物理攻撃でひん曲げるブルーアーカイブ(仮) 作:かんばさだー
水村ナツメ
この世界での私の名前。
“早速で悪いけどナツメ。シャーレのオフィスを奪還しなければならない。協力してくれるかい?”
先生は手を差し出してくる。
ふっ。少し余裕かますような態度を取り先生をしっかりと見据える。
答えは、砲弾を弾いたあの瞬間から決めていた。
「無理です」
キッパリと断る。それも大事だよね。
場が凍った気もするけど仕方がないんだ。本当に。心苦しいけど。
話がついたと思ったのか、先生の陰からチナツがずしずしと歩いてくる。
ビンタ一発でもされるかと思ったが目の前に来たと思えばしゃがみ、テキパキと医療道具を広げていた。
「手、見してみてください」
手?とチナツの後ろで疑問が浮かんでいるがまあそう。砲弾を素手で弾いておいて無傷で済むわけないんだよね。まあ身体だけはスーパーキヴォトス人。青く腫れ上がるだけで済んではいるが。
触りますね、と一言相手からチナツの治療が始まる。一個一個丁寧に確認して怪我がどのような容態なのか認識していく。
…ゲームの画面でしか見てない故なのか。三次元になるとチナツこんな可愛いんだな。というかゲームのキャラクター全て可愛い。
声が凛としてて、二つにまとめてる髪も綺麗。なんかいい匂いもする。あとおっぱいでかい。自分のを見下ろしたらストーンッて感じなのにチナツはフニュンって感じだ。これが格差社会か。
治療してもらいえへえへしているこの時間。どうやら事情聴取に使うらしい。
早速ハサミから問いがあった。
「所属学校はどこですか?」
「わ、わかりません」
即答。こればかりは本当に。名前は自分の名前について考えたら出てきたが、学校については本当に何も頭の中にはない。覚えているのが自分の名前だけって相当おかしいのでは?
と、治療が終わったらしい。丁寧に包帯やらが巻かれていた。
「…ふぅ、応急処置はこんなものでしょうか。どうやらナツメさんの持ち物の中にも学校を示すものはないみたいです。銃も携帯していないようですし」
治療ついでに色々と見られていたらしい。手際がいいねほんとに。
広げていた道具をしまい、下がってしまった。
ふむ。ここの戦闘力を示すとするなら
ハスミ>>チナツ>ユウカ>スズミ>>>>>>>ナツメ
そんなところか。自分で考えて悲しくなってきたぞ。
もちろんこれはおっぱ、を基準の考えである。殺してくれ。
先生のほうは先生のほうで話をしている。
……もしかして俺ピンチ?
現在キヴォトスはサンクトゥムタワーの最終的な制御権をもつ連邦生徒会長の失踪。
制御権を失ったゆえにあらゆる自治区では問題が発生。
それをどうにかするための戦闘中にへんな奴乱入←今ここ。
怪しいな? しかも自分のことについて何にも覚えてないときてるからな?
「えっと、あの。私」
「大丈夫ですよ。ちょっと混乱してるだけですよね。学校に所属していないのも話せないような事情があるからだと思います。みなさん優しいですから、悪いようにはなりませんよ」
自分の身を心配しているように見えたからか、優しい口調で頭を撫でてくるユウカママ。神様はここにいたんだね。…にしても君結構チョロインじゃない?大丈夫?
「…取り敢えずはシャーレオフィス奪還後に決めましょう。怪我をしているようですし、銃も持っていないのならチナツの側にナツメを預けます。そのまま戦闘続行。いかがですか先生」
“それでいいよハスミ。ナツメもそれでいい?”
もちろん。
▶︎シャーレ奪還戦制圧後
先生はひと足先にシャーレオフィスに入って行った。内側までは護衛は良いと言われ、4人と俺はこのまま建物の壁を背に待機である。
…気まずい。
「…私たちは名乗っていませんでしたね。正義実現委員会の羽川ハスミです」
「あぁ、えっと、ゲヘナ学園、風紀委員の火宮チナツです、よろしくお願いします」
「トリニティ自警団の守月スズミです」
「えっと、ミレニアムサイエンススクール、早瀬ユウカです」
「水村ナツメです…」
知ってる。たくさんお世話になったから。
一人は一撃必殺の威力でHPバーを持つ相手にはよく使っていた。
一人は単体回復力が強くちょっとした切り札だった。
一人は範囲攻撃で殲滅戦によく使ってた。
一人は先生のベビーシッター。
四人ともいっぱいお世話になってた。そんな四人と今。話せる機会がある。なんか感動できるね。
「…これから私どうなるんですかね」
「多分、以前所属していた学校を調べて、そこからの処置によって変わるんじゃないかしら。あなたの記憶通りに学校に属してないなら入学する学校を選ぶところから…」
なるほどね。多分自分の身体を見るに15? そこらの身体つき。なら入学するなら一年生になるわけだ。
「ナツメさん。一つ伺いたいことがあります」
「えあはい。なんですかハスミさん」
「…なかなか俊敏な動きでした。ユウカさんの前に出てあの砲弾を曲げる技…すぐに決断実行できるものではありません。弾ける自信があったのですか?」
あー、ちがう。できる自信があったわけじゃない。でもやれるという確信がなぜかあった。だからうん。
「できるからやったまでです」
「……いいですね。もしどこかの学校に入学することになったなら、トリニティの門を叩いて下さい。正義実行委員会として歓迎します」
「あ! ミレニアムも歓迎するわ! ちょっとだけならお礼もしたいから」
スカウトされた。なんだか小恥ずかしく思うのは慣れてないから?かな。
でも、悪くない。
俺はどこの学校に入るんだろう。
胸がワクワクする。なんだか嬉しいね。
“ナツメ。少し中に来てくれるかい?”
中での散策が済んだのか。先生が降りてきていた。それでなんでか呼ばれてる。まあ断る理由はないからいいが。
先輩四人に挨拶を交わして中に入ることにした。
“さて”
…外からの日差しが少ないからか。電気が付いていないからか。なぜだか静かなこの部屋は不気味に感じる。そして先生もーー。
“水村ナツメ。君に問うことがある”
なんか雰囲気変わった?
ゆっくりと先生は語り出す。
“私は君のことについて何も知らないんだ。何もね。ナツメと名前に着くのは棗イロハがいるがあれは性についている。君は名前がナツメだ”
「? それは、初対面ですしね」
初対面なんだし知らないのは仕方なくないか。
“そして【水村ナツメ】という人物はこのキヴォトスにはいない。ーー先ほどまでは”
水村ナツメがキヴォトスにいない? 先程まで?
「えっと、要領を掴めないのですが、この問答はなんの目的でーー」
“単刀直入にいこう。ナツメ。君は外から来た”
部屋の空気が明確に変わった。今更気づいたがこの部屋窓が少ない。そしてドアは電子ロック。先生の手には大人のカードが握られている。
冷や汗がぶわりと溢れた。
つまり先生は、俺を疑っているんだ。そりゃ見ればわかる違う、今大事なのはーー。
“私は幾億とこれを繰り返している。それは私の失敗を重ねた数。これ以上失敗は許されない。いかなる不安は取り除かなければならない”
何回も世界を繰り返した先生ッ、知らないってのは幾億繰り返した記憶に私という存在は今回初、イレギュラーッ
“だから、私は君を信じたい。不安要素である前に君は生徒だから”
…は、はは。本質は変わってない。びっくりして尻餅つきたいよ。
警戒こそされているが話をすれば良いのか?
「わた、いや俺は、外から来た」
先生はただ黙って聞いている。
「以前のことなんて覚えてない。でも、俺は多分、連邦生徒会長から託されたんだ。信じられる大人ならって」
言葉がうまくまとまらない。これから俺のしたいことはなんだ。目の前の奴はキヴォトスが闇に沈むのを何度も見届けた男。
「だから、俺はみんなを救いたい」
言葉に出すとそれが質量を得て固まったように感じる。多分というか絶対、俺のしたいことはこれ。そうだ。鬱屈とした結末なんかクソ喰らえだ。
“…うん。わかった。ありがとう。多分君なら大丈夫だね。アロナ”
あ、もうOS手に入れてるのね。だから色々調べられたわけだ。
というかやはりアロナの声は先生にしか聞こえないのか。残念だな。
“早速だけどこれから君は忙しくなるよ。ナツメは外からの、しかもヘイローを持ってる。だから君には私の補佐の補佐として活動が主になるかな”
補佐の補佐?どういうこと?
“君をシャーレ管轄の生徒として迎える。シャーレにある特権を一部君に与える形になる。君はこれからありとあらゆる学園への編入学が可能になる”
んん?
「へ、編入学? それってどういうことですか」
“文字通りだよ。君も見たと思うけど外からの異物が増えたせいか以前より…うん。難易度は上がっている。私一人で守り切るなんて不可能になる”
つ、つまりあれか!? 編入学して生徒側から生徒の問題に首突っ込めって話ね!?!? てかそれシャーレの職権乱用だろ!
「まだ俺了承してないんだけど!」
“あと俺って言うのもいいけど年相応に見えるようにちょっとだけ気遣ってみたら? 学校生活楽しめるように”
あ、確かに。て違う!!
え? まじなの!?
“編入先はもう決まってるよ”
こちらの動揺や困惑などどうでも良いように話を進める。というか俺に選択はできないんですねーー。
“アビドスだ”
多分ループしてるなら人間ちょっとは荒む。強引な感じにするのも仕方ないね! 外からのやつだし!
今回は外から来た二人の接触をかけたらいいかな。
でもこの二人のいう外、は多分お互い違う気がするよね。まあいいけど。
あと次回予告みたいなのを前回していたけどあまり気にしないでね。もしかしたら書きたいこと変わって前回の次回予告ぶん投げまーすとかあるかもだから。
そんじゃ次回!
編入生、水村ナツメです。