超昂大戦SS 極限バトル! ルビーVS最強の超昂戦士たち   作:環 藍河

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※原作第2部11章(ノロイ討伐&抜け忍騒動)前後のネタバレ強めです。気にされる方はご注意を。


第4章 信じる正義のままに! ルビーVS漆黒の断罪者

不可視のケルベロス・こもりを辛くも倒し、ルビーが臨む特訓第3戦。

静かな闇討ちから始まった第2戦とはうってかわって、りるかの宣戦布告が続く。

 

「エスカルビー! あんたの正義を、私は認めないっ! 閃忍リルカとなった今も、それは揺らがない、あたしの信念なのっ!!」

「…りるかちゃん…!」

「このデスマッチで、あんたを完膚無きまでブチのめしてっ! あたしの信じる正義の形、あんたにわからせてやる!

 ルビー! あたしが間違ってるっていうなら、

その拳で示してみなさい! できないならあんたの正義は、あたしに潰される程度のヤワな代物ってことよっ!!」

 

……

「だあああーーっ!! あいつっ、まだ懲りてなかったああああっ!?」

「むう…アルティメット粘着気質。」

外法天時代のりるかの挑戦を退け、今は共闘する2人だったが…ライカは呆れまじりに驚嘆、イノリは驚嘆まじりに嘆息。

 

かつて、灰崎瑠璃を外法天に変えた…世の理不尽と、のさばる偽善への憤怒。

 (ダイビート…エスカルビー。

 惨めに嘆く市民を傍観する、偽善者たち…!)

 

ネオノロイ党党首・外法天りるかの行動原理と、彼女を衝き動かす憎悪の源。それがダイビートであり、エスカルビーだった。

 (だったら…私が実現してやる。

 見て見ぬ振りを許さない、真の正義を!

 この外法天が…ダイビートを、エスカルビーを成敗する!)

 

「しかるにあやつは…ルビー殿に襲いかかるも、結局はアメイズ殿とサファイア殿に制圧され、あるじ殿に力を奪われて、落ち延びたでござろう?」

「ええ、フツーはアレで終わりっスよ! あいつその後、リベンジマッチどころじゃなくなったし!」

 

りるかの正義は、堕天使カンザエルに心臓ごと引き千切られ、ノロイ復活の供物に奪われた。

その後、イノリにお手製心臓をねじ込まれ、トキサダのDチャージで脈を取り戻したりるかは、今は想破上弦衆の閃忍として、頭領トキサダのもと戦っている…。

 

「じゃあアレですか!? これってルビーさんの特訓第3戦に便乗した、あいつの泣きの1回!? 土下座もナシの!? 上から目線の!?」

「【閃忍に光堕ちしたからって、信念までダイビートに、エスカルビーに屈したわけじゃないわよー!】

…さしずめ、こんな心情であろうか。」

「イノリ…モノマネなら、も少し似せる意思を持とうか…?」

……

 

  カアァーーーン!

 

「一撃必殺! 外道焼身爆破光線っ!!」

「わっ…わああああっ!?」

 

  どごおおおおっ!!

 

ゴングを掻き消す最大火力の轟音で、ルビーの勝ち抜き特訓第3戦の火蓋が文字通り切って落とされる。

探りの小技も何もあったもんじゃない、いかにもりるからしい戦法。

 

「悪滅っ! 引導っ!! 成敗いっ!!!」

 ぶおんっ! ぐおおっ! ぶんっ!

出鼻からゲージ無視の必殺技連打でごり押し。

 

「こぉらあーーーっ! 逃げるなっ、自称正義のヒーロー!」

「む…ムチャ言わないでっ…こんなのっ、まともにっ、受けたら…!」

 

2戦分のダメージを引きずり、這々の体でりるかのビーム連撃をかわすルビーだが…。

 

 「たああっ!」

大振りの隙を縫って、反撃に打って出る。

距離を詰め、ビームを撃ちづらい間合いに入り、反撃のジャブを繰り出す。

 

 「ふんっ!」

 だっ…がしっ!

 「あぐっ!!」

 

だが…りるかは近接戦闘を受けて立ち、軍配を盾代わりにルビーの拳を防ぐ。

 

「おりゃああっ!」

 じゃらっ…がしいいっ!

 

「あ…っ!」

「それを待ってたのよっ!!」

 

軍配の柄から伸びる鎖を、ルビーの腕に一巻き。

そのまま引き込み…

 

「ちぇすとおおーーーーっっ!!」

「う…わあああーーーーっ!!」

 

  ぶおんっ! ずどんっ! 

「うぐううっ!!」

「もらっ…たあああーーっ!!」

 

引っこ抜くや否や、床に叩きつけ。

さらに大地に仰向けのルビー目がけて、フルスイングの軍配を斧のように打ち込む。

 

  ごぐっ。「あああーーーーっ!!」

 

とっさに右にかわし、脳天かち割りこそ防いだものの…こもりに締め上げられたダメージが回避を鈍らせる。

躱しきれず、軍配は背後の床ごとルビーの左肩を撃つ。

至近距離が幸いし、必殺技ほどのパワーはなかったものの、左腕は限界に追い込まれる。

 

「ちっ…そのまま頭で喰らえば長引かせないのに…うおっ!?」

「だあああーーーっ!」「ぐぼっ…!」

 

右肩を支点に下半身を引き上げ、ルビーのロケットキックがりるかの下っ腹に炸裂。

どうにか馬乗りのりるかを引きはがし、起き上がる。

 

だが…

「こんん、のおおーーーっ!!」

戦略ほぼゼロ、頭に血が上ったりるかは…

 

  どどどどどどどっ…ずどん。

 「ぐふっ…!」

突進し、タックル同然にルビーに体当たり。

 

 「止められる…もんかあああっ!!」

 「う…うあっ…あああーーーーっ!」

  だだだだだ…

  ぐしゃっ!

 「がっ…あはあーーー〜〜っ!!」

 

両足で踏ん張り、タックルに抗うルビー。

だがりるかはそのまま、ノーブレーキのダンプカーのごとく吶喊…!

ルビーの抵抗を馬力でねじ伏せ、そのまま淫力全開のスクラムで壁に叩きつけ…ルビーの五臓六腑をぺしゃんこに押し潰す。

 

 「がはっ…ううっ…」

 「もらったあああーーーっ!」

  がしっ…ぎりっ、ぐぐぐっ!

 「くはああっ! …あ…うああ〜っ!!」

 

とどめにりるかは、左手でルビーを喉輪で吊り上げる。改めてルビーの全身を藁人形のように壁に打ち据え、さらに右手の軍配を首筋へ。

押しては引き、ときにねじり上げ、のこぎりのようにルビーの喉笛を潰しにかかる…!

 

  ぎしっ…ぐりっ、ごりごりっ…!

 「くうっ…くああ〜〜っ!」

抵抗するルビーも辛うじて右手で軍配を止めるが、無理な体勢からのガードで、力がうまく掛からない。

首枷のように軍配に自由を奪われ、ルビーは壁に磔となる。

 

  ぐりっ…ぐりぐりっ、ぐぐぐ~~っ…!!

 「か…かはあっ…ああっ…!」

 

左肩の感覚は既に失われ、引きずられた全身は悲鳴を上げ…今やルビーの意思通りに動いてはくれない。

ハイネックのインナーごとルビーの細い首を絞め上げる喉輪と、左顎に喰い込む軍配。

絞首刑の執行、待ったなし…!

 

「どうしたあ、エスカルビー! やる気が無いなら、ハナから戦うなっ!!

これはデスマッチ、あたしはあんたをブッ潰すつもりって、言ってるでしょうが…!」

(て…手加減なんか、してないっ…。…でも…!)

 

ここまでルビーは、りるかに何一つまともに反撃できていない。

いつもなら大技をひらりとかわし、何度でも右へ左へ、拳を、蹴りを。…たとえ飢えた大熊であっても、ルビーなら削り抜き、たやすく仕留めるだろう…普段のコンディションならば。

 

だが、既にエスカレイヤーに全身縛り上げられ、こもりに切り刻まれ、自慢のフットワークをすり減らされたルビーには、いつもの戦法は不可能。

結果、躱しきれず捕まり、りるかのデタラメなパワーでねじ伏せられる。

左腕を壊され、いま首吊り台に架けられ…攻防のたびに濃くなる敗色。

 

 …ぴくっ、びくんっ、…どくんっ。

 (う…、…ううっ…、ぐうう〜〜っ!!)

  ぐっ…くぐっ…!

 

痙攣する全身を奮い立たせ、奥歯を食いしばり、力なく下へ伸びる左腕になけなしの力を入れて…懸垂のように軍配を掴む。

軍配を持ち替え、つかの間の自由を得た右のグローブを静かに、喉輪でルビーを吊り上げるりるかの左手から…奥襟へ。

地に着かず震えるブーツを、左斜め下へありったけ伸ばし、反対の足首のパルシオンに祈りを込めて…

 

 「やあああああっ!!」

 「ごぼはあっ!!」

 

一瞬の怒濤が、静寂を破る。

瀕死のルビーは、震える右手で上半身をたぐり寄せ、左膝をりるかの急所に叩き込む。翠のオーラをまとった蹴撃は、パルシオンの爆発力をこれでもかと乗せたニーキック。

りるかの両胸の谷間をルビーの鍛え上げた蹴撃が捉え、心臓を真下から叩き潰した。

 

 「あ…あがっ…!」

 

いかにノロイ由来の心臓とはいえ、超昂戦士の起死回生のキックをまともに受けては、ひとたまりもない。

ほんの数秒、白目を剥き泡を吹くりるかの、五体が、理性が、凍り付く。

 

 「げっ…げほっ、かはっ…、くううっ…!」

 

その一瞬は、ルビーが処刑台から逃れ、消えかけていた闘志に再び炎を灯すには、十分であった。

 

 「…行きますっ!」

 だっ…がっ、がつっ、ずどっ!

 「がっ! がはっ、あがあっ!

 …げぼっ…!!」

ダッシュからの右パンチ、左右のキックはロー、ミドル。動けないりるかを流れる連打で確実に撃ち抜く、ルビーの反撃。

 

 「たあああーーーっ!!」

 がすっ!! 「ぎゃっ!!」

 …どさっ。

最後は右のハイキック。

ストライクエスカレーションの口火を切る、ルビーの十八番が決まる。

連撃でぐらつくりるかは吹き飛ばされ、軍配ごと手足を明後日の方角に伸ばし、ダウン。

…が。

 

  びきっ! ずきんずきんずきんっ!

 「あああーーーっ!! あ…ぎっ…

  ぐううう〜〜っ!!」

りるかよりも大きな、苦悶の悲鳴を上げたルビー。

全力の右キックを放つために力を込めた左腕が…こもりとりるかに痛めつけられた左腕が遂に泣き叫び、追撃を拒んでしまった。

 

 よろっ…ぐらっ。

 「う…ぐっ…、〜〜〜っ!!」

失神しそうな激痛に、歯を食いしばるルビーと。

 ぐぐっ…ぐらっ、…がっ。

 「……、…うう~~っ…!」

這い上がり、首を二度、三度と振り直し、正気を取り戻すりるか。

 

序盤の全開ブッ放しもあって、りるかも虫の息。

だが連戦の疲労蓄積に加え、りるかのパワーをその身で浴び続けたルビーも、気力でやっと立っていた。

 

 「『はあ…っ、はあ…っ、はあ…っ…』」

双方が悟った。

次で決めないと、もう立てない。

 

……

 「エスカ…、ルビい~~っ!!」

 

手負いの狂気を孕み、軍配にありったけの握力を込めて構え直す。

 

「…りるかちゃん…。」

「次でえっ、決着だあーーーっ!!

あたしの信念、あたしの正義!! 全部、全部でえっ!!

あんたの…エスカルビーのエセ正義っ、糺してやるうううううっっ!!!」

 

手負いの猛獣が獲物を威嚇するような気迫とオーラで、腹の底から放つ怒声。

 

だが、何故だろう。

…今は敵のはずなのに。偽善者と罵るほど、憎まれているのに。

真っすぐで、打算も駆け引きも無い、師匠ゆずりのむき出しのハートで叫ぶ、りるかの最後通牒。

ルビーは…りるかを憎めなかった。

 

「もうごちゃごちゃ考えないわっ! エスカルビー、あたしの全力で…一発殴らせろおおおおっっ!!」

「…ふふっ。」

「なっ…何よっ!」

「私も…タダじゃやられないっ! りるかちゃんの全力、私の全力で上回ってみせるっ!!」

 

…とはいえ、りるかの一発は山ひとつ吹き飛ばすナパーム爆弾級。喰らったらひとたまりもない。

更に。

(…はあっ…はあっ…くっ…!)

左腕をぶらりと落とし、ファイティングポーズもままならないまま、呼吸を整えるのが精一杯のルビー。

もはや、万事休すか。

 

…否。ルビーの闘志はまだ消えず、逆転の一手を求めて思考を巡らせる。絞め上げられた酸欠と、疼く左肩に邪魔されながら。

 

(…どうする。りるかちゃんがどう来ても、喰らえば私の負け。

そして…たとえ逃れても、こっちも一撃を外せば…やっぱり負けだっ…!

左がきかない私が…キックに体を乗せられない今の私は、何ができる…?)

闘争本能と冷静のせめぎ合いの果て、ルビーは…

 

…ざっ。

「なっ…!!」

 

…ひざまずき、両手の平を地に着ける。

一瞬、命乞いの降参かとも見て取れた、その姿勢は…

 

「…あっ…!」

「りるかちゃん…行くよっ!!」

 

陸上短距離走のクラウチング・スタートの姿勢で、ゴールをりるかと狙い定めて構えるルビー。

それは…りるかへの一騎打ち宣言。

 

 (腕がダメになった、キックが全力で撃てなくなった私の、最大火力は…これだ。

 この一撃…、誰にも…防がせはしないっ。

 りるかちゃんにだって…殴り返させるもんかっ!!)

 

「じょ…っ、上等だあああーーーっ! エスカルビーっ、死んでも後悔するなあああっ!!」

逆上するりるかと対照的に…場の誰もが凍り付き、スタートの瞬間を見逃すまいとまばたきを止める。

 

 (On your marks.)ごくっ…。

 

 (Set…!)

 

  …ばんっっ!!!

 

「だあああーーーっ!!」「ふんっ!!」

誰も鳴らさない号砲を、誰もが耳にしたかのように。

真紅の弾丸がダッシュ一閃、漆黒の断罪者が裁きの軍配を打ち下ろす。

その決着は…?

 

……

 

 どごおおおおっ!!

「『〔《ぎゃあああああっ!?》〕』」

 

ハンマー投げのように吹き飛ぶ軍配が割り砕いたのは…ルビーの全身の骨ではなく、すっぽ抜けて命中した、ギャラリー席の防弾ガラス。

その裁きがルビーに届く、ほんの一瞬だけ先に。

スプリンターの捨て身の突撃は、処刑執行人のトルソーを捉えていた。 

 

 「ぐはああーーーーっっ!!」

 …どしゃっ。

 

ぶっつけ本番、エスカルビー初挑戦のダッシュアタックは…同じクラウチングから繰り放つ神騎キリエルの必殺技、アブソリュート・ストライクにも負けない、最高の威力で敵に突き刺さった。

 

きりもみで吹き飛ばされ、大の字で床に叩きつけられるりるか。

一方、駆け抜けたルビーは、勝者の雄叫びのように輝く右足首のパルシオンと対照的に、静かに…ゴールに呆然とたたずむ。追撃する体力も精神力も、そこには残されていなかった。

 

 ビィーーーッ!

 《そこまで! エスカルビー、3人抜き!》

 わああああーーーーーっ!!

 

(りるかちゃん…!)

精根尽き果て、駆け寄ることもできない。

それでも、執拗なまでのりるかの攻撃は、私への…エスカルビーへの憎悪の裏打ち。

うららから聞いた瑠璃の過去と、寄り添えないりるかの闇に、ルビーは哀しくうつむく。

 

 

 「…ありがとう、エスカ…ルビー…。」

 「…えっ?」

 

だが、誰よりもルビーを憎むはずの閃忍から返ってきたのは…照明灯を仰ぎ見ながらうそぶく、真逆の謝意。

 

 「…うん。全力でぶっ飛ばしてくれて…ありがとう。

 これで…吹っ切れるから。クソみたいな過去も、裏切られた屈辱も…、

 優しくて、誰より正義を知っているあなたを逆恨みする、ひどいあたしも…!」

 「…りるかちゃん…!!」

 

うららに庇われ、イノリとライカ、エスカチームに支えられ、日に日にダイビートに馴染んできたりるかは…。

それでも絡み付く過去に、道に苦しんでいた。

閃忍リルカの挑戦は…外法天に決別し、新たな自分を掴み取ろうとする、自分への挑戦だった。

 

……

 

 ビィーーーッ!

《第4戦、次の戦士…入場よ。》

 

りるかを救護室へ搬送し、再びルビー独りきりとなったリング中央。

アナウンスに応えたはずの超昂戦士は…駆け上がったとも降り立ったともわからない、目が追いつかぬほどの早業で…ルビーに正対する。

 

しゅっ…ずざっ。

「ルビー、次は私が手合わせを所望する。」

「…サファイア!」

 

立ちはだかるは、デビュー戦からルビーと苦楽を共にし、一緒に最強を目指し続ける…最高のチームメイト。

ルビーが常に背中を預けてきた戦巧者は、敵に回せばダイビートで最も警戒すべき刺客。

その蒼き超昂戦士が、本気でルビーを倒そうと対峙する。

 

「…うん、行くよっ!」

限界をとっくに超えたルビーだが…怖れよりも気後れよりも、武者震いに身を打たれる。

 

エスカチーム同門対決が、幕を開ける。

 




筆者です。お盆休みを2日いただきましたが、コミケ参戦していたわけではございません。
キャラクターブック、早く通販始まらないかなあ…わくわく。

第3戦は遺恨試合っぽくなりましたが、バトルは単純明快、読者さまにスッキリ楽しんでいただけて…いたらいいですねえ。
りるかは、ルビーの強敵としてガチンコ勝負できる(かつファイティングスタイルが前の2人と棲み分ける)相手を考えるうち、自然に浮かんだ次第です。
瑠璃とのギャップ、うらら譲りの直情径行…今後の原作でも楽しみにしてます〜!

今回は(も)お立ち寄りありがとうございます!
第5章はしばしお時間いただきます。
のんびり時々チェックいただければ幸いです。

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