魔王を倒したらパーティメンバーに殺されるようになった ~死な安だからそれでもOK?~   作:あとらすR

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頭パーン体ボー首ちょんぱ!

 

「なあなあアメリア、さっきのスライムエロくね?」

「あらあら、一体何を仰っているのでしょうか」

 どっぱあんと俺の頭ははじけ飛んだ。はちみつ色の長髪をたなびかせた聖女の、鮮やかなメイスのフルスイングによって。

 ふわりと舞った彼女の甘い香りがもっとかぎたいななんて、それが俺の最期の思考となった。

 ……

帰々回界(ターンアライブ)

「っと。いつも思うんだけど軽率に俺の事殺すのってどうなのよ」

「ちょうどいいストレス発散になりますよ?」

「鬼!鬼畜!聖女!」

「もう、そんなに褒めないでください」

 鈍い風切り音を立てながら彼女の身長はあろうかという金属塊が唸る。それに当たったらどうなるかというのは、さっきの記憶とこの場に残る血だまりが証明している。

 そんな恐ろしい光景を生み出した本人はというと、赤く染めた頬に手を当てて恥じらいながらもう片方の手でそのメイスを弄んでいるのだが。

 いやあ、怖いね。

「アメリア、ダメじゃないかそんなことしちゃあ」

 そう言って近づいてくるのは子どもと見間違うほどに小さな女の子だ。くたびれたとんがり帽子とローブで身を包み、手には彼女の身長を優に超す立派な杖を握っている。

「レイラさん、そちらは片付いたのですね」

「跡形もなくね。それより辺りが血塗れじゃないか、魔物がまた寄ってきちゃうよ」

 腰まで届く銀の髪が、木漏れ日を受けて柔らかく輝く。絹糸のようなそれは思わず触ってしまいたくなる美しさだった。

 ふむ。艶はばっちり、荒れているところもなし。これは今夜櫛を通すのが楽しみだな。

「ところでレイはなんで僕の髪を触っているんだい?」

「いやあ、なんか綺麗だなって思ったらいつの間にか触ってたんだよな。そういう魔法でもかけた?」

「かけるわけないだろ、不死鳥の焔(バカ)

 ボワアっと俺の体全体が一瞬で燃え上がり、灰と化した。死ぬほど熱いし何なら死んでる。

 山盛りの灰の中から立ち上がると、レイラは俺のことをゴミを見るような目で見ていた。

 でも口元はつくろいきれなくて少し緩んでいるのが可愛らしいね。ぱんぱんと灰を叩き落として辺りを確認すると、血だまりもなくなっていた。どうやら一緒に燃やしていたらしい。

「どうしてレイはいつもこう変態くさいんだ」

「……それは私も思うの」

「びっくりしたあ。急に隣に現れるのは心臓に悪いからやめてよアカリ」

 影からにじみ出るようにレイラの隣に立っていたのは、肩まで届くポニーテールに可愛らしくアレンジされた忍び装束を身にまとった女の子だ。

 その右目は長く伸びた前髪に覆われているが、左目が俺をしっかりと映している。

「ごめんね。これは癖なの」

「なあアカリ、いつになったらその気配の消し方教えてくれるんだ?」

「何に使うの?」

「そりゃあもちろん……」

 あんなことやこんなこと、とは言えないよなあ。どうしたら教えてもらえるだろうか。

 こういう場面こそ、ギャルゲーをやりこんできた俺の知識が役立つときだろう。

 輝け!俺のシナプス!

 ――――――――――――――

 ▶風呂を覗きたいからさ!

  アカリと一緒に練習したいんだ

  そのまま消えてなくなりたいよ……

 ――――――――――――――

 よし!これだ!

 

「アカリと一緒に「秘刀・返り椿」」

 俺は確かに見た。言葉の途中、キッと目を細めたアカリが腰に佩いた刀に手を掛け、俺の首に目にもとまらぬ速さでその剣先を走らせたのを。

 目にも止まらぬ速さが見えたのかって?見えないのがアカリの怖いところなんだよなあ。

 そして一瞬の激痛、死、天国のような椿の花畑でじいちゃんが待っていた。

 じいちゃんはにっかりと笑うと力強くサムズアップをする。

(れい)、男は女の子に欲望をぶつけてなんぼじゃ!』

「久しぶりに孫の顔見た言葉がそれでいいの?」

 ここはもっと感動的な言葉をかけるところじゃないかなあ、と思いながら俺の意識は現世に引き戻されていく。

 じいちゃんはばあちゃんに思いっきり頭をひっぱたかれていた。南無。

 

 おはよう現世。頭がなんだかぼんやりするね。

「……お風呂を覗きたいからさ!」

「「「最低……」」」

 じいちゃん俺泣きそうだよ。見てよ、皆の目をさ。並大抵の人間なら視線だけで殺せそうだよ?皆街を歩けば男なら振り返るレベルの可愛い子なのに俺こんな目を向けられてるんだよ?これはこれでありだけども。

 待てよ、すると俺はもう殺されてるから並大抵以下ってことか。

 それならこんな目で見られるのも仕方ないね。

「いや冗談冗談、勇者ジョーク」

「レイさん、今夜私と一緒にお風呂はいかがですか?」

「行く行く絶対行く!」

「へえ、で、なにが勇者ジョークだって?」

 レイラがジト目でこちらを見ている。いやあ、ジト目の女の子って可愛いよね。実際に向けられると心にクルものがあるけど、ジト目からしか接種できない栄養素があるから仕方ない。

 とはいえこれ以上はまた殺されそうな気がするなあ。……逃げるか!。

「あっちで魔物の声がするから行くよ!三人はごゆっくり!」

 魔物の声なんてしていないからこっちに逃げても大丈夫だろう。というよりも怒った三人のほうが魔物やら魔王より余程怖い気がするからここに留まることが一番危険じゃないだろうか。

 よし、全力で逃げようか。

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「あ、逃げた」

「逃げられましたねえ」

「……追いつけるけど追いかけるの?」

「まあゆっくり行こうか、大して速くないし」

「死んでいたら蘇らせますね」

「頼むよ。あんな馬鹿でも……みんなの勇者だ」

「そうですね、魔王を討伐したすごい方ですもの」

「……それで呪いを受けたの」

「ええ、私たちが至らなかったばかりに」

「僕達の罪だ。なのに彼への罰なんだ」

「……それでも、嫌なの」

「そうだね。それでもだ」

「「「それでも、彼を殺させない」」」




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