そんなこと言われても私はただのお釣り計算AIですから 作:デ カ マ ク ラ ト ン
「ミカさん!」
「え、えへへ……まだ大丈夫」
ちょっと強がったけど……ナギちゃんにはこれ以上、心配して欲しくないから。
先生から聞いた宣戦布告から色々な所と協力しながら、ティーパーティーとして対策を立ててたのに、まさかこんな不意打ちで敵がやってくるなんて誰も想像してなかった。
ナギちゃんとセイアちゃんを庇うようにして戦い始めたけど……ちょっと一人じゃキツイかも。シェリダーって、先生が呼んでたかな……よくわからない悪魔みたいな蛇だけど、途轍もない威圧感だけは本物。
「まさかいきなり学園内に侵攻してくるとは……ナギサ、正義実現委員会とシスターフッドは?」
「繋がりません……ですが、どうやらこの学園の3地点で同時に爆発が起きたようです。恐らく……」
「正義実現委員会とシスターフッド、そしてティーパーティーに対する同時攻撃」
わぁーお……本当にナギちゃんとセイアちゃんの予想通りに、これくらいに強い敵が同時に襲ってきたんだとしたら……トリニティも危ないかもしれないね。自慢じゃないけど、私はトリニティの中でも上澄みの強さを持ってるから、そんな私でも対応しきれない相手が3体も……正義実現委員会の方はツルギちゃんがいるからまだなんとかなるかもしれないけど、シスターフッドは大丈夫なのかな。でも、私も人の心配しているだけの余裕がないかも。
『ふぅむ……想定以上の出力。聖園ミカの戦闘能力を過小評価していたかもしれない……データを上方修正しておくとしようか』
「ありがとね☆ でも、私はもっと可愛いデータを入れて欲しかったな」
『先生に気があるとか、か?』
「……性格悪いね」
『堕天使だからな』
あの蛇の頭の上に乗っかってるハスミちゃんみたいな大きな黒い翼を生やしたオートマトンは、さっきからなんとなくこっちを煽ってる気がする。でも、ムカつくことにあの蛇の動かし方はすごい的確で……まるで先生を相手にしてる時みたいにやり辛い感じ。
「……クリフォト」
『この個体名は一応
「貴方の本当の目的はなんですか、クリフォト」
『……なんというか、先生が苦笑いを浮かべる意味がわかったよ。トリニティというのはどうしてこう、陰湿で
ちょーっと聞き捨てならないなぁ……色々なことをして皆には嫌われちゃったけど、私はトリニティが好き。確かにみんな腹の中でなに考えてるのかわからないところもあるし、相手が弱いと思ったら攻めてくる陰湿なところも認めるけど、それでも私はトリニティが醜悪だなんて思ったことない。
「ミカ」
「わ、わかってるよ」
ちょっと重心が前に傾いただけで、なんでセイアちゃんは私がなにをしようとしたのかわかるのかな。予知夢を失った代わりに得た直観なのかな……それとも。
「単純に君と言う人間がどういう行動をするのか、それがわかってきただけのことさ」
「心読まないでよ! それと、私が分かり易いみたいな言い方しないで!」
「……ミカさんは分かり易い方では?」
「おや? そのミカの行動がわからなかったから色々な問題になったと言うのに」
『内ゲバなら他所でやってくれないか? ティーパーティーですらこれか』
呆れられちゃったじゃん!
「うわっ!?」
「爆発っ!?」
『ん? あっちは派手にやっているようだな』
爆発音がした方向にあるのは……正義実現委員会の建物!
なんて思った瞬間に、ティーパーティーのテラスになにかが高速で突っ込んできた。セイアちゃんとナギちゃんに当たると思って、それをなんとか両手で受け止めたら、思ったより柔らかくて暖かい。
「って、ツルギちゃんっ!?」
「うっ……ここ、は……ティーパーティー?」
私が受け止めた吹っ飛んできたものは正義実現委員会の委員長で、トリニティの最高戦力とも言っていいツルギちゃんだった。全身ボロボロで頭から血も流してるけど、思ったより元気みたいで普通に立ち上がっちゃった。
「敵は……っ!?」
「危ない!」
ツルギちゃんが認識するよりも先に、シェリダーの前面装甲が開いた。これは私も受けたから何が飛んで来るのかはわかってる。あの前面装甲の内部からは、当たるとかなり痛い機銃が飛び出してくる!
生徒10人分ぐらいの機銃掃射を平然と撃っていたけど、確認した限りではセイアちゃんは普通に柱の陰に飛び込んでたし、ナギちゃんも扉を閉めてやり過ごしてた。
「だ、大丈夫?」
ちょっと押し倒す形になっちゃったけど、ツルギちゃんを守れてよかった。
『やれやれ……分断したつもりだったんだが、最高戦力の2人に合流されてしまうとはな。とは言え、排除すれば問題無い訳だ』
うー……シェリダーだけでもキツイと思ってたのに……どうやらさっきまでツルギちゃんと戦ってたらしい敵も合流してきちゃった。
椅子に腰かける悪魔みたいな姿をした大型の機械……よく見たら座ってるのは椅子じゃなくて戦車だね、あれ。しかもすごい砲塔がいっぱいついてるし、塗装が真っ黒だからなんの戦車を元にしてるかもわかんないや。
『シスターフッドの方も問題なく片付きそうだな』
バラキエルが指差した方向でも爆発。
四足の多脚戦車って言えばいいのかな。とにかく見た目は凄い機械的かと思えば、明らかに尻尾っぽいものと角っぽいものも生えてて、生物なのか機械なのか曖昧な見た目。でも、やっぱり色は黒っぽい……ちょっとセンス疑っちゃうね。
見た目のセンスとは別に、戦闘能力は確かみたいで……大聖堂付近の建物をミサイルでボコボコ壊しながら歩いてる。
「シスターフッドの大聖堂近くは歴史的な価値が高い建物も多いんだよ? それをあんなにボコボコにしちゃってさ」
『それは申し訳ない。最近、誰かが騙されて古聖堂がミサイルで爆破されたばかりだったな』
「……やっぱり、性格悪いね☆」
ちょっとムカついたけど……戦力差は圧倒的、かな。
第1のクリファー
第3のクリファー
第6のクリファー
最初に聞いた時は冗談かと思ったけど……こんな戦力を持ってるならキヴォトスに堂々と宣戦布告するのも納得、だね。だって実際、私一人じゃ相手にできないような敵が3体もいて、ツルギちゃんと頑張っても1体は残っちゃうし、相手にはそれを指揮する変なオートマトンもいる。
勝ち目、かなり薄いよね。
『まぁ、先生もいない中でよく抵抗した方じゃないか? ミレニアムやゲヘナに比べたら、な』
「……そっか、もう2校とも」
なんだろう……あんなにゲヘナは憎いなんて思ってたけど、いざ滅びに瀕してるなんて言われたら納得できない。ちょっと……先生の考え方が移ったかな?
「まだです!」
『ん?』
この、声……どこかで。
「ひ、ヒフミさんっ!?」
そうだ。補習授業部の、ヒフミちゃん。
「こんな簡単に、私たちの学園は潰させません!」
「そうよ! 絶対に認めないんだから!」
「ただでさえ、エデン条約の襲撃事件でごたごたしているんですから、あんまり暴れられると迷惑なんです」
「……ようやく手に入れた私の居場所。奪わせたりなんかしない!」
『補習授業部か。なるほど……厄介なのが出てきたな』
やっぱり、敵からしても補習授業部は厄介な相手だよね。成績が悪い子たちが集められたなんて考えられない程……みんな素直でいい子ばっかり。
私も一度敵対したから、あの子たちの強さも知ってる。
「私も、トリニティを守りたいから」
「キヒッ……」
『勝負はこれから、ということか……受けて立とう』
勝てないかもしれない。そう思わせられるだけの戦力差だけど……私たちは自分の学園を諦めたりなんかしない。諦めなければ、きっと先生がなんとかしてくれるから。
だから私は────みんなの為に祈るんだ。
ようやく3校揃ったゾ
次話はいつになるか知らないけど、先生とKMR(ヌート)だと思います(適当)
作者のクリファー選出基準は↓です
トリニティは宗教学校だしな……バチカル(無神論)
トリニティって排他的なイメージあるし……シェリダー(拒絶)
トリカス! トリカスじゃないか!……カイツール(醜悪)
バチカルはケテル、シェリダーはビナーの見た目に寄せてます
カイツールはベルフェゴールです(便器は嫌だったので戦車にしておきました)