〜土曜日、上条の部屋〜
エアコンの効いた部屋、普段であれば見られない光景が広がっていた。
メイド服を着た人物が2人、そのうち1人は色合いが蛍光色というヘンテコっぷりな為である。
「お久しぶり!本日は散髪練習のご協力ありがとう。この雲川鞠亜、いい感じにしてみせると約束しよう!」
「………安心していいのか不安を捨てない方が正解なのかわかんない相手が来たな。知り合いな分安心の方が少し勝ってはいるんだけども」
「『いい感じ』っていうのがもうふわっとした表現で判断を難しくしてるんだよ…」
「一応知っている相手でよかったじゃないか。赴くまま切って貰えよ」
「オティヌスさん?さては面白がっているよね?」
「…多岐に渡って優秀なのは保証するぞー?」
「ヘイ舞夏さん?なの『は』って表現は不安を煽るのでもう少し配慮してもらってもいいか?」
「変人かつ胡散臭いファッションは否定しようが無いからなー」
「おっとボロクソ言うじゃないか。強度がまた上がってしまうな!」
「ドMとはちょっと違うのが対応に困るな…まあいいや、ちゃちゃっと切っちゃってくれ。知り合いの中じゃ安牌寄りなのは間違いないからな」
「安牌の範囲がデカいだけじゃないかー?まあいいかー。兄貴はもうちょっとで来るらしいから、ひとまず準備だけ進めるぞー?」
「そういえばなんでいないのあいつ?朝早めの時間に出たみたいだけど」
「急遽人の迎えが入ったと言ってたぞー」
「迎え?」
〜30分後〜
「連れてきたぜい!」
「久しぶりだねインデックス。後上条当麻と魔神」
「すている!」
「家主をおまけ扱いしないでもらえるか?」
「………まあ私に辛辣なのはわかるが家主にくらい丁寧な対応をしたらどうだ?不良神父め」
「僕にとってはインデックスと比べたら大体の奴はおまけ扱いだ、平等な対応であることをむしろ褒めていただきたいね。……なんだ、髪を切るのか?」
「まあな。暑くなってきたし、見た目をさっぱりさせようと思って」
「君が見てくれにちゃんと興味があったとは驚きだな。てっきり美的感覚が皆無だと思っていたよ」
「アクセサリーじゃらじゃらバーコードタトゥーの喫煙不良神父に言われたくねえよ」
「喧嘩を売っているのか?頭皮を焼いて散髪要らずにしてやってもいいんだぞ」
「インデックスよりも具体案があってさらに怖いなっ!?最初に嫌味言ってきたのそっちだろ!……まあいいや、さっさと切り始めてくれ雲川」
「承った!まずはスプレーで髪湿らせるぞ。リクエストはあるか?」プシュプシュ
「ああ、まずは全体的にボリュームを減らしてもらっ」
「いや、私の鼻歌のミュージックの方だ。讃美歌からデスボイスまで幅広くいけるぞ?」
「なんでだよ!ねえよその点に関するリクエストは!いいよ鼻歌くらい好きなもの歌えばいいじゃ…いややっぱデスボイスはやめてもらえる?耳元でそれをやられるとどう考えても被害がある」
「讃美歌もいけるのか………好きなのをひとつ歌ってみてくれないか?科学の街ではどんな讃美歌を教わるのか気になる」
「なんなら私とステイルでハモりを入れられるかも!」
「いっそデスボイスでアレンジしてみてほしいぜい!」
「讃美歌で盛り上がるな敬遠なる仔羊ども!一応リクエスト権は俺なんだよ!デスボでアレンジされたら被害受けんのも俺なの!」
「ん゛っあ゛ー…ヴォォォ……」
「デスボのチューニング始めてんじゃねえよ!なんでよりによって土御門のリクエスト採用しようとしてんだ!」
「冗談だよ本日のご主人様。適当なゆったりとした曲にでもするさ。まずは全体的なボリュームを減らすんだな?」
「うん、それで頼む。くそ…よく考えたら髪切るのにこんなにギャラリーいらねえだろ。ツッコミで喉が痛くなりそうだ」
「喉に良いように生姜使った料理でも作っといてやろうかー?」
「喉は気を使って貰わなくていいけどご飯はあると助かるかな」
「まいかの料理、何気に久しぶりなんだよ!オムライスが食べたいかも!」
「了解したぞー。それじゃちょっと買い物に出るなー」
「俺もついて行こうかにゃー」
「一応連れてきた客人も居るだろー?兄貴はここで待っておくんだなー」ドアガチャ
「ははは、ふられちゃったぜい。それじゃ気をつけてにゃー」
「あいよー」ガチャン
「あっあれ?なんでだ?」
「えっ?あの、雲川サン?髪切ってる人が放つ疑問符ほど怖いもん無いんだけど?どうかなさったんでせう?」
「……ハサミが、入っていかないんだ」
「「「「「え?」」」」」
「髪が妙に硬いな………。おいおい一本たりとも切れないぞ!?どうなってるんだこれは!?」