ファンタジーRPGエロゲの裏ボスに憑依したけど、生き残りたい 作:モフモフ毛玉
そして、中ボス戦となったのだが…
「はぁぁぁ!」
『ウギーッ!!?』
レアが構え、攻撃を受けた後に全体攻撃を放ち
「えいっ!」
リティアが傷付いた仲間を範囲回復で癒し
「ふっ!」
アルテが斧を振るって竜巻を起こし、雑魚敵扱いの猿達を吹き飛ばし
「まだまだだなっ!」
ヒナタがゴリラの攻撃を避けてクナイを投げつけてダメージを与え
「ふふ…苦しみなさい」
ルナが毒々しいポーションをゴリラに投げて毒状態にし
「これで終わり」
鈍ったゴリラの首を、主人公が切り飛ばした。
(いやいやいや待て待て待て!?)
隠れてみていたツキの魔人は、その光景を見て驚く
何せ、全員がゲーム内では出来ない動きをしていたからだ。
レアの攻撃は全体攻撃にならない
リティアの範囲回復も中盤になって覚える物だ
アルテがたつまきを起こす攻撃を行うのは終盤
ルナはこの時点で毒ポーションを使えない
そして、この事実を知ってツキの魔人は察する。
(これ、確実に『ゲーム世界が現実になった世界』じゃん!)
だとするならば、とツキの魔人が考えた。
(もし、これがゲームを元にした異世界だとしたら、ツキに狂わされた者なんてどう行動起こすか分かんないぞ!?)
そうツキに狂わされた者は全員、『我欲の赴くままに動く』と設定資料集に書かれていた。
ゲーム内ではそれぞれ『魔法を極めて自分だけの理想の国を作る』だの『聖女を我が物にする』だの『この世の全ての食材と女を手に入れる』だの、欲まみれだった。
もし、ゲーム同じでないのなら『魔法国家アルベド』と『神王国ワルキュリレ』なんて、狂った存在がガチのやべーやつなので崩壊まで秒刻みだ。
つまり、割とガチで世界がヤバい!…なのである
そりゃ神も焦るよな、とツキの魔人は思った。
(だとするならば…速攻で『魔法国家アルベド』と『神王国ワルキュリレ』を片付けないとラスボス倒せんぞ!?)
そもそもどう動くにしてもラスボスを倒せないと、裏ボスである自分を誰も干渉出来なくなってしまい、最終的に世界が滅びる。
一応、片方だけでも助けれるならラスボスは倒せる。
しかし、ここは現実、国が崩壊した場合…どうなるかは目に見えて明らかだ。
(いや、これ輪をかけて無理ゲー過ぎないか…?)
何処かの国が崩壊してもハッピーエンドにはならず、かと言って不十分な強さのまま行ってもラスボスには負けてしまう。
そして、現実である為にツキに狂わされた者が何をするかも分からない。
八方塞がりな現実に、ツキの魔人は頭を抱える。
しかし、ゲーム内二周目に入る前にある【とあるイベント】を思い出した。
それは、『人間に化けたツキの魔人一時的に仲間になる』というもの。
これは2周目のとある隠しイベント、その名も【ツキの魔人の暇つぶし】だ。
これは一周目のセーブデータのプレイ時間が50時間を超えている場合、ツキの魔人が『暇つぶし』としてランダムなエリアに人間キャラの『アカツキ』として現れ、話しかけると仲間になる。というもの
内部データを解析すると、ツキの魔人のスキル欄の中に『人化の術』というのがある。
発生フラグが『クリア済みデータをロードした時、50時間を越えているなら取得』となっているので、一応本人は使う事が出来る
(ただ、問題なのがツキの魔人が最初から覚えている訳じゃないって事なんだよな…)
中ボスゴリラの死体を放置して次はどうするかと意見交換する勇者パーティから距離を取って、ツキの魔人は考える。
「確か、ツキの魔人は座り込んで指を鳴らしてたよな…」
そう言ってあぐらをかいて座り、ツキの魔人と同じように指を鳴らす。
すると、姿が変化した。
月のような銀髪は黒く変色し、髪の内側は紅くなる。
衣服もファンタジーの侍が着るような和服へ代わり、手には黒い鞘に納められた刀が握られていた。
これが、二周目にランダムで現れるツキの魔人が暇つぶしとして作った存在、アカツキだ。
「うん、これなら何とかなりそうだな…」
そう言って、ツキの魔人改めアカツキは足元にあったそこそこの大きさの石で自分の頭を殴る。
「っぅ…これで居ても怪しまれない…」
その痛みに顔を顰めるが、歯を食いしばって耐えて、岩蔭から立ち上がるも、打ち所が悪かったのか意識が朦朧とする。
「ん…?あ!誰か倒れてます!」
「まさか先程の戦闘に巻き込まれたか!?」
走って来る足音を聞いて、一応は成功か、とホッとするものの。
薄ら映る視界で、主人公がじっと見つめていた。
アカツキ
長く艶やかで内側が真紅という独特な髪色をした侍の青年。
ツキの魔人の暇つぶし、という隠しイベントが発生した後に、全てのエリアでランダムに現れる仲間キャラ。
その正体は暇過ぎて『人間に化けて勇者達に紛れてみるか』と思い付きで行動したツキの魔人その人。
強さも大幅に下がっており、『遭遇した時の主人公ステータス』そのままの配分になる。
成長率が主人公と同等で戦えば戦うほど強くなり、固有効果としてどれだけダメージを受けても体力が1残り、『ツキに狂わされた者』相手だと低確率で相手が行動しなくなる。
ラスボス戦前に離脱してしまうが、その強さのお陰でRTAではバグ技で一周目に仲間にされてラスボスや自分自身を倒させられたりする。なおバグと共にボツデータも呼び起こされたのか、このバグを使用するとラスボスとツキの魔人との戦闘前に特殊会話が発生する場合がある。
なお、特殊な仲間キャラである為か主人公との親密度はない。
しかし、没データの中にキラキラと煌めく月をバックにしてにこやかに笑いかけるスチルが存在しているので、もしかしたら別のルートもあったかもしれない。
更に、後に発売された設定資料集によって『人間だった頃のツキの魔人』と明かされた。
ビジュアルも良い為に、専用ルートを欲するファンも多い。