気付いたら邪教の教祖でした。辞めたい。 作:雷来でんぐり返し
コマリ・イルダートベルンは俺にとって親戚の家の仲の良い友達。そんな感じだ。
訳あって家無し職無しの俺を拾ってくれたのが、その母親であるアカリさん。
それから俺はコマリに木剣でボコボコにされる毎日を送っていた訳だが、丁度宗教を立ち上げるのを機会に俺はその家を離れたのだ。
教会の建造や手続きの申請等、当時はカリンと俺だけがメンバーだったため、流石の俺も忙しかった。
そのため最後は
あれは俺が路上勧誘を行なっていた時、遠くから剣を携えた騎士らしき人物が数人近づいて来たのだ。
まさかこの路上勧誘が違法なもので、いよいよ年貢の納め時かと思った俺だった。
しかし、近づいてみるとその集団の中央を歩く騎士はどこか見た事のある美しい女性であった。
でもこんな怪しい宗教活動をしてる俺にこんな美人な騎士の知り合いがいるわけも無く、名前を聞いてびっくり。なんと昔俺が転がり込んだ家の一人娘、コマリであったのだ。
名前を聞くまでは昔のコマリとその姿が一致する事はなかった。俺の記憶の中のコマリと言う少女は口数が少なく、人との会話を苦手とする少女であった。
それが今や部下から慕われる騎士団長であると言うのだ。名前を聞いてから疑って、それから内心喜んだ。
夢であった騎士団入団より遥か先の景色、騎士団長になっているのだから。
俺は涙をボロボロ流して感動の衝動のままその手を握り、喜びを分かち合おうとしたのだが。
「貴方らの活動に対し、民間や一部貴族から疑いの声が上がって来ている…今後の活動、我々も注視をしたいと考えている。」
その言葉に俺の涙は引っ込んだ。
その声に久方ぶりの再会を喜ぶ感情は篭ってなく、代わりに届いたのは俺に対する懐疑の感情であった。
そう、久しぶりだと喜んでいたのは俺だけで、コマリの方は俺のことなんて覚えてないようで、無機質な声でそう言ったのだった。
俺は泣いた。感動じゃない方の涙で。
きっと俺がコマリと過ごした数年は、彼女の中では既に黒歴史扱いか、とんでもなく薄い記憶になっているのだろう。
考えたら、俺とコマリの思い出ってコマリからしたらボコボコにしていた相手だしね。
そんな雑魚の記憶に脳内容量を割く事をやめるのは至極合理的と言えるだろう。
その日俺は枕を涙で濡らした。
________
って言うのが俺とコマリの最新の記憶である。
塩対応で事務的。むしろまるで親の仇と接するかのような敵意さえ感じた。
多分だけど俺は嫌われてる。理由は不明だが、あのテンションの低さから少なくとも好意を持たれているとは考えない方がいいのだろう。
冷静に考えたら、昔剣を一緒に習っていた男が急に怪しい宗教始めてんだもん。
それも騎士道の『き』の字も無いような邪教に。もしかしたら俺、嫌われて当然かもしれん。
今更になって自由と欲望の解放とか言う胡散臭い宣伝文句を考えた事を後悔してきた。
「失礼する。」
そしてそんな俺に対する好感度がとても低いであろうコマリが俺の目の前、副団長の隣へと腰掛ける。
最悪泣きつけば許してもらえないだろうか。そう思って懇願の視線をコマリへと送るが、肝心のコマリは訝しむような目で俺達を見ていた。
成長した彼女の顔つきは美人そのものであるが、だからこそ怪訝な視線で見られると怖くて仕方ない。
何やら俺だけでなくオングリュークやブルーメルにも目を向けてはその顔の眉間を険しくする。
それから俺も見て、警戒度最大と言った様子でこちらを見つめる。
『そんなに険しいかしら?私から見てもただ真剣な表情にしか見えないのだけど。』
えーそうかな?俺にはすごく怒ってるって言うか、とても真剣な表情に見えるのだが。
コマリは耳元の髪を耳に被せるように触る。あれはコマリがソワソワしてたり怒っている時やりがちな動きだ。
『そんな動き一つで彼女の感情が読めるのかしら。貴方が。』
そう言われると自信が無くなっていく。でもなぁ、あの動きの後大体組み手でフルボッコにされるからなぁ。
多分何かでイラついてたり、悩んでいるからなのだろうが。それ故俺はコマリのあの挙動を見る度に恐怖したものだ。
その眼差しのまま俺を捉えたコマリは表情を動かさず、ずっとこちらを観察してくる。怖い。
そのまま誰も話さない沈黙空間が出来上がる。俺も出来れば地雷を踏みたくないため自分から話したくは無いのだが。
そう思って両隣をチラッとみるが、相変わらず無表情な二人が身動き一つせずに座っているだけだった。
なんだこの話し合いは。最早会話が無いんだけど。今から殺し合うみたいな険悪な雰囲気が止まらないんだけど。
向かいの二人は表情硬いし。コマリはずっと俺睨んでいるし。
くそっ、こうなるなら聞き上手っぽいアイナを連れてくるべきだったか。
『そうよ。だから私はアイナちゃんを勧めたのに。』
イスタちゃんのその声に俺は教会で見送ってくれたアイナの姿を思い出す。
いつも穏やかで大抵の事は許してくれそうな雰囲気があるアイナ。出会ってからも割と長いので何度か話すのだが、大抵はニコニコして俺の話を聞いては嬉しそうに相槌をうってくれる。
きっとあれが聞き上手というやつだろう。俺も適当に話を聞くスキルに関しては負ける気は無いが、アイナの場合あちらから話を促してくれるのでとても話しやすい。
話しすぎると好きになっちゃいそうなのでなるべく早く話を切り上げるのだが。
今のこの空間にはそういった聞き上手スキルが必要。が、騎士団側も含めてそう言ったスキルの持ち主は現状皆無。
強いて言えば俺が一番上手そうまである。もう終わりだろ、今回の視察。
俺の人選がダメだったのだろうか。そう考えると俺がオングリュークとブルーメルの名前を挙げた時、カリンとエーデルは信じられないものを見たような目をしていたし。
もしかして教会を離れる寸前、エーデルが笑顔だったのは「あ、アイツ勝手に処刑場に突っ込んでらぁ。」みたいな感情の込められた憐れみの笑みだったのだろうか。
そう考えると全ての辻褄が合う…俺は、初めから詰んでいた?
って、ダメだダメだ!もう左右の二人が頼りにならない事が分かった以上、俺から話を振らなくては。
「貴女が騎士団長であるコマリ・イルダートベルン。前にあった時以来でしょうか。お久しぶりです。元気にしていましたか?」
なるべく明るく、爽やかに。取り敢えずコマリに俺が社交性のあるまともな人間である事をアピールする。
ついでに過去の事について補足も入れることで、多少でもコマリから温情を得るべく画策する。
「…ええ、まさか覚えているとは思わなかったが。そうだ。私がイモンベルト騎士団騎士団長であるコマリ・イルダートベルンだ。」
しかし効果は反転、逆効果であったのかコマリは驚いたように表情を一瞬変えると、それからさらに怪訝な視線を俺に向けてきた。
なんで?また俺コマリからの好感度下げた?ただでさえ低い状態からのスタートで更に限界まで下降すると俺の獄中生活が確定するのに。
「…ライラ、君も名乗りたまえ。」
そう促されたライラと呼ばれた副団長の女性は慌てて口を開く。
「…っ!し、失礼した。私はライラ・ロイカーライトと言う者だ。今回の視察、どうかよろしく頼む。」
ライラ・ロイカーライト。副団長の女性は自らもそう名乗った。
なるほど、略してライライライさんですね。完璧に覚えました。
『覚える気、あるのかしら?』
いや、こうやって自分の中で特徴をつけると覚えやすからだし。別に「あ、名前の中にライが三つもある!」とか考えてないし。
『貴方の思考回路、ペンダントをつけていると大体分かるけどね。』
…まぁ、二割くらいはそう考えていた事を白状しましょう。だけど、こうやって砕けたニックネームをつけるとあら不思議、その人物に親近感が湧くようになるのだ。
ほら、よくよく見てみると、ライライライさんは緊張してるみたいだし。
不自然なほど背筋を伸ばして真っ直ぐにこちらを見る彼女は少し空回っているというか、肩に力が入りすぎているようだった。
この場で緊張をしているのが俺だけで無いと言う事実に俺は少し安堵し、同時にライライライさんに友好のような感情を勝手に感じる。
「ええ、お互い緊張すると思いますが、気にせず、気楽に行きましょう!」
俺は空気を明るくする意図も込めて、ライライライさんに向かってそう言って励ましの言葉を送る。
ついでに、少しでも俺の評価が良くなるようにと打算も込めてだけど。
しかし部屋の中には俺の明るい声が虚しく響くだけ。ピクリとも表情筋を変えない左右の二人とコマリ。
なんか俺がスベったみたいで恥ずかしくなって来た。何だよ、ライライライさんって。言いにくいし普通に名前で呼んだ方が短いじゃねぇか。
『実際その呼び名で呼ばれたら、私だったらとてつもない嫌悪感を覚えるけれどね。』
嘘だろ。俺のネーミングセンス無さすぎんだろ。もう二度とその名前で呼ばないから許してください。
「…心遣い感謝する。」
コマリが俺の言葉にそう返事をするが、全然感謝して無さそう…むしろ警戒度を増してそう。やっぱりスベっていたのだろうか、俺のネーミングセンス。
『いや別に団長の娘は貴方の絶望的なネーミングを聞いてはいないけどね。』
あ、なんだぁ。俺のネーミングに嫌悪感を抱いた訳じゃなくて、単に俺に対して警戒を強めているだけかぁ。
大問題じゃねぇか。
「いえいえ、見ての通り、緊張してるのは私たちもですよ。」
俺はコマリからの不信感を拭うため必死になって話す。だがその表情は一切好転せず、むしろ俺が話す度その疑いを強めるようだった。
ヤバい!このままじゃ俺の評価値が最低にまで落ちる!
「ああ、そうでした。まだ我々の名乗りがまだでしたね。」
俺は挽回のための言葉を考える。まずこちらが一切名乗らないこの状況は不味いだろう。
これは社交辞令として常識のその土台みたいなものだ。怪しいのは教団という組織であって、俺は極めて勤勉で誠実な人間である事をアピールしなくては。
「私の名前はブラファール。普段は教会にて教祖をやらして貰っている者です。」
俺はそう言って小さく頭を下げる。
ちなみにこの『ブラファール』って言う名前は偽名です。イスタちゃんからの勧めで何故か身分を隠すよう言われてる。なんで?
『うーん、今貴方に言ってもねぇ。それに理由を話したら途端に隠せなくなりそうだしねぇ。』
何を隠すんだよ。イスタちゃんの言ってることは大体俺には理解ができない。けどイスタちゃん俺より頭良さそうだし。一応神だし言うことは信用するようにしてる。
それに正体を隠すことは俺にとっても悪い話じゃない。いずれ俺がこの教団をこっそり抜け出す時、仮面をとって名前も変えれば教団で俺の事を知る者は居なくなる。
イスタちゃんもきっとその事を危惧して俺にこんな変な格好と偽名を名乗らせているのだ。
『違うけどねぇ。あと、変な格好でもないわ。』
違ったらしい。だったら何故なのだろうか。俺がイスタちゃんの動機に悩んでいると、右隣に座るブルーメルが口を開く。
「ブルーメルです。」
…え?終わり?終わりですか?ブルーメルさん?
俺はその一言自己紹介が信じられなくて驚きの目をブルーメルに向ける。
しかしブルーメルのいつもの元気な姿はすっかり鳴りを潜めて、そこには無表情で愛想を一ミリも感じさせない様子で目を見開いてコマリやライラさんを見つめる姿があるだけだった。
…まぁ、ブルーメルも緊張しているのだろう。そうに違いない。
俺は右に在る現実から目を逸らし、続いてオングリュークの方に目を向ける。
頼むぞ!オングリューク!お前はいい加減その怖そうな目付きを卒業して、ニコッと笑え!それで救われる俺という命があるからぁ!
「あー、俺はオングリュークって言います。まぁ、よろしくなぁ。」
オングリュークはそう言って騎士団側の二人へと目を配らせた。
…うん、まぁブルーメルの一言自己紹介よりはいいだろう。口調も砕けてる感じが好印象かもしれない。
けど…けどさぁ!少しは姿勢を整えて!さっきから足が開かれてるし、それに背中曲げすぎだろ、ゴロツキが金せびる時みたいな姿勢じゃん。
もう少し目の前のライラさんを見習って背筋を伸ばして…。俺はそう願いを込めてオングリュークに目線を向けるが、だらっと放られた足が直立することも、その背筋が伸び切ることもなかった。
もうこれ終わりだろ。印象最悪だよ。
俺は恐る恐る正面のコマリへと視線を移すが、そこには予想通り期待外れと言ったところか。より一層表情を暗く、明らかに警戒度のレベルを上げた様子のコマリが居た。
その口が次に開かれた時、その時が俺の死刑宣言なのではないかと俺はビクビク震えて縮まった。
そして言葉がコマリの口から発せられた。
「それでは、これから本日の視察について細かい日程の擦り合わせを行いたいと思う。が、」
しかしそれは俺への刑の執行を言い渡す言葉では無く、ようやく今日の本題に移ると言う旨の言葉であった。
良かった、まだコマリの中での評価値は最低にまでは振り切れていないらしい。
俺は安堵のあまり息を吐き出そうとした。
「折角教祖本人が来てくれたのだ、ここで軽い質疑応答を行わせて貰いたいのだが、」
そして吐き出そうとした息はコマリのその言葉に行き場を失う。
え?質疑応答?
俺は困惑の表情を浮かべてコマリを見る。事前にカリンから聞かされた内容ではただの出迎えという話だったのだが。
もしかしてここでがっつり話し合う気だろうか。それに質疑応答って、なんかすごい責め立てられそう。根掘り葉掘り無い事有る事全て聞かれそう。
「いいだろうか?」
全くもって良くないが?コマリが俺に向かって確認の意を込めてそう言った。
大体今の俺の側には教団の真の支配者であるカリンが居ないのだ。これは糸の繋がれていない人形に等しい。
なのでこんな提案受け入れるはずが無いが。
「ほう…そうですか、構いませんよ。」
俺の口は本心とは別の肯定の言葉を出した。
そう、俺に拒否権など無いのだ。もしこの提案を否定しそれが原因で疚しい事があると判断されたら、その時点で俺の負けだ。
つまりこの提案、呑むしか無いのだ。それが自殺行為に等しくても、実際に死ぬよりは断然マシだ。
俺がそう言うとコマリようやく表情を少し緩める。何か一つ壁を乗り越えたようだった。
よし、この判断は正解だったらしい。コマリの中での俺の評価値が少しだけ上がった気がした。
「そうか、協力に感謝する。では早速きかせて貰うが、そちらのイスタニア教にて掲げてる理念と言うものを教えて頂きたい。」
早速質問をしてきたコマリだが、それは少し意外なものだった。
聞いてきたのは教団の理念。表向きは『自由と欲望の解放』を謳い文句に活動してる訳だが。どうしてそんな当たり前の事を聞くのだろうか。
きっと騎士団の耳にもそれくらいの情報は入っているであろうに、その上で俺の口から理念を聞き出す理由。
少しでも口を滑らせば暗闇に真っ逆様な状況だ。俺は慎重に言葉を考える。
…だめだ、分からん。助けてイスタちゃん。
『…そうねぇ。私も団長の娘の心が読めるわけじゃ無いから明快な答えは出せないけど、貴方の口から言わせる事に意味があるんじゃなくて?』
俺の口から言う事に意味…。
イスタちゃんの言葉に俺は考える。そして一つの答えを得る。
これは教団の理念を俺が理解しているかの質問…言い換えればテストのようなものなのでは?
きっとコマリはこう言いたいのだ。「お前、仕事を適当にやってるって疑われているけど、この質問に正しく答えられるの?」きっとこれだ。
やべぇ…一見ただの質問に見せかけたとんでもない一発アウトの初見殺しの罠じゃないか。
俺は脳みそをフル活動させて教団の正しい理念を頭の中で復唱、それからはっきりと答える。
「我が教団の理念ですか。それは勿論、イスタニア様が我らにお告げ下さるその教え『自由と欲望の解放』を広める事です。」
…よし、三回確認したけど間違っていないはずだ。俺は教団の真実をしっかりと告げたはずだ。
『別に私はその理念を掲げてないけどねぇ。』
うるさいよイスタちゃん。今は俺の生死が関わっているのだ。嘘でもなんでも吐いてやり過ごすのが先決だ。
俺は回答が間違っていなかったか、不安を抱きながらコマリの様子を伺う。
俺の回答にコマリは特に…いや、少しだけ驚いたのかな?もしかして俺がこの程度の問題も答えられないただの傀儡と思われていたのかな。
残念だったな!俺は毎週この理念を信徒のみんなに説明する仕事をしてるんだよ!
俺は初めて日頃憎んでいたこの習慣に感謝しながら、次の質問に備えた。
「なるほど。では次に、教団の目的を教えてもらいたい。」
…?え、それってさっきの質問と何が違うの?もしかしてさっき言えたのはまぐれだと思われてる?
俺は疑問に思いながらも先程答えた言葉で構成された同じ台詞を言おうとした。
「目的、ですか。それは先ほども言った通り、我が主神である_」
そこまで話したところで別の声が挟まる。それはコマリの声であった。
「そうではなく、貴方方の教団の上澄、上位神官とやらが目指す目的を教えて頂きたい。」
放たれたその言葉に俺は息を止め、続けるように言葉が途切れる。
ゆっくりと考え、それから俺は口を開いた。
「ほう…上位神官の目指す目的ですか。」
上位神官の目指す目的、ねぇ…。
いや知らないけど?
初耳である。俺はコマリが知っている事を前提の様に発した『上位神官』と言う言葉に何一つ身に覚えがなかった。
無かったけど、ほら、知ってるのが当然みたいな雰囲気だったし。ほう…とか言っちゃったけど。
何一つ知りません。実は私は教祖という立場でありながら運営は別の神官に任せてるんです。命だけは助けてください!
そう言いたくなる思いを喉を閉めることで防ぐ。
やべー…わかんねぇ…。全く予想外の方向から攻撃を喰らった気分だわ、今。
しかしそんな俺の胸中を知らないコマリは言葉を更に叩き込む。
「ええ、教団が真に目指す部分は何であるのか。それを私たちは知りにきた。」
俺も知りたい。俺は切実に、心の中でそう叫んだ。
何?真に目指す部分って。そんなのあるの?俺教祖だけど知らないよ、それ。
俺が必死になって心の中で主張するが、その意思は当然コマリのもとには届かない。
教団の運営なんて実質俺以外のみんなが主導で行われているのだ。
俺が答えられる訳もなく、ただ顎に手を寄せ悩んでいると、救いはやって来た。
「真の目的、なぁ。其方さんが俺らの
俺の代わりに答えてくれたのは、オングリュークであった。
俺は思っても無かった方向からの援護射撃に思わず目を向ける。
オングリュークは変わらず無愛想で挑発的な態度だ。しかし俺にはオングリュークの背後から後光が差している様に、救いの手を差し伸べて要る様に見えた。
オングリューク…お前…!俺が真の目的とやらを全く理解していない事を察して…!
「疑いか…確かにその通りだ。しかし、此方には『疑いを確実なものに変える方法』がある。」
そしてコマリはオングリュークのその返事に俺への追及を一旦やめた様だった。その追求の目線はオングリュークへと変わっていた。
朗報 オングリューク頗るいい奴だった。明日の俺的朝刊はこの見出しで一杯だろう。
おまけ
とある教祖室での出来事2
「どうぞ。」
その声を聞いてやって来たのは、カリンやエーデルもよく知る人物、上位神官の一人、アイナであった。
「失礼します〜。お仕事、終わったから報告に来たわ〜。」
和やかで穏やか。その声には部屋の中で絶望する二人とは異なり、生気があった。
「あぁ…アイナでしたのね…そう…それは随分立派で…私だって撫でて…。」
エーデルがアイナの入室を迎えるようにそう言うが、その言葉に歓迎の念は無く、あるのはこの世の憎悪と羨望を同じ鍋で煮たような感情であった。
「エ、エーデルちゃん?大丈夫?凄く落ち込んでるみたいだけど。」
アイナはそんな普段の気品と誇りに溢れた姿と異なるエーデルに声をかける。
そして普段の姿と乖離した者はもう一人。
「ああ、アイナですか。それ受け取りますよ。私の方から、教祖様に…ふふふ。」
カリンは前が見えているのか、見ないようにしているのか。割れた機能しない眼鏡をかけてそう言った。
「カ、カリンちゃんも?え〜っと、取り敢えず、その眼鏡割れているから取った方がいいんじゃ無いかしら?」
これには流石のアイナも正直引いていた。それよりか恐怖していた。
教団にて頭脳や判断力に優れ知的な雰囲気を纏う二人がこの様だ。何があったのか不審に思うのが普通である。
「あ、あぁ、そうでしたね…はぁ。」
カリンは指摘を受けて眼鏡を慌てて外す。それから大きくため息を溢した。
「えっと〜何かあったの、かしら?」
この様子は、メンタルケアが必要だろう。サキュバスであるアイナは人の感情の機微というか、心の揺れを精気から感じることが出来た。
そして彼女から見てこの二人は奈落寸前である。
また教祖様関連かしら、アイナは薄々そう察しながらも事の全貌をカリンから聞き出した。
そしてそれは概ね予想通りであった。エーデルはいつもの。今回はそこにカリンも加わると言う事態であった。
確かに自信のあった得意分野で教祖本人から指名を外されるのは辛いのだろう。
サキュバスであるアイナは何回か教祖にそういった方面で誘った事があったが、その度断られると少し、いや大分サキュバスとしての自信を失くしていた。
そう言った経験から分からない心境では無かったが、この話には少し違和感を覚えた。
「成程ね〜。確かに辛いとは思うわ、でもね、少しおかしくないかしら〜?」
アイナがそう言うとその言葉にカリンが反応する。
「おかしな事、ですか?」
今話した内容は全て事実であるのだが。何が違和感であったのか、カリンはアイナに問いかけた。
「うん。えっとね〜教祖様は話し合いの場にオングリュークくんとブルーメルちゃんを連れて行く事にしたんでしょ?でもそれって_」
イスタニア教団幹部の中で見たい過去話は?
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エーデル&ブルーメル
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イゴ
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アイナ
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そんな事より話進めろや
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続きません