か彼に似ていると思った。

彼は不気味な笑みを絶やすことなく、肩に手を回した腕に力を入れた。

 

「お久しぶりです。かずき」

 

ああ、久しぶり。一年ぶりだったけ?それともそれより前かな。僕は忘れたかったよ。

男性は両手で僕の手をぎゅっと握り、その綺麗な顔を笑顔へと変化させる。両目が黒く、その中に吸い込まれそうだ。

 

「僕はこの瞬間を待ち侘びていた。貴方が、貴方こそが最高の人物だ」

 

人違いだ。彼だよ、僕は彼の呪いをかけられた被害者だよ。

 

「だから願いは叶いました。僕は救世主に出会うということが叶いました」

 

救世主、それはやめてくれ。君が導けば、もう怖いものなしだろう。カミキヒカル君。

 

「俺、お前、こいつ……役者は揃ったな。これより次の作戦を実行する」

 

彼は肩に置いていた手をほどき、僕が咥えていたタバコを自分の口に持っていき、ポケットから携帯を取り出す。

見覚えのある携帯だった。それは毎日見ている僕の携帯だ。

 

「警察、病院……国が支配する空間を抜けて見せ、あまつさえ恥をかかせることに成功した。これが何を意味するかわかるか?」

 

わからない。僕の頭は正常じゃないんだ。だから僕に振らないでくれ。

彼は不気味な笑みを浮かべる。

 

「これは猿以下の奴隷が皇帝を罰した、そういうことだ」

 

君の考えがずば抜けているのはわかった。小説家を目指すべきだ。

 

「空想はどこまで行っても空想だ。人間はリアリティを求めるのであって、リアルを求める生き物ではない。だが、俺はリアルを求める」

 

彼の言葉に当てまめると、リアリティは自己改革、自己破壊はリアルってところか。ユニークな発想だ。

隣にいたカミキ君がゆっくり頷く。

 

「僕を使ってください」

 

依然として僕の手を握りながら彼にそう言った。僕の手はじんわりと冷たい何かに包まれていく。

 

「そのつもりだ。お前も協力しろ」

 

どういうことだ。意味がわからない。

彼は床にタバコを落とし、靴でそれをもみ消すと、携帯を操作し、耳に当てた。

彼はゆっくりと僕を見ながら、また不気味な笑みを作る。

 

「次は市民の皇帝を罰するーーー」

 

その瞬間、アイの顔がすぐに浮かんだ。とびきりの笑顔を作り、ファンを魅了させていく彼女の姿が頭によぎる。

僕は彼女のところに戻る資格があるのだろうか。

この事実は今この場では答えられないものだった。いくつも迷惑をかけ、あまつさえ、攫われ、そして崇めまれてしまう始末。この行為は全部彼が行った行為だが、僕はそれに関与したといっていいだろう。何故なら僕は彼の親友だから。

彼は動く車の中で立ち上がり、僕の方をじっと見つめた。その目がキラキラと光っているように見えたのは見間違いだと思いたい。

 

 

ーー市民の皇帝であるテレビだ

 

 

 

僕はこの現状を諦めるように目を伏せた。

 

 

 

 

 




最初からヤミーになってる。
次回、やべー奴の親友は電話かける。です。
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