ファンタジーRPGエロゲの裏ボスに憑依したけど、生き残りたい   作:モフモフ毛玉

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いざアルベドへ

 

「…ぅ…っ…」

 

「あ、目覚めましたね」

 

「大丈夫か?」

 

意識を取り戻して目を開ければ

 

「………じー」

 

至近距離で見つめて来る主人公が居た。

 

「ぬぁっ!?」

 

即座に身体を起こして刀に手を添えて構える。

 

しかし体を起こした瞬間、主人公はひらりと飛び上がって仲間達の前に立つ。

 

「待て待て、彼は怪我人だったんだ。混乱しているだけかもしれないから戦うな」

 

レアがそう言うものの、誰も構えてはいなかった。

 

「……ふぅ」

 

僕は構えを解く。

 

(待てよ…?僕は剣道とかやってないのになんで自然と構えを取れたんだ…?)

 

自分への疑問はあるが、今は主人公と仲間へ警戒を解くのが大切だ。

僕は記憶の中にある、『アカツキ』としての口調を思い出す。

 

「…僕はアカツキ、見ての通り放浪の旅をしている侍だ」

 

「…アカツキというのか」

 

「アカツキ…?何処かで聞いたような…気のせいですかね?」

 

「…ん、侍なんて初めて見た」

 

「サムライ……私の居た故郷では伝説上の存在ですね」

 

「…へぇ?興味深いわ」

 

それぞれ、順にレア、リティア、アルテ、ヒナタ、ルナだ。

 

(おいおいおい、侍は確かにアカツキ以外誰も居ない固有職だけど…伝説上の存在だったのか!?)

 

「…でも、伝説?で語られてるような侍の人がなんでこんな所に…?」

 

主人公がじぃっとこちらを見て来る。

 

(どうしよう、何も出て来ない)

 

必死に頭を回すものの、何も案が出てこない。

 

そもそもゲーム内では軽く自己紹介したら自動加入していたし、親密度が存在しないのでそれ以降の主人公や仲間との絡みはない。

戦闘中でも一言も語らずに淡々と敵を切り伏せるし、設定資料集では『ツキの魔人の人間だった頃の姿』と明かされるだけで謎が多過ぎるのだ。

 

なおツキの魔人も設定資料集のみで明かされた内容があるが、今は関係ないだろう。

 

必死に脳を回転させて言葉を紡ぐ

 

「僕は放浪の旅をしていたのだが、路銀が尽きてしまってな…良ければでいいが、君達の旅に加わって良いだろうか?」

 

そう言って困ったような顔で笑う。

 

「いいよ」

 

あっさりと主人公が認めた。

 

「勇者さんが良いというなら大丈夫ですね」

 

リティアの言葉に残る四人も頷く。

 

(あっさりと決めるなぁ…一応裏ボスの人間時代の存在なんですけど…)

 

そう思っていると、スッと主人公が手を差し出した。

 

「私は勇者のカムイ。よろしく、アカツキ」

 

主人公の名前は、デフォルトネームのカムイだった。

 

「…ああ、よろしく頼む」

 

その手をアカツキは掴む。

 

「それじゃあ、行こう。『魔法国家アルベド』に」

 

「ですね」

 

「ふむ、魔法国家か…縁のない国だ…」

 

『アカツキ』として言いそうな言葉を紡ぎながら、僕は考える

 

(アルベドなら刺客で来るのも魔法職だが…ルナか加入して来るヒロインのレベルを上げておかないと洗脳されるな……いや、そもそもこの世界にレベルが存在するのか…?)

 

元がゲームだとしても、限りなく現実に近い。

ゲームだったからと、ゲームの時の基準ではもう動けない。

既にルナがイレギュラーな動きをしているのだから

 

(一回全員の能力とか把握する必要あるよなこれ…うーん、ダメ元で聞いてみるか)

 

「ふむ…勇者よ、少し相談がある」

 

「カムイでいい」

 

「いやしかし…」

 

「カムイでいい」

 

「ゆうしゃ…」

 

「カムイで、いい」

 

アカツキ…になってるツキの魔人なら勇者と呼ぶだろうなと思って話しかけたが、カムイと呼ぶようにゴリ押しされた。

 

「…カムイ」

 

「うん、どうかしたの?アカツキ」

 

カムイと呼べばちらりとこちらを見る勇者

 

「入ったばかりでこんな事を言うのもおかしいとは思うが、一度皆のやれる事を把握した方が良いのではないだろうか?」

 

「…確かに」

 

「そうですね、パーティとして動く以上は必要ですね。勇者さんがどう動けるのか私達も知りませんし」

 

「では、一度話し合うとしよう」

 

そのまま荒野を抜けて、アルベドに続く街道まで歩いた勇者達は、馬車の止まるスペースで腰を降ろして話し合いをした。

 

そこで分かった事がある。

 

(うーん、仲間全員が既にレベルカンストってどういう事なん?)

 

話を聞いて驚いた。仲間全員のやれる事がLv99になった時と同じなのだ。

 

ルナはLv99になって覚える

全体に光属性のダメージを与えながら味方に大量の防御バフを与える『ホーリーレイン』を使える

 

リティアはLv99になって覚える

味方全体の蘇生+自分と味方の攻撃時に体力の25%分の回復効果と行動終了時に体力の75%を回復する状態を付与する『オールヒールリレイズ』が使える

 

アルテはLv99になって覚える

味方全体の素早さと攻撃力を上げながら敵全体に高確率で1ターン行動不能にさせる『戦神の咆哮』が使える

 

ヒナタはLv99になって覚える

自身の回避率を上げながら通常攻撃を6回に増やし、敵の攻撃を引き寄せ易くする『影重ね・疾風迅雷』が使える

 

ルナはLv99になって覚える

敵全体にランダムな状態異常を付与しながら、味方全体の急所(クリティカル)攻撃になる確率を上げる『厄神の煙薬』が使える

 

これ、自分居なくても本編のボス倒せるんじゃないか?と思ったが

 

『月夜の唄』は周回要素として『仲間キャラのレベルの引き継ぎ』と『本編ボスの能力値や使えるスキルが増える』というがあるのだ。

 

もし、ある程度ゲームに準じているのなら

ツキに狂わされた者も相当強い可能性がある。

 

(まぁ、ここが『周回してる世界』なら自分がアカツキに変化できたのも納得出来るな…

 

それと同時に正規ルートで生存する可能性がなくなったと思うが…一応現実ではあるからなんとか頑張ったら正規ルートで生き残れたり…しないかなぁ…)

 

「…大丈夫?」

 

「ああ、大丈夫だ…」

 

(それとまだ出会ったばっかりのはずなのにどうして主人公は僕に絡むんだ…?)

 

そんな事を思いながら、アカツキを加えた勇者パーティは『魔法国家アルベド』を目指して歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

 

 

魔法国家アルベド、その王の間にて

 

「ハッハッハッ!遂に、遂に私の国を手に入れたぞ!」

 

ツキに狂わされた者である、アルベドでのボス…『外法のドルドマン』は玉座に座って高笑いする。

 

「さて、後はあの逃げたお姫様とその付き人を我が魔法で我が物にするだけ……だというのに何故見つからない!!」

 

ダンっ!と悔しそうにドルドマンは玉座の肘掛けに腕を叩き付ける。

 

その姿に、アルベドの騎士達は震える。

 

「ええい、貴様ら探して来い!見事探し出して来た者は我が直属の部下にしてやる!早くいけ!」

 

その言葉に騎士達は慌てて出て行く。

 

「絶対に見つけてやる…そして我が物にして可愛がってやる…」

 

ニタニタと欲望に塗れた笑顔を零して、ドルドマンは笑う。

 

『魔法国家アルベド』は、既に崩壊する手前だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、アルベドにあるとある冒険者のホームにて

 

「姫様、良い知らせです。勇者がこちらに向かっているとレアから連絡が」

 

「…そうですか、勇者様が居れば…この国も…」

 

メイド服を着た女性の言葉に、姫様と呼ばれた魔法使いの服装をした少女はホッと息を吐く。

 

「しかし、私らが居てよかったな」

 

「ですね、まさかあのドルドマンがいきなり強くなるなんて…」

 

「そうだな…まるで誰かが仕込んだように強くなった…誰かが裏で操ってるのか…?」

 

冒険者であり、姫様と交流のある少女達はそう呟く。

 

「ああ、勇者様…どうかこの国をお救い下さい…」

 

姫様はまだ見ぬ勇者へ祈った。

 

 





ドルドマン
魔法国家アルベドでの最終ボス。高い魔法攻撃力とそこそこ硬い防御力に『洗脳』という状態異常を付与して来る難敵。
味方が洗脳状態になると一時的に敵対してしまう。そのまま敗北すればエッ!な個別スチルが解放される。

なお、勇者とヒロインである姫様はこの『洗脳』にはかからない。

二周目以降の場合アカツキを仲間にしていると、開幕の洗脳を不発にして三ターンの間ドルドマンが行動不能になり
ドルドマンがアカツキを攻撃しようとすると低確率でドルドマンが行動不能になる。しかし、攻撃出来たとしても高確率でアカツキは回避する。
アカツキが攻撃した場合、一定確率でドルドマンのバフと味方の洗脳状態が解除され、特殊なカットインとボイス付きのセリフが入りアカツキが再行動する。

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