戦場からこんにちは   作:Aa_おにぎり

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一六五話

船内に飛び込んだ小樽達は三人一組で組んで船内を移動する。

最初に南部が煙突を破壊したことでその残骸が煙突を覆ってしまったことで、機関室は排熱が出来ずに急速に温度上昇を引き起こしてしまった。また率先して南部が艦橋を徹底的に破壊したことで、船内の指揮系統に混乱が生じていた。

 

「南部、発電設備は破壊できるか?」

『無理だ。そいつは機関室にあるから、上から対戦車ライフルで滅多撃ちにする必要がある』

 

船内に侵入し、そこで照明が付いたままの状況に小樽は視界を奪いたいと思っていたが、味方に上から巻き添えを喰らうのは御免被る。

 

『配電室を破壊すれば暗くなる』

 

南部は彼等が何を考えているのかを察してそう言うと、小樽達の目の前を抵抗軍兵士が走っていく。

 

「敵が上甲板にいるそうだ」

「急げ!船が傾くぞ!」

 

武器を持って走る彼らを見て、小樽達は後続がいないことを確認してから階段を駆け上がる彼らを背中から撃った。

 

「がっ!」

「敵!?」

 

背中からの奇襲にまともな対応もできずに彼らは階段で倒れると、彼らの持っていた武器を持って小樽が笑う。

 

「見ろよ」

「使えそうか?」

「ああ」

 

そこで抵抗軍兵士が持っていたボルトアクション式小銃(MAS-36 LG48)を持つ。

 

「ライフルグレネード持ちとは贅沢な」

「ありがてえ。幾つか隔壁で封鎖された場所があったよな?」

 

四発の魚雷攻撃を左舷に集中して受けたことで、この貨客船は浸水が酷くなり始めていた。しかし改造をした時に十分な隔壁を設けたためか、以外にも耐えていた。

 

「…」

 

三沢はそこで死体となった抵抗軍兵士を見た後、小樽達の後を追って前方の警戒を続けた。

 

「行くぞ。俺たちの目的は転移魔法装置の奪取だ」

 

小樽はそう言うと、薄暗い船内を走っていく。

 

 

 

同時刻、上甲板で南部は攻撃をしてくる抵抗軍兵士を前に空に飛び上がった。

 

「空に上がったぞ!」

「くそっ、対空射撃だ!」

 

そこで軽機関銃(FM Mle1924)や小銃を空に向けて放たれるが、まだ蚊音にもならない程度の攻撃に嘲笑うと次に彼は自動小銃(フェドロフM1916)の照準を合わせて硬め撃ちを行う。

 

ドゴーン!!

 

その時、船内から伸びていた通信用アンテナを根本から破壊した。

 

「た、退避!」

「うわぁあ!!」

 

そして大陸全土に通信を行えるように巨大化していたそのアンテナが破壊されて倒れると、煙突のあった最上看板に倒れ込んで係留されていた救命ボートを破壊していく。

 

ッ!ッ!ッ!ッ!

 

そして次々と救命ボートを機関銃や持っていた武器を使って破壊していく。

 

「船が…!!」

「救命艇を守れ!」

 

兵士たちはその思惑に気が付いて防衛を行おうとするが、魚雷艇の攻撃があっという間に彼らをズタズタにした。

 

「ボートは全部片っ端から壊せ!」

「撃て撃て!」

「ヒーハー!!」

「俺のマシンガンが火を吹くぜぇえええ!!」

 

魚雷艇に積まれていた機関砲は左舷側の救命ボートを見える範囲で破壊していく。全てが木で作られた救命ボートは、焼夷榴弾を使ったことで破壊された木材から次第に甲板に火の手が上がった。

 

「敵が来たぞ」

 

石垣がそう言うと、船内に突入した小樽達から警告するように連絡が入る。

 

『気をつけろ。連中、パンツァーシュレック持ち込んでやがるぜ』

「畜生!連中はゴキブリかよ!?」

 

そこで機関砲を動かして砲口を向けると、飛び出してきた瞬間に機関砲を発射して遺体をさらに増やす。

 

「出るな!粉微塵になるぞ!」

 

そこで至近距離の20mm機関砲の攻撃で船体にさらに穴があき、焼夷榴弾の爆発の破片で複数の隠れていた兵士が死傷をしていた。

 

「くそっ、たかが魚雷艇如きに…」

「一斉に撃つぞ!」

「射撃用意!」

 

そこで彼らはパンツァーシュレックを全員に装備させると、機関砲の弾倉交換の瞬間に飛び出した。

 

「撃ぇ!」

 

そして発射した直後に指揮官は機関砲の攻撃にさらされて部隊諸共消し飛んだが、発射されたパンツァーシュレックは魚雷艇の船体や操舵室に命中して爆発をした。

 

「いって!」

 

石垣はその破損した操舵室の破片がヘルメットや頬を切り裂くと、攻撃をされた状況を確認する。

 

「状況は!?」

 

彼は聞くと、そこですぐに返事があった。

 

『ダメだ。エンジンが吹っ飛んだぞ』

「生きているか?」

『なんとかな』

 

そこで魚雷艇の機関室にいた三人は軽く笑ってぐちゃぐちゃになった魚雷艇のエンジンを見る。

 

『船は保ちそうか?』

「ダメだ。浸水が始まってる。あまり長くは保たんぞ」

 

そこで頭を切って血を流していた彼は言うと、石垣はすぐに彼らを脱出するように言って船内に飛ばす。

 

「お前達は客船に乗れ。こいつを処分するぞ」

「分かった」

 

そこで彼らは船体中央に用意された爆薬を見る。今の攻撃で当たらなくて良かったと内心でひどく安堵していると、石垣は短機関銃でまた新しく一人を射殺してから叫んだ。

 

「全員乗り込め!爆弾を起動させる!」

 

彼は言うと、機関砲を使って攻撃を行なっていた他の乗員達は自分たちの武器を持ってその場を放棄し始める。

 

「小山」

「分かってる!」

 

そこで一箇所に固めると、小山は持っていた精霊石を使って瞬間移動魔法で船内に彼らを飛ばしていく。

 

「石垣くん」

「ああ、今やってる」

 

そこで彼は最後に船体中央の爆薬を積んだ場所に、導火線にライターを使って火を付けた。

 

「よし、付いた!早く離れろ!」

「捕まって!」

 

そこで彼は小山に使って瞬間移動魔法を使って甲板に飛んだ。するとそこで彼女は一瞬ふらついてしまった。

 

「大丈夫か?」

「ええ…ちょっと酷使したみたいね」

 

何度も瞬間移動魔法を多用したことで、さすがに彼女にも疲労の色が見えていた。すかさず石垣は持っていた薬剤を飲ませて魔力切れの症状を抑える。

 

「歩けるか?」

「ええ、助かったわ」

 

そして少し休憩をすると、荒かった息が治って彼女は他に船に乗らせた他の面々と共に船内を歩こうとした。すると上から空に上がっていた南部が地面に降りて来た。

 

「限界だ。もうタンクに水がない」

 

彼はそう言い、水蒸気が出なくなった背中を見る。魔道演算機を使って上から攻撃をしていたが、空で自由に動くための真水が底をついてしまった。

 

ッ!

 

そこで彼は対戦車ライフルで撃って甲板でまだ使えそうな155mmカノン砲をこの一撃で軽く破壊すると、カノン砲は擱座して砲尾が完全に破壊されていた。

 

「行けるか?」

「ええ」

「無論だ」

 

そこで彼らは互いに確認をすると、そこで爆弾に点火を終えた事を確認してから石垣の顔に巻きつけられた包帯に苦笑する。

 

「見敵必殺とはね…」

「皆殺しにするなら変わるまい?」

 

傷を負った包帯には彼が日本語で記した言葉にその意気込みを感じ取ると、彼らは破壊した通路から船内に侵入する。

 

「表に出ていた兵器は破壊した。問題は…」

 

その直後、船を大きく揺らす爆発を確認した。窓の外では巨大な炎の塊が照しつけ、多数の客船の窓ガラスを叩き破り、船体を大きく歪ませた。

 

「爆発したか」

「これ、俺たちが制圧する前に沈まねえか?」

 

魚雷艇の中央に満載していた爆薬が一斉に爆発すると、魚雷で損傷をしていた破口に爆圧によって閉鎖されていた隔壁扉を吹き飛ばし、船体にさらにダメージを与えることに成功していた。そしてこの爆発で発電室に水が入り込んでショートを起こし、一斉に船内の電源が落ちた。

 

「さあな。それよりも一つずつ制圧するぞ。他の組と合流しながら順次制圧をしていく」

「「了解」」

 

そこで暗視魔法を起動して彼らは暗闇を味方にすると、それぞれ武器を持って制圧を始める。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

最初に南部の対戦車ライフルによる攻撃を受けたことで、船体が揺れたことにはすぐに気が付いた。

 

「攻撃されている…」

「南部くん達かな?」

 

寝室で立川は言うと、小野寺が反応をした。彼女達はベッドで眠っていたところを、船体が揺れたことで目を覚ました。

 

「閣下、敵襲です」

「敵は?」

「はっ、一個大隊ほどの飛行魔法兵をレーダーで探知しました」

 

そして部屋に入ってきた部下の報告を聞き、彼はすぐに指示を出す。

 

「砲撃用意を。私も出ます」

「はっ」

 

そこで部下は部屋を出ると、そこで彼は言う。

 

「もう間に合わないだろうがね」

 

その直後、甲板に用意されていたカノン砲が敵の攻撃で破壊されたという報告が入ってきた。ついでに言うと、こちらの飛行兵が敵の単騎突撃によって全滅をしたとも。

 

「立川さん。緊急で司令官に連絡を。敵の攻撃は大規模だと」

「分かりました」

 

すぐに彼らはこの攻撃が南部によるものだと理解する。と言うより、こんな可笑しな損害比を出せるのは彼以外にいなかった。

 

「まさか単騎突撃?」

「そんなわけ無いでしょう」

 

小野寺の予想に即答して否定すると、彼女は部屋を出てファブールに伝令をするために船内を走る。

 

「走れ!」

「くそっ、もう甲板は制圧されたのかよ!?」

「それだけの兵力を送り込んだんだ?!」

 

船内では慌てて兵士たちが銃を持って走っており、その様子を聞いて内心でまさかたった一人の化け物(南部 茂)に蹂躙されているとは露にも思っていないだろう。今も爆発の衝撃で船体全体が揺れるのを感じ取りながら彼女は小走りで走っていると、船室から見知った顔が話しかけた。

 

「絵里」

「どうした?」

 

船室で過ごしていた前橋や築城達は、抵抗軍兵士の戦闘服を纏っていた。

 

「私たちも出るわ」

「ええ、分かった」

 

彼女達はそこで支給された武器を持ち出して部屋を後にする。一〇名いる彼らは、全員がジュール・ファブールから十分な武器の供与を受けていた。

 

「転移魔法装置の居場所はわかる?」

「ええ、今からそこにいくところ」

「そう…」

 

立川の返答に彼女達は静かに頷くと、直後に攻撃があったので部屋を後にした。その雰囲気に不気味な違和感を相変わらず覚えたが、彼女はまずは目下の伝令に走った。

 

ッーーー!!

 

そしてその直後、彼女は目の前の通路が爆発をして吹き飛んだことで、その衝撃波で吹き飛ばされた。

 

「きゃっ!?」

 

通路を走っていた歩兵部隊は爆発に巻き込まれて消失すると、外側からの外圧に船体が押し曲げられて変形をした。

 

「魚雷…!?」

 

その攻撃の正体に直ぐに彼女は理解して驚愕すると、洋上をふと見た時にこっちに突っ込んでくる一隻の舟艇を見た。

 

「っ!不味い…!!」

 

彼女は直感的に元来た道を戻って走ると、直後に二度目の魚雷が命中して船体にさらに深いダメージを与えた。




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