超昂大戦SS 極限バトル! ルビーVS最強の超昂戦士たち   作:環 藍河

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※時間軸は原作第2部11章(ノロイ討伐&抜け忍騒動)直後です。ネタバレ懸念の方はご注意を。
※悲鳴や出血を含む、痛いバトル描写を含みます。R-15Gのような指定は致しませんが、苦手な方はご注意を。


第1章 決意の挑戦! 超昂戦士エンドレスバトル・開幕!

閂市を恐怖に叩き落としたノロイの夜襲から数日。街の復旧や戦士の回復は緩やかに進み、擾乱の爪痕が癒えつつある。

 

そんなある日、司令室では。

 

「…あれを、今度は君がやる、ということか。」

「はい。あの日私が受け止めた思いに、私なりの答えを返したいんです!」

「前々から考えていたんだな。」

「はい。まだまだの私ですけど…。」

くすっ。

「ノロイ討伐でも活躍した君に…エスカルビーに『まだまだ』なんて言われたら、他の戦士がヘコむんだがな。

わかった。ダイビート長官として許可する。相手は俺が組んで、当日発表する。…それでいいな?」

「はい! 本気で私を倒しに来る相手を選んでください! お願いします!」

 

 しゅいいん。

「失礼しました!」

 

園崎アカリは一礼すると、司令室を後にした。

……

 

「というわけで、アカリの特訓志願を受理した。ユーノ、俺がリストアップする戦士との調整と、トレーニング室の予約を頼む。」

「…やっぱりアカリちゃんは、目標が高いのねえ。頼もしいことではあるけど…。」

 

ノロイ戦の疲労が残るのは、アカリも…ルビーも同じこと。ましてやエンジェリックエスカレイヤーと共闘しての対ノロイ空中戦は、誰もが息を呑む激闘。

あのダメージがものの数日で抜けるはずもなく、自分のコンディションも万全とは程遠いはずなのに、特訓志願とは…。

 

「体の疲労は仕方ないとして、せめてルビーにはD2エナジーは万全にチャージするのよ、いい?」

「…あっ。」

ただでさえトキサダは、ノロイ戦と抜け忍追討劇で淫力を使い果たした閃忍たちの龍輪功に忙殺される日々。

「…ルビーも大事だけど、自分が倒れないことが最優先よ、トキサダ?」

「…特訓日を1日、後ろにずらしてくれ…。」

 

……

 

《只今から、特別訓練を開始するわ。

挑戦者・エスカルビー、入場よ。》

 

  わああああ…っ!!

 

ユーノのアナウンスが口火を切るように、ダイビート基地・トレーニングルームのギャラリー席は、かつて無い熱気と静かな昂奮に包まれる。

 

  たたたたたっ…ばっ!

 

主役がリングに駆け出し、全力のジャンプで大舞台の中央に降臨する。

 

「紅蓮の光は不滅の炎!

超昂戦士エスカルビー、試練の舞台に只今参上!」

 

  どよっ…!!

 

《ルールを説明するわ。

これから対戦相手が交替で、ルビーと1対1の組手を繰り返します。

ルビーにとっては勝ち抜き戦。相手を倒す有効打を1本取れば次の戦士と対戦よ。

ただし逆は無し。ルビーが有効打を何本取られても、そのまま対戦は続行します。

つまり、この特訓の終了は、ルビーが全勝するか…ルビーがギブアップするか、戦闘不能でドクターストップになるまでよ。》

 

  ざわっ…!

 

「…うげえ~っ、無いわあ、コレ…!」

「解説のライカさん、その心は?」

「いや、どう考えたってフツーじゃないでしょ!

これからルビーさんひとりに、次から次にダイビートの超昂戦士が襲いかかるって! 

ただでさえルビーさんにマッチメイクできる時点で、一人ひとりが七閃級のブッ壊れチート戦士でしょ! それが何人来るかわからないエンドレスマッチって!!

しかも、たとえ頭領命令だったって拒否って逃げるこんな特訓、ルビーさん自身が望んで志願したってゆーのよ!!!

何なのあの人、バカなの? ドMなの?! 

それともイノリ、あんただったらやるの?! こんな死亡確定のバトル!」

 

「むう…面白そう!」

 

  がくっ。

 

(ああっ…ダメだ、コイツも頭の中が人外魔境だ。)

 

「まあ、ライカにはわからずとも、やむを得まい。」

「イノリにしても、こやつが本当に解っているかは疑念が残るでござるがな。」

 

「えっ…!?」

いつの間にか2人の隣に陣取るは、閃忍スバルとムツカ。

「お…お二方も観戦ですか?」

「ああ、こんな後世まで語り継がれる戦を見逃したら、後悔しても悔やみきれぬさ。」

「スバルー、じゃあスバルにはわかる? びしょうじょは死ね!」

「ああ…前日譚があるのさ。エスカルビーが限界を目指す、果てなき道の第一歩が。」

(…それって…?!)

 

 「皆さん!」

 

  しい…ん…。

 

戦いの舞台中央に駆け下りたルビーが、ギャラリーにはつらつと語りかける。そのひと声に、聞き逃すまいと誰もが固唾を呑む。

 

「今日は私のワガママに協力してくださって…感謝します!

実はまだ私、対戦相手にどんな人たちが組まれているかを知らされていません。長官にお任せして選んでもらっていますから…きっと凄い人たちが来るんでしょう。

…でも、どんなにボロボロになっても、皆さんに不甲斐ないバトルを見せないよう、精根尽き果てるまで全力ガッツで戦います。

どうか応援、よろしくお願いします!」

 

  わあああーーーっっ!!

 

ルビーの決意表明に、ギャラリーが沸く。

 

  ビィーーーッ!

 

『第1戦、対戦相手…前へ!』

「あっ…!」

 

  おおおおーーーっ!?

 

真珠の閃光がリングに迸り、紅の輝光と対峙する。

闇夜を切り裂くドッグファイトで、ノロイさえも打ち払った2つの輝きが、いま激突する。

 

「初戦は私よ、ルビー。」

「エ…エスカレイヤーさん!」

 

初戦にして最強の…レジェンド超昂戦士。

アカリに戦う決意を与えた、すべての出発点。

この後に幾多もの強敵を控えるであろうルビーだが、この人が相手では…体力温存など望むべくもない。

 

「ルビー、これって私の特訓の後追いだよね?」

「はい! あの日エスカレイヤーさんが見た世界を…私も見たいんです!」

 

(…えっ…?)

いざ戦わんと正対する2人のやりとりに、察したライカは。

「スバル様! …エスカレイヤーさんも、この特訓を…?」

 

「巴懸りの行。」

「え…ええええーーーっ!?」

スバルの答えに、ライカが素っ頓狂な奇声で返す。

「かつてエスカレイヤーは、私達…ハルカとナリカと私の3人を相手に、あの荒行をやり遂げたのさ。立会人はエスカルビー。」

「…ほほう。そして今度はルビー殿が、と…。剣呑、剣呑。」

「あ…アホだらけだあああーーーっっ!!」

「?」

巴懸りの行…歴代の想破上弦衆でも選ばれた者だけが挑むことを許された、秘中の秘ともされる特訓。

その苛烈さを直に知るムツカはもとより、噂に知るだけのライカさえも、半狂乱に。

置いてけぼりのイノリは憶測するより無かったが…。

 

「つ、ま、り。

ルビーは私に追いつけると思ってるんだね?」

「うっ…そんなつもりでは…!」

「もうっ! だったらその自惚れ、私の全力で叩き直してあげますっ!」

「望むところです! 私はいつでも全力フルパワー、ですから!」

「うん! ルビーの全力と私の全力、どっちが上か…勝負よっ!」

 

  カアァーーーン!

 

「たああああーーーっ!」

「はあああーーっ!!」

 

ゴングを擬した試合開始のブザーと共に、2色の弾丸が撃ち放たれる。

弾けるダッシュの中、ルビーは握る右拳に、エスカレイヤーは構えるパルシオンに勝利を誓い…

「ええいっ!」「やあっ!」

 

ディストバーン、オルタナスタイン、ノロイ…

数多の敵を打ち砕いた、誇りと誇りが激突する。

 

  ばきいいいんっ!

  がきいんっ、かきいいいんっ!!

 

「ぐううっ!」「くうっ…!」

 

リングに描かれる2色の軌跡は、まるで精密なからくり時計のよう。互いに激突しては弾け、駆け寄っては撃ち放つ剣と拳とが共鳴する。

セイバーモードのパルシオンは、鋼鉄をもバターのように切ってしまう、エスカレイヤー自慢の剣。

だが、交錯する拳もまた、パルシオンの援護を乗せ、エスカルビーが磨きに磨き上げた最強のナックル。

その鋭利に怯まず、ルビーの一撃はエスカレイヤーを僅かに押し返していく。

 

(行けるっ!)

どちらともなくピッチを上げ続け、攻防のリズムはもはやロックのビート。軸足を移し、追撃で一気にたたみかけようとルビーが踏み込む。

(くっ…!)

 

  しゅっ。どぼおっ!

 

 「あがああっ!

  …か…はああ…っ…!!」

 

時が止まる。

ニーキックが、優位のはずのルビーの、腹部の急所ど真ん中を正確無比に捉えた。

ヴァーミリオンレッドのレオタードを深くえぐり込む、ダンプカーさえスクラップに変える威力の蹴撃。リングには、ルビーの胃袋が腹筋ごと押し潰される鈍い音と…お腹と肺から一滴残らず絞り出したかのような、ルビーの呻き声が響く。

 

セイバーが拳に押されていたのではない。誘い込んでいたのはエスカレイヤーだった。狙い通りのカウンターで、ひざ蹴りを後輩のみぞおちに叩き込む。

 

ルビーの上体はジャックナイフのように折れ曲がり、両足が重力を失い、地面から離れる。

涙混じりに目を見開くルビー。苦悶の表情は上下に揺さぶられ、こじ開けられたかのように拡がる口からは飛沫が舞い散る。

 

 「あうっ…ぐふっ…。」

 

自らの踏み込みでダメージを倍加させてしまったルビーはよろめきながら後ずさる。その目はうわずって焦点を失い、意識が一瞬、闇に落ちる。

 

 「はああっ!」

 しゅるっ…がしいいいっ!

 「えっ…あっ、あああっ!!」

 

崩れる体を支えようと、ルビーが無意識に右脚を横に出した瞬間、もう一つのパルシオンモード…リボンがルビーの最強兵器をパールホワイトのブーツごと絡め取る。

 

 ぎりぎりぎりっ…ぶんっ! 

 「あっ…ああっ、きゃああーーっ!」

 

防御と反撃の要である右脚をパルシオンリボンに支配されたルビーは、最早エスカレイヤーのおもちゃも同然。

指揮者のタクトがクライマックスを告げるかのような、パルシオンの激しい一振り。ルビーは真っ逆さまに一本釣りされ、体が虚空を舞い泳ぐ。

 

 しゅるしゅるしゅるっ…ぎしいっ!

 「ぐっ…うっ、うあああ〜〜〜っ!!」

 

 「サブリミット…!」「ああ…っ!」

 ぎりぎりぎりぎりっ…

 

 「エスカレーションっ!」

 

 ぱああーーーーんっ!!

 「うあああーーーーーっっ!!」

 

重力を失い、防御を取れないルビーを全身螺旋に包む、美しいリボンの演舞。だが次の瞬間、その虹は猛獣をも引き裂く恐るべき刃と化す。

空中遊泳のまま雁字搦めに囚われたルビーに、反撃の術は無い。絶望のまま縛り上げられ、収縮するリボンに締め上げられ…

エスカルビーはそのまま、パルシオンの縛鎖の餌食となった。

 

小型爆弾のゼロ距離爆発にも匹敵する衝撃に、ルビーは両腕両足ばかりか、両胸、腹部、絶対領域…全身をぐしゃりと潰される。

ルビーにできたことは…頭から両足首まで「びくんっ!!」と仰け反らせ、動く喉と口でありったけの悲鳴を放つだけだった。

ルビーの戦闘服はD2エナジーから生み出される堅固な防御力で主を守り抜くが…レジェンド超昂戦士の必殺技までは防ぎきれない。

爆風の中心でルビーは…薄れる意識の中で改めて、憧れの超昂戦士の凄まじさと恐ろしさをその身で思い知らされる。

 

  ぐしゃっ。

 

 ビイーーーッ!!

《エスカレイヤー、1本先取!》

 

  ぐぐっ…がくっ。

 

  …がくがくがくっ!

 「うぐっ…ううう…っ!! …ああっ…。」

 

これが初戦とは思えない。

戒めから解き放たれて頭から墜落し、腹這いで両手足を広げるルビー。

すぐさま立ち上がるも…苦痛に表情をゆがめ、両脚は震え、上体を支えるので精一杯。

早くも満身創痍のエスカルビー。だが、これすらも地獄の特訓の入口に過ぎなかった…。

 

【続く】




筆者の環藍河です。毎度の方もお初の方も、お立ち寄りありがとうございます!
超昂大戦SS・通算31作目。今回は長編シリーズでバトルものをお届けします。
要は紅白戦・ドリームマッチですが、まだ完結まで準備ができておりません。
ええ、見切り発車で第1章をお届けします。
途中が難産になった場合、投稿が2~3日空きますので、その際はどうかお待ちください。

原作はイベント「真夏のクルーズSOS」で涼しげなバカンスモードですが、こちらは熱く汗飛び散るバトルカーニバルとなります。
執筆頑張りますので、乞うご期待。読者の皆さま、よろしくお願いします!
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