ポケットモンスター 新たな旅路と少女達の恋路   作:白琳

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御三家だけで27匹もいると、一番の御三家はどれかって言われてもなかなか難しいですよね。


④入学と相棒ポケモン 後編

入学式の次の日、俺達3人は広場に集まっていた。何でかと聞かれれば、昨日出来なかったお互いの相棒ポケモンの紹介である。

 

「って言っても、あたしとリコはお互いの相棒ポケモン知ってるんだけどねー」

「リコはニャオハで、アンはどんなポケモンを貰ったんだ?」

 

因みにニャオハは現在、すぐ近くの建物の屋根で日向ぼっこをしてる。リコが呼び掛けたものの、一向に降りてこないらしい。

 

「ふっふーん、あたしはねぇ……この子だよ!」

 

そう言ってアンがモンスターボールを投げると、現れたのはラッコポケモンのミジュマルだった。イッシュ地方では旅に出るトレーナーにアララギ博士から貰える3匹の内の1匹である。

 

「ミジュミジューッ!」

「へぇ、ミジュマルを貰ったのか」

「うん!とっても可愛いんだよ!」

 

ラッコポケモンのミジュマル……懐かしいなぁ。俺が見た事あるのはメイが連れてた個体だけだな。今じゃダイケンキに進化して、イッシュリーグの決勝リーグでも活躍した実力あるポケモンだけど。

 

「じゃあ、あとはキョウヤだけだね」

「ああ、そうだな」

 

 

 

 

 

(キョウヤの相棒ポケモン……どんなポケモンなんだろ?やっぱり……アンとミジュマルみたいに仲が良いのかな)

 

キョウヤが合流する前、リコとアンはお互いの相棒ポケモン同士で初バトルをしていた。しかしニャオハはリコの指示には従わず、結果タイプ相性がいいにも関わらずミジュマルに敗れてしまったのだ。

キョウヤにアドバイスを受けたとはいえ具体的にどうすればいいか思い付かず、2日目にして既に仲良くなっているアンとミジュマルを羨ましく思っていた。

 

「リコ」

「あ……ど、どうしたの?」

「ニャオハの気持ちを知る事からやってみらどうだって昨日言ったよな。俺の相棒も今のニャオハみたく何考えてるか分からなかったんだよ」

 

(それってつまり……キョウヤもわたしと同じみたいに────)

 

「自分の事を知ってもらうなんて簡単な事じゃない。俺の相棒も、ニャオハも。だから俺達トレーナーから歩み寄らないと知ってもらいたい事も知ってもらえないんだと思ったんだ」

 

キョウヤが腰のホルダーからモンスターボールを1つ取り出し、ボタンを押して手の平サイズへと大きさを変える。

 

「別にやり方なんて何だっていいんだよ。相棒が何をやりたいのか。それが分かれば────」

 

そのモンスターボールを宙へと投げると中から光と共にポケモンが現れる。キョウヤの背後に降り立ったそのポケモンは砂埃を上げ、姿を隠した。

 

「きっと、一緒にやりたい事が見つかると思うぞ」

「ジャロオオオオッ!!」

 

咆哮が覆っていた砂埃を吹き飛ばし、キョウヤの相棒ポケモンが姿を現す。蛇のような胴体に黄色い唐草模様、襟のようなヒレ状の部位はロイヤルポケモンという分類名に違わない高貴さを漂わせる。

その名は──────

 

「わあっ、ジャーロダだ!あたし、前にテレビで観た事ある!」

 

(ジャローダ……このポケモンがキョウヤの相棒……なんだか凄い……!)

 

ジャローダが纏う気高さに圧倒されるリコ。この学園内では見た事がない大きさも相まって、リコは形容しがたい凄さを感じていた。

 

「俺はこいつと一緒にやりたい事があるんだ」

「やりたい事って?」

「世界一のポケモントレーナーになる事。その為に俺はこの学園まで来たんだ」

 

(世界一のポケモントレーナー……それがどんなのかは分からないけど、キョウヤもなりたいものがあるんだ。……わたしはまだやりたい事とか見つかってないけど、ニャオハはあるのかな?やりたいこと……あっ)

 

そこでふとリコはある事を思い付いた。ニャオハの気持ちを知る為にどんなやり方をすればいいのかを。

 

「キョ、キョウヤ!」

「ん?」

「わたし、ニャオハの所に行ってくる!」

「……何か思い付いたんだな?分かった、頑張ってこいよ」

「うん!」

 

キョウヤに送り出され、ニャオハの元へと走っていくリコ。その様子を見ていたアンとミジュマルは揃って首を傾げていた。

 

「リコ、どうかしたの?」

「んー……ニャオハと仲良くなる為の第一歩って感じかな」

「ミジュ?」

 

 

 

 

▽○

 

 

 

 

それからリコが始めたのは至極簡単な事。ニャオハを観察し、その様子を記録し、ニャオハが何をしたいのかを考察していく。文面的には簡単に見えるが実際にやるとなると大変だ。ニャオハは1ヶ所に留まってるわけではないし、気まぐれに行動する事だってある。もしかしたらニャオハを探してるだけで終わるかもしれない。

それでもリコはそれらを続けた。手伝ってやりたい気持ちもあったが、これはリコが自分で思い付いたやり方だ。なら最後までリコ1人の力でやり遂げる事に意味があると思う。だから俺もアンもリコとニャオハの関係は見守るという事に決めた。

 

「今日もニャオハ探しか?」

「うん!観察して分かったんだけど、ニャオハには何ヵ所かお気に入りの日向ぼっこ場所があるの。だからそこを回っていけばニャオハが見つかると思うんだ」

「よくこの短期間で調べたなぁ。あ、また落っこちないよう気を付けろよ?」

「落ち……~~~っ、う、うん!き、きき、気を付けるよ!」

 

この前のトラブルを思い出してか顔を赤くし、動きも急にぎこちなくなったリコを見送る。まぁ、落っこちるなんてそうそうないだろうし、冗談で言ったが心配してるのは本当だ。

最近学園内でコソコソしてる不審者がいるって噂を聞く。もし本当ならリコやアンには十分注意してもらいたい。あいつら、無自覚だろうけど結構可愛いし。

 

 

 

 

▽○

 

 

 

 

────夜中。

 

本来ならば生徒達は寝静まり、外出は禁止されてる時間帯。しかし警備員が敷地内を巡視する中をかい潜って進む生徒とポケモンがいた。

その1人と1匹は学園の外れにある茂みの中を歩き、目的地である湖のほとりへと辿り着いた。夕方とは違い、湖に反射して映る星空にしばらく見とれていたが、気を取り直すように生徒がポケモンの方へと振り向く。

 

「よしっ!ニャオハ、今日も頑張ろっ!」

 

生徒とポケモン────リコとニャオハにとって、人気(ひとけ)のないこの湖のほとりは秘密の練習場になっていた。昼間、アンのミジュマルとのバトルやキョウヤを先生とした授業だけでは満足できず、夜中にここに来ては技の練習をしてるのである。

 

「ニャオハ!目の前の岩に向かって“このは“!」

「ニャウ~!」

 

リコに指示を出され、ニャオハは首元の葉に似た毛の房に力を込める。しかしうまくいかず、その力が技となって放たれる前に霧散してしまった。

 

「もう一度、“このは“!」

「ニャウハッ!」

 

諦めずに二度、三度と何度も技の指示を繰り返すリコ。しかしその熱意に反していずれもうまくいかず、それでも“このは“を繰り出そうと頑張っていたニャオハであったが──────

 

「ニャオハ!“この──────」

「ンニャア~……」

 

出来ない技の繰り返しに飽きてしまったらしく、あくびをして丸まるニャオハ。それを見たリコは仕方ないなぁと思いながら、ふと空に浮かんでる満月を見上げた。

 

(少し前まではあの月みたいに、どれだけ手を伸ばしても届かないと思ってたけど……今のわたし達なら少しずつだけど、近付く事が出来てるのかな)

 

「──────わっ!!」

「うひゃあっ!?」

 

突然背後から大声を掛けられたリコは悲鳴を上げ、飛び上がった。誰もいないはずの暗い場所で、しかも唐突に大声を掛けられれば無理もない話である。

 

(な、なになになに!?ま、ま、まさかお化け!?そんなのが現れるなんて聞いてな──────)

 

「……って、キョウヤ?」

「わ、悪い。まさかそんな驚かれるとは思ってなかった」

 

リコが体を縮こませながらも後ろを振り向けば、そこには申し訳なさそうに謝るキョウヤがいた。そこでリコは大声の主がキョウヤで、自分を驚かせようとしていた事に気付いた。

 

「もうっ!本当にびっくりしたんだから!」

「いや、なんかやりたくなっちゃって」

 

(こっちは心臓が飛び出るかと思ったんだけど!?)

 

「ほんと、悪かったって」

「はぁ……もうやらないでよ?」

「善処する」

「やらないでってば!」

 

ケラケラと笑うキョウヤと彼にからかわれてると気付き、もー!と怒るリコ。その姿を見たキョウヤは、からかった方が驚かすよりも面白そうだなと思っていた。

 

(まったく……ん?というかどうしてキョウヤはここにいるんだろう?)

 

「俺が何でここにいるのかって思ってるだろ」

「あ……顔に出てた?」

「出てる出てる」

 

この学園に来る前は「何を考えてるか分からない」と言われてきたリコだったが、キョウヤに出会ってからは彼によく言い当てられてきた。その事に初めは驚いていたものの、最近では段々と慣れつつあった。

 

「アンから最近、リコが夜中にどこかへ出掛けてるって聞いたんだよ。俺もアンも技の練習をしてるんだろうなとは思ったんだけど、一応確認しておきたくてな」

 

(アン、気付いてたんだ。もしかして心配掛けちゃってたかな……あれ、でも)

 

「どうしてわたしがこの時間にここにいるって分かったの?」

「別に簡単だよ。アンからリコが部屋を出たって連絡を貰ったら寮を出て、見つけたお前の跡をつけてきたってだけ」

 

キョウヤ、リコ、アンはスマホロトムの電話番号をお互い交換し合ってる為、出来た方法である。

 

「じゃあ、わたし達のこと後ろからずっと見てたの?」

「あー……見てたっていうか、俺達と同じような事してるなって思って」

「俺達……あっ、ジャローダのこと?」

「ああ」

 

キョウヤはモンスターボールを取り出し、宙へ投げるとジャローダが現れた。その事に気付いたニャオハがジャローダへと駆け寄り、体をよじ登っていく。そして頭の上に辿り着いたニャオハはそこに居座ってしまった。

 

「ご、ごめんジャローダ!ニャオハ、早く降りてきて!」

「別にいいぞ。なんか最近、ジャローダに懐いてるみたいでさ。こいつも嫌がってないし、な?」

「ジャロッ」

 

気品溢れるジャローダにとって珍しい行動であるが、キョウヤのジャローダはこれが普通である。自らのトレーナーであるキョウヤが仲間と認めた相手であれば、ジャローダも仲間と戯れるのはやぶさかではない。ただ怒らせるような事をすれば容赦なく制裁を加えるが。

 

「さっきまで練習してた“このは“、あと少しで完成しそうだったと思うけど。今日はもうやめるのか?」

「うん、ニャオハが飽きちゃって」

「ならニャオハがやる気を出せば解決だな」

「そうだけど……どうするの?」

 

キョウヤがジャローダに視線を向けると、何も言ってないにも関わらず彼の考えを悟ったかのように頷かれた。相棒も同じ気持ちだと確認したキョウヤは、頭上にいるニャオハへと視線を移す。

 

「ニャオハ!」

「ニャン?」

「1つ、凄いもの見せてやるよ。ジャローダ、湖に向かって全力で“リーフストーム“!」

「ジャロオオオッ!」

 

ジャローダの周囲に“このは“よりも鋭さを増した葉が大量に舞う。それはジャローダの正面へと集まり、そして大規模な渦となって放たれたその一撃は湖の中心に巨大な水柱を作り上げたのだった。

 

「す……凄い」

「ニャ~……」

「だろ?」

 

着弾点が湖の中心だったにも関わらず、湖岸にまで水飛沫が降り注ぐ。リコとニャオハはその威力を見て呆気にとられていた。

 

「今のは“リーフストーム“。リコ達が練習してる“このは“が最終進化したみたいな技だ」

「“このは“が……」

 

(って事は、ニャオハもいつかはこの技を使えるようになれるのかな?)

 

「どうだニャオハ?お前も今の技、打ってみたくないか?」

「ニャーン!」

 

ニャオハがジャローダの頭上から飛び出し、リコの前に降り立つ。その目には今まで以上にやる気が満ちているようだった。

 

「ニャオハ、今の技を打てるようになりたいの?」

「ニャニャ、ニャウ!」

「ふふっ、そっか。じゃあ、もう少し頑張ってみよっか」

「ニャア!」

 

ニャオハにやる気が戻り、リコもそれに応えようとする。その後ろでキョウヤは一役買ってくれたジャローダの尻尾とハイタッチをしていた。

 

「今更だけど、練習見てていいか?もしかしたらアドバイスできるかもしれないし」

「うん、ありがとう!ニャオハ、いくよ!“このは“!」

「ニャオハッ!」

 

キョウヤからの申し出にリコはお礼を言い、再びニャオハに指示を出すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ。さっき言ってた、俺達と同じような事してるってどういう意味?」

 

“このは“完成には至らなかったものの、キョウヤのアドバイスもあって練習は進み、翌日の授業に響かないよう今日は終わりにする事にしたリコとニャオハ。寮へと戻る前に一休みしてく事を決め、その最中にリコは先程の言葉の意味をキョウヤに尋ねた。

 

「そのまんまだよ。俺とジャローダも“リーフストーム“を完成させる為に毎日夜遅くまで練習してた事があるんだ」

「そうだったんだ」

「幼馴染みのポケモンに勝ちたくてな。でも相手はほのおタイプで、こっちはくさタイプ。相性は最悪だけど、俺達はそいつに勝ちたかったんだ」

 

キョウヤが思い出すのは完成するまで幾度も繰り返した練習の数々。失敗した記憶がほとんどだが、毎晩遅くまで相棒と一緒に、時には他の手持ちポケモンと一緒に練習をした日々は彼にとって旅の中の1つの思い出であった。

 

「その幼馴染みのポケモンには勝てたの?」

「ああ。前の大会の決勝戦で最後の1匹同士になった時にな」

 

(ぐるみんの動画でもタイプ相性は重要だって言ってたけど……それを覆しちゃうなんて、やっぱりキョウヤは凄いなぁ)

 

「その大会ってどんなやつなの?」

「ん?イッシュ地方のポケモンリーグだよ」

「…………へっ?」

 

キョウヤからの大した事でもないような返答にリコは固まってしまった。興味はあまりないものの、ポケモンリーグの名前を知らないわけではない。そしてそれがどんな大会なのかも。

 

(ポ、ポケモンリーグ!?確かにジムに挑戦した事はあるって前に言ってたけど!えっ、ちょっと待って、決勝戦で相手の最後の1匹に勝ってるって事は)

 

「キョ、キョウヤってリーグ優勝者なの!?」

「そうだけど……そんなに驚く事か?」

「普通驚くよ!だってポケモンリーグの優勝者だよ!?」

 

キョウヤにとってリーグ優勝者は『世界一のポケモントレーナー』を目指す為の過程の1つでしかなく、それ程珍しい称号でもないと思ってる。事実、リーグ優勝者は一般トレーナーからは一目置かれる存在である。しかし各地方トップクラスのチャンピオンリーグ優勝者・四天王・チャンピオンには遠く及ばず、詰まる所アマチュア級のチャンピオンでしかないのだ。

 

「俺が目指してるのはもっと上だからな」

「世界一のポケモントレーナーだっけ?それってどんなトレーナーなの?」

「どんな、か……うーん……」

 

キョウヤが夢見る『世界一のポケモントレーナー』だが、彼自身も具体的に何をもってして世界一かは未だ決めていない。故になんと答えるべきか悩んでしまった。

 

暫し考え、出した答えは──────

 

「どんなだろうな」

「えぇ……?」

 

(なにそれ?答えになってないじゃん……)

 

「……ふふっ」

「あ、おい。笑うなよ」

「ご、ごめん。でも……ふふっ、なんかおかしくて」

 

キョウヤに咎められても笑い続けるリコ。その様子を見たキョウヤは困りつつも、次第にまぁ、いいかと思うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 




ジャローダ
性別:♀
特性:???
性格:いじっぱり
個性:まけずぎらい

主人公キョウヤの相棒ポケモンはジャローダです!ジャローダである理由はツタージャが可愛いからです!ポケモンSVでもレイド来ないかなとずっと待ってます。

そしてリコにはリーグ優勝者だと明かしましたが、アニメだとポケモンリーグって終盤の舞台になるので優勝したら凄いと思われがちですが、実際は一般トレーナーのチャンピオンって考えると出場者が弱いトレーナーばかりだと優勝者もあまり凄くないように見えてきます。

ちなみにもし、レジェンズみたいに御三家が異なる地方のポケモンだったら自分は、

・フォッコ(アニポケなどの影響。狐っ娘好き)
・ツタージャ(アニポケとポケパーク2の影響)
・ワニノコ(漫画の影響。ジョウの大冒険というやつ)

の3匹がいいなーと思ってます。


あとこの前、SVでマフォクシーのレイドイベントが来た事を確認し忘れて終わった翌日に気が付きました。落ち込みました。でもpixivでイラストを見て立ち直りました!
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