ファンタジーRPGエロゲの裏ボスに憑依したけど、生き残りたい 作:モフモフ毛玉
「ここがアルベドか…」
「なんというか…気が沈んでますね」
アルベドに入国した勇者パーティは、街中を歩いていた。
街中では兵士が巡回し、住民達は家に篭っていた。
(これは…アルベドはもう崩壊寸前か…)
原作では崩壊直前にアルベドに入るとこういう状況になっているのが描写されている。
そしてこの状況の場合、ヒロインの身が危ない。
(本来なら何処かで合流出来るんだけど…)
そのまま辺りを見渡して歩いていると、一人の軽装の鎧を身に纏う少女が歩いてきた。
「あれ、もしかして君達、アルベドに初めて来た?」
少女はそう言ってレアをチラリと見る
「ああ、来たばかりでどうすればいいか分からなくてな」
その言葉にレアは予定していたように答える。
「じゃあうちにおいでよ、色々教えるからさ!」
そう言うと少女はいつの間にか持っていた水晶を砕く。
すると少女と勇者パーティはその場で消えた。
…アカツキを残して
「………」
「……君、大丈夫か?」
ぽつんと残されたアカツキを不憫に思ったのか、兵士の一人が話しかける。
「…ああ」
「…よかったらでいいが、近場の酒場を案内しようか?仲間も来るかもしれん」
「…生憎、金がない」
「…奢るぜ」
ポンポンとアカツキの肩を叩いて、兵士達は酒場を目指した。
ーーー
少女によって移動した勇者達は、アルベドの姫と会う。
「ああ、勇者様。よかった」
「…あれ、アカツキが居ない」
「アカツキって後ろにいた剣士ですか?すいません、何故か転移魔法が弾かれちゃって…今から探してきましょうか?」
ペコリと連れてきた冒険者が謝る。
「いや、彼も放浪の旅をしていたと言っていた、何処かの酒場にでも居るだろう」
「ん…でも路銀が尽きたって…」
「あー…そうでしたね」
うーんと悩む勇者達に、メイドが答える
「…姫様から話を聞いた後に私も一緒に探します。申し訳ないですが、今のアルベドには余裕がないのです…」
「そっか…わかった」
「ありがとうございます、では…お話ししましょう。今アルベドがどうなっているかを」
そうして姫様が話した内容はこうだ。
アルベドの法務大臣ドルドマンは最近大臣になった者で、真面目に職務をしていたのだが、ある時を境に叛逆、国王を監禁し、自身の得意とする精神系魔法を使って国を乗っ取ってしまった。
それに反発した騎士達がドルドマンの居る玉座に乗り込むも、逆に洗脳されてしまい手駒になってしまった。
そして姫とその付き人を我が物にせんと付け狙っていた為、交流のある冒険者の元で身を隠し、レアを秘密裏に国外へ出して勇者を探させていた…という事だ。
「勇者様の持つ力には悪き心を浄化する力があると伝承で伝わっています。お願いします…どうかこの国を救って下さい…」
そう言って姫様は頭を下げた。
「私達も協力する。冒険者ではあるが、姫様には恩があるんだ」
そう言って三人の冒険者の少女達は勇者を見つめる
「そのドルドマン?を倒せばいいんだよね…神様にも頼まれてるから、協力するよ」
「ありがとうございます…!」
頭を下げる姫様に、カムイは続けて言う。
「それじゃあそれぞれ、自己紹介しよう…分からないままだと動けないってアカツキが言ってた」
「わかりました、その後にアカツキさんを探しましょう」
ーーー
アルベドにある酒場にて
「すげぇ!?アイツ顔色変えずに飲んでやがる!」
「一緒に来た兵士なんてだいぶ前に倒れたってのに」
酒場に居る冒険者達にヤイヤイ言われながら、アカツキは酒を飲んでいた。
(この世界、ビールあるんだな…しかも味も遜色ない…)
「お前さんどっから来たんだ?」
「遠い地だ、放浪の旅をしていてな」
「腰に挿してる武器、相当の業物だろ?もしかして剣士か?」
「まぁ、そんな所だ」
近寄って話しかける冒険者達へ適当に答えながら、アカツキは酒を片手に肉を摘んでいた。
そんな酒場の扉をバンっと開ける音が響いた。
「お前ら!アカツキってやつここに居ないか!」
扉を開けた少女に、冒険者達は綺麗に揃って応えた。
『コイツだ』
「ん?」
全員から指差されたアカツキは呑気に肉を頬張っていた。
そんなアカツキへ、少女が近寄る。
「お前の仲間が待ってるぞ、早く来い」
「ん、そうか…代金…」
「そこの酔いつぶれてる兵士が払うだろ、ほら行くぞ」
少女に引っ張られて、アカツキはその場を去った。
その後、酔いから覚めた兵士は請求された金額を見て開いた口が塞がらなかった。
兵士達
モブキャラ、敵として現れる事もない良い奴。
真面目に職務を全うする。
アカツキが取り残された時、不憫に思って酒場に誘うも、酒に酔って国の事や姫様の可憐さとかドルドマンのクソ野郎とか愚痴零したりしてベラベラと喋って酔い潰れた。
お陰でアカツキはゲームではあんまり説明がない国やヒロインである姫様とメイドの事をよく知れて、ボスであるドルドマンの事も知れた。
起きたら請求額にびっくりするも、何とか支払えた。
冒険者達
モブキャラ、勇者に味方してくれる人達。
酒場に変なの来たからなんだと思えば酒豪だったのでノリノリで話しかけたりダンジョンの場所や魔物の事を教えたり、ウチのエースは可愛い女子達なんだぜと自慢したりしてた。
おかげでサブヒロイン枠の冒険者三人の事をよく知れたと共に、恐れられてるんだなとアカツキは思った。