転生した世界が判らない、だが……俺の敵がいるから確実にDC世界だ、多分 作:影後
「……お兄ちゃん、ほら抱っこしてあげてよ!ルビーのこと」
「馬鹿!そっちはアクアだ」
「………」
瑠璃の前で、幼い子供が手を伸ばしている。
自分と妹とは違った髪色をしている。
それはきっと父親の遺伝なのだろう、守るべき家族を傷つけられたこと、激しい憎悪すら感じてしまう。
「瑠璃社長、子供は」
「……目は二人共お前に似ている」
「……え?」
「俺は、お前の子だとわかっていても愛する自信がなかった。お前に何一つ似ていなければ、金だけ渡し、この子供の助けなどするつもりはなかった。だが……駄目だな、わかってしまう。この子達にはお前の血が入り、お前と同じようにきっと人を…………」
「パー!パー!パー!」
「アクアがパパだって!」
「そっちはルビーだ!」
斎藤がアイに言うが、瑠璃はそんな事はどうでも良かった。
「……守ると誓う、お前達を。たとえ、父親でなくとも妹と同じだ。お前達二人を守る、アクア、ルビー」
「パー!!」
「えと、」
「アイが仕事をしている間は私の信頼できる部下が面倒を見る。こい、アルフレート、レベッカ」
「はい、旦那様」
燕尾服を着用した瑠璃よりも少しばかり年上の男性。
それだけでなく、壮年のメイドも隣りにいる。
「私の執事とメイド長だ、本来ならお前も屋敷に連れていきたいんだが?」
「えーー、お兄ちゃんのお屋敷って広くて迷っちゃうんだもん」
「……まったく、表向きはこの二人は私の子供とする。お前は叔母だ。良いな?」
「瑠璃社長?」
「なに、この程度のスキャンダルで崩落する程うちの株は弱くない。でなければ世界的企業のNo.1にはなれないさ」
「はっはぁ……」
「斎藤夫人、斎藤社長、共に……これをバラせば二人の未来はないぞ。判っているな」
「「はい!」」
瑠璃の威圧を受けた二人は即座に返事をする。
そして、瑠璃本人はアクアとルビーの頭を撫でると立ち上がる。
「日常生活はアルフリードとレベッカが居ればなんとかなるだろう」
「しかし、旦那様の執事としましては」
「見習いのセバスチャンにやらせる、彼は時期に使用人頭となるはずの男だ」
「わかりました、では」
「旦那様、御息女様と御令息様は私とアルフリードにお任せ下さい」
「頼んだぞ」
瑠璃は仕事をしながらもじっと家族の事を思っている。
「まったく……やってくれる」
「バットマン?!止めろ俺達は人じちぃ?!」
バスジャック犯を捕まえれば、殴り飛ばし警察が来る前にバットモービルで現場から走り出す。
銀行強盗犯を見つければ気絶させ、足を折るなども躊躇わずに行う。
バットマンは個人だ。
日本を飛び回っているが数が足りない、日本にヒーローは居ないのだ。
「………セバスチャン、警察はどうなっている」
「犯罪対策の為に銃火器の更新、装甲車の配備等を実施しています。
凄いですよ、装備のレベルならアメリカの州兵にも劣りません」
「そこまでしないと守れない程なのか」
「旦那様、日本全土をたった一人で護っているのです。難しい事に違いはありません」
「……スターテックに警備部門を創ろう、元特殊部隊所属の人材やらを集め……」
「それでしたら、いっその事日本警察のトップを支配なされては」
「冗談はよせ、それよりもだ。セバスチャン、会社の方はどうだ」
「日本の独占禁止法に止められてはいますが、それを利用し他社の株の51%を保持しています。経済的な面でしたら、旦那様は既に日本を支配なされています」
「……国債も買っておけ、日本に借りを作らせるぞ」
「はっ…しかし、それでは」
「何、妹と姪と甥の生きる世界のためだ。それに、我が社が倒産することはありえないだろ?」
「そうですな、我が社を倒産できる企業が存在しませんので」
バットマンは屋敷に戻ると予定を確認した。
社交界だけでなく財政界の重鎮達との闘争がある。
殴り合いではない、しかし日本を牛耳る者達は未だにいるのだ。
「まったく、鈴木財閥の代表は邪魔をしてくれる」
総資産でいえば留理の方が何倍も上であるが、鈴木財閥の鈴木次郎吉氏が留理にとってのある種のたん瘤てあった。
「まったく……嫌いではないが、好きにもなれんな」
闇の組織が日本で蔓延り、銃火器の流通が当たり前になった。
JOKERも現れ、日本は既にアメリカと同じ銃社会に近しいものとなっている。
留理は思案しながらも空いた時間で常に三人の居る場所へと足を運んでいる。
「あっ、お兄ちゃん来てたんだ」
アイの手には携帯電話が握られており、誰かと電話していたのはの明白だ。
留理は嫌な予感を感じ、声をかけた。
「誰と電話していた」
「電話?してないよ、ゲームしてただけ」
留理は優れた探偵でもある、バットマンとして悪人達の嘘を見破ってきた彼だからこそ、理解できた。
「ちょっと、やめて!」
アイを押しのけ携帯電話を奪うと中には自身の知らない電話番号が表示されている。電話をしていた訳ではなく、かけようとしていたようだ。
「お前はッ!いい加減にしろ!!男か!お前はそんな馬鹿だとは思わなかった!」
アイに手をあげることを留理はしない、二人の母親のように腐ってはいない。だが、毒を吐くことに躊躇いはない、留理にとってアイは命に変えても守りたい存在だった。
今は平和という大切なものを師であるブルース・ウェインから学んだ。
しかし、それでも第2に大切だと言えるのはアイなのだ。
「……この電話番号から相手が割り出せるか」
「待ってよ!お兄ちゃん、そんなのは止めてよ!」
「……後悔してもらおうか、誰の妹に手を出したのかを」
「止めてよ…お兄ちゃん!」
留理はスマホを回収し、アイを振り払い、部屋から出た。
「馬鹿!お兄ちゃん何て、大っ嫌い!」
留理は屋敷へと帰ると、セバスチャンを呼び出した。
「旦那様、どうされましたか?」
「この番号を持つ男を探している」
「………わかりました、20分程で検索が可能です」
セバスチャンは主である留理の機嫌が悪い事を理解していた。
理由もわかる、スマホには留理とアイがまるで恋人の様に写っている写真があるのだ。兄妹とは思えないほど近しい距離、しかし笑顔のアイと無表情の留理にて対比されている。
「……カミキヒカル?」
「?!旦那様、これは」
監視カメラをハッキングすると、あり得ない物が見えてしまった。
見たくないもの、理解したくなかった。
「セバスチャン!」
「はい!旦那様!!カミキヒカルは現在○○にてドラマの撮影をしております!」
「……お前には怒りしかわかん、刑務所で償いをさせてやる」
留理はバットスーツに着替えると、カミキヒカルが撮影をしている撮影現場にバットモービルで乗り込んだ。
「バットモービル?!」
「偽物だろ、うちのエースを見に来たんじゃ」
「……」
「バットマンのコスプレ野郎だ」
「さっさとゴッサムに帰りな、ここは」
警備員二人をバットマンはその拳で吹き飛ばし、当たりは悲鳴が上がる。
「何しやがる!」
警棒を振り下ろされれば、篭手で弾き顎にパンチをいれる。
「お前!」
そして、もう一人の警備員にバットマンはバットラングを投げつけた。
「本物だ、本物の……バットマンだ?!」
見学していた市民や撮影スタッフは驚き逃げようとするが、バットモービルがバトルモードへと変形し、道路に機銃が撃ち込まれた事で動くことができなくなる。中には怯え、失禁している者さえ居る。
その中でも一人、撮影スタッフや市民、殴り飛ばされた警備員を笑顔で見つめる少年がいる。
「やぁ、バットマン?どうしたんですか??撮影ならご一緒に」
「ふざけるな!」
カミキヒカルの襟を掴み、近くの木に打ち付ける。
「イヒッ…イハ…IHIHI,IHAHAHAHAHA!!!その感じなら俺が誰か判ったみたいだなぁ……バッツゥ?」
「ぐぁぁぁぁ」
カミキヒカルがズボンのポケットに手を触れるとバットマンの身体を機械の犬が吹き飛ばす。
「アハ…イヒヒヒヒヒヒヒ!!!!カメラを回せ!バットマンが死ぬ瞬間だ!!!!」
「JOKER!!!」
「まさか……カミキヒカルが……JOKER?」
撮影者、市民さえも驚くがバットマンを襲う機械の犬。
そして、笑い声、その振る舞い、すべてが全国指名手配されている2代目JOKERの物と同じだった。
「くっ……離れろ!」
スパークバットラングをねじ込み、回路を焼き切る。
だが……もう一匹の機械の犬がカミキヒカルいや、JOKERを咥えて空を飛ぶ。
「イヒヒヒヒヒヒヒ…バッツゥ、俺の正体を暴いたんだ。じゃあな、ブルース」
JOKERは高笑いを上げながら空へと消えていった。
バットマンはJOKERを追いかけたいが、肉体に激しいダメージを負ってしまっている。いくら、スーツが鎧であっても何十キロもある金属が激しい速度で打つかってきては、どうしようもないのだ。
「……クソっ」
その日、日本は震撼した。
人気タレント、カミキヒカルは全国指名手配されているJOKERだった。
何人もの市民がそれを目撃し、インターネットにも拡散された。
そして、一人の少女はソレをニュースで知ったのだ。
「そんな…じゃあ、この子達は」
母親であるなら、ソレを理解できてしまった。
だからこそ、父親をバレてはいけない。
だが、その凶刃は必ずその少女を何時か狙うのだ。
カミキヒカルは凶人、凶人=ジョーカー。
カミキヒカルと主人公とアイとアクア・ルビーの双子。
複雑な関係です、双子からしたら父親は原作以上の猟奇殺人犯であり愉快犯であり知能犯。
母親はそんな父親を知ってしまった悲しき少女。
伯父は世界的な資産家にして、バットマン。
主人公にしてみれば憎むべき犯罪者であるJOKERが妹と子供まで作った。
またまたバットマン曇らせが続く、