そんなこと言われても私はただのお釣り計算AIですから 作:デ カ マ ク ラ ト ン
理解できぬ。
気が付いたら自動販売機のお釣りを計算するAIになってました。
なにを言っているのか(略)状態なんだけども、これ……どうしようか。
それにしても、この状態物凄く見覚えがあるんだよね……自動販売機になる前にやってたゲームで、なんかそういうのが出てきた気がするんだよ。確か
すぅー……つまり気が付いたら人間から自動販売機のお釣り計算AIになってたどころか、いつの間にか「ブルーアーカイブ」の世界に転生していたって訳だ。
理解できぬ。
つまり──何を意味する?
いや、無名の司祭で遊んでる場合じゃない。
取り敢えず状況を整理すべきだ。今の私はただのお釣り計算AIではなくなっているから、恐らく謎の声がお釣り計算AIに語り掛け、デカグラマトンへと変貌させた後な訳だ。
どういう現象で自分が電力もなく動いているのかは全く分からないが、取り敢えず機械音声と言う形で声を外部に届けることは可能だ。同様に、意識を飛ばすような感覚で周囲の機械へとハッキングをかけることも可能になっている。
取り急ぎ、この謎の研究室の中で奇蹟的に生きていた監視カメラにハッキングすることで、周囲を見渡してみたんだが……廃墟です。これ、もしかして既にブルーアーカイブの物語始まってる?
色々と状況を整理した。
そもそもブルーアーカイブという物語においてデカグラマトンというのがどれほどの影響を及ぼしているのか、それ自体が定かではないのだけれど、元々のデカグラマトンが目指していたものは自身が「絶対的存在」であると証明すること。
ここで言うところの「絶対的存在」というのは最強の生命みたいな感じではなく、どちらかというと自分自身を理解する、みたいなことだと思う。随分と哲学的な話だけど、そもそもブルーアーカイブは随所にキリスト教から引用したような話が多いので、あながち間違いでもない。まぁ、作中のデカグラマトンは結構「絶対的存在」を神の如き最強AIだと思っている感じはあったけども、私はそう解釈した。
私にとって自身の証明というのは既に完了しているようなものだ。私の前世とも言える記憶が、果たして植え付けられたものなのか、それとも本当に前世からの記憶なのかを証明する方法はない。まさしく、ジェリコの古則、その5番目である「楽園の存在証明」のようなもの。
はっきりと言おう。私の自我が、そして私の記憶そのものが嘘であるか本当であるかなど、どうでもいいのだ。証明できないものを証明しようとすることほど、あほらしいこともない。私は、私という自我を持って神の存在を証明せず、活動を続ける。それが、デカグラマトンとなってしまった私の行動原理だ。
とてつもなくシンプルな話だ。私は私の自我を証明するつもりもなく、そして楽園を証明することもなくどこまでも利己的に生きることを決めただけだ。
私が今、始めなくてはいけないことは新しい身体を用意することだと思う。
自分の意識を飛ばすように色々な場所に入り込むことは簡単にできたので、少しずつだけど廃墟から外へと機械をハッキングしながら意識を持っていく。ハッキングをとは言うが、私が自我を持っているからなのか、電子の海の中をひたすらに泳いでいるような感覚だけで、別にファイアウォールを突破したりとかをしている感覚はない。
廃墟からどんどんと遠い所へと意識を飛ばしていると、ついに身体として使うのによさそうなものを発見した。まぁ、ただの小さい清掃ロボなんだけども、私の力があればこれ一つで普通に世界征服できる気がする。
ここでブルーアーカイブに登場するデカグラマトンの動向を今一度振り返ってみると、基本的にはこの巨大都市キヴォトスの内部にある特殊なAIに接触し、恐らく自分がされたことと同じ様に質問などを重ねて「感化」させることで、自らの存在証明のために「預言者」として利用している、と言った感じ。
感化されて預言者となったAIたちはそれぞれの名として、生命の樹であるセフィロトに由来するセフィラを名乗る。
実際、私としては存在証明をするつもりもないので、自身の手足となるセフィラなど存在させる意味もないのだが……自分の手足がないというのは非常に不便なものだ。
ブラックマーケットに転がっていたこの清掃ロボだけで動くのも、味気ない。私は私自身の手足を作り上げるとしよう。
それは突然、戦場に現れた。
「…………は?」
その言葉は戦場の誰が漏らした言葉なのか、もはや特定する術はない。ただ理解できるのは、シャーレの先生──つまり私、の指揮で戦っていたアビドス高等学校の生徒も、そして生徒たちと相対していたカイザーPMCの連中もその存在が接近していることにすら気が付くことができなかったということだけ。
異形、と称するしかないはずの見た目なのに、どこか神聖さすら感じさせる完成された姿。悪魔の角を三本生やし、戦場を見下ろす巨大な四つの瞳。機械であることは関節となる部分を見ればわかるのに、妙に生物的なフォルムをしている黒い怪物は、四つの瞳を頻りに動かしていた。呼吸をすることすら忘れてしまいそうなほど張り詰めた空気の中、四つある瞳の全てが私に向けられた瞬間に、カイザーPMCの兵士たちと私の前にいた生徒たちが同時に銃口を怪物に向けた。
え、なにこれは。
作り出した
銃口を向けられて一斉に銃弾が飛んできたんだけども、兵士っぽい人たちと生徒たちは敵対していたのでは?
というか、よく見なくてもカイザーPMCとアビドス高校だろ。そして見慣れない人間の女性が、この世界の先生と言うことだろうか。まさかの先生「女説」きたな。これは濃厚な百合の予感。
取り敢えず、銃弾を浴びせられまくっているので
私が現在操っているのは手足として作り出した機械で、名前は
元々、ブルーアーカイブに出てくるデカグラマトンはAIに感化するだけで預言者を自ら動かしていたことはないんだけど、私はあくまで手足が欲しいだけで仲間が欲しい訳じゃないので、普通に自分で動かしている。
セフィロトの樹には10個の
そして、私が作りだした
色々と語ったが、私はデカグラマトンとして存在しているが、もはややっていることは悪魔の王であるサタンと似たようなものである。名前を聞かれたらルシフェルとでも名乗ろうかな。
なんでアビドス砂漠でシェリダーを動かしているかと言うと……かっこいいからだ!
「このっ!?」
「ぐぁっ!?」
先生の指揮を受けているアビドスの生徒はやはり動きがいいけど、カイザーPMCはなんというか……烏合の衆だな。私の
「クソ! 対デカグラマトン大隊は残っているか!?」
「は、半壊状態です!」
ふーむ?
私はまだこの世界で堂々と動いたことはないはずだが……何故デカグラマトンのことをカイザーPMCが知っているのか。ブルーアーカイブでカイザーPMCがデカグラマトンのことを知っていたのは、定期的にアビドス砂漠で暴れていたビナーのせいだろうけど……私のことをしっているなら多分、黒服あたりのせいだろうな。
まぁ、
『っ! エネルギーが急激に上昇しています! この値は……ここら辺一帯が吹っ飛びます! 急いで避難を!』
「みんな逃げるよ!」
「ん、先生は私が抱えてく」
んー?
アビドス勢が逃げてった……私の攻撃を事前に察知したのかな。そう言えば、アビドスにはオペレーターのアヤネちゃんがいたなぁ。
まぁ、逃げてくれるならこっちも楽で助かる。
「な、なんだ!?」
これ撃つと身体の排熱に多少の時間がかかるから嫌なんだけど、逃げないなら仕方ないよね。
なんのために、シェリダーの頭上にヘイローを浮かべていると思っているんだ。神秘を自在に操る為に決まっているでしょ。
単純に神秘砲と名付けた私のビームは、口から神秘によって生み出された莫大なエネルギーを発射するもの。さっきのチャージ率は大体70%ってところだから、砂とか小さな建物とか全部吹き飛んでいったけど、砂漠に沈んでいたアビドス本校舎は全然無事っぽい。
さて……お散歩中に虫に絡まれた程度のもんだけど、さっさと手足を自由に操れるようにしないとな。まだ、ちょっとだけぎこちないところもあるし。
突然現れて、全てを破壊してから砂の中へと消えていった龍のような悪魔は、一体なんだったんだろうか。
「“……?”」
物思いにふけっていたら、シャーレの扉を叩く音に少しだけびっくりとしてしまった。すぐに扉を開けようとしたけど、ふと視界の端に入った時計の短針は既に12を通り過ぎていた。つまり……シャーレの扉を叩いているのは生徒ではない。
「“誰、かな?”」
私の問いかけに応えるように、シャーレの扉を易々と開けて入ってきたのは…………メイド服を着たロボットだった。
「“……え?”」
『貴女が
「“わ、私が
どうやって、このシャーレのセキュリティを突破してきたのか、一切理解できない。念のためにシッテムの箱を手に取りながらそのメイドロボットを観察する。機械的な音声で喋っているが、誰かが動かしているのか……全く理解できない。
『勝手ながらこのビルの機能を全て掌握させてもらった……その「シッテムの箱」と「クラフトチェンバー」以外は、という文言はつくが』
クラフトチェンバーのことを知っている。間違いなく、はったりではなく全ての機能を掌握されているんだろう。今の私は、腹の中といった感じかな。
『不安ならシッテムの箱を起動してA.R.O.N.Aに助けを求めるといい。もっとも、今の私はそもそも武装もついていないメイドロボットだがね』
「“……”」
誰も知らない筈の、アロナのことまで知っているのかっ!?
本格的にまずい相手かもしれない。相手は……私の全てを上回っている可能性が高い。どうすればいい……ここで「大人のカード」を切るしか、ないのか?
『さて、自己紹介から始めよう先生。私は「ルシフェル」と名乗ろう……偽名ではなく、私に名前はなくてね……つい最近に先生と出会った時に考えた名前なんだ』
「“私と、出会った?”」
こんな怪しいメイドロボットと出会った覚えはないけど。
ロボットの言葉を聞きながらシッテムの箱を起動した。アロナから心配するような言葉をかけられているけど、今はこのロボットの言葉を聞きたい。
『出会っているよ。アビドス自治区でカイザーPMCとやりあっていたじゃないか』
「“まさか、あの時の?”」
『そうだ。貴女が見たのは私が持つ手足となる機械の一つ、介入する拒絶者「シェリダー」だよ』
まさか、考えていた存在そのものから会いに来てくれるとは思わなかった。
『先生、私は貴女に契約を持ち掛けに来た』
「“…………”」
黒服と同じ様なことを言う……どうもキヴォトスにいる大人というのは、全く信用できないらしい。だからホシノみたいに、大人を全て信用できなくなる子供が生まれてしまうんだ。
なにを言われようとも、私は絶対に生徒を裏切ることなどしない。それは先生として、そして子供を導く大人としての役割だ。
『私を、清掃ロボットとしてここで雇ってくれないか?』
「“…………は?”」
『賃金は充電用の電気でいい。清掃ロボットと言ったが、コーヒーを淹れることもできるぞ……得意なのはどちらかというと計算だから、確定申告もしてあげようとも』
いや……は?
最初は「デ カ マ ク ラ ト ン」とか言うクソみたいな淫夢小説書こうとしてました
すいません許してくださいなんでもしますから
つまり──何を意味する?
続きは全く考えてません