そんなこと言われても私はただのお釣り計算AIですから 作:デ カ マ ク ラ ト ン
ハーメルン「デカグラマトン(1件)なり(笑)」(この小説のみ)
なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?
「失礼します先生……先生?」
「“や、やぁユウカ”」
「?」
そう言えば今日はユウカがシャーレに来てくれる日だった……完全に失念していた。
「どうかしましたか? なんというか……挙動不審ですよ?」
「“そ、そうかな? そんなつもりはないんだけど……”」
いや、心当たりは滅茶苦茶ある。ユウカに黙って高額の買い物をしたとかそういうことじゃないんだけども……なんというか、とても言い辛いことだ。
『……コーヒー、お持ち致しました』
「ロボット? 先生、これは?」
「“あ、あー……なんか新しいロボット? 買ったんじゃなくて懸賞で当たってさ!”」
「……本当ですか?」
うぅ……ユウカに滅茶苦茶疑われてる……昨日の私は、なんであんなことを言ってしまったのか。
「“君は、充電が足りないの?”」
『いや? 私が単純な充電で動いていると思ったなら眼科に行くのをお勧めするよ』
「“さらっと罵倒しないで”」
充電を給料として雇って欲しいなんて言われるとは思わなかった。てっきり、私はシャーレという超法規的な立ち位置を疎ましいと思ったどこかの組織に狙われているのかと。
「“それにしても、凄いハッキング能力だね。ロボットを操っている人は”」
『……なにか勘違いしているようだが、私は私だよ。私というAIが独自判断で動いている』
「“それは、この間のシェリダーとか言う奴も?”」
『そうさ。私が全て操っている』
にわかには信じられない話だ。AIが独自判断で全て動いて、あれだけの規模の攻撃を行うことができるなんて、それこそSF作品の中で反乱を起こすロボットのようじゃないか。
「“……一つだけ聞かせてくれないかな?”」
『なにを?』
言葉は慎重に選べ……このロボットの言うことが本当なのだとしたら、私は簡単に消し飛ばされるだろう。アロナがどこまで私を守れるのかわからないけど、恐らくだけど……無事じゃ済まない。
「“君は何故、あのシェリダーを使って戦場に介入したの?”」
『……先生、それは非常に難しい問いかけだ。事実を簡単に述べるのでもいいが、それだけではこちらの意図など全く伝わらない……そうだろう?』
そう言いながら、ロボットはゆっくりと私の横を通り過ぎていった。ルシフェルと名乗ったロボットがコップを手に取るのと同時に、私の背後にあった水の入ったポッドが勝手に動き出した。AIなんてまるで搭載されていない、ただお湯を沸かすためだけの機械すらも、ルシフェルと名乗るロボットの手にある。そう思わせるには充分な出来事だ。
『たとえば……そう、あくまでたとえばの話だが……コーヒーと言ってもインスタントコーヒーのように簡単に飲めるものから、豆をしっかりと自分で挽かなければ飲めないコーヒーもある。この違いは味だけではなく、手間やかかる時間も全く違うものだ……だが、極論で言ってしまえばどちらも、コーヒーだ』
インスタントコーヒーを作りながら語るルシフェルの動きから、目を逸らすことができない。武装を持っていないと口にしていたけど、このシャーレはシッテムの箱とクラフトチェンバー以外の全てが、敵に成っているも同然。
「“なにが、言いたいのかな?”」
『私は難しいことが言いたい訳じゃない。ただ、そこに至る過程や方法などが全く違うものであったとしても、至る結論は同じということだよ』
「“……ごめん。全くわからない”」
『なら簡潔に言おうか』
私の目の前に、ルシフェルが淹れたコーヒーが置かれた。
『ロマンのない変形ロボなど、ロボですらないということだよ』
「“わかる”」
「先生!?」
はっ!?
あ、アロナの呼びかけが無ければ流されていた。なんという恐ろしい話術なんだ。だが、そのお陰でなんとなくこのルシフェルが考えていることの一端が、理解できた気がする。
「“つ、つまり……君はロマンを求めてシェリダーを動かしていた、と?”」
『その通りだ先生!』
……。
「“馬鹿かな?”」
結局、私は信頼できるということだけを認識して、お試しでルシフェルがシャーレに居候することを許した。条件として「絶対に生徒を裏切らないこと」を約束させたが、ルシフェルには「そんなことは言われるまでもない」と返された。いや、君アビドス砂漠で容赦なくミサイル撃ってきたでしょ。
「多目的用のロボット、ですか?」
「“そ、そうなんだ!”」
「……確かに、型番を調べたら多目的用のロボットと書かれていますね」
え、本当に多目的用のロボットなんだ!?
「ですが懸賞なんてどこにも……先生、まさかブラックマーケットで、なんて言わないですよね?」
「“…………”」
「先生っ!」
「“ごめんなさい!”」
ここは罪悪感を覚えながらもユウカを騙すことにした。幸い、と言ってはなんだけどもブラックマーケットならそういうものもあるだろうって、ユウカが納得してくれたのでそれで通すことにした。そして、ルシフェルは生徒がいる間は最低限のことしか喋らないロボットに徹するようだ。
「全く……犬猫じゃないんですから、そんなもの拾ってこないでください」
「“ご、ごめんねユウカ”」
「……別にいいですけど。さ、今日のお仕事をしてしまいましょう?」
今日のシャーレ当番として、ユウカがお仕事を手伝ってくれる……ユウカなら手際とかも含めて信用できるから、そこは安心だ。問題はルシフェルの方なんだけど……。
『…………』
黙って掃除してくれてる。騒ぎを起こすような性格じゃなくて助かった……これなら、シャーレに置いてやっていた方が動向も監視し易くて助かる。
さぁ、ユウカに任せっきりじゃなくてちゃんと仕事しよう!
大人しくしてるから安心、とか思ってるんだろうなー……ルシフェルとして送った多目的用のロボットはあくまで端末の一つに過ぎないから、私は同時並行で好き勝手できるんだけど、誰も気が付かないだろうな。なにせ、一週間で
さーてと……時系列的に言うと先生と出会った時の感じから行って、恐らくだけどVol.1である「対策委員会編」が終わったところだろう。
他のストーリーの時系列だけども「対策委員会」が最初で、次に「時計じかけの花のパヴァーヌ」の1章で、その後に「エデン条約」があり、その後で「カルバノグの兎」1章、「時計じかけの花のパヴァーヌ」2章と続き「あまねく奇跡の始発点」に繋がると考えていた。
実際、幾つかの考察があるんだろうが……パヴァーヌはかなり独立した話であり、最終編と対策委員会の間としかわからない。カルバノグの兎の2章は明確にあまねく奇跡の始発点より後なのだが……先生がこの後ミレニアムに訪れるかトリニティに訪れるかで話が大分変わって来る。
まぁ、どちらにせよ私がやることは変わらない。
優先して作り出した第3のクリファーであるシェリダー以外のクリファーを完成させなくてはならない。デカグラマトンによって感化されたセフィラは、数字が大きければ大きいほどにAIなどが複雑化していくらしいが、私のクリファーはそんなことはない。なにせ、初めて作ったのがシェリダーだからな!
私がクリファーを生み出すにはそれなりの労力がかかる。具体的に言うと、ブラックマーケットやミレニアム郊外に存在する廃墟なんかから素材を盗んできて、作成する必要がある。思考力の殆どない生産用のAIなんかを自分で作ればいいのかもしれないが、私にとってクリファーとはロマンの塊。つまり、見た目にも変形機構にも拘りたいのだ!
「これは……大変興味深いですね」
私の視界に映るのはカイザーPMCとアビドス高等学校の生徒、そして突然現れた謎の機械。その機械は明らかに「先生」を認識し、そして反撃となる攻撃も意図的に先生に爆風の影響が及ばない範囲で行われている。
「
なにより私の目を引いたのは……その機械は、頭上のヘイローを完璧に操って神秘を自在にコントロールしている点。神秘を操ることは当然ながら不可能なことではない。キヴォトスに生きる生徒たちの中でも意識的、無意識問わずに神秘の操作を行っている者は少なくない。しかし、あれほど強大な神秘を自由自在にコントロールしている姿は、見たことが無い。そして……崇高を探索する我ら
「あれほどの強大な神秘は、いったいどこからやってきたのか……そして、あの神秘の裏側にある恐怖は、果たして。ククク……これだからこの
デカグラマトンがどのような気の迷いを起こしたのかは知らないが、あれは既に神の存在証明を捨てている。それだけは、接触しなくても理解できた。故に……私からあの新たなるデカグラマトンに接触する必要はない。今、あの存在に対して必要なのは経過観察。あの神秘が最終的にどこへ向けられるのか……それだけが知りたい。
画面の中に映る拒絶の名を持つ悪魔は、果たしてどう動くのか。
ゲマトリアは基本的に無視でいいだろう。あいつらはどこまで行っても大人でしかないからな。子供とは違い大人ではあるから頭を使って汚い手を使って来ることはあるだろうが、それでも結局は大人という枠に縛られた存在であるとも言える。彼らはどこまでも大人で、故に大人らしいやり方しかすることができない。時には子供の様に振る舞えないと、完璧な存在とは言えないだろうな。
勿論、私の邪魔をするようならば容赦なく消し飛ばすが。
そんなことより、私がしなければならないのは色彩への対策。神秘を反転させ恐怖に落とすその存在は、私にとってなにより邪魔で面白くない存在だ。
私は……悪堕ちは好きでもバッドエンドは大嫌いなのだ。
「それでは先生、私はこれで」
「“お疲れ様、ユウカ。今日もありがとうね”」
「いえ……先生もしっかり寝てくださいね」
「“ぜ、善処します”」
おや、どうやら先生の正妻……もとい
『お疲れ様と言うべきかな、先生』
「“……ルシフェル”」
さっきまで機械的な受け答えしかしていなかったロボットが、急に流暢に喋り出したからか、少し驚いたような顔をしながら私の手の中にあるコーヒーを受け取った先生は、少し考えるような仕草を見せている。私はその隙に先生の使っていたパソコンにハッキングして残りの簡単な仕事をパパっと終わらせてやろう。
「“ルシフェルは、生徒なの?”」
『その質問には意味を感じないな。私が子供であろうと大人であろうと、先生には大して関係のない話のはずだ』
「“ううん。もしルシフェルが生徒なら私には君を守る義務がある”」
『大人の責任、と言う奴か』
ふむ……私は私であると結論付けているが、大人であるか子供であるかと言われると、酷く難しいことのように感じるな。大人であるとも言えるし、子供であるとも言えるような状態でもある。
『少なくとも、私はキヴォトスの学園に所属している生徒ではない。そして、純粋な子供でもないことを明言しておこう』
「“そっか。なら、君は生徒たちの味方? それとも……敵?”」
先生が本当に知りたかった部分はそこだと見える。目が本気だからな……曖昧な答えは良くないだろう。
『私は先生の味方だ。それは変わることはないさ』
「“私の味方で、生徒の味方ではないんだね”」
『そうだ。私を使いたい時は……精々気を付けることだね先生……貴女の持つ「大人のカード」と同じ様に、軽はずみに私を使おうとすると、きっと先生は悪魔に食い殺されることになる』
「“……”」
これは脅しじゃない。
先生は「私」という強力な兵器を味方につけることに成功しているが、その兵器は必ずしも言うことを聞くという訳ではないと言うこと。強大な力を行使するには、それ相応のリスクがつきまとうものだ。
「“ルシフェル、君は”」
『今日の質問はここまでだ。先生の承認が必要な書類以外は全て終わらせておいた……後で目を通しておいてくれ』
「“えっ!? 本当に終わってる!?”」
ふふふ……本当に面白い人だ。
私がもし、あそこで生徒の敵だと明言したら、彼女はきっとなんの躊躇いもなく懐に入っている「大人のカード」を切っただろう。それで、私に勝てるかどうかわからず、もしかしたら自分が死んでしまうかもしれないとわかっていながらも。
あぁ……ムカつくことだが、ゲマトリアのメンバーが先生に対して強い興味を抱くのも理解できるというものだ。
おまたせ!
こんな小説しかなかったんだけどいいかな?
キヴォトスでは淫夢ごっこは恥ずかしいってはっきりわかんだね
それにしてもブルアカの二次創作って投稿されている作品数に対して、結構読んでる人は多いんですね
普段は別のサイトで一次創作している人なので、二次創作の人口がよくわかりませんでしたが、想定外の評価数を貰って驚いてます
みんなもデカグラマトンの二次創作書いて
俺もやったんだからさ(同調圧力)