戦場からこんにちは   作:Aa_おにぎり

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一五七話

その日、ディルクは市街地に出かけていた。車を走らせて市街地の商店街で買い出しに出掛けていた。

 

「いらっしゃい」

「やあ、何か新しいものはあるかい?」

 

青果店で店主に案内をされながら彼は野菜を見繕っていた。すると彼の隣に一人の人物が近寄って話しかけてくる。

 

「いい青物が揃っていますね」

「ええ、ここのビートは特におすすめですよ?」

 

ディルクに話しかけてきた一人の男にディルクは頷いて返すと、彼はジャガイモを手に取りながらその人物に聞いた。

 

「かつてジャガイモは宗教で食べる事を禁止されたとか?」

「ええ、そんな話もあった気がしますな」

 

その男はそこでディルクを確認すると、二人はそこで青果店を後にして裏路地に入る。

 

「早いですね」

「貴殿の精霊石はよくわかる。血の匂いもな」

 

そこで彼はディルクが持っていた精霊石を見ながら答えた。

それはある人物からディルク達が受け取った友情の印でもあった。ディルクはそこですぐに地図を指差して言う。

 

「三日後に、この場所で攻撃をしてもらいたい。山の上にあるから、山道入り口で注意を引くだけでいい」

「了解した。その後、我々は貴殿らを目的地まで届けよう」

 

その男は丁寧な帝国語の口調で話すと、ディルクはその流暢さにさして驚きはしないが、来てくれるとは意外な部分もあった。

 

「貴殿らに武器も与えよというのが天眼様のご意向だ。我々も同意している」

「やけに協力的だな」

 

ディルクは言うと、その男は無表情で答える。

 

「勝手に異世界人同士で殺してくれるのであれば、これほど楽なこともないだけだ」

 

だが、ディルクにはそれで十分であった。

確認を終え、二人はその後、何もなかったかの様に分かれて消えていった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

その日、ディルクの姿はあの古城にあった。山の斜面から城を見上げていると、その後に背中に背負った魔導演算機を使って他にも自動小銃(フェドロフM1916)対戦車ライフル(ゾロターン S18/1000)散弾銃(ブローニング・オート5)などを持っていた。

 

武装のしすぎと言う点に異論はないが、偽装のために車を別荘に放置しているため、武器は全部持っていく必要があった。幸いにも魔導演算機は重力魔法を使うため、どれほど重武装であっても持ち運びが容易になるのが救いであった。

 

「…」

 

頭から黒い目出し帽を被り、城を見上げて先に魔導演算機を使って城に取り付くと、そこで窓から中の様子を伺う。

夜で偽装のためか明かりの類はない。さらにカーテンも閉じられている為に中の様子は伺えない。

 

「(蓮子)」

『ん、ちょっと待って』

 

そこで連絡を取ると、小山は鉄格子のはめられた窓を開ける。

 

『窓を開けたから、その場所を探してくれる?』

「(了解)」

 

そこで建物の壁を確認しながら彼は重力を操作して重力が城の壁を中心になる様に調整を行ってから背中の魔導演算機の確認を行う。

 

「…どこだ?」

 

そして窓を確認して壁を歩いていくと、鉄格子のはめられた窓を一つづつ確認していく。

 

「っ!?」

 

その時、突如城の窓が開いてディルクは驚愕をした。

 

「どうした?」

「いや、何か音がした気がするんだが…」

 

そして顔を覗かせた兵士が首を傾げていた。

 

「気のせいじゃないのか?」

「さぁ?」

 

すると直後、バサバサと音を立てて鳥が羽ばたく音がした。

 

「何だ鳥か」

「驚かせやがって」

「おい、早くしろよ」

 

部屋の中でポーカーに興じていた彼等は覗き込んだ兵士に言うと、彼はそこで答えてから部屋に消えていった。

 

「…」

 

その窓枠の上でディルクは息を殺してその様子を見ていた。もし彼が上を見ていたら終わっていた。その為に鳥の羽ばたく音のする魔法を唱えたのだが…。

 

「(っぶねぇ…暫くは味方していてくれよ、運)」

 

彼は内心で真にそうて願いながら足元の鉄格子のついた窓を探す。

この一ヶ月ほどの調査で、鉄格子のついた窓のある部屋で小山達異世界人は個室で収容されていると言う。そして全員が二週間に一度、部屋移動が行われていると言う。

 

「…見つけた」

 

すると窓枠から伸びる白い腕が見えた。月明かりもないにも関わらず、そのガラスの様な透き通った白ささえある手が窓から出ていたのだ。

 

「蓮子」

「お出迎えかしら?」

 

そこで窓から話しかけると、彼女は窓の外で壁伝いに立っている男を見た。

 

「申し訳ございません、姫様。お出迎えは少し遅れてしまいそうです」

 

ディルクは少し彼女に乗るように答えると、彼は持っていた機関拳銃(モーゼル M712)を手渡す。

 

「あら、これは?」

「爆発が聞こえたら、そいつで鍵を撃ち抜け」

「了解」

 

格子をすり抜けて拳銃を受け取ると、彼女は頷く。すでに弾薬も装填済みで、ここに来る前に彼女達から回収された武器の一つであった。

 

「他の奴らは?」

「全員ついてくるって」

「了解だ」

 

窓越しで確認を行うと、彼女は重武装をしている彼に苦笑する。

 

「その武器どうしたの?」

「欠陥品を譲って貰ったのさ」

 

そう返すと、彼は遠くで爆発音がしたのを聞いた。山の麓にある山道で事前の予定通りに襲撃が始まった合図であった。

 

「悪い、状況開始だ」

「了解」

 

そこで小山は頷くと、南部は窓から距離をとって上に登った。

空に上がり、彼は対戦車ライフルを両手で持って銃口を施設内にあった魔導レーダーに向ける。ちょうど、入り口で襲撃があって増援部隊としてトラックに兵士たちが乗り込んで城門から飛び出していた。

 

「…」

 

もはや手慣れた様子で彼は照準を合わせて引き金を引くと、放たれた20mm砲弾は凄まじい反動で彼の体を後退させてしまうと、弾頭は魔導レーダーのアンテナに命中した後に魔法弾が炸裂して爆破を起こした。

 

「っ!?」

「くそっ!襲撃だ!」

「どこから撃ってきたんだ!?」

 

入り口で襲撃があり、増援部隊を城から送り出した直後であったために彼等は突然レーダー車が爆発をしたことに驚愕をしていた。

 

「っ!」

 

そして爆発と共に小山は部屋の引き金を引くと、鍵を破壊して部屋を飛び出す。

 

「なっ!?」

 

鍵を破壊して飛び出してきた小山に警戒していた兵が驚愕した様子を見せると、彼女はすぐに魔法を展開してその兵士の重力を相殺して壁に叩きつけた。

 

「…ごめんなさい」

 

そして気絶をした兵士から半自動小銃(Kar43)を手に取ると、反対のドアで調布が部屋から飛び出した小山を見た。

 

「小山」

「離れて」

 

彼は南部が話しかけていたことに気がついて先ほどまで監視をしていた兵士に声をかけて気を引きつけていた。そしてドアから距離を取ると、蝶番を拳銃で撃ち抜いて彼女は足でドアを蹴飛ばした。

 

「行こう」

「おう、他の奴らもやろうぜ」

 

そこで彼は小山から小銃を受け取ってからドアを破壊していく。鍵もあったのだが、どれがどの鍵か分からず、時間がなかった為に蝶番を破壊する方法が取られていた。

 

「始まったわね」

「ええ、全員で上に行って。そこで南部くんに拾って貰うわ」

 

改めて作戦の確認を行うと、彼女達は一斉に城の階段を登る。

散々散策やら階段レースで体の動かし方は練習していたので、彼等は簡単に城の上に向かう。

 

「なっ?!お前達…うがっ?!」

 

途中で混乱の最中にあった兵士たちは驚いた小山達を見たが、すぐに全員は魔法を使って金縛りや重力魔法で兵士たちを無力化していく。

 

「ごめん」

 

申し訳なさそうに倒れた兵士たちの横を走って一番上まで登ると、そこでは魔導レーダーを破壊して屋上を制圧していたディルクが立っていた。

 

「全員いるか?!」

「ええ」

 

そこで簡単に一五人全員がいることを数えて確認をすると、小山はディルクの手を掴んだ。

 

「皆んな、飛ぶわよ」

 

小山はそう言うと、瞬間移動魔法を使って自分を含めた全員を古城からあらかじめ指定された場所まで飛ばした。視界の見える範囲まで彼女は飛ばすと、彼等の視界は古城の屋上から鬱蒼とした森の中に移動した。

 

「うわっ」

「あだっ?!」

 

しかし座標が少しずれていた為か、全員が空中に放り出されて地面に倒れた。

 

「怪我はないか?」

「何とかな」

 

石垣達はそう言い五体満足であると言うと、ディルクは思わず膝をついてしまう。

 

「はぁ…流石に、消耗激しいな…」

 

そこでこの人数を飛ばす為に使った魔力量で彼は肩で息をした。

 

「大丈夫?」

「ああ、後で薬を飲んだら何とかなる」

 

長野の不安げな様子に彼は息を整えてから、平然とした様子で答えて瞬間移動で逃げおおせた他の面子を見る。

 

「忘れ物はないか?」

 

そこで全員に確認を取ると、団子で肩を組んでいた彼等は全員がいることを確認した。

 

「よし、ちょっと待ってろ」

 

そこで彼は今いる場所を空に上がって確認をとってから地上に戻ってきて小山達に言う。

 

「よし、連絡は取った。お前達は着いたトラックに乗り込め」

「…本当に大丈夫なんでしょうね?」

 

根室はそこでやや怪訝な様子で南部を見ると、彼は頷いた。

 

「まあ、帰れなかったら俺をなぶり殺しにでもすればいいさ」

 

そう言って全員に言うと、彼は森の中で彼等を誘導していく。すると森の中で一台のトラックが砂利道を踏んで目の前で停車をする。

 

「お待たせして申し訳ありません」

 

そしてドアを開けて一人の女性が降りてくる。その人物はマルティーナ・アエルフェル、あの教国で知り合った人物であった。

 

「いえ、助かりました」

 

ディルクはそこでアエルフェルに頭を下げると、彼女は言う。

 

「いえ、ジョヴァンニ様の命でございますので」

 

表情ひとつ変えず、機械的に彼女はディルクに言うと、次に小山達を見つめる。

 

「皆様も、どうかお気をつけてお帰りください」

 

彼女は一礼をしてからディルクは言う。

 

「乗ってくれ。これから隠れ家に移動する」

 

彼はそう言うと、小山達は淡々と、すぐにトラックの荷台に乗っていく。

 

「全員乗りました。撤収して下さい」

 

トラックに取り付けた無線でアエルフェルは指示を出すと、入り口を襲撃していた教国の部隊は煙幕を焚いて撤収を開始する。

 

「逃げられるぞ!」

「逃すな!」

 

撤収を察して帝国軍は追撃をしようとするが、急報が入る。

 

「駄目だ!異世界人に逃げられたぞ!」

「何!?」

「捜索隊を組織しろ!」

 

瞬間移動魔法で古城から逃げ出した異世界人達に誰もが目を見開いて驚愕していた。




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