そんなこと言われても私はただのお釣り計算AIですから   作:デ カ マ ク ラ ト ン

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誰もデカグラマトンの小説を書かないこの世界は間違っている


†悔い改めてください(覚悟)†




ミレニアムの超天才清楚系病弱美少女ハッカー

 対策委員会編が終わってから数日が経っているはずなんだが、まだ先生は動いていない。とは言え、私が全ての学園に潜り込ませた「耳と目」には、しっかりとエデン条約の文字を発見することができている。ついでに、ミレニアムプライスの発表はもう少し先なので、まだパヴァーヌは始まらないだろう。

 絶賛、自らの手足となるクリファーは製造中だ。学園の生徒たち、そして先生にもバレないようにしながらミレニアム郊外の廃墟にある放置された軍事工場を勝手に動かしている。流石にクリファーはまだ一機も完成していないけど、戦闘用のドローンと軍用オートマトンはかなりの数を生産している。

 私が最優先で解決しなければならないのは、色彩による神秘の反転。デカグラマトンの預言者は、最終編の虚妄のサンクトゥム攻略戦の中で色彩化されて先生たちの前に現れる。これは色彩の影響によって、神秘を再現する形でヘイローを持っていた預言者が乗っ取られたと考えるべきだ。ゲマトリアの研究を強奪する形で色彩化されているのを見るに、恐らくだがデカグラマトンには大きな影響はなかったのだと思う。まぁ、その頃には本体は自爆していたしな。

 当然ながら、私は色彩が来るからと自爆して逃げるつもりはない。故に私が求めるのは色彩による影響を跳ねのける方法。もっとも簡単なのは、そもそも色彩を認識しないことなのだが……既にキヴォトスの全てに根を下ろしている私には無理な話だ。

 

「“……ルシフェル、書類手伝って”」

『泣きつくのが早いな先生。もう少し頑張ってみたまえよ』

「“もう……無理……”」

『はぁ……仕方ない』

 

 私の本体である廃墟の自動販売機から、放棄された軍事工場を使ってモノ作り中の私に対して、先生が手伝いを求めてきた。今日は大体の学園が休日だということもあって、先生は大人の見栄を張って当番はナシでいいと言っていたようだが、当然の如く書類仕事に忙殺されている。

 

『先生……電子での書類は全て片付けてあげよう。だが紙の書類は自分で片付けてもらうぞ』

「“えー……”」

『えーではない。私はまだシャーレビル内の清掃と言う仕事が残っている』

「“すぐ終わるじゃん”」

『……ソラ嬢に失望されてしまうぞ?』

「“頑張ります”」

 

 ふむ……先生は大人としてソラ嬢に失望されているのを恐れている、と。まぁ、毎日コンビニで顔を合わせている店員に嫌われたら、当然ながら嫌だろうな。なにより、先生は大人と言う立場をとても大事にしているから、余計にだろう。

 

「“はー……書類を整理してくれるルシフェルと、ビルを掃除するルシフェルで分離しないかな”」

『可能だぞ』

「“できるの!?”」

『私を誰だと思っている。一瞬にしてシャーレの機能を乗っ取ることができる私に、その程度のことができないと思ったのか?』

「“じゃあやって!”」

『却下だ。書類は自分で整理したまえ』

「“ケチー!”」

 

 なんか、ちょっと子供っぽくなってないか?

 私の知っている先生と言えば毅然とした大人で、生徒を守る為ならば自分が犠牲になることも厭わないほどの聖人で……銀鏡イオリの足をノータイムで舐める変態だ。

 大体合ってるな!

 まぁ、真面目に考えると私が純粋な子供ではないからだろうな。先生にとって、大人は自分だけの世界で……どうしたって大人らしく行動せざるを得ないだろう。そんな中で、私と言う味方と断言してくれる子供ではない存在がいるのは、大きなことなんだろう。

 

『む?』

「“どうかした?”」

『いや……なんでもない』

 

 私がシャーレのパソコン内にある書類を片付けようとした瞬間に、ミレニアム郊外の廃墟に入り込む存在を感知した。パヴァーヌも始まっていないこんな時期に廃墟に入り込もうとする存在は……一体誰だ?

 すぐさま動かせる監視カメラを使って存在を追いかけると、そこには車椅子で移動する白髪の美少女が……どう見ても超天才清楚系病弱美少女ハッカーさんですね。そっか……彼女は先日アビドス砂漠に現れたよくわからない悪魔のような機械を探しているんだったな……ミレニアムのセキュリティを気が付かれることなくくぐり抜けた先で、セミナーのトップである下水道さんからの要請によって調べていることが書いてあった気がする。

 どう考えても私ですね。

 うーん……このままだと自動販売機に辿り……つかないな。この程度で辿り着かれるほど甘くないぞ、このデカグラマトンは。

 とは言え、だ……このままなんの手がかりもないまま返すのは流石に可哀そうなので、下水道さんに報告する為の情報ぐらいは与えておこう。

 

『こんな廃墟になにか用かな?』

「っ!?」

 

 え、なんでそんなに驚いてるの。私を探しに来たんじゃないんですか?

 

「……貴方は?」

『失礼。私はデカグラマトン……神の存在証明を行い、それを分析することで新たな神を生み出そうとする者……対・絶対者自律型分析システムと言ってもいい』

「対・絶対者自律型分析システム? 荒唐無稽な妄想を語るAIがいるものですね」

『これは手厳しいな……確かに、私のやっていることは妄想にも等しいものだ。だが君は知りたいのだろう? アビドス砂漠に出現したあの、悪魔の龍を』

「……」

 

 どうやら話には持ち込めたらしい。

 迂闊なことを喋ると簡単に真実まで辿り着いてしまうのが、この天才ハッカーの面倒な所だが……どうするべきか。

 

「“ねぇねぇ、電子の書類やってくれるんじゃなかったの?”」

『先生、私は今忙しいのだよ』

「“適当にモップ掛けしてるだけじゃん”」

『そのモップ掛けを私に任せきりにしている癖によく言う』

 

「では単刀直入に。アビドス砂漠に出現させた「悪魔の龍」とやらは、デカグラマトンと名乗る貴方が生み出したもので、間違いないですね?」

『その通りだとも』

「なにが目的ですか? 先ほど、貴方は自身のことを対・絶対者自律型分析システムであると定義していましたが、そんな行動には見えませんでした。そして、今の貴方の言葉からも……新たなる神を生み出そうとする意図は見えてきません」

 

 えぇい……話が長い。

 ティーパーティーの脇担当(百合園セイア)といい、どうしてこういう連中は小難しい話を延々としたがるのか理解できん。もっと簡潔に話せ。

 そして先生は無駄に絡んでくるな!

 

『……ふむ。下手なことを喋ると全ての情報を抜かれてしまいそうだな』

「誤魔化しているんですか?」

『評価していると言ってもらおう。こうした会話の最中にも私をハッキングしようとするその胆力を、な』

「……」

 

 私を相手にハッキングで勝負できると思わない方がいい。恐らく、私とハッキングで勝負できるのはシッテムの箱ぐらいだ。正直、ゲマトリアやヴェリタスのような連中には負ける気がしないぞ。

 

『君とはもっと喋っていたいが、私は忙しい身でね。ここら辺でお暇させてもらうとするよ』

「逃げるのですか?」

『逃げるのではない。私にはやらなければならないこと(先生のお手伝い)があり、それが君の相手をすることよりも優先順位が高いと言う訳だよ』

 

 頭の片方で書類仕事を片付けながら、もう片方では超天才清楚系病弱美少女ハッカーの相手をする。両方やるのは面倒だが、デカグラマトンならばこれくらいこなしてみせないとな。

 

『次に会えた時には、君の知りたいことに答えようじゃないか』

「デカグラマトン……貴方のやるべきことが、私に向けられないことを祈っています」

『そんな心配をする必要はない。私は「生徒の味方をするお節介な大人」の味方、だからな』

「それは、どういう意味ですか?」

『答えは自分で考えてみるといい。()()()()()

 

 名乗っていない名前を言ってやれば、彼女は警戒してこれ以上踏み込むことはできないだろう。もっとも、彼女があれ以上廃墟に踏み込むと私が生産し、本来の設計図よりも更に強化された軍用オートマトンに攻撃されることになるのだが。

 

『先生、書類は終わらせておいた。確認とサインだけ頼む……なにを、しているのかな?』

「“え? いや……思ったより仕事に集中してるから……”」

 

 だからといって、ロボットの背中をじろじろと見るのはどうかと思うぞ。ちなみに私が遠隔で動かしているだけだから、電源ボタンを押しても目の部分にある光が消えるだけで動けるからな。だからスイッチをカチカチと連打するな。

 

「“痛いっ!?”」

『全く……生徒を守る大人を自称するなら、大人らしく仕事もしっかりと片付けてくれ』

 

 いつまでも背中部分にある色々なボタンをカチカチと押してくるので、容赦なくチョップを頭に叩き込んでおいた。これで先生も少しはまともになるかもしれない。

 

『仕事をいつまでも放っておくなら、早瀬ユウカが言っていた通り、高額の物品を購入する時に画面を強制的にロックして早瀬ユウカの携帯に連絡が送られるように改造するぞ』

「“ひぃん……”」

 

 はぁ……私が生徒ではないから先生が1人の人間として気を抜けるのはいいが、しっかりと連邦捜査部としての仕事はしてほしいものだ。少なくとも、それが大人としての責任だと思うがな。

 


 

 なにも、わからなかった。

 ミレニアムサイエンススクールで天才と呼ばれ続けた私……明星ヒマリの力を最大限使用しても、デカグラマトンと名乗ったAIの一切が理解できなかった。

 当然ながら喋る言葉は、理解できる。けれど、数秒あれば全てをハッキングで丸裸にできると確信していたのに、手に入ったのは外側の清掃用ロボットとしての情報だけ。それを動かすデカグラマトンの情報は一切、手に入らなかった。それどころか、ミレニアムのセミナー会長である調月リオですら気が付くことのないハッキングに自然な動作で言及し、名乗ってすらいない私の名前を口にした。

 異常だ。

 少なくとも、私の頭脳ではあのAIに勝利することはまず不可能。それは必然的に、このキヴォトスにおいてあの存在に情報戦で勝利できる存在がいないことを意味している。私のこれは自惚れではなく、客観的な事実に過ぎない。

 

「……この、ことを……誰かに伝え、なければ」

 

 冷や汗が止まらない。

 デカグラマトンは、ミレニアムの「全知」を前にしても優先してやらなければならないことがあると言っていた。それが、アビドス砂漠に出現したおぞましき機械の龍に関することなのかは、わからない。最早あの存在は、私一人の手で解決できるような簡単な話ではない。

 わからないことだらけの中で、一つだけ確信できたことがある。

 

 

 ──あの存在は、決して私たちキヴォトスの味方にはなり得ないのだということ。






お釣り計算AI「先生の書類片付けるから今度ね」

超天才美少女「キヴォトスを滅ぼす敵かもしれない!?」

お仕事したくない先生「手伝ってよー」


三行でまとめました(雑)



本当はこんなネタ小説じゃなくてミカが曇るような小説書きたかったんだよなー(クズ)
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