ディオの母親に転生したからディオを英国紳士に育てる 作:黄金と漆黒の波紋失踪
私は生まれた時から不思議な力を持っていた。
人の傷を癒したり、寒い時にその部屋を暖めたり…。
様々な奇跡を起こし生まれ故郷では神の子と呼ばれた。
しかし、人間とは自分の理解出来ぬものを恐れ、妬むモノ…。
清く正しく生きる事は難しく、誘惑を跳ね除ける強い生き方はなかなかできないモノだ…。
私の両親は優しく真面目な人物だった。
だが私という金の卵を産む鶏を手に入れすっかり小悪党と化してしまった。
私を神の子として村ぐるみでカルト教団を作り上げ多くの人々を騙し、儲け、憎まれた。
結局は騙してきた人々に殺され、私は魔女として火炙りになりそうになった所をこの力を使い逃げ出した。
何年逃げ続けただろうか。
国からも魔女指定され子供から異端審問官まで追われまくる人生を送って来た。
私は自分の事は魔女と思った事はないが普通の人間ではないのは理解している。
私は既に40歳を超えた女だがこの姿は未だに老いを知らず10代の少女の姿をしていた。
私を知らない町から町へ転々と旅する中で、ある男と出会った。
男の名はダリオ・ブランドーと言った。
私の両親を思い出させる根は優しく真面目な小悪党が服を着て歩いてるような青年だった。
彼と出会い、私はこの世界と自分の運命を理解した。
ここはジョジョの奇妙な冒険の世界で、私はこの男と結婚しディオを産み過労で死ぬ定めだったのだ。
あぁ、私はおそらく波紋法の天才児とか何かで今まで無意識に波紋の呼吸を使っていたのだろう。
そう考えればこの力や、この若いままの姿に納得出来る…。
よかろう、私がディオの母になってやろうじゃあないか。
そしてディオを、ジョナサンに負けぬいやさ、ジョナサン以上の英国紳士に育てあげて原作崩壊させてやろうじゃあないか!!!!!
ようやく、この辛く苦しい人生に光が見えた気がする。
待っていろディオ、お前を吸血鬼なんぞにさせるものか、この私がお前を黄金の精神を持つJOJOに負けぬDIOに育ててやろう…。
◇
1868年イギリス某所。
とある貴族の夫婦を乗せた馬車が雨の中がけ崩れに巻き込まれようとしていた。
「コォオオオオオ」
そこに現れたるは若い女の姿。
ただの女ではなかった、女は馬車が崖から落ちるのを見るとすぐ様に崖を飛び降りなんと。
落ちる馬車の下に潜り込み、馬車を両手で支えてすとんと地面に着陸したではないか、馬は残念ながら死んでしまったが…。
「あ、あ、あわわわわ…」
馬車の御者は突然のことに理解が追い付かずうめき声をあげる事しか出来なかった。
「失礼、崖から落ちていく馬車を見かけたモノでつい手助けしてしまいました、ご無事ですか?」
女の声にはっと我に返る御者は礼も言わずに馬車の中の主人たちの様子を一目散に確認した。
「だ、旦那様ーーーーー!!!ご無事でいらっしゃいますか―――――!?」
「我々は無事だ、怪我一つない…それよりも君は…いや、まずは礼を、私の名はジョースター、君のお陰で私たちはこうして無事でいられた、ありがとう、この恩は決して忘れない」
馬車の中から現れた筋骨隆々の英国紳士は異常な力を見せた女を怪しまず、素直に礼を尽くした。
同じく馬車の中から現れた赤子を抱く女性も涙を流し女に礼を言った。
「ジョースターの妻、メアリーです…本当にありがとうございます…あぁ、ジョナサン…」
ジョースター婦人の腕の中でなく赤子…彼こそがこの物語の主人公、ジョナサン・ジョースターである。
「礼は結構です。雨に濡れてはその子の身体も冷えましょう。さ、馬車へ戻ってください、私が崖の上までお送りします」
「「「え?」」」
きょとんとする三人を女は馬車に戻した。
「少し揺れますよ」
女は自身の倍以上の大きさの馬車を持ち上げ、再び崖を駆け上る…。
その女の背では気持ち良さそうに眠る金髪の赤子の姿があった…。
◇
1881年。
酒場『ザ・ワールド』
そこにはかつてジョースター夫妻を助けた女…ソフィア・ブランドーの姿があった。
何度も断ったがジョースター夫妻から是非にと言われ頂いた大金を使い酒場を開いたソフィア。
夫を早くに亡くし我が子を背負いながら酒場の切り盛りをするこの美しき女主人を目当てに多くのチンピラが訪れたが金も払わぬヤクザ者に出す酒はないと拳で追い払う姿が評判になり、安心して美味い酒と美味い摘みを飲み食いできるこの最強の女主人が営む酒場は大人気になっていた。
ソフィアにの子、ディオも今では14歳。
酒場の手伝いをしながら母に特殊な呼吸法やヨーガ、格闘技を学び心身共に強靭な少年へと育ったディオ。
マザコンで母にいやらしい目線を向ける客を闇討ちする癖がついてしまったが根は優しく、弱者を見下したりはしない良い少年だ。
「ディオ、今日の手伝いは良いからジョースター様にこの酒を届けておくれ」
「わかったよ母さん、ついでにジョナサンと遊んできてもいいかい」
「フフ、怪我させるんじゃないよ」
「もちろんさ」
よくここまで育ってくれた。
今のディオは某スピードワゴンにゲロ以下の臭いがプンプン~と言われた邪悪さを感じられない。
このまま紳士として育ってくれればいいのだがとソフィアは思った。
「行ってきます」
「気を付けて行っといで」
コォオオオ、特殊な呼吸法を用いドンっと走り出すディオの姿もこの町では見慣れたモノだった。
「さて、もう少しでジョースター卿の屋敷だが…」
「いやあ~~~~~ん」
酒瓶の入った箱を抱えてジョースター家へ向かうディオの耳に少女の悲鳴が聞こえた。
「イエーイ!」
「かえして!かえしてよー!!」
ドサンピンのチンピラ共が少女の大事にしている人形を取り上げて揶揄っているようだ。
「やれやれだな…」
母に頼まれた仕事もあるが、こういう時、母は必ず少女を助ける。
ならばやる事は一つだ。
このディオは何をヤるにしてもまず母ならばどうするかを考えるマザコンだった。
母をいやらしい目で見た客ゥ?そんなクソ虫共は知らんなァ!
ディオはふぅと息を吐き、チンピラ共を懲らしめてやるかと動き出そうとした、その時。
「やめろォ!!!」
ディオよりも先に声を上げる少年がいた。
「その子に人形を返してやるんだ!!!」
その少年の名はジョナサン・ジョースター、ジョースター卿の子でディオの…親友だ。
「なんだおまえ!エリナの知り合いか!?」
「知らない子だが僕には戦う理由がある!!」
「あァ~ん?」
チンピラの言葉を受け、ジョナサンはダッと駆け出し体当たりを打ちかました。
しかし貴族の子として育てられたジョナサンはチンピラよりも体は小さく、筋肉もついておらず、喧嘩の仕方もなっちゃいなかった。
「この野郎ォ~俺ァ女の子の前だからってカッコつけるやつぁ大嫌いなんだ!やっつけてやる!」
ぽこすかとチンピラに拳を当てるジョナサンだったが全く通用しておらず。
チンピラは両手を組み上げ、組んだ拳がジョナサンへと振り下ろされそうになったが。
「ゲブラッ」
チンピラの顔面に酒瓶が投げつけられた。
「いぎー」
「なっちゃいないぞジョジョ」
「ディ、ディオ!!!」
ディオの姿を見たジョナサンは喜びと安堵、少しばかりの嫉妬を抱きながらディオの傍に駆け寄った。
「ディオ、どうしてここに?」
「たまたまさ、母さんに仕事を頼まれたんだが…おいお前ら、さっさとその子に人形を返してやれ、これ以上痛い目に遭いたくはァないだろう」
ギラリと睨みつけるディオの視線に震え上がりながらも虚勢を張ろうとするチンピラ共だったが…。
「にゃ、にゃ、にゃにを~…はっ、こ、こいつァ!ザ・ワールドのディオだァ!!!」
「ディオ!?あのマザコン狂いの!!ひ、ひー!ニゲロー!!!」
「ま、まってくれよー!おろろ~~~ん!!!」
ディオの評判を知るチンピラたちは尻尾を巻いて逃げていった。
「ふん、俺はマザコンではない、母さんを尊敬しているだけだ…拾ってやれよ、お前が始めたのだから最後まで責任持って終わらせろ」
「え……うん」
彼女を助けたのはディオだと思うジョナサンだったがチンピラの落とした人形を拾い、ハンカチで汚れをふき取ると少女に返してあげた。
「これ、君のお人形…」
「うん、取り返してくれてありがとう」
少女の言葉にジョナサンの胸がズキリと疼いた。
自分は彼女を助けられなかった、人形を取り戻したのは僕じゃあない、ディオだ、と。
「お人形を取り戻したのはディオだ、ディオがいなきゃ僕は…」
君のお人形を取り戻すどころか、きっとあのチンピラたちにやられていた…。
ディオという父からも認められる完璧な紳士の存在はジョナサンに劣等感を植え付けていた、自分は何もできない不出来な息子、それに比べて何でも出来るディオ。
「僕は…」
そんな自分に良くしてくれる親友にジョナサンは黒い感情を抱いていたが…。
「ううん、わたしのお人形を、わたしを助けてくれたのは、あなたよ」
「えッ」
少女の言葉はジョナサンの黒い感情を一瞬で払ってしまった。
「わたし、エリナ…あなたは?」
知らず知らず、ジョナサンの目からは熱い涙があふれていた。
「僕はジョナサン…ジョナサン・ジョースター…」
「ジョナサン…ありがとう、ジョナサン」
ジョナサンとエリナ、将来結婚する二人を少し離れた場所で眺めるディオであった。
「やれやれだな…」
母から頼まれた酒瓶は台無しになったが母もジョースター卿も良くやったと褒めてくれるだろう。
ジョナサンの抱いていた劣等感はこのディオも気付いていた、だが母の認めるジョナサンがその程度で闇に落ちるわけがないとディオは理解していた、さらにここでエリナという恋の出会い、これがジョナサンを爆発的に強くするだろうとディオは確信していた。
そして…。
「ジョジョ、今のお前なら母さんの修行にも耐えられるだろうなァ…」
不敵な笑みを見せるディオであった。
◇
1888年。
酒場『ザ・ワールド』
ソフィア・ブランド―は悩んでいた。
原作では石仮面を使い吸血鬼と化したディオが明確な悪となってジョナサンと対峙していた。
だがしかし、この世界のディオとジョナサンは良きライバルとなり黄金の精神を秘めた英国紳士として切磋琢磨し若き実業家と冒険家のコンビとして英国を盛り立てていた。
「第1部完、か…これでよかったのだろうか…」
ディオにもジョナサンにも波紋は教えたがソフィアの波紋法は我流だ。
本業の波紋使いや波紋戦士の波紋とは月と鼈、柱の男とか後々の子孫の為にもやはり二人にはきちんとした波紋戦士の師匠が必要だとソフィアは思った。
「そうだな、とりあえず波紋の本場、チベットにでも行ってみるか…」
こうしてソフィアはチベットへ向かった、誰にも知らせずに。
その結果ディオとジョナサンが行方不明になったソフィアを探しに旅に出るのだが、原作の修正力がお仕事したのか波紋とか石仮面とか吸血鬼について色々調べ周っていたら何処かの石仮面をかぶって吸血鬼と化した誰かさんと戦ったりその戦いの中でツェペリさんたちと出会い波紋を一から学び直したりして第一部がそれなりにきちんと完結したころ本場の波紋を身に着けて英国に帰って来たソフィアは自分の知らないところでディオに成り代わって吸血鬼となった誰かさんが既に倒されスピードワゴンがジョナサンだけでなくディオにも敬意を抱いていたことを知り、この世界での自身の人生は意味があったと己の宝を抱きしめ喜んだという。
ジョジョの奇妙な冒険Part1if「チェンジ・ザ・ワールド」完