とある異種族掲示板での…   作:更川有希

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とある奉仕族さんとの…

 今日は嫌な一日だったなぁと思い返しながら居酒屋で焼き鳥を肴に、追加で生ビールを注文した。

 

 今日は華の金曜日……を通り越した土曜日だ。しかもしっかり残業もありやがる。こんな休日に会社行く意味なんかねーッつの。

 

 明日という貴重な休日を、たった一日休んだだけでまた会社だ…憂鬱になった気分を、残り一口となった生ビールを飲み込んでから溜め息をついた。

 

 

 俺は今年からとある地方のとある中小企業で働くことになった。新卒採用という大事な切符をこんな雑に使っていいものかと当時は悩んだが、実家から近く、駅前から徒歩5分でつく距離であったためにあまり考えず就職した。してしまった。

 結果から言うとその会社はブラックもブラック。どす黒い死んだ魚の腸のような有り様で、入ってすぐの研修もあってないようなものだった。上司には期待していると言われたのだがどうせいっちゅうねん。

 

 

 午後22時半に仕事が一段落つき、帰宅…となるのだが、最近は仕事が終わり次第、駅近くの居酒屋に終電近くまで入り浸るようになった。酒の味は好きではないし、正直金銭的にも余裕は無いのだが、居酒屋のような騒がしい雰囲気の中で酔うと、何だか自分もその輪の中に入っているような気がして楽しいのだ。寂しんボーイだから仕方ないね…。

 

 カウンター席の右端に座って、今度は熱燗を注文する。

 今日はすこぶるミスが多くて怒られっぱなしだったからなぁ。落ち込む。うーん、日本酒でもぐいっとやっちゃおうかな。いや俺が悪いのは悪いのは分かってんだが、寝不足と仕事量がちと身体に響いておってな…。

 

 そんな会社に勤めて、居酒屋で酒を呷るような生活を続けてはや半年。……俺はそろそろ精神の限界だった。

 

 

 

 

 

 

 あぁ~~、帰りたくねぇ~~。家に帰るとすぐ寝たくなる。寝るとまた明日が来る。嫌だ嫌だ、だから家には帰りたくないんだ。でも眠いなぁ……暖かくてふっかふかのベッドで毛布にくるまってみの虫みたいになって寝たい……。でも明日が来てほしくないから家には帰りたくないなぁ~……。

 

 今日は飲み過ぎた。どうでもいいことを頭の中で反芻させるくらいには。

 千鳥足になっているのが自分でも分かるが、歩かなければ駅に向かえない。しかし疲れと酔いで少し休みたい気持ちもある。

 

そろそろ終電の時間のはずだ。今いる商店街の区画から信号を渡って右に曲がると駅のため、あらかじめ右側に寄っておく。

 

 

 その時、自分でも何故かは分からないがふとシャッター街となってしまったさびれた商店街の右端を見る。すると、店と電柱の間に細い通路が見えた。

普段はこんなところは目につかないし行こうとも思わないが、もしかしたら駅に向かう近道かもしれないと思い、入る。すると、少し先に古い木作りのベンチがあった。

丁度いい。なんだか疲れているし終電まであと少しくらいなら時間の余裕もある。少し座ってタバコでも一服しようか…なんて思って座った瞬間───、俺は気を失った。

 

 

 

 

 

 

 

「あの…大丈夫ですか?」

 

 目が覚めると、何故かちんまいメイドさんが目の前にいた。パッと見小学生くらいの印象で、翠色の綺麗なまんまるの目を見開きながらこちらを見ている。ホワイトブリムがよく似合う金髪のショートカットだ。

 

 控えめに言って超可愛い。天使。まるで俺の理想の女の子だといっても過言じゃない。正直ご奉仕されたい。いや、俺がロリコンという訳ではなく(ロリコン)。

 

 あまりにもあり得ない光景に、ついに自分の頭か目がイカれたのかと思ってまばたきをするが、これは幻覚ではなかったらしい。

 

「目が覚めたようですね、人間さん。このような場所で眠っておられたので、心配で心配で…」

 

 すんごい可愛いメイドさんは眠っていた俺を心配してくれていたらしい。酔いはまだ覚めていなさそうで、頭がくらくらするが彼女に問題はないと告げた。

 

 伸びをするように顔を上に向けると、建物との隙間から見える空は紫色で、蛍光色の強い様々な色の星(?)のようなものが無数に輝いていた。

 

「今日は綺麗な星が出ていたので散歩をしていたのです。そうして歩いていると、こんな路地裏に人間属反応魔法が感知したので急いできたのです。最初は誤作動かと思ったのですが、本当に人間さんがいて眠っていらっしゃったのでビックリしました」

 

 俺は最高に可愛いちんまいメイドさんの話を聴きながら、夢を見ているんだろうなぁと思った。俺は現実でのストレスが極度に達した状態で眠ってしまった結果、今流行りの異世界にでも行ってしまって、スーパー可愛いちんまいメイドさんとイチャイチャする感じの夢なんだと結論をつけた。

 

「ところで、お連れの方は何処にいらっしゃるのか分かりますでしょうか?」

 

 酔いの覚めない頭で必死に考えたが、俺は今日一人で飲んでたはずだ。

そのことを伝えるとハイパー可愛いちんまいメイドさんは慌てだした。

 

「え?え!?少し待って下さい、どうすればよいのでしょう?そんなはずでは……」

 

 手を顎先に当てて、考え込むメイドさん。可愛い。絵になる。まぁ誰かと間違えたのだろうなぁとぼんやり考えていると、意識が遠くなってきた。

 これが夢ってことは現実の俺はあのままベンチで寝てしまったのかもしれない。だったら後はもう野となれ花となれだ、明日になってから後悔すればいいや。

 

そう思いながら、俺は意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 知らない天井だ。

 俺はたまに自分の家でこのネタを寝起きによくするのだが、今日のはマジで知らない天井だった。しかも部屋は結構広く、何となく格式が高そうに思える。知らんけど。

 

 とにかく昨日は飲み過ぎた…。多分あのまま俺は終電には間に合わず、ホテルかどこかで一夜を明かしたのだろうと思った。

 

 柔らかく大きなベッド─恐らくキングサイズだろう─でいつのまにか寝ていた俺は、最近体重が増加気味だった体を難なく受け止め、物音一つさせずに起き上がることに成功した。

 

こんな作りのいいベッドで目を覚ますなんてやっぱり俺はどっかのホテルで一泊したのだろうか。しかしあの近辺にこんないいホテルなんかあっただろうか。てっきり安いビジネスホテルぐらいなものかと思っていたが。

 

 

 

「お目覚めになられたのですね。御主人様。」

 

 

 

 そんな俺の馬鹿な推理を一秒足らずで打ち破ったのは、夢で出会った超可愛いちんまいメイドさんだった。これはやっぱり夢なのでは?

 

てか御主人様って誰?多分俺のことなんだろうが、ヤバい。このメイドさんは夜の怪しいお店のキャッチかなんかで、酔った勢いでホテルで違う意味の一夜を明かしたのだろうか。今の持ち金は現金でいうと8000円くらいしかないぞ。カードで支払うことは可能だろうか?

 

 

 

 そこで俺はハッとなり、やっちまったと思いながら目の前で不思議そうな顔をしているに彼女に聞く。

 

 

 

失礼ですが、今何時ですか?

 

 

 

「そうですね…だいたい∂≠時Б§¤分くらいでしょうか。先ほど

私がお風呂の準備を致し、確認したときは∂≠時Б§∵分でしたので、おおよそそのくらいかと。誠に申し訳ありません御主人様。この部屋は客室ですので、時計やその他の家具はほとんど置いていないのです。」

 

 

 

 急にワケわからん単語が出てきたな。どうやって発音してるんだそれ。え、どういうこと?と思ったがその前に俺の体が見慣れない服を着ている。昨日は一張羅だったスーツを着ていたが、メイドさんが服を用意して着替えさせてくれたのだろうか?なんともありがたいが、なぜここまで至れり尽くせりなんだろう?

 

 

 

 脳がキャパを超えて一瞬どころか数秒間フリーズしたが、彼女はこちらを見つめ続けていたのでもう一つ質問してみる。

 

 

 

 すみません、こちらはどこでしょうか?昨日は酔っていて、その…記憶があまり正確ではないので。

 

 

 

「ここのですか?ここは魔界東新街8丁目にある私の家になりますが」

 

 

 

 やはり俺は夢でも見ているんだろうと思ったが、そんな訳はないとかぶりを振る。

 

まだ夜の怪しいお店のお嬢様だと言われた方が信じられる。

というか魔界?やっぱり俺は異世界転生でもしたのだろうか?いや俺が俺のままだからトリップなのか。

 

 

 

「どうかなされましたか、御主人様。昨日はお酒を飲まれていたようですのでまだ気分が優れないのでしょうか?よろしければ、酔い醒ましの快復魔法を掛けることも可能ですが」

 

 

 

 ああー…ぜひお願いします。メイドさん。ん、っと、メイドさんのお名前って聞いても大丈夫ですか?

 

 

 

「はい。今お掛け致しました。そうですね、私の名はローネです。それと私に対して敬語は不要です。今後とも宜しくお願い致します、御主人様。」

 

 

 

 わかったよ。えっと…その、ローネ…さん?

 

 

 

「さん、も不要でございます御主人様。どうか呼び捨てでお呼び下さいませ」

 

 

 

 …じゃあ、ローネ。

 

 

 

「はい、何でございましょうか。御主人様」

 

 

 

 何で俺が、というか御主人様ってどういうこと?

 

 

 

「それは…そうですね、夜中に私が私に主従契約魔法を施してからになります。これは契約魔法の類なのですが、安心して下さいまし御主人様。御主人様には何のデメリットも存在しておりません」

 

 

 

 えぇ…うん、うん。えーっとその……

 

 

 

「なるほど、契約内容を確認したいのですね。必要とあらば、知り合いの悪魔族に私と結んだ契約魔法の条件や効果をまとめた書類を作らせますが。

あぁ、いえ。それよりも御主人様。一つお聞かせ願いたいのですがよろしいでしょうか?この質問は御主人様の今後の安否に関わる大事なことなのですが」

 

 

 

 はぁ、どうぞ

 

 

 

「御主人様は、その…異世界からいらっしゃった存在でお間違いは無いでしょうか?─と、私は認識しているのですが」

 

 

 

 …多分だけど、今のローネの言葉を聞いて何となく理解出来たよ。ここは、いやこれは俺が見ている夢なんかじゃない。なんでかは分からないけれど、俺は昨日いた世界とは全く別の世界にいる。

そして、ローネとこの世界は確実に存在している…で合っているかな?

 

 

 

「ご慧眼、恐れ入ります御主人様。ようやく私も得心致しました。やはり御主人様は異世界からいらした迷い人だったのですね。

ならば、余計に主従契約魔法をしておいて正解でございました。学校や知り合いから学んだ情報によると、ここ─魔界というのは、恐らく、その…御主人様や御主人様が今まで過ごしていらっしゃった世界とは危険度がまるでかけ離れているのです。端的に申し上げますと、魔獣や、魔物といった存在が当たり前のように闊歩しているために、御主人様の身の安全が危ういのです」

 

 

 

 それはちょっと怖いな…なるほどね、だから契約魔法を……ん?別に契約しなくても、話を聞く限りローネは元々魔法とか使えそうなんだし別にしなくてもよかったのでは…?

 

 

 

「いえ!必ず必要だったためにこのような措置を取らせて頂いたのです。例えば…そうですね、契約魔法を行わなかった場合には私の戦闘能力が(モチベーション的にも)半減かそれ以下になってしまいます。それでは、御主人様をお守りすることが出来ません。それに…」

 

 

 

 それに…?何かあったりするの?

 

 

 

「私は奉仕族という種族ですので、誰かに仕えなければ真の奉仕族とは言えません。そのため、御主人様と出会えたことは私にとって…とても幸せなことなのです。加えて、この契約魔法はいつでも破棄することが可能です。御主人様が嫌だと一言あれば、すぐにでも破棄させられます。

 

もっとも……安心して下さいませ、御主人様。必ずや、私の奉仕で御主人様の全てを満足させてあげますわ…」

 

 

 そう言いながら、ローネは俺に近寄ってくる。

そして、俺の膝の上にぽすんと座り首に手を回して、俺の耳に囁いてくる。

 

 

 

 

 

「昨日の御主人様はすっかりお疲れでした…」

 

「私、先ほど御主人様のためにお風呂の支度を致しましたの……」

 

「どうか、私にご奉仕させて下さいまし………」

 

 

 

 

 




作者:俺も酒飲んで酔って寝て起きたら目の前にちんまいメイドさんがいて何だかんだで奉仕して貰えてそこから毎日幸せで穏やかな毎日を過ごすだけの人生がよかったよ…。頼むからよぉ…。
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