五条兄妹   作:鈴夢

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蘭摧玉折

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――懐玉(かいぎょく)

優れた才能を内に秘めていること

 

 

――玉折 (ぎょくせつ)

才能あるものが若死にすることのたとえ。

 

 

 

 

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2007年9月――

 

 

 

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9月も半ばというのに、真夏が一日戻ってきたような暑い日。

 

 

青い空が煙たく感じる程に霞んで見えてしまう。あんなにも青々と、綺麗で爽やかな空なのに。

 

――鬱陶しい。

いっその事、ずっと雨でも降り続けてくれた方が楽なのに。

 

 

 

 

 

 

 

「………………」

 

 

グラウンドの傍の段差に腰掛ける洸。

その姿はまるで呆けたような鬱状態。

 

"泣いて泣いて泣き尽くした子供のような"ぼんやりした取りとめのない心持ちが浮かんでいた。

 

 

隣に置かれた未開封のコーラ缶。

缶は水滴を纏い、暑さで温くなっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「"おい不良娘"。サボってんじゃねーよ。」

 

またもやこの男。

1人でじっと過ごしていたいのにやたらと最近邪魔をしに現れる。

 

 

「サボってないし。任務から戻ってきた空き時間だよ。それにサボってるのは"悟兄"じゃん。」

「……ったく。可愛げが無ぇなー……」

「今更だよ。」

 

いつも通り、兄は隣に腰掛ける。

洸と同じくぼんやりとグラウンドを見据え、微かに溜息も聞こえた。

 

 

 

 

 

「……飯、ちゃんと食ってるか?」

「食べてるよ。」

「昨日の休みは何してたんだ?」

「部屋で読書。」

「は?そんだけ?」

「それだけ。」

「…………」

 

 

"いつも通り"、自分の問いかけに返ってくる言葉。何ら変わらない。……だが、少しだけ違う……

 

淡々と、粛々と。

まるで洸の言葉には何も無い。

 

抑揚も、感情も。言葉に質量も色も何も感じない。全ての受け答えが用意されたテンプレートのように"彼女らしさ"を一切感じないのだ。

 

 

――前は……こんなじゃ無かった。

悟の心の奥底が揺れる。

 

 

 

「なあ洸。今日の夜、兄ちゃんと飯食いに行かね?」

「……何でよ……」

「何でって、別に理由なんていらねぇだろ?ほら、お前!あの駅前の激辛ラーメン好きだろ――」

 

その瞬間、悟の手が洸の頭に伸びる。

だがそれを洸は拒否した。

 

 

 

「……は…」

「……ごめん。」

 

 

触れられない。

洸を覆う無下限が悟を拒否した。

 

苦しくも自分たちは同じであろう相伝を引き継いだ"兄妹"。その兄にとって、無下限という最強なチート術が今は忌まわしくて堪らなかった。

 

 

「……はっ……ムカつくわー。」

「…………」

「ハイハイ、オッケー。そっちがそーならいいっての。」

「…………」

 

悟の言動に反応することなく、ただただボーッと前を見据えるだけの洸。兄からしてみれば妹を心配しているのに"その態度"。面白くないに決まっていた。

 

 

 

「はぁ、なんつーかお前さ――

 

 

 

 

 

 

――"いつまでそのままなんだよ"。」

 

 

 

悟の台詞に洸の目元がピクリと反応を見せる。スカートの裾を掴む手に力が入るとこれでもかという程に皺が波打っていた。

 

 

 

「……いつまで?」

「俺たちは呪術師なんだ。」

「何が言いたいの?」

「仲間が死ぬことなんていくらでもある。この先もな。」

「…………そんなこと……言われなくたって――」

 

 

"分かっているに決まってるじゃないか"

 

 

「灰原は運が悪かった。」

「…運?」

「たまたま"力に見合わない"呪霊を相手にしたんだ。七海も負傷。だが命は落とさなかった。それもまた運だ。」

「……ッ…………」

「腹くくれよ洸。」

「……は……はは……」

 

空虚な笑いが口から漏れる。

 

「はははっ……ふ……ふふっ……」

「……?洸?」

 

 

 

 

笑わせるな。

何が"天上天下 唯我独尊"だ。

人は皆、平等なんかじゃない。尊い?何を持ってそう考えれば良い?

 

きっとこの人は"三界皆苦"という言葉には繋がらないんだろう。

 

 

 

だってこの人は"最強"なのだから。

 

 

 

 

「……"三界皆苦 吾当安此"……」

「は?何ボソボソ言ってんだよ。」

「この苦しみの先に……幸福なんてあるのかな。」

「お前、さっきから何言って――」

 

 

赤い瞳が青い瞳を射抜くように突き刺さる。鋭い目付きの中には様々な感情が映っていた。

 

 

 

「……本当に……意地が悪いよね。"お兄ちゃん"。」

 

 

最強の兄に、この感情が分かるものか。

 

 

 

「昔からそうだよ。まるで自分は"他とは違う"……まあ、実際そうなんだけどさ。」

「何言って……」

「私はそれが嫌い。全てが最強で、その体から溢れる余裕が嫌いだった。」

 

 

洸はゆっくりとその場から立ち上がると隣の兄を見下ろした。半ば薄笑いを口元に含ませるその姿に悟は既視感を覚える。洸の"昔の弄れた姿"そのものだったのだ。

 

 

 

 

「"最強"に支配されてる。可哀想な人。いつかその最強が壊れるかもしれないのに……」

 

 

兄は人生において寿命以外に"死"というワードと向き合うことなど無いに等しい。そんな人に何が分かる?

 

 

 

「……ていうか、私に構ってる場合じゃないでしょ。」

「は?」

「夏油先輩。」

「傑が何だってんだよ。いまこの話に関係ねぇだろ?」

「…………」

「んだよ、洸……!」

 

 

刹那、洸の言葉に痺れを切らした悟。洸と同じくその場で立ち上がると今度は自分が妹を見下ろした。

 

 

「私は分かる。"分かってる"。」

「はぁ?」

「お兄ちゃんには分からない感情が私には分かるんだよ。」

「…………」

「夏油先輩が苦しんでる事が痛いほど分かるんだ。」

 

 

悔しそうに顔を歪め、無意識に唇を強く噛み締める。まるで自分が"人の想いも分からない冷酷な奴"だと言われているような気がして腹立たしい。

 

……だが、自分の盲点を突かれている気がするのも事実だ。

 

六眼を持ち、フルオートで無下限を扱えるようになった。五条悟誕生によって呪術界の均衡が揺らいだとも言われ――最強という言葉に翻弄され。

 

そう思っている自分の全てを妹に見透かされている。そんな気がしてならない。1年前の天内理子の護衛任務が失敗した要因も"まるで分かっていた"かのように妹は口にしていた。

 

何も使えない"緋眼"。だがその瞳は間違いなく視えている。自分が視えない何かを、全て妹はあの眼を通して見透かしている。

 

 

 

「…お前の……まるで"全部わかってる"って据わった目が苦手なんだよ。」

「…………」

「無関心みてぇな顔する癖に人の心に入り込んでくる感じ。」

 

 

赤と青がぶつかり合う。

 

 

 

「クッソ生意気な"その目ん玉"。」

「……"その六眼"」

 

 

 

互いに目元を指で指し合う

ニヤリと口角を持ち上げる悟、表情を1mmとも変えることの無い洸。

 

 

 

 

「潰してあげる。」

「潰してやんよ。」

 

 

 

兄妹喧嘩が始まる寸前。正に一触即発。

 

こんな兄妹喧嘩は何時ぶりだろうか――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あ……あの、……"五条さん"――」

 

 

 

 

 

 

刹那、傍らで男の声が2人の鼓膜に入り込む。

怯えたような大人しい声の持ち主は直ぐに分かった。

 

 

 

 

 

 

「……チッ…………。あー、何だ?"伊地知"。」

 

悟が振り返った先に立つ短髪の青年。

 

細身で頬が痩けており、実年齢よりも上に見えてしまうのだが高専の1年。悟と洸の後輩にあたる人物――

 

"伊地知潔高"

 

 

 

「夜蛾先生が呼んでました。緊急の任務だとかで……」

「はぁ!?やっと休みかと思ったらまた任務かよ!」

 

「洸さんも七海さんが探してましたよ?」

「わざわざごめんねー伊地知。……ありがとう。」

 

 

にっこりと穏やかな笑顔を浮かべ、足早にその場から踵を返す洸。

 

 

「ちょ!ひか――」

「兄妹喧嘩は懲り懲り。……じゃあね。」

 

 

悟の声を上書きするように洸の声が被さる。

"兄妹喧嘩は懲り懲り……"その台詞を一体どういう意味を持って言い放ったのかは分からない。

 

そしてそれは体温を感じさせない、冷気が含まれているような声だった。

 

 

 

 

「すみません。もしかしてタイミング悪かったですか。」

「……いいや、グッドタイミングだ。」

 

 

悟は追うことなく、去っていく背中を見据え続ける。

 

 

「お前が来なかったら、今頃高専が吹き飛んでたよ。」

「ッ……物騒なこと言わないでください。」

「…………」

「五条さん?」

 

 

虚ろな背中は悟の胸中を嫌に揺らす。

だが……あの背中は昔から見た事のある背中。今に始まったことでは無い。

 

 

「((…ま、時間が解決してくれるか――))」

 

 

脱力するようなため息を漏らし、悟は伊地知と共に立ち去る。

 

 

 

 

 

 

 

 

兄は分かっていなかった。

妹の荒れた心の奥底の本当の想いを。

 

 

 

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「洸さん。」

「……ただいま、建人。」

 

 

2年の教室にふらっと現れた洸。

七海は漸く現れたその姿に安堵するようなため息を漏らした。

 

 

「"任務から戻ってきた"と補助監督から聞いたのに一向に姿が見えませんでしたから。」

「ごめん。外で休憩してたんだ。」

「…………」

「そんな顔しないでよ?任務は無事完了したし、無傷無傷。」

 

 

3つ並んだ机と椅子。

洸は真ん中の自分の席に座ると気怠そうに上半身を預ける。ひんやりとした机の表面に右頬をくっつけると左隣の席に腰を下ろす七海を見つめる。

 

 

「…………」

「…………」

 

 

 

無言の2人。

交わる瞳と瞳。

ぼんやりとした潤んだ洸の瞳をただただ見つめる七海。

 

「…………暑いね。」

「……はい。」

 

「…………」

「…………」

 

 

とくに意味無く放った言葉。

七海も適当に言葉を返すと、不意にその奥の席に視線をずらす。

 

 

 

返ってこない、もう1人の声。

どんなに待っても返ってこない。

 

――当たり前なのに。

 

 

 

 

"本当に暑くて堪んないよね〜!"

"授業終わったらさ、3人でコンビニダッシュしてアイス買いに行こうよ!"

 

 

居ないのに――彼はもう居ないのに聴こえてしまう。

 

 

"七海!!"

 

 

弾けるような太陽のような

 

 

"洸!!"

 

 

眩しいほどに光る彼の声が――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ぅ…………う……」

「……ッ……」

「ッ……はぁ……う……うぅっ……」

 

 

もう泣きたくないのに、幻聴のように彼の声が聞こえると涙が溢れて止まらない。

 

机を濡らす洸の涙。それを上手く慰めることが出来ない七海の苦しい顔。

 

 

 

 

 

「ごめ……ッ……こんな……つもりじゃ……」

 

慌てて上半身を起こすと必死に涙を拭い続ける。こんなところで泣き続けたって醜態を晒すだけだ。きっと七海も呆れているに決まっている。

 

 

 

 

……兄の言っていることは間違ってない。

だけど認めたくない。……感情がぐちゃぐちゃだ。

 

 

 

「……ごめん、……次の授業……パスさせて。」

「ッ!洸さん……」

「大丈夫……部屋に戻って休むだけだから……」

 

 

バタバタと慌ただしい足取りで教室の出入口へと走り向かう。

 

そして扉の縁に手をかけた時、思いとどまるように動きを止めるも、洸の涙は止まる様子はなかった。

 

 

「……ごめんね、建人。」

 

そして、彼女はそう言って姿を消した。

 

 

 

 

 

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何故、そんな顔で謝るんですか。

……あれから貴女は謝ってばかりだ。

 

 

 

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――同日 21時

 

 

 

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「や。調子はどうだい?」

「それはこっちの台詞ですよ。夏油先輩。」

 

乾いたノック音と共に現れたのは夏油傑。クタクタのスウェットにいつもの無地の白Tシャツ姿。

そして疲れた笑顔に疲れた目元。調子はどう?なんて……私に言う台詞じゃないのに。

 

 

「目が腫れているよ。」

「夏油先輩こそ、目の下真っ黒ですよ。」

「少し寝不足なんだ。……お邪魔していいかい?」

「……はい?……大丈夫、です。」

 

何度か夏油が寮の自室を尋ねてくることはあったが"部屋に入れる"のは2度か3度ほどしかない。理由も話すことなく部屋に入れるのは初めてだった。

 

 

「…………」

「あ、あんまり見ないでください!片付いてないし……」

「相変わらず本がいっぱいだね。」

「まだ読んでないものもあるんですけど……なかなかゆっくり読む時間もなくて。」

 

ところせましと積み上げられた本の数々。ジャンルも様々。傍らには書店の紙袋が置かれており、その中にも何冊も詰められていた。

 

 

ふと、夏油はテーブルに視線を落とす。

 

綺麗な花が収められた"栞"。

やけに目につく"それ"は灰原からの贈り物だった。

 

 

「散らかってますけど……座ってください。」

「ああ。ありがとう。」

 

 

 

指示された部屋の片隅に腰を下ろす夏油。キッチン付近では洸が電気ポットでお湯を沸かし始める。

 

 

「先輩。温かい緑茶で良いです?」

「うん。悪いね。」

「いえ……大して饗すことも出来なくて申し訳ないです。」

 

手際よく急須を用意し和柄の湯呑みを並べる。繊細な柄の入った湯呑みを見つめる夏油。彼女の人柄が写し込まれたような繊細な花模様の湯呑みを見た時、無意識に頬が緩む。

 

 

知的で清らか、柔い。

朗らかで儚げな彼女。

 

しかし、どこか不器用な彼女。

 

 

 

 

「……幅のある会話力。物事を関連付けられる思考力。行動力――"好奇心"」

「はい?」

「読書家にはそういった特徴があるんだ。洸ちゃんは当てはまってる。」

「……そう……なのかな。」

「相変わらず謙虚だね。……私はいつも言っているじゃないか――」

 

 

夏油は相変わらず人を煽てるのが得意な人だ。いい意味でも悪い意味でも人たらしな人。

 

 

 

「賢くて、綺麗だって。」

「…はは……そんな事ないですよ。」

 

 

沸いたお湯を急須に注ぐと、ふわりと漂う"ふくよか"な玉露の香り。柔らかいその香りが洸の心を落ち着かせるかのように妙な緊張感を和らかせていく。

 

しかし、この人は何の用があって、わざわざこんな時間に来たのだろうか。

 

 

 

「あの……ところで夏油先輩。私に何か用が?」

「ちょっと話したくて。さっきまで散歩がてら外で任務概要を読んでたんだが……その帰り道に。」

 

 

悟は任務のため外へ。家入も怪我人の手当てで出払っていた。七海も先程任務の為出ていったところだ。2、3年で残っているのは自分たちだけ。これもまた珍しい。

 

 

「任務……明日はどこまで?」

「そんなに遠方じゃないんだ。調査込みだから長くなるんだけど――山奥にある旧村の調査でね?」

 

明日から始まる任務の概要書類を洸へと手渡す。一通り簡単に目を通すも"代わり映え"しない内容に半ば見飽きたと言わんばかりの余裕そうな表情。

 

夏油にとっては大したことのない任務だと、洸は内容を理解した。

 

「これくらいなら、特級の夏油先輩なら余裕ですね。」

「調査だけで終わることを願ってるよ。」

「確かにそうですね?……前よりピークは過ぎましたし、大丈夫だと思いますけど……」

 

 

呪霊の発生は季節によって大きく影響される。

 

冬の終わりから春まで人間の陰気が溜め込まれ、初夏に出現し秋に収まるのが基本的な呪霊発生のサイクル。今が丁度その境目なのだ。

となれば、あと少しで漸く"閑散期"とやらが訪れるはず。

 

……だが、

いくら"お暇"時間が増えたとしても、この気持ちが晴れるのは当分先になるかもしれない。

むしろ悪化してしまうかもしれない。

 

 

 

「((………………雄……))」

 

 

 

グルグルと様々な感情が廻る。

考えたくないのに、不意に空っぽになった瞬間に灰原の姿が脳裏に現れるのだ。

 

「…………」

 

 

急須に触れる手がピタリと止まる。昼間と同じような鬱っぽい瞳が手元をじっと見つめていたその時。

 

夏油の手が洸の手にそっと触れた。

 

 

 

「……洸ちゃん。」

「ぁ……ごめんなさい。私ボーッと――」

 

夏油の厚く、広い手が洸の手を覆う。予想以上に冷たい手の温度に一瞬驚くも徐々に温かい温度が伝わってきた。

 

 

「ね。君は以前、こんなことを言っていたよね。」

「……何ですか?」

 

 

突然の話の切り替え。対し不思議そうに洸は夏油を見つめた。しかし目は合わず、ただただ彼の瞳は洸の華奢な手に向けられていた。

 

 

 

「……"ふと思うんです。もしこの世に呪いが無かったら――」

 

 

 

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"なくなったら"……私は普通の女の子だったのかなーなんて。―――そんな世界線を考えた事もあります。"

 

 

 

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「…………ああ……確かに。」

 

"その言葉を発した時の事はハッキリと覚えていた"

 

そして今も、そんなことをよく考えていた。

 

呪力なんてなければ、呪術師の家系に生まれていなければ。こんなに辛いことは無かったのに。……なんて。

 

今更なのだが、やはり考えてしまう自分がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――刹那、夏油の瞳が赤い瞳を捉える。

 

 

 

「君の……理想の世界を"創る"ことができるんだ。」

「……え?…」

 

 

生き生きとした夏油の黒い瞳。

不健康そうな目元と青白い肌とのコントラストが余計にハッキリすると気味悪ささえ感じてしまった。

 

いつもの落ち着きのある夏油ではない。何かに興奮しているような、……不気味な――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「"非術師を皆殺しにする"。そうすれば呪いは生まれない。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………え」

 

 

"意味がわからない"

 

 

あの夏油からは考えられない言葉に唖然とする洸。

 

非術師を皆殺しにする――なんて……温厚な笑顔で口にされると余計に頭が混乱する。

 

 

「この世に呪いが無ければ。君の思い描いていた世界線があったかもしれない。」

「…………それは……理論上そうかもしれないですが……」

 

反射的に体を引く洸。

対し、夏油は洸の手を強く引くと半ば強引に顔を近づけた。

 

 

「非術師がこの世から居なくなれば、呪いは生まれず、術師だけの世界が創造できる!悪くないと思わないかい?」

 

「…ッ……夏油、先輩?」

 

 

相手の心を撫でるような、おおらかで温和な声と言葉つきは皆無。早口で意気揚々と台詞を口にする男に洸はゾッと背筋を凍らせた。

 

艶のある夏油の声色の中に奇妙な焦燥感。心の高ぶりと焦りを抑えきれない乱れた音。

 

その変貌ぶりに洸は無下限を使うことさえ頭に浮かぶことなく、迫り来る夏油の行動を無意識に受け入れていく。

 

 

 

「洸ちゃん。灰原はなぜ死んだ?」

「……何故……って……」

「何故、死んだ?」

「……それは……呪い……呪霊のせいで……」

「何故、呪霊は生まれる?」

「人から漏洩した負のエネルギー……」

 

グイグイと迫り来る昂った男。

いつの間にか両手首を捕まれ、会話のテンボとともに揺さぶられていた。

 

掴まれた手首がジクジクと痛む。

しかし今はそれよりも、夏油の変貌ぶりが恐ろしかった。

 

 

 

「君の言う通り、呪いは"人から漏洩した負のエネルギー"。根本は人、非術師の呪いなんだよ!」

「……ッ……せんぱ…」

「なら、それを叩けばいい。」

「……えっと……ははは……そんな冗談」

「ううん。冗談なんかじゃないよ?」

 

 

誰だ、この男は。

いつもの夏油先輩ではない。

 

不気味に笑い、容赦なく後輩の体を強引に掴むような、そんな人では無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――んうっ!?」

 

 

気づけばそのまま床へと押し付けられ、テーブルに置かれていた湯のみが音を立てて割れ落ちた。頭上で簡単に手首を抑え込まれると、もう片方の夏油の手が乱暴に洸の口元を抑え込む。

 

 

 

「"五条洸"。……本当に……私は君が可哀想でならない。」

「っ……んッ!!ぅう!!」

「最強の兄を持つ名門五条家の長女。相伝の術式を持ちながらも、未だそれを使いこなせない。六眼もなければ、無駄な呪力の発散のみ。……挙句の果てには、"女の子"としての価値を利用されていた―――」

 

 

耳元で囁かれる艶のある声は驚く程に心臓を抉る。まるで自分の弱い部分をわざと抉り返すように、甘ったるい夏油の声がやけに脳内に残る。

 

胸に次々と刃を振り下ろされているような感覚だ。嫌な記憶が、考えたくない事が、過去が、……そして現在が流れるように頭に入り込んでくる。

 

 

 

「細すぎて簡単に壊れそうな体なのに……」

「……っ……ン……」

「実の兄をも圧倒する強い肉体……凄いよね。」

 

 

有り得ない出来事に体が上手く動いてくれなかった。恐ろしかった。尊敬している夏油先輩の豹変に理解が追いつかない。

 

"この男は誰だ?自分に跨る大男――"

 

 

 

 

「背負わされた理不尽な運命。御三家五条の姓を持つ女の子。相伝の術式。"隠し持っている才能"。」

「………………」

「能ある鷹は爪を隠す。君は……"そうだよね"。」

 

 

 

"この男は私の心の隙間に上手く入り込む天才だ――"

 

 

 

 

「私は……君と新しい世界を創りたい。」

「…………」

「君が必要なんだ。」

「…………」

「その弊害…"最強に成った"キミのお兄さん。それに真っ向から対抗できるのはキミしかいない。――どうかな?」

 

 

 

男は口角を持ち上げ、不気味な程に笑みを落とす。

 

 

 

「―――洸。」

 

 

 

あの優しい声が私の名前を呟いた。

 

 

 

 

 

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―――5日後。夏油は任務から戻ること無く"消えた"。特級の呪術師の消息不明。その不審な状況に、任務先への村へ高専関係者が即調査に向かった。

 

 

そして同日 昼過ぎ。

通報を元に、私は夜蛾先生と共にある場所へと向かった。

 

 

 

 

 

 

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都内某所 住宅街―――

 

 

 

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漂う死臭。

床と肉体を這う蛆。

 

 

思わず目を背けたくなるような光景。

 

 

 

 

 

 

「……夜蛾先生。……残念ですが…」

「…………はぁ……」

 

 

 

ズタズタに引き裂かれた男女の死体。残念ながら反転術式を持っての回復は時すでに遅し。所々、まるで喰われたような変死体。恐らくは呪霊の仕業……としか考えられないのだが。

 

 

 

"微かに残る術師の残穢"

"寄り添うように床に転がったふたつの死体"

 

 

 

「((……やっぱり……))」

 

 

平凡な一般家庭。血に濡れたリビングの傍らに飾られた写真の中に見覚えのある青年の姿があった。

 

家族と共に笑顔を咲かせ、写真に映る人物―――

 

 

 

 

「((夏油先輩……))」

 

 

洸は血塗れの写真立てに触れ、転がる変死体を見下ろす。

 

 

―――変わり果てた夏油の両親の死体。

 

 

 

 

「残された呪力の残穢は傑で間違いない。それと傑が呪霊操術で襲わせたであろう呪霊の気配も……」

「……はい。間違いないかと。」

 

 

自ら取り込んだ呪霊を使い両親を殺害。室内の死体の状況から鑑みてそこまで大きく時間は経過していない。

 

 

―――すると刹那、夜蛾の携帯電話が鳴り響く。

 

 

 

 

 

「―――もしもし……ああ、………それで?…」

「…………」

 

 

洸は死体の側へと近づきその場にしゃがみ込む。眠るように寄り添う2つの死体。その顔は心做しか穏やかにも見えた。

 

「((……沢山の……家族写真))」

 

部屋に飾られた写真の数々。どの写真にも夏油の姿があった。幼少期の頃から……最近のものだと考えられる写真まで。呆れ顔で笑いながら母親と映る写真は幸せそうだった。

 

 

 

彼は愛されていたのに、何故……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ッ……分かった……すぐ戻る。」

 

苦しげな声色で声を漏らす夜蛾の様子に気づいた洸は再び立ち上がり、背後の男へと視線を戻した。通話を終えた夜蛾は携帯をポケットへとしまうと険しい顔つきで溜息を吐き、洸へと視線を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……傑の派遣先の村人全員の死体が確認された。」

「……死体…」

「残された残穢から傑の呪霊操術……"ほぼ確定"だ。」

 

「…先輩が……」

 

 

 

心当たりがある。

あの夜、夏油はこう口にしていた。

 

 

 

"非術師を皆殺しにする"

 

 

「………皆殺し…」

 

 

 

あの状態のあの男なら―――

 

 

 

 

 

「((……やりかねない。))」

 

 

 

 

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2007年 9月28日

呪術高専東京校

学長及び教師各位

 

補助監督 正金寺美里

 

"本校生徒における殺傷事件についての調査報告書"

 

 

1、事件内容記録

発生日時:2007年9月23日 午後9時ごろ

発生場所:■■県■■市(旧■■村)

 

発見の経緯:任務担当者(夏油)の帰還が遅れていたため、補助監督が任務対象現場へ赴いたところ、判明した。夏油の派遣から、5日が立っていた。

 

被害状況:旧■■村の住民 112 名の死亡を確認

 

2、 夏油に対する任務概要

旧■■村の調查

村落内では伝承として、神隠しが語り継がれてきた。しかし実際、村民の変死事件はたびたび起きていることが依頼者の情報、また高専の調査でもわかる。8割がた呪霊による事案であると推測がついたため、さらに詳細な現地での調査、および対象呪霊の祓除を任務として夏油に命じた。

 

3、行動・経緯推測

9月18日、夏油単独で旧■■村入り。

任務の概要は、出立 1週間前に補助監督官から伝えられた。本人からこの件においての事前の要望等はなく、単独行動を命じたのも高専側である。理由としては、夏油自身の経験値により単独が可能であったと判断したため、また対象呪霊が夏油よりも等級の低い準一級程度と推測されたこと、また呪術師の人員不足によるものである。

 

おそらくこの時は、通常の任務の一環、その時点で計略があったと思われるような行動はなかった。

 

当日は午前9時、東京校から車で出発。

夏油と担当補助監督(正金寺)の2名で移動した。

対象の村は公共交通機関など一切ない村であり、かつ村に入るには一通の狭い道を経由するため、車で近づくのは不可能。村から1キロメートルほど離れた神谷交差点付近で夏油を下ろし、別れた。

 

午後4時ごろから、夏油は単独行動を開始。

今回の任務遂行期間は9月18日~9月20日の最大3日間。完了次第、通常通り連絡をもらう手はずとなっていた。(ただ、厳密な約束ではなかった。そのため、今回の事件発見が遅れたとも考えられる。要改善事項)

 

今回の依頼に関しては、住人周知のものであったため、隠密行動で、などの制約はなかった。村での滞在を前提として、消防団所属の依頼者(陰谷清隆・43歳、母と同居) の自宅一室を貸し出してもらえるように段取りはしたが、実際に宿泊したかなどの詳細は、依頼者、またその母親も死亡のため不明。

移動中の車内で補助監督から伝えた、その時点での任務調査報告は以下である。

 

・集落内では伝承として、”神隠し”というものがあった。文献も残っている。江戸時代から伝わる・・、というよくある形の言い伝えではあったが、近年においても、事件性を感じる形で続いていることが特徴。

ここ10年間で、5件の事例があった。

 

1998年3月19日、26歳の女性が姿を消す。

2001年5月7日、67歳の男性が変死。

2002年7月24日、4歳の少女が姿を消す。

2005年8月4日、57歳男性と46歳女性が変死体で見つかる。

2007年9月13日、46歳男性が変死。

 

特徴として、

・失踪、変死ともに、村内の神域とされる鍾乳洞から50メートル以内で起きて

いる。

・若い女子供→失踪、中年以上または男性→変死体で発見されている

・変死体には首がない

などの共通項から、鍾乳洞近辺に生息する呪霊の仕業であると推測し、その真偽、言い伝えの確認から夏油は村内で調査を開始したと思われる。

単独行動を始めた9月18日午後4時ごろから、聞き込みや調査、対象呪霊の祓除などを行ったと予測されるが、関与した村人は皆死亡したため、証言できる者はいない。

ただ、この件が呪無によるものであった場合、夏油は祓除を達成したことは確かである。

 

9月19日(時刻不明)、村民惨殺事件が発生。

 

村の住人 112名が死亡した。村はその後の放火によって7割が全焼した。(高専が現地に向かった9月23日に、村内に生き残った人間はいなかった。目撃証言等はなし)

死因の調査を行ったところ、全員が呪霊による夜害と判明。

 

また残穢検査により、夏油傑の呪霊操術と断定。

 

夏油は村民を殺害後、村に火をつけ逃走したと思われる。

この事件に関して、夏油の動機は不明。

村内の住民登録情報には、夏油と血縁関係のあった者、また任意以前に個人的に関わりのあった者などはいなかった。

 

なお、この村には呪術師の家系があったとの情報などはあり、夏油と共通する属性の面でさらに動機等はなかったか、調査中である。

 

 

4、今後の処分等

夏油傑は現在も逃走中

呪術規定9条に基づき、呪師として"処刑対象"となる。

 

 

―――以上

 

 

 

 

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「―――は?」

 

 

高専内の校舎の廊下に気の抜けたような声が響く。

 

夏油の親友でもあり、相棒でもあった五条悟。

 

親友が起こしたとされている殺傷事件を耳にした彼は呆然と口を開けたままだった。

 

 

 

「何度も言わせるな。傑が集落の人間を皆殺しに…」

「聞こえてますよ!…だから"は?"っつったんだ。」

 

「………」

 

廊下の真ん中に立ち、向かい合う悟と夜蛾。そして夜蛾の背後では共に夏油の実家に調査に赴いていた洸の姿もあった。

 

 

 

「傑の実家はすでに"もぬけの殻"だった。ただ血痕と残穢から…おそらく両親も手にかけた。」

「は?」

「…その現場は洸も確認してる。明らかにあれは傑の呪霊操術…」

「んなわけねぇだろ!!!」

 

夜蛾の言葉に反発するように声を荒あげる。そこにはいつもの悟の姿は無く、ただただ焦りと葛藤に混乱しているようだった。

 

 

 

「…なあ洸。お前…任務前に会ってんだよな?傑と。」

「うん。そうだよ。前日の夜に。」

「その時の様子は?何か…お前に話したこととか…何かねぇのか?…何か…」

「…………」

「おい…"お前なら"何か知ってんだろ!!」

「…………」

 

 

悟は夜蛾の背後で黙り込む洸に掴みかかった。制服の襟のボタンが取れそうな程に力強く引っぱるも洸は一切動揺することなく覚めた視線を向け続けた。

 

 

 

「黙ってねぇで何か言…」

「"いつも通りだった"。何もない。」

 

 

淡々とした口調。

洸の濡れたような艶のある唇は次々と言葉を吐き出した。

 

 

「1年前から変わってない。"様子がおかしくなってからそのまま"だよ。」

「ッ……」

「私、この1年ずっと言ってたよね。悟兄。」

「それは…」

「あなたが目を背けたからじゃないの。」

 

 

ハッキリと、洸は悟を突き刺すように言葉を吐き続ける。

 

 

 

「あなたが夏油先輩をちゃんと見てたら」

「やめろ…」

「"運が悪かった"」

「やめろ…やめろ…」

 

自分が過去に妹に言い放った言葉が自分に返ってくる。

 

 

運が悪かった

仲間が死ぬことくらいある

呪術師なのだからそれくらい―――

 

 

 

"やめろ…やめろやめろやめろやめろ!!!"

 

 

 

自分が放った嫌な台詞が脳内を巡ると悟の大きな手がガタガタと震え始めた。

 

 

 

「あなたが"いつまでもそんなだった"から、夏油先輩は―――」

 

 

 

 

刹那、悟は空いていた右手を大きく振り上げた。

顔には酷く動揺が浮かんでいた。

 

 

 

「洸ッ!!」

「………」

 

 

抵抗することも無く、じっと兄を見上げる妹。

無下限を使うことも無く、兄を受け入れるつもりだ―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悟!洸!!止めろ!」

 

洸を掴む手を無理やり引き剥がし、悟を抑えるように間に立つ夜蛾。今まで何度も兄妹喧嘩は仲裁してきたが今日はまた全く違う雰囲気の喧嘩だ。

 

 

あの悟が妹の洸に手を出そうとした。

あの洸が兄の悟に追い込むような言葉を突き刺した。

 

下手をすれば"本気"の殴り合いが始まるところだっただろう。

 

 

 

「ッ…はぁ…はぁ……クソっ!!」

「悟。手を出すのは違うだろう。」

 

掴んだ手を離すとまるでいじけた子供のように俯く悟。

 

 

 

「洸、お前もだ。もう少し言葉を選べ。」

「……………」

「洸!」

「………申し訳ありませんでした。」

「…………」

 

同じく、掴まれていた襟を直すように手で払うと2人から視線を外すように外を見据える洸。

 

冷めきった赤い瞳は夏油をも思い出させる。希望も何もかも失ったような瞳はどこか遠くを見据え続ける。

 

 

仲間を失い続ける洸の荒んだ心情は誰にも分かるまい。

 

 

 

夜蛾はそんな2人を目の前に、自分自身も悔しそうに唇をかみ締めた。

 

 

 

 

 

「……悟、洸。…俺も…何が何だか分からんのだ。」

 

 

あの夜蛾でさえも普段見せない、気難しそうな憂鬱な顔を生徒に見せていた。大切な生徒を呪詛師にしてしまった。これからは処刑対象として追わなければならない苦しみ。

 

それを漸く読み取った悟はそれ以上声を投げることもせず、ただただその場で俯いた。

 

 

「あっ……くっ……ッ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

 

それを眺める洸の赤い瞳。

なにか諦めたような、絶望に堕ちた哀しい顔。

 

 

堕ちていく

壊れて、砕けて、割れ落ちる。

 

 

 

 

┈┈┈┈┈┈

 

 

 

 

――蘭摧玉折(らんさいぎょくせつ)

 

蘭の花が散り、玉が砕け割れること

 

賢人や美人などが、その魅力を十分に発揮しないまま、去ってゆくこと

 

 

 

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