戦場からこんにちは   作:Aa_おにぎり

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一〇話

毎日大量に浪費する火器弾薬。

赤い血の染み込み、黒ずんだ大地。

焼け焦げ、復旧するにも時間とお金がかかる占領地。

人民の命を賭けて行われる終わりなき地獄の戦争。

そんな地獄を知らずに毎日送られてくる志願兵。

機関銃の猛攻に晒され、次々と倒れる新兵。

そして、湯水の様に溶けていく戦費。

 

まぁ、何と戦争は悲惨な事でしょうか。おまけに戦争後に賠償金も取れなかったら超緊縮財政待ったなし。大幅な増税とインフレにデフォルト。まさにこの世の地獄とも言うべきでしょうか?そして人は後悔する。『戦争なんて懲り懲りだ』と・・・

それでも人が戦争をやめられないのはなんででしょうねぇ?

 

・・・ちゃんと歴史を学ばないから同じことを繰り返すんですよ。

 

どうも、現在絶賛小銃と物資片手に山道を走っている帝国軍魔法師ディルク・ゲーリック士官候補生であります。えー、ここでの生活は前線に比べたら最高と言っていいでしょう。毎日ベットで寝れて暖かい三食の飯。尚且つ夜は静か。まさに極上の場所と言っていいだろう。暖かい飯が腹一杯食えることにこんなにありがたく感じるなんて・・・少なくとも日本では考えられなかった生活だ。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

士官学校での生活はあっという間だった。旧来から塹壕戦に変わったことにの戦術論や軍規の講座、実弾演習に行軍訓練。特にデニスと話し合った電撃戦については特に盛り上がっていた。恐らく進学するであろう陸軍大学卒業時に必要な卒論に使えると踏んで自分はデニスと共に論文をタイプライターで打っていた。

 

現在、帝国軍は『武器統合計画』という名で、戦場で使う兵装の統一化を行い始めた。使用する部品の統一や砲弾の統一化は前線の補給将校や整備班から快く受け入れられたと言う。そりゃあ、仕事量が減るから現場としては万々歳だろう。

砲弾は八八ミリ、一二八ミリ、一五〇ミリの三種類で統一され、嘗ての主力である七五ミリ口径砲は戦車用以外は後方に移動と集積が行われて、前線では徐々に武器統合計画に基づいて三種類の砲弾で固定され始めた。

歩兵の武器に関しても同じように拳銃、小銃若しくは半自動小銃、汎用機関銃で構成され、機関銃と小銃に至っては弾薬の共有ができる7.92mm弾を使用している。拳銃は言わずもがな9mm拳銃弾だ。

え?何でそんなこと知っているかって?そりゃあ、その計画に発案者の俺も関わっているからだよ。正確には義父を通して俺に話が来ていただけだが・・・

 

 

 

 

 

この世界ではヴェルサイユ条約のような条約がない影響か、帝国の兵器開発は五年〜八年ほど早まっていた。おかげでⅢ号・Ⅳ号戦車が地球よりも速い正暦一九三一年に完成している。まさに帝国はドイツそのものだ。

流石にティーガーやパンターは東部戦線がないので出来ていないが、自分達の提案する電撃戦を行うには現在のⅣ号戦車では火力と速度が足りないと判断したので、いずれは似た様なものを設計する。共和国の塹壕を走ってきたが、あれを突破するにはやはり八八ミリ砲が最適解だ。・・・というか共和国の戦車が硬過ぎて八八ミリじゃないと撃破できないと報告が上がっている。アフリカ戦線のマチルダⅡかよ・・・

何せ、共和国の使用する戦車ソミュアS3()0()はⅢ号戦車よりも装甲、速度に勝っていたのだ*1

これを受けて帝国軍では戦車設計に大きな期待がかけられていた。一応、必要なスペックは以下の通りを伝えた。

 

①主砲は88mm砲を使用する事。

②車体や砲塔全体に傾斜を付ける事。

③エンジンは相互性を持たせる為に重戦車でも中戦車でも使える物を使用する事。

④重量は50t以内に抑える事。

⑤部品の互換性も出来るところは全て行う事。

⑥速度は最高60km/hとする。

 

50tという重戦車顔負けの重量に難色を示す者もいたが、もう面倒なのでエンジン部分以外は俺が大まかな設計を書く事にした。それを見た設計局の人が、

 

『実に素晴らしい設計だ!!そして美しい!!まさに帝国を体現した様な戦車だ!!

我々はこの戦車を一年で完成させると約束しよう!!』

 

そう意気込み、性能を満たす為に研究を開始した。さすがは技術の国帝国。科学者たちの動きが早い。

 

 

 

 

 

あぁ、因みにこの世界で列車砲は一応あった。あったのだが・・・

 

『列車砲?ああ、あの産業廃棄物かね?』

 

という感じでイラナイコ宣言を受けていた。

何でも何年も前に大陸の南端の国家同士で起こった戦争で配備された何門もの帝国製の列車砲がまだまだ黎明期だった航空機から落とされた爆弾で全て吹き飛んだそうだ。そのせいで圧倒的戦力差のある筈だったその戦争は一瞬で形成が逆転したそうだ。その戦訓から列車砲は重い、動けん、デカいの三拍子が集まって産廃認定を受けたらしい。そんな訳で列車砲はこの世界では早々に衰退したそうだ。まさに航空主兵論・・・

 

 

 


 

 

 

現在、陸軍では電撃戦の為の準備が着々と行われ、それまでの間。戦線は共和国に出血強要をする、遅滞防御に専念させる事を決定。

そして、新たに新型汎用機関銃の採用を決定。MG37(42)と命名されたその汎用機関銃は言って仕舞えばMG34の戦時生産品。今までの切り出し加工からプレス加工を多用した戦時生産型の汎用機関銃。しかし、毎分1200発〜1500発撃てるその汎用機関銃は戦後も設計をほぼ変えずに生産され続ける傑作機関銃となった。

因みに帝国軍は昨年に新型半自動小銃のGewehr 36(43)の配備を開始。徐々に前線にも配備が進んでいると言う。え?それまで半自動小銃はどうしていたかって?答えはウォルマーM30Bと言う半自動小銃や、帝国西南に新たに独立した新興国家の作ったZH−29を使っていたそうだ。

 

 

 


 

 

 

正暦一九三八年 三月一〇日

ライヒ帝国 陸軍士官学校

 

その日、俺は教官に呼ばれていた。何事かと思いつつ、俺は部屋に入ると、そこである用紙を渡された。

 

「研究局に・・・ですか?」

 

そこに書かれていた内容を読み、思わず首を傾げていると教官が言った。

 

「ああ、君は陸軍大学を免除され。卒業認定を後々与えると共に、『帝国軍魔導研究局』に向かうことになる」

 

教官はかつてない程哀れんだ眼差しをしながら俺に言う。俺は初めて聞く部署に疑問に思いながらも命令を承諾すると教官が俺の肩を掴みながら言った。

 

「頑張れよ、ディルク士官候補生。君が()()()()事を祈っている」

「は・・・?」

 

何処となく嫌な予感がし、命令撤回を求め様にももう遅かった。俺は士官学校卒業と同時に中尉の階級章と宿舎にあった数少ない荷物を持って首都から離れた街に到着する。俺のこの命令書は何でも参謀総長から出された様で、撤回なんて出来ない強制的な物だと理解。そして絶望し、移動する車内で溜息を吐いた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

到着したのはベトンで固められた頑丈な無機質な建物のある施設だった。外には簡易的な飛行場を持ち、格納庫も小型機が格納できるほどの大きさだった。車から降りた俺は半ば呆然としながら一人の軍人に案内される。その人について行くと俺はベトンガチガチの建物の中で紹介を受けた。

 

「主任、彼がディルク中尉であります」

 

そう言うと書類の山の中から一人の女性が顔を出した。思わずギョッとなりそうになるが、必死にそれを抑えて俺は敬礼する。

 

「き、今日より派遣されました・・・!ディ、ディルク・フォン・ゲーリッツ少尉であります!!」

 

そう言うと目の前の女性は隈の出来た目で俺を見るとあぁ、と一言呟いて言った。

 

「君が噂の天才君か・・・ようこそ、魔導研究所に。我々は君を歓迎するよ」

 

そう言う目は逝っちゃっている目をしており、みるからにやばい雰囲気をぷんぷんさせていた。逃げれるなら今すぐにでも逃げ出したい気持ちを抑えつつ、俺は目の前にいるこの研究所の所長兼主任であるエレニカ・ネーデルハイト技術少佐に挨拶を済ませる。明らか見た目がヤバイ人に対し、俺はこの人が上司になるのかと思うとややゲンナリしていた。いつの間にか案内してくれた人消えているし・・・

そう思っていると俺は衝撃的な話を聞かされる。

 

「さて、来てもらって早々だけど早速()()の手伝いをしてもらおうか」

「・・・・・・はぁ?」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「ゼェ・・・ゼェ・・・」

 

俺は実験台になっています。(誤字にあらず)

研究所に着いて施設の紹介すらされることは無く、俺はエレニカ主任に腕を引っ張られ、さっき見た格納庫見たいな場所に連れてこられました。

そこで俺は格納庫内にあったでっかい機械を見させられ。その周りに何人もの白衣を着た研究員が機械を囲んでいた。

その後にエレニカ主任に機械に取り付けられた取手の部分を持って欲しいと言われ、そこに魔力を全部流し込んで欲しいと言われて、命令通りに魔力を流した所。機械が動き出し、自分の持っていた魔力を根こそぎ持って行かれた。

直後に恐ろしい倦怠感に襲われ、取っ手を持ったまま倒れてしまうと横でエレニカ主任が興奮した様子で結果を見ていた。

 

「すごい・・・素晴らしいぞ!ディクル君!今までで最高の数値を叩き出したぞ!!」

 

そう言うも俺は恐ろしい倦怠感から血圧が急速に低下し、その言葉を最後にまた気絶してしまった・・・・・・

*1
西暦でも優秀な戦車。




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