超昂大戦SS 極限バトル! ルビーVS最強の超昂戦士たち   作:環 藍河

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第2章 翼に向かって撃て! ルビーVS始まりの超昂戦士

 「は…はぐっ…!」

 ぐぐぐっ…がくっ。

 

エスカルビーが志願した特訓は、一対一のエンドレス勝ち抜き戦。だが、その緒戦はルビーの師とも呼ぶべき最強の超昂天使・エスカレイヤー。

鍔迫り合いのスタートダッシュから、紙一重の差でエスカレイヤーの一撃がルビーのボディを撃ち抜き…サブリミット・エスカレーションがルビーの全身を切り裂く。

頭から墜落し、ボディブローからのコンボダメージを五体に刻まれたルビーは…

 

 (い…一瞬の、隙だけで…。

  ダメージごっそり…もらっちゃった…。)

 

突っ伏し、エスカレイヤーの戦闘巧者ぶりに舌を巻きながらも、反撃の闘志を新たに燃やす。

 

 (はあっ…はあっ…)

 

一方、先手の一本勝ちを奪い、更にルビーを追い詰めるエスカレイヤーの表情に、慢心や油断は無かった。

 

 (ルビーの踏み込みがあと少し速ければ、膝蹴りもかわされて…

  こっちがストライクエスカレーションでやられてた…。)

 

紙一重、刹那の一挙手一投足が、栄光の勝者と惨めな敗者を分ける。百戦錬磨のエスカレイヤーだからこそ、勝負の非情を誰よりも解っていた。

追い詰めた敵ほど…まして手負いのエスカルビーほど恐ろしいものはない。

まだ…とどめを刺していないのだから…!

 

  だだだだだだっ!

 

「やああーーーっ!

 はあっ! やっ! とおおっ!」

 

  がすっ、びしっ、どすっ、どがっ…!

 

「くううっ…あぐっ、ぐううっ!」

 

だからこそ、全力で倒す。可愛い後輩だからこそ、その勇気とガッツを、全力で折りに行く。

俊敏性の鈍ったルビーに、容赦なく追撃をかけるエスカレイヤー。

セイバーをかわされても、ハイキックで、エルボーで、左のナックルで。

先輩の猛攻に防戦一方、ガードの上からじりじりと体力を削られ、脚を止めてしまうルビー。

 

がすっ! ばきっ! どすっ!

「うっ…! ぐふっ…かはあっ…!」

 

遂にルビーのガードは綻び始め、かい潜るエスカレイヤーの左拳が頬を、ローキックが震える右脚を、ミドルキックが左脇腹を、そしてリボンが鞭となってルビーの肩を、両胸を、両腿を打ち据える。

軽々と繰り出す攻撃も、その一つ一つが超昂戦士のパワーを乗せた重量級。何十キロものハンマーの打撃に匹敵するエスカレイヤーの拳が、蹴りが、逃げ場なくルビーを打ちのめす。

 

…がくっ。

「かはあ…っ、…は〜っ、は〜っ…」

防戦一方の紅き超昂戦士が、いよいよ限界を覗かせる。握る両拳でギリギリのファイティングポーズを保つも、肩で息をするたびにツーサイドアップが弱々しく震え、全身からしたたる汗を雫と振りまく。

 

(…決めるっ!)

湧き上がる確信に、エスカレイヤーは地を蹴り、華麗に飛翔する。

(私の最大火力で…ルビーを倒すっ!)

 

 「ビートエンド・エスカ…」

 

 「はあああーーーーっ!!」

 (なっ…!!)

 

エスカレイヤーも、見落としていた。

ガードの両腕の向こうでも、ルビーの翠の両眼は輝きを失うどころか…!

 

 「いけええええっっっ!!!」

 がすっ!!

 「くはあああーーっ!!」

 

闘志を滾らせ、エスカレイヤーへの反撃をじっくりと狙い、爛々と煌めいていたことを。

 

類い稀なる全身のバネにパルシオンの爆発力を乗せて放つ、ルビー渾身のアッパーカットがエスカレイヤーの左顎を撃ち抜いた。

 

 

高く舞い、振り下ろすセイバーと共にありったけのエナジーを叩き込む、エスカレイヤー最強の必殺技…ビートエンド・エスカレーション。

その獲物と狙われた相手は、空駆ける超昂天使が放つ絶大なエナジーの翼に、身ばかりか心まで魅了される。

FM77、ガレイズ、プレスバーン…ダイラストの数々の悪が、一歩も動けないまま自らの命運尽きたことを悟り…この技の前に倒れてきた。

 

だが…翼の虜となったはずの紅き超昂戦士は、怯まず、恐れず、その胸に飛び込んだ。

一歩間違えば、その拳を肩から腕ごと断ち斬られ、たとえダイビートの医療技術で繋ぎ直そうとも、武器を正面から粉砕されたルビーの心は…きっと、ずたずたに裂かれていただろう。

脳裏に本能で浮かぶ恐怖を、ルビーはそれ以上の戦士の本能で自ら封じ込めた。

そして掴み取ったのは、エスカレイヤーの顎を撃ち抜く逆転への一撃。

 

 ぐらっ…。

 「あ…ああっ…」

 だだだだっ…!

 

 顎から上半身ごと揺さぶられ、体幹の支柱を失ったエスカレイヤーに、チャンスを逃すまいと今度はルビーが追撃する。

 

 「ストライクーーっ!!」(しまった…!)

 ばしっ、どぼっ!

 「あああっっ!!」

 

初めの右・左のハイキックにさえ耐えきれず、全身を空へ持っていかれるエスカレイヤー。

だが、ここぞと勇んだルビーの蹴撃は激しく…エスカレイヤーを浮かせすぎた。

背面跳びからオーバーヘッドで叩き込むいつものストライクエスカレーションでは、打点が高すぎて威力が殺される。

 

ルビーは一瞬思考し…ここから撃ち込める、エスカレイヤーに最大のダメージを与える蹴撃を組み立てる。

 

 ざっ!(なっ…!)

 

ルビーが床を蹴り、飛び込んだのは…空中のエスカレイヤーではなく、その真横の壁。

ターゲットと高度を揃え、壁をさらなる踏切板として繰り出す超ハイジャンプが、荒鷲のように獲物を捉え…

 

 「エスカレーションっっっ!!!」

 どしゅっ!!

 「きゃああああーーーっっ!!」

 

天使よりも、さらなる高みへ。

カクテルライトと重なるルビーの飛翔は、見守る誰もが心奪われる煌きを散りばめて…高く、高く。

 

 どしゃっ。

 「ぶっ…くはっ…!」

今度は、最強の必殺技を正面から打ち破られたエスカレイヤーが墜落する。

胴体は床に叩きつけられ、パルシオンごと横たわる。その食いしばる口元からは、噛み殺しきれない嗚咽が漏れた。

 

 ビィーーーッ!

 《そこまで! エスカルビー、勝ち抜け!》

 わああああーーーーーっ!!

 

エスカルビーは大先輩への恩返しを成した。

 

 (はあっ…はあっ…かはっ…!)

 

獲物を仕留め、雄雄しく大地に降り立ったルビー。

そのまま天に拳を突き上げるかと思いきや…

「エスカレイヤーさんっ!!」

「くっ…うう…!」

いま倒した最強の敵に、泣き出しそうに駆け寄る。

脳震盪に意識を奪われかけ、倒れ伏すも…全身の衝撃を振り切り、何とか再び起つエスカレイヤー。

「す…すみませんでしたっ!」

「何言ってるの、真剣勝負よ。

…あ〜あ、1勝1敗かあ。もう3勝は挙げないと先輩としてカッコつかないんだけど…ねっ。」

 

そのまま立ち上がり、エスカレイヤーはリングを後にする。

「あ〜っ、悔しいっ! 悔しいけど…!

こうなったらルビー、私以外に負けたら許さないからねっ!」

茶目っ気混じりの捨て台詞を…成長した後輩への称賛と、この後の健闘を祈るエールを残して。

 

……

 

 ビィーーーッ!

《第2戦、戦士、入場完了よ。》

(…えっ?)

 

ルビーは慌ててリング中央を振り向くも、誰もいない…?

 

  カアァーーーン!

 

 ざくっ、びしゅっ! ずばあっ!!

「ぐう…うっ!? …くはあーーーっ!!」

 

 ざわっ…!

 

ルビーしかいないはずのリング。

だが響くのは、ルビーを背後から切り裂く爪の奏でと、なすがまま斬られるルビーの悲鳴。

 

「なっ…何っ!? 何が起きてるの!?」

「むう…見えず、わからず。」

「案ずるな、拙者にも認識できない。」「然り。」

 

ライカはともかく、ルビーとも互角に戦えるイノリや、百戦錬磨のレジェンド閃忍・スバルとムツカにも。

ダイビートの精鋭・オーディエンス全員が…事態に狼狽え、眼前の有り様を疑う。

 

そこに確かにいるはずなのに、目には見えない新たな敵は…面白いようにルビーを左右から、下から上から、ときに正面からも撫で斬りにしていく。

 

ざしゅっ! ずしゃっ! すぱあっ!

「うっ…うわっ! あああっ!

 …うわあああーーーーっっ!!」

 

初戦で消耗しきったルビー。

だが、休む間も無く次の地獄が門を開け…恐るべき不可視の門番が、ルビーを嬲りにかかっていた。

 

【続く】




作者です。第2章、お届けします。

今回のダイビート紅白戦では、絶対に「誰かをカッコ良く描くために、他の誰かをオトす描写はしない」つもりなのですが…上手くいっていなければ、筆者の未熟と不徳の致すところであります。
少なくとも僕にとっては、エスカレイヤーとエスカルビー、どちらも大好きで、どちらもカッコ良く描きたい気持ちです。そこに嘘偽りはありません。

※その観点からでも、他の視点からでも構いませんので、ご感想を賜れば次への反省材料に致します。

それでは、第3章・謎の敵(バレバレ)との第2戦にもご期待ください。
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