戦場からこんにちは   作:Aa_おにぎり

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一二話

俺が天照大御神からの依頼と衝撃的な事実を知った後、俺の視界は何処かの部屋に戻っていた。視界に映るは真っ白な壁紙と電球。俺は目を覚まし、体を起き上がらせると周りを見回す。来ていた筈の上着はハンガーに掛けられ、来ていたワイシャツも第一ボタンがはずされ、楽な格好になっていた。

俺はそこで頭に手を当てると先ほどの光景を思い出す。

 

「あれは・・・」

 

その時、頭がカチ割れそうなほど恐ろしい頭痛が走った。

 

「ぐぉぉぉおおおお!!あぁぁぁぁぁああぁぁああ!!」

 

それはもう酷い。頭の中でシンバルを鳴らされた様な激しい痛みだった。思わず俺は数多を抱えて悲鳴を上げていると部屋にエレニカ主任が入って来た。

 

「やーやー起きた様だね。モル・・・ディルク少尉」

 

今この人俺をモルモットと言おうとしたよね?!あぁ、駄目だ。頭が痛すぎてそんなこと言ってらんない。

悶絶している俺にエレニカ主任は答える。

 

「あー、魔力切れの影響だね。薬飲んだら治るから、これ飲んどいてくれ」

「うおぉぉ・・・そ、そうですか・・・」

 

そう言い、俺は渡された錠剤の入った瓶をもらうとエレニカ主任は満足げな様子で俺に言う。因みにエレニカ主任が言うには魔法切れは二日酔いに似ていると言う。あと数年は経験したくなかった奴だ・・・

 

「いやぁ、君は実に優秀な人材だ。おかげで研究が捗る捗る」

「そうですか・・・」

 

錠剤を水なしで飲み込み、口から涎を少し垂らし、ベットに倒れながら俺は返事をする。このマッドサイエンティストめ・・・後で転属願出してやる。

そう心に決めつつ、俺は未だに治らない頭痛と闘いながらあの機械の事を聞いた。

 

「エ、エレニカ主任・・・あの機械は何ですか・・・?」

「あれかね?あれは『指向性魔導演算機』だ」

「?」

 

意味がわからない自分にエレニカ主任は答える。

 

「今まで戦場で魔法を使うには小銃による照準、装弾、魔力充填をしてからの発射で、長距離になればなるほど射撃精度は落ちる」

「はぁ・・・」

 

するとエレニカ主任は壁にドンッと手を当てると自信満々に言い放った。

 

「しかし!これが実現すれば長距離の精度が劇的に向上する上に、自動的に魔力充填が行われるから弾薬を装填するだけで魔法弾の発射ができるのだ!!」

「へ、へぇー・・・」

 

ぶっちゃけ何が凄いのかよくわからないが、兎に角新技術なんだろうと言うのは分かった。しかし、あのでっかい機械を見ると正直戦場で使える気がしない。だって建物見たいな大きさだったもん。するとエレニカ主任はお見通しと言わんばかりに胸を張って言う。

 

「因みにあの演算機の小型化にも成功しているぞ!!安心したまえ。ハッハッハッ!!」

 

何処にも安心できる要素がないんですが?!

俺は頭痛が治り、ようやく一息できると思うと、エレニカ主任は起きた俺の手を掴むとベットから引き摺り下ろした。

 

「さぁさぁ!まだまだあの作品は完成していないんだ!次の実験に移ろうか!!」

「ゴホッ!ゴホッ!(う、嘘だろっ?!)」

 

俺、ここで死ぬんじゃないんでしょうか天照様・・・

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

同時刻 ライヒ帝国参謀本部 行政参謀次長執務室

 

そこではある一人の女性の声が轟いた。

 

「えっ!?ディルクが魔導研究局に!?!?」

「嗚呼、ペックが士官学校を出た後にディルクを移動させたそうだ」

 

思わず持っていた書類を落としてしまったカミラはコルネリウスに問い詰めてしまう。

 

「冗談でしょう?!あんな魔の巣窟に新人を送るんですか!?総長は何を考えているんですか!!」

「俺に言われても困る・・・だが、研究所からは『実験が捗った』とエレニカ主任が喜んでいたそうだ」

 

するとカミラは慌てた様子で部屋を出て行こうとした。

 

「ちょ、ちょっとディルクを迎えに行って来ても良いですか?!」

「それは無理だ。総長の命令だぞ?おまけにディルクのお陰で演算機が完成し掛けているそうだ。そんな事すれば上からやっかみを受けるぞ」

「そんな・・・」

 

ディルクの移動先を聞いたカミラはひたすらにディルクが無事に戻ってくる事を祈っていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

俺がこの魔境(魔導研究局)に来て、どれくらい経っただろうか。俺は毎日この演算機に手を当てて魔力供給をする日々を送り、毎日魔力切れの頭痛に悩まされる日々を送っていた。

 

「義姉さん助けて!!」

 

ある日、俺は遂に我慢できずに研究所の電話で義姉に泣きついた。義姉も予想できた話だった様で『出来るだけ努力するからそれまで耐えて』と言い、翌日帰って来た返事は・・・

 

『ごめん・・・駄目でした・・・』

 

絶望の一言でした。俺は放心になりつつ、今日も今日とて背中に演算機を担いでいます。

 

『よし、テスト開始!』

『ディルク君。いつも通り魔力を流し込んでくれ』

「はい・・・」

 

滑走路のど真ん中で俺は背中にでっかい金属の箱を背負ってそこに魔力を徐々に増やしながら流し込む。エレニカ主任曰く、魔力というのは身体中を流れる見えない血液だそう。その血液は意識すれば何処にでも流す事が出来、調整も出来るらしい。

そう言われ、俺は演算機に魔力を流す。すると背中の金属箱の中から歯車みたいなものが動く音が聞こえ、シューっと空気の流れる音がする。言われた通りに魔力を流していると今日は背中がめちゃ熱くなってきた。

 

「アチっ!あちゃちゃちゃちゃちゃ!!」

 

咄嗟に魔力を流すのを止めようとすると、

 

『馬鹿者!実験を中断するな!!』

 

と言い、エレニカ主任がマイク越しに怒鳴った。いや、熱いんですけど!!背中灼けるんですけど!!

しかし、この後エレニカ主任に殴られるのは嫌なのでそのまま魔力を流し続ける。すると今度は背中から煙が上がった。

 

『主任!温度が規定値を超えました!これ以上は暴発します!!』

『むぅ・・・冷却に問題があるか・・・仕方ない、実験中止!魔力を切れ!』

「(あぁ、やっと終わった・・・)」

 

そう思い、俺は背中の金属箱を地面に下ろす。ゲッ、背中の野戦服焦げてんじゃん・・・

そう言い、真っ黒になって穴の空いた服を持つと俺はエレニカ主任に行った。

 

「主任!見て下さい!ここ焦げてます!それと熱すぎて危険なのでこの実験は中止すべきです!!」

「それはならん!もう直ぐで完成するんだ!ここで中止にはさせんぞ!!」

「これの何処が完成ですか!欠陥機でしょうに!?」

「何を言うか!熱くなったからこそ成功なのだ!」

 

二人の言い合いはもはや日常茶飯事。普通なら軍規違反で会議物だが、エレニカ主任は気にしていない様で今まで一回も俺は軍法会議にかけられていない。それを見ているからこそ他の研究員たちももはや何も言わずに機械の中身を見て欠点を洗い出す。・・・というか、ここにいる研究員はすでにエレニカ主任の洗礼を受けているのでむしろこの実験に耐えられているディルクに感心していた。

 

「うわぁ・・・この配線焦げちまってらぁ」

「予備の部品あるか?」

「すげぇ・・・これが帝国の若き天才の力かよ」

「神に愛されてんなぁ」

 

少なくとも今までない結果に研究者達は興味津々だった。

 

「こりゃあ、次くらいには成功するかもな・・・」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

数日後、俺は薬剤のおかげで頭痛に悩まされる事なく俺は目覚めるが・・・

 

「(起きたくねぇ・・・・・・)」

 

俺は非常に憂鬱だった。天照様の示した期限はあと四年。それまでに俺はこの地獄から解放されるのか?とにかく俺は直ぐにでも前線に戻りたい・・・

いつの間にか記憶が飛んでいた日もあり、ここは別ベクトルで地獄だ……

ベットで布団を被りながら寝ていると部屋の扉が蹴破られ、悪魔(エレニカ主任)がやってきた。

 

「さぁ!今日も実験に行こうか!ディルク君!!」

「・・・行きたくないです」

「何を言っているんだね?欠点を改良したのだ!もうすぐで完成するのだぞ!」

「もう、嫌です・・・」

「つべこべ言わずに来なさい」

 

そういうも、俺は布団を剥ぎ取られ。以前よりも元気な主任に首根っこを掴まれて宿舎を出た。俺は野戦服に着替えさせられ、実験場(滑走路)で再び小型化された演算機を背負った。

 

『今日は成功するはずだ!さ、頼むぞ中尉』

「は・・・い・・・」

 

半ば白目になりつつ、俺は内心必死に祈る。

 

「(お助けください神様仏様天照様・・・!!)」

 

これで死ぬ様なことだけはご勘弁。まだなんの仕事も出来ていないのに・・・・・・!!

そう思いながら俺は魔力を流し込む。また歯車が回転し、背中の機械が熱くなる。そして、また空気が出る音がし出し、機械はここまで順調に動く。しかし問題はここからだ。

 

『よし、最大出力にしてくれ』

「(来た・・・っ!)」

 

ついに来た耐久運転。数日前の実験ではここで背中が焦げた。だからめちゃくちゃ緊張した。俺は大きく息を吸い込むと残留魔力を一斉に放出した。

 

「スゥーーはぁーー・・・・・・ふっ・・・!!」

 

直後に背中の箱が動き出す。歯車が畝り、機械が熱を帯びる。機械から凄まじい熱気が噴射し、周りに土煙を撒き散らす。これ以上入れると飛び上がってしまいそうなほどの勢いだ。ただの排気口なのにこの威力だ。推力偏向にしたらとんでもない事になるぞ。

そう思ったのも束の間。通信機越しに泣き叫ぶ声が聞こえた。

 

『やったぞ!!成功だ!!よくやってくれたぞ!少尉!!』

 

するとその奥から研究者達の喜ぶ声が聞こえ、扉を開けて出ていく音が聞こえた。

俺は順調に魔力を切ると研究者達が喜びの雄叫びをしながら走って来た。俺はその時、膝をつき、空を見ながらひたすら感謝をしていた。

 

「あぁ、神よ・・・我を救ってくださり誠に感謝いたします・・・・・・」

 

やっとこれで地獄の日々から解放されると自分は昇天しかけそうになった。

 

 

 

 

 

その日、ディルクの多大なる犠牲の元完成した指向性魔導演算機は『三七式魔導演算機』として帝国軍に採用される事となった・・・・・・

 

 

 




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