ファンタジーRPGエロゲの裏ボスに憑依したけど、生き残りたい 作:モフモフ毛玉
また少しづつ投稿しますね
『え?武器構えるの?なんで?』
武器を構えたアカツキに、心底不思議という声音で原初の龍は見つめる
『そっか、まだあの頃と同じで弱いと思ってるんだ!分かったよ!ここでアカツキを倒して、証明するね!』
原初の龍は、その口をガパァと開ける
アカツキとのタイマンでのみ使用する技、『壊滅のブレス』だ。
『えいやぁ!』
その口から放たれるのは白い光線。
並の者でなくても、擦れば腕を持っていかれるようなその一撃をアカツキは飛び上がって躱した。
飛び上がったアカツキに、白くドロドロとした触腕が迫る。
それを刀で切り捨て、更に原初の龍へと肉薄する
『ああ、やっぱり!そうやって迫ると思ってたよ』
ドロリ…と原初の龍はその身が溶け始める。
「っ!?」
溶けた肉体は、生きているかのように流動してアカツキへと迫る
アカツキは迫る原初の龍の肉体を刀を振るう風圧で打ち消すも、物量に押され、その体を洞窟の壁に固定させられる。
「あはっ、知らないでしょ?こんな力も、こんな姿も!」
ドロドロに溶けた中から現れたのは、一人の少女だった。
長い白髪とてっぺんに生えたアホ毛、小麦色の肌に、ニンマリと笑うその姿は幼さを感じる。
「ぐっ…!」
アカツキはこのような特殊行動は知らない、ゲームであった『月夜の唄』にも倒した後にこの少女は現れた。
「えへっ…頑張ったんだよアカツキ?君がいない間、ずーっと、ずーーっと…頑張ってたんだぁ…」
赤い頬に手を当て、くねくねと動きながら少女はアカツキを見つめる
「だってアカツキが欲しいから!アカツキがボクを叩き潰したあの時から!アカツキをボクのモノにしたくて仕方なかったんだ!」
両手を広げ、勝利を確信しているのか、笑顔のまま少女は続ける
「それに、この姿だとより強い!どんな奴でも殺してあげられる!アカツキの敵はみんなみんな、ボク達で殺すんだ!」
興奮しているのか、ギラギラと金色の瞳を輝かせて少女は言う
「…一つ聞くが、後のアイツらもソレ、やれるのか?」
「え?やれるよ?でも最初に出来たのはボク!」
えっへんと少女は胸を張る
「そうか…話してくれて助かった」
「良いんだよ!アカツキの助けになるなら!」
それと同時に、ビシッ…とアカツキを貼り付けにしている岩壁に亀裂が走る。
「やれるだけやってみるもんだな、壁を壊せる」
亀裂が大きくなり、崩れると同時にアカツキは拘束を抜け出して少女に迫る。
「うぇっ!?なんでぇ!?」
慌てる少女の首へ、アカツキは刀を振るった。
ザンっ…という音と共に、少女の首が宙を舞う。
「あーあ…負けちゃった…せっかく強くなれたのに、
コロンと首だけ転がりながら、ぶーぶーと不貞腐れる少女
「勝負は勝った。連れ去りはなしだ」
「ちぇっ、仕方ない…」
斬られた頭を持ち上げ、ストンと元の位置に戻すように置けば、何事もなかったように少女は首を回す。
「でも、着いて行くからね?ずーっとここを守ってたんだからワガママくらい…いいでしょ?」
「…仕方ないな」
「わぁい!アカツキ大好きっ!」
そう言って飛びつく少女に、アカツキは苦笑しながら撫でる。
何せ、この少女が仲間になる条件は厳しく、ブレスを回避した上で次の攻撃でクリティカルを出して倒す事であり、それを達成すれば、この少女はゲストキャラとして加入する。
「あはぁ…久しぶりのアカツキの匂いぃ…」
グリグリと胸元に顔を押し付ける少女を見ながら、アカツキは考える。
原初の龍の発言から、この世界は確実にループしている。
『また』という言葉の通りなら、この世界は確実に『3周目』だ。
『月夜の唄』では、特定のイベントを周回する度に発生させているとキャラのセリフが変化する事がある。
特に隠しイベントである【ツキの魔人の暇つぶし】では対応キャラが三名と少ない。
そして、該当するのは『原初の龍』を含めた過去のアカツキに関連した魔物だけだ。
変化するセリフも、『また』等と言った再び起きたと分かる程度であり、深く知る事も出来ない
つまり、自分が憑依する前に、2周目の世界で『アカツキ』が現れ、何かをしている事になる。
しかし、それを知る術はない。
自分が裏ボス『ツキの魔人』であり、『アカツキ』である以上知る事は出来ない。
(勇者達の謎のレベルカンスト、『原初の龍』の再び起きてるという発言…うーん…もしかしたらこの世界、相当ヤバくなっているかもしれない)
アカツキはそんな事を思いながら、少女を撫でた。
この後、合流した勇者達に少女の事を聞かれ、内容を聞いた勇者が暴走するのだが…それはまた別の話…
ゲーム内ムービー
『いたたぁ…この一撃…やっぱり変わってないんだ…』
《ドロドロと原初の龍はその身体を溶けさせる》
【差し込まれる過去の戦いと思われるスチル、巨大な腕を叩き付けようとする原初の龍と、それを刀一本で弾き返すアカツキの絵】
「ふっふっふっ、ただここを守ってた訳じゃないからね!長年の時を経て、ボクは人型になれるようになったんだぞ!」
《ドヤー!とドヤ顔をする少女》
《そのまま全力疾走でアカツキに飛びかかり、にっこりと笑う少女の姿を最後にしてムービーが終わる》