木々の奥から全長5メートルに達するミドル級のシルエットが跳び出してきた。
元より斬り掛かるつもりであった悠夏はブレイドモードのティルフィングを中段に構えて突撃する。斬るよりも叩き潰すことを念頭に置いた巨大な刃が振り上げられた。
両者交錯し、鈍い金属音が響いて火花が散る。
ティルフィングの斬撃は、ヒュージから伸びてきた銀灰色の腕によって受け止められてしまう。
紅巴は悠夏と斬り結んだミドル級の全身を目にする。
太く短い鉤爪状の三本脚を生やした下半身の上に、ずんぐりとした胴体が載っていた。胴体からは傘状に丸みを帯びた頭部が伸びていた。そして両腕の先は湾曲した鎌の刃。今まさに悠夏の一刀を受け止めたのもこの鎌の右腕だ。
以前にも戦ったことのある相手だった。叶星と高嶺の不在時に荻窪に現れたバスター種ファルクス型と、少なくとも外見は酷似していた。
「こっのーーーっ!」
悠夏は相手を押し切ろうと気勢を上げる。
ところが両手に握られたティルフィングはびくともせず、逆に振り払われたヒュージの腕によって後方へ弾き飛ばされた。
受け身を取って柔らかい地面の上を転がり、木の根元にぶつかって停止する悠夏。
紅巴は敵の方角へ牽制射撃しながら彼女の傍に駆け寄りフォローする。
「悠夏さんっ!」
「こいつ、ただのミドル級じゃない! 装甲も、パワーも!」
起き上がってキッと険しい視線を向ける悠夏と紅巴を前に、ヒュージは風の吹き荒ぶ音を上げながら移動を開始した。横方向に、まるで地面の上を滑るかのように。
よく見るとヒュージの三本脚は地に着いておらず、僅かに浮かんでいた。
「何あれ、ホバーじゃないの」
「きっとあれのせいで飛行型並みの機動力を発揮してたんですね」
紅巴の言う通り、ホバー移動を始めたヒュージは鈍重なバスター種にあるまじきスピードでリリィたちから間合いを離していく。
そうしてある程度離れたところで、ヒュージが足を止めホバーも停止させて、鉤爪の如く尖った三本脚を地面に突き立てた。
次いでヒュージの胴体が上下に開閉し、中から黒色の大筒が突き出てきた。
大筒の先端に赤い光が灯る。
紅巴と悠夏は申し合わせ無しで同時に左右に跳んだ。
大筒が瞬いた途端、赤い極太の光線が鬱蒼とした緑の中を貫いて、森の外の彼方まで伸びていった。
砲撃を終えたヒュージは再び脚を地面から浮かせ、またホバー移動で前進し始める。
「レーザー撃つ時はホバーを止めるんだ」
「悠夏さん、今の内に!」
「OK、左右から行きましょう!」
二人もヒュージに向かって駆け出した。
一時は驚かされたが、他のバスター種と同じく走りながら砲撃できないのならば話は簡単だ。常に動き続けて狙いを付けさせなければ良い。
紅巴と悠夏は別々に走りつつ牽制射撃を繰り返す。とにかく相手に落ち着く暇を与えぬように、手数で攻めて主導権を手放さない。
このヒュージ確かに高機動ではあるが、流石に砲撃態勢での時間ロスを補えるほどではなかった。
二方向からレーザーと砲弾を浴びてヒュージは体を震わせる。その様は、右往左往してどちらの敵から始末しようか判断が付かないように見えた。
もしも砲撃のために立ち止まったら、一気に肉薄して片を付ける。紅巴も悠夏もそういう心算であった。それが対バスター種戦闘における基本戦術の一つなのだ。
相手が痺れを切らして大砲を持ち出す瞬間。二人はその時を待つ。やたら硬い銀灰色の装甲に射撃を加えながら。
しかしいつまでも経ってもその時は来ず、ヒュージはふと鎌状の両腕を二人のリリィそれぞれに向けてかざした。
「何を……」
無論、鎌が届くような間合いではない。
だが紅巴の悪い予感は往々にして当たる。
訝しむリリィたちの視線の前で、長い鎌の柄が中ほどから折り畳まれて、断面から砲口が顔を覗かせた。両腕の中にも火器を仕込んでいたのだ。
重く、それでいて断続的な発砲音が森の中で木霊する。
周囲への着弾で生まれた爆炎と土煙が紅巴を包囲する。
逆にこちらが行き足を鈍らせるはめに陥った。
更にヒュージの背中から白煙が噴き出したかと思ったら、何やら小さな物体が多数上空に打ち上げられた。それらは中空で軌道を変えて二手に分かれると、半数が紅巴の方に向かって飛んで来る。
「誘導弾!?」
速射砲の猛攻に曝されながらも紅巴はバックステップで後方に並ぶ木々の隙間に飛び込んだ。
ヒュージから放たれた複数の飛翔物は木の幹に衝突してめり込んだ後、一呼吸遅れて盛大に爆発するのだった。
砕け散った樹皮がパラパラと頭に降り注ぐ中、紅巴は息つく間もなく移動を再開する。
しかしながら、ヒュージの方が早かった。紅巴が足を向けた方角に、横滑りの如く飛び込んで来た巨体――ミドル級だが紅巴の視点からは巨体――が立ち塞がった。
真っ直ぐに伸ばされた両腕に砲口を突き付けられて、紅巴は対決を決意する。
ちょっとした艦砲に匹敵しそうな二門の速射砲に対するは、シューティングモードのシュガールが一機のみ。撃ち合いは明らかに不利だったが、この状況では逃げようもない。
同じ頃、悠夏の方には追加の誘導弾が迫り、迎撃に追われていた。
「っ……」
口を引き結んだ紅巴の頬を一筋の汗が流れる。
彼女は眼前のヒュージの一挙手一投足に集中した。その足元が、その胴体が、その腕が動き出す瞬間を見逃さないように。
そのヒュージの体が突然左右に大きく揺れた。
横合いから砲撃を受けたのだ。無論、紅巴や悠夏の仕業ではない。
「二人とも、遅れてごめんなさい」
「高嶺様……!」
紅巴は視線をヒュージから逸らさず、通信機からの声で援軍の正体を知った。
誘導弾を撃墜し終えた悠夏も当然その声に反応する。
「高嶺姉様ぁ~! 姉様が居れば新型ヒュージも、ちょちょいのちょいね!」
「ちょっと、ひめかも居るんだけど!」
「はいはい」
高嶺の実弾に姫歌のレーザーも加わって弾幕が激しさを増していった。
その猛攻を一身に浴びたヒュージは後ろによろめき両腕の砲も揺さぶられる。
今が好機だ。
「一年生三人で集中射撃、新型を釘付けにするわ。あの厄介な両腕と足を狙うように。フィニッシュは高嶺様、お願いします!」
「ええ、任されたわ」
グラン・エプレサブリーダー姫歌による指示の下、新型ミドル級攻略に動き出す。
三方から三機のチャームによる一斉射撃。
堅牢な装甲を誇るヒュージもこれは応えたようだ。反撃もままならず、ホバーを起動して逃げることもできず、滅多打ちにされていく。
その隙に高嶺が敵の傍まで距離を詰めた。手にするチャームは勿論ブレイドモードに変形済みだ。
高嶺が接敵するために三人の射撃が止むと、ヒュージもまた両腕を速射砲から鎌へと変形させる。体のあちこちに被弾し黒煙を上げながらも、未だ戦う力を失っていなかった。
リーチの長い鎌の方が先手を取る。真横に、水平に、鈍い銀光を閃かせて敵の首を刈るべく繰り出された。
バスター種離れした運動能力による一刀は、あと一息というところで空を切った。
長大な刃の眼前で高嶺の体が深く沈み込み、ふわりと揺れる金髪のすぐ上をヒュージの鎌が通過した。
膝を限界まで折り曲げ長身を前傾させた高嶺は相手の懐へと入り込む。
「はぁっ!」
そうかと思えば短く鋭い気合と共に全身をバネのようにしならせて、下段に構えていたチャームをゴルフスイングの如く振り上げる。
高嶺のリサナウトは大斧だ。ティルフィングを凌ぐ重量級チャームだ。使い手とは似ても似つかぬ、優雅さとは全く無縁の無骨で重厚な凶器である。
そのリサナウトの一撃がヒュージの胴体を逆袈裟に斬り付けた。
いや、
ヒュージは衝撃で三本脚をふらつかせ、陥没した胴体から青い体液と火花を散らし、やがて地面に擱座して完全に停止した。
「やった!」
「流石です、高嶺様!」
「皆が消耗させていたお陰よ。それで姫歌さん、状況は?」
悠夏と紅巴の賛美を浴びながら高嶺が問うと、通信機を動かしていた姫歌が答える。
「周囲にヒュージ反応はありません。叶星様に報告を入れたんですが――――」
その会話に割り込むように、新たな通信が入ってくる。
「叶星より各員、グラン・エプレは作戦を終了して直ちに回収地点へ向かいます。作戦終了、直ちに回収地点へ向かいます」
◇
翌日、夕刻。
神庭の作戦会議室にグラン・エプレが召集されていた。縦長の楕円形を模るよう配置された木机を九名のリリィが囲み、正面の壁側には大人の女性が一人立っている。
用件は無論、昨日交戦した新型ヒュージについて。プロジェクターの白いスクリーン上にヒュージの全身と分析結果が映し出されている。
「昨日確認された新型ミドル級ヒュージ。ファルクス型の派生型と目されるこれをファルクスⅡ型と呼称することが決定された」
短い黒髪に厳格な口調の女性、神庭女子の主任教導官がレーザーポインターでヒュージを指し示しながら話し続ける。
「実際に交戦した諸君らは身を以って知っただろう。ファルクスⅡ型は主砲として内蔵式280㎜熱線砲を装備する他、腕部に可変式の大鎌と47㎜速射砲、背部に多連装マイクロヒュージ誘導弾発射器を備えている。正に『全身これ武器』の様相を呈した重砲撃型ヒュージだ。にもかかわらず、胴体下部でマギを動力に高速気流を生成し、ホバークラフトの原理で高速機動を実現させている」
ヒュージは大まかなサイズによってスモール級からアルトラ級までの等級に分けられ、次いで機能的特徴から種が決まり、外見的特徴から型が決まる。
このファルクスⅡ型の場合、『ミドル級バスター種ファルクスⅡ型』というわけだ。
もっとも同じ種で同じ型でもサイズだけ異なるケースもあり得るが。
ちなみに、既存のどのヒュージとも異なる変異種は特型と呼ばれ、その中でも特に抜きん出た者には個体名が与えられる。
「当初確認されたヒュージ反応は二十だが、昨日のグラン・エプレによる威力偵察で確認・撃破されたファルクスⅡ型は全部で五体。即ち、あと十五体ほどが依然としてこの東京西部に潜伏している可能性が高い。よって本日より神庭はグラン・エプレを中心にこの新型ヒュージ討伐を優先目標として設定する」
その決定にグラン・エプレのメンバーは静かに頷いた。
今や東京西部の守りの要は彼女ら神庭女子になりつつあった。
「当該ヒュージのデータについては既に関東中のガーデンに伝達済みだ。新たな動きがあれば我々神庭の司令部に入ってくるだろう。諸君らグラン・エプレは万全の状態を維持するよう努めるように」
先の戦闘の分析結果はレギオン保有のタブレット端末に送られてきた他、紙としても人数分が机の上に配られている。
その情報も踏まえた上で、主任教導官から質問の許可が下りた。
「当該ヒュージがこれ以上数を増やす可能性はありますか?」
「現状では不明と言わざるを得ない。東京内でケイブが発生した場合はすぐに探知できるが、この群れのように鎌倉方面から自力で進撃した場合、増援の発見が遅れるかもしれん」
叶星の質問は敵の増強を危惧したものだった。
十五体はミドル級にしては大した数ではないが、今回に限っては油断できるものではない。
「この作戦にグラン・エプレ以外の戦力は、どれだけ出せるんでしょうか?」
「出撃志願を募ったが、本校周辺の守備等との兼ね合いを考えて、十五名のリリィを投入予定だ」
一方、姫歌の問いは神庭側の状況についてのもの。
グラン・エプレをここぞという時に出すつもりなら、それまでの偵察や露払いは他のリリィが担うことになるだろう。
「他に質問は…………無いようなら以上で解散とする」
リリィたちは立ち上がって一礼をするのだった。
◇
会議室からレギオン控室に帰って来ると、紅巴は夕日に照らされる窓ガラスを背にソファの上へちょこんと座る。
紅巴の横では、タブレット端末を腕の中に抱えた姫歌が新型ヒュージの詳細に食い入るように見入っていた。
「背部の誘導弾はそれ自体がヒュージであり、かつて鎌倉府に出現したラージ級ヒュージ個体名『デホイバボイディガン』が使用したものから吸着機能をオミットしたタイプと思われる……」
「そのラージ級の話なら聞いたことがあります。前に、百合ヶ丘のお友達から」
「ああ、
紅巴は他校の親友とよくリリィ談義に勤しんでいるが、その際チャームやヒュージについても話が及ぶ。
「マイクロヒュージは弾速はそれほどでもないんですが、誘導性能や航続距離に優れているそうです。それから着弾してもすぐには爆発せず、
「ふむふむ、大体ひめかたちが戦ったのと似た感じね。ただ起爆が遅いって点は、吸着機能が無いからあまり計算には入れられないわ」
「はい。ぶつかった拍子にどうなるか分かりませんし」
まともな爆弾であれば信管が作動しない限り少々のことでは爆発しないものだが、ヒュージ由来の爆弾など何が起きるか分からない。
「あとは、一発一発の威力は小さくても数が多かったそうです」
「それはむしろ一斉に来てくれた方が迎撃し易い……ああ、そうか、どんな軌道で飛んで来るか分かんないわよねえ」
紅巴と姫歌のやり取りを悠夏は一緒になって聞いていた。
一方、灯莉はテーブルの上にスケッチを広げ、新型の絵を描いていた。
「姫歌は、このヒュージたちが神庭にやって来ると思う?」
「何とも言えないわね。わざわざ鎌倉からこそこそ隠れながら来てるから、目標なり目的なりあるかもしれないけど。もしも東に進んで都心を目指すのなら、
悠夏の問いと姫歌の返答を横で聞いていた紅巴は改めて神庭の現状を実感する。東京都心の安寧、その一翼を自分たちが担っているのだと。
身が引き締まる思いだが、以前のように荷が重いだの何だの言って委縮はしない。戦場は人を育てる。紅巴も確かに成長していたのだ。
「……ところで、先輩方が遅れるのは聞いてますが、鈴夢さんはどちらに?」
議論が一旦落ち着いてから、紅巴は気になっていたことを口にした。
「鈴夢なら秋日様を手伝ってるわ。今回の作戦の件でね」
「それって司令部設置に関係することとか?」
「違う違う、そっちは先生たちがやってるから。リリィの出撃ローテーションとか、その辺り」
「ああ、やっぱりそこまではしないか」
姫歌の疑問は生徒会役員として内情をよく知る悠夏によって否定された。
実際、神庭の司令部は主任教導官を司令官として複数名の教職員で構成されることになっている。
以前は生徒会役員が生徒会防衛隊として司令部付になるケースもままあったが、グラン・エプレとして統合された現在は戦場に出る方が多かった。
「実はね、今日はそんなに仕事量は多くないの。だからあたしも今ここに居るわけだし」
悠夏が片目を閉じて、急に意味深な言い方をする。
「本当は秋日様と藤乃様だけで間に合ってたんだけど。そこはほら、乙女心ってやつ」
「その話詳しく聞かせてくれませんか!!!」
紅巴が机の上に身を乗り出した。彼女の切り替えの速さはデュランダルの高速変形にも負けない。
そんな賑やかな光景をよそに、スケッチを終えた灯莉が自信満々な笑顔で完成品を姫歌に見せる。
「見て見て~! 昨日のヒュージ!」
「はぁー、よく描けてるわねえ。でも躍動感あるのはいいけど、あのヒュージはホバーで走りながら主砲は撃てないわよ?」
「そうかな? 頑張れば撃てるかもしれないよ☆」
「ちょっ、止めてよね。縁起でもないこと言うの」
◇
二人きりの生徒会室は静穏で、時折冊子をめくる音が聞こえるばかり。
席に着いて粛々と仕事をこなしているのは二人。鈴夢と秋日の二人である。藤乃はまた別の仕事で退出していた。
街に巡回に出るリリィやガーデンに待機するリリィを編成しローテーションを組む。任務や訓練に必要な弾薬諸々の物資の申請をチェックする。
最終的に決裁するのはガーデンの大人だが、その前に生徒会長も目を通すのだ。
鈴夢はそのお手伝い。書類や資料を黙々と纏めたり、場合によっては校正したり。割と得意な作業であった。
「秋日様、終わりました」
「ご苦労様。私の方も……もう少しで終わるわ」
机上の書類から目を離さないまま答える秋日。
それから三分経たない内に、本当に仕事を終えていた。
「ふぅ、ありがとう鈴夢。手伝ってくれて」
「いえ。生徒会、ですから」
「それでもよ。大した量じゃないんだから、私と藤乃だけでも良かったのに」
二人の机にはタブレット端末が置かれている他、紙の書類が山を成していた。
この時代においても未だ紙媒体の重要性は健在である。
「鈴夢が色々なことに興味を持つようになって、正直嬉しいわ」
手の中でペンを揺らしたり回したりして弄びながら、秋日が感慨深げに話し出す。
「ゆっくりでいいの。少しずつでも世界が広がっていけば、やりたいことや好きなことがきっと見つかるわ。そうすれば神庭での暮らしももっと楽しくなる」
鈴夢は強化リリィだ。ラボで望まぬ実験を受けさせられた強化リリィであった。
ある時、実験現場から逃げ出した鈴夢に神庭へ行くよう勧めたのが、エレンスゲ中等部時代の秋日である。
当時を知るがゆえの気遣いなのだろう。あの後、秋日は自らも神庭へと転入して以降、いつも鈴夢を気に掛けていた。
勿論、鈴夢もそんな秋日の気持ちは嬉しいのだが、それだけでは物足りなくなっていた。
「あの、秋日様……お聞きしてもいいですか?」
「ええ、いいわよ。何かしら?」
唐突な申し出にも、秋日は快諾して聞く態勢に入る。
「お昼ご飯は、いつもどうされてますか?」
「そうね、購買のパン以外では、時間のある時は食堂に行くこともあるけど。ついつい一品ものにしちゃうのよね。丼とか」
同じ生徒会で同じレギオンなのだから、当然一緒に昼をとることも少なくない。
鈴夢が聞きたかったのは自分が知らない範囲の情報なのだが、秋日はその意を完全に察してくれたようだ。
「ご自分で、作ったりはしないんですか?」
「余裕があればそのつもり……と言いたいところだけど、実はあまり得意な方じゃないのよ。料理って」
秋日は悪戯っぽく笑う。
鈴夢としては少々意外だった。秋日にも不得意なものがあるとは。
「あ、ちなみに私、特に苦手な食べ物とかは無いから。基本的に何でも食べれるわね」
何でもない風にそう語った秋日だが、聡い彼女のことだから、恐らくは鈴夢の考えていることにも勘付いているのだろう。
鈴夢は何となく察しつつも、秋日と同じように何でもない風を装って質問を終えるのだった。
何? バスター種なのにバスターがあんまり役に立ってない?
じ、実戦では大口径砲より速射砲ガン積みの方が強いから…(黄海海戦を見ながら)