戦場からこんにちは   作:Aa_おにぎり

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一七一話

第一船倉でゴーレムの対応を行った二人は、そこでゴーレムの中に埋められていたモノを見て困惑していた。

 

「死体?」

「ああ、しかも暫く経過して腐敗している。死斑もくっきりと出ている」

 

泥の中から現れた大量の死体に二人は困惑しながらそこから出たガスがあの匂いの原因であったと理解する。

 

「元々、ここに研究者なんていなかったんだ…」

 

そこで死体が白骨化すらしているのを見て、彼はゴーレムの異臭の原因と人気のない実験施設の理由を察する。

 

「確かに埃っぽかったけど…」

「多分、叩き潰された後にゴーレムに取り込まれたんだろう。酷いことをする…」

 

白骨化した死体の中でも骨が粉砕されて遺体を見て彼はそう判断すると、彼は泥となったゴーレムの残骸を超える。

もし取り込まれていたらこうなっていたのかと思うと思わずゾッとなる。

 

「もう最悪。おかげで泥まみれよ」

 

彼女はそう言って泥に濡れた自分の制服を見る。小銃もこの泥の前に詰まってしまった。

 

「まあ、塹壕戦らしくなったんじゃない?」

「ふざけんじゃないわよ。好き好んで泥まみれになりたいのは子供だけよ」

 

立川はそう言って泥まみれになってもはや自分が臭いのかどうかもわからない状態になってしまって顔を拭う。

 

「変な感染症になりそうだわ」

「あ、ちょっと待ってて」

 

そこで小野寺は泥まみれになった自分達に数少ない魔力を使って魔法をかけた。すると体についた泥汚れは嘘のように消えていって二人は清潔になる。

 

「体表にある細菌も殺しちゃうらしいけど、部屋に病気になるよりはいいでしょう」

「いいの?もう貴方魔力ないでしょうに」

「ああ、もう良いさ。どっちにしても明日まで生きているとは思えないからね」

 

彼はそう言うと、その説得力に立川は思わず苦笑する。そうだ、今この船には見敵必殺を掲げる強襲部隊がいるんだった。彼らが本気になったらもはや止められないだろう。乗り込んだ魚雷艇まで破壊したと言うことは、確実に『捨てがまり』で来ている筈だ。

 

「恐ろしいね。まあゴーレムに殺されるよりはマシな死に方だろうけど」

「そりゃあ骨肉粉砕した腐敗死体にはなりたくないわよ」

 

そこで立川は泥が崩壊して流れ出てきた死体に、ようやく鼻が異臭を感じて警戒を促すようになってから奥につがなる扉を見る。

 

「…多分しまっているね」

 

重厚なコンクリートで覆われたその場所に彼は少し警戒をして言うと、立川もそれには頷いて少し距離をとる。

 

「貴方が開けてちょうだい?」

「…ああ、分かったよ」

 

そこで彼はカンプピストルを取り出すと、その照準を合わせて引き金を引いた。

 

ッーーー!!

 

そしてドアの中央部の鍵が放った擲弾によって破壊されると、ドアは閉めていた力を失った。

 

「行こうか」

「ええ、そうね」

 

そしてその先に二人はゆっくりと歩き始めた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

同刻、弾薬庫では円匙とサーベルが激突していた。

 

「っ!」

 

鍔迫り合いからお互いに弾き返して距離を取る長野と築城。

 

「はぁ…はぁ…」

 

そこで肩で息をする長野。

 

「どこでそんな剣の技を仕入れたわけ?剣道でもやっていた?」

「いや?俺はピアノだけだったよ」

 

彼はそこで斬り下ろすのに最適な曲刀型のサーベルをもって突き出していた。ここは弾薬庫で、無闇に弾薬や魔法を使えない環境。ゆえに彼らも最初の攻撃以外で魔法を使ってくることはなかった。まるで中世の頃のような敵の息遣いが聞こえる範囲で争い合っていた。

 

「ふぅんんっ!!」

 

調布が円匙を振って相対する横田のサーベルを抑える。現在、築城以外では横田・大湊・清洲の三人がこの場でサーベルを振っていた。対して長野達は九人全員が今の所生存していた。

 

「ごふっ!?」

 

そして円匙を片手で抑え込んで震えている間、彼は懐からもう一本のスパイク状の銃剣を持って彼の肺を突き刺した。

 

「っ!クソガァあ…」

 

彼はそこで円匙を一旦外して距離を取ると、声が掠れながら持っていたポーションを飲もうとすると、回復させないように横田が喉を狙って突っ込んできた。

 

「避けろ!」

「っ!!」

 

そこで盤城がサーベルで横から割り込んでサーベルを突き飛ばすと、辛うじて調布は自分の頬を掠ってサーベルが真横を貫いて止まっていた。

 

「何で短剣でこれを抑えられるんだよ…!!」

 

苦笑気味に盤城は銃剣で円匙の攻撃を抑えていた横田に苦笑する。

 

「っ!」

 

すると横田は円匙を弾くと、直後に横に転がって彼は距離を取った。

 

「二刀流か、俺憧れてたけど…重くて無理だったんだよな…」

 

盤城はそこでサーベルと銃剣を握る横田にそんなことを言って剣道の二刀流の試合を思い出す。

 

「…横田。俺たちを殺しにかかる理由は?」

「この攻撃で敵対しないわけがあるのか?」

 

彼はようやくそこで答えてくれると、今までのこの派手な攻撃で補給艦も一隻沈没をしていた。

 

「まだ傾いていねえだろう。話す余地でもあるんじゃねえのか?」

 

そんなことを言っていると、彼の後ろでポーションを飲んで回復をした調布が立ち上がった。時間稼ぎは終わった。

 

「へぇ、寿命削ったぜ」

「いくら削ったんだろうな」

 

そこで彼は足元に先ほどまで食べていたスープ缶の残骸を見た。そして調布は盤城を一瞥すると彼は言った。

 

「…さぁな、この際出し惜しんだら死ぬぜ?」

「違ぇねえ」

 

二人はそう言うと、そこで相対する横田は剣を持って突撃をしてきた。

 

「っ!」

 

そこで彼らは目の前の棚を蹴り飛ばすと、中から弾薬などの武器が散らばって広がる。もし踏めば、すっ転んで転倒する未来を予測して彼はその攻撃を上に飛んで避ける。

 

「ほれ」

 

そしてその瞬間を待っていたように調布はその手にトマトスープ缶をぶちまけた。飲みかけだが、魔法によって瞬時にグツグツと沸騰するほどまで熱せられたスープが目の前に飛んできて、咄嗟に横田は顔を傾けて避けた。

 

「がふっ」

 

しかしその直後、避けた彼の首筋に円匙の剣先が突き刺さった。血が滴り、円匙の匙を赤く染める。事前に調布が念話魔法でスープの存在に気がついて、すぐに立案された方法だった。

 

「っ!!」

 

そして剣先が突き刺さった後、盤城は両手を使って押し込んで傷口を広げた後に、横に振って鮮血を撒き散らした。

 

「ごほっ…」

 

首を切られ、そのまま地面に倒れた彼は床に散らばっていたトマトスープと血が混ざり合った。

そして彼は首を切られ、出血を抑えるために銃剣を手放して傷口を押さえた。

 

「すまんな」

 

そして倒れた横田を盤城達は見下ろしていた。

 

「…ふんっ」

 

そんな彼らに横田は軽く鼻で笑ってから持っていたサーベルを手放した。そこで彼らば横田の体を起こすと、棚にもたれ掛けさせた。

 

「盤城、調布…」

 

首を深く切られた彼は、息を少し荒くして二人を見上げる。

 

「お前達が、あの人に勝てることを願うよ」

 

彼はそう言うと、そのままゆっくりと目を閉じた。あの人とは誰何かを聞きたがったが、その前に彼は何も話さなくなった。

 

「撃て!」

「うっ!?」

「っ!」

 

その直後、彼らは混戦状態となった弾薬庫で背中から抵抗軍兵士たちの銃撃によって撃たれて身体中を貫いた。

 

「っ!」

「ぐはっ」

「うぉおっ!?」

 

その直後に彼らを撃った兵士たちは散弾銃を構えた青島と大泊に撃たれて身体中を吹き飛ばされ、心臓に銃剣を刺されて死亡する。

 

「くそっ、何がどうなってんだよ」

「煙で全く見えん」

 

そこで三沢が放った発煙弾によって視界不良となっているこの弾薬庫の戦場を見る。

 

「三沢!」

「どこにいる!」

 

呼びかけるが、あちらこちらで喧騒と鍔迫り合いが起こっている状態ではその声も届かない。

 

「うおっ!?」

「くそがっ!」

 

その中、煙の中を声だけで突撃してきた抵抗軍兵士に青島は銃全体で抑える。

 

「ぬぅあっ!」

 

その顔面を片手に円匙を持って大泊が兵士の頭を横一線で切るように頭蓋にぶつける。その鮮血は彼の顔に思い切りかかるほどの勢いであった。

 

「っ!」

 

そしてもう一人が突っ込んでくるのを見ると、鍔迫り合いをしていた青島の腕の上に銃を置いて引き金を引いた。

 

「うあっ!」

 

至近距離で発砲をされたことで青島の鼓膜が衝撃波で破れるが、発射された散弾は銃剣を持って突撃してきた兵士の顔面を穴だらけにした。

すると青山は突っ込んできた兵士にぶつけるように頭を破砕された兵士を横に倒すと、散弾銃の銃口を向けながらスラムファイアで連続で敵の顔の原型がなくなる勢いで撃った。そして二名をまた射殺すると、そこで青島が地面に倒れた。

 

「大丈夫か?!」

「…悪い、腹に刺さった」

 

そこで鼓膜が破れていた彼は脇腹を銃剣突撃で刺されて血が滲み出ていた。

 

「よし、横隔膜は貫いていないな…」

 

そこで状態を確認すると、彼は持っていたポーションを取り出して打ち込んだ。

 

「はぁ…はぁ…はうっ!?」

 

そして薬液が患部に打たれると、急速に再生が始まって傷口を塞いでいった。ついでに鼓膜にも魔法をかけていく。

 

「緊急だ。一応、魔法で清潔にはしておいたぞ」

「やれやれ…魔法ってのは便利なもんだぜ」

 

二人はそう言うと、弾薬庫の物陰に隠れて今の状況を確認していた。

 

 

 

弾薬庫の戦いは、三沢が投げた発煙弾によって視界不良のまま遂行していく。最後に照明弾を使った光の攻撃で多くの囲んでいた兵士たちが斃され、周辺は散弾銃を持った三沢達が攻撃をしていた。

 

「っ!」

 

小樽はそこで大湊と対峙し、円匙でサーベルの攻撃を防いでいた。

 

「上手いな」

「そうかい、お前が言うかよ!!」

 

そこで彼は剣道経験者である大湊を前に怒鳴った。

 

「これで終わりだ」

 

そこでサーベルの柄を両手で握っていた彼は不恰好な剣道のように突進をしてきた。

 

「うおっ!」

 

その攻撃はすでに疲労をしていただ小樽は避けきれずにサーベルの突きが体を貫いてしまった。しかし、

 

「行け!」

「っ!」

 

そこで胸を貫かれた小樽は言うと、その背面から白煙を抜けて根室が彼の背中を踏み台にして、円匙を振り上げて突撃をしてきた。念話魔法で近くにいる所を連絡を取り合っていたのだ。

 

「っ!?」

「へへっ、一緒に日本に行こうや」

 

そこでがっしりと彼はサーベルを掴むと、その力に大湊は驚愕をして振り下ろされる円匙が直撃をしないように頭を避けた。それを見て小樽はニヤッと笑う。

 

「剣道じゃあ、それは正解だな」

 

面は頭に当たれば判定となる。剣道経験者であった彼はそこで少しズルい技で頭を逸らしてあたり場所をずらす技があった。

 

「だかこれは現実だぞ?」

 

そう言うと、根室の縦に振った円匙は思い切り大湊の肩に命中をすると、そのまま鎖骨をへし折り、左袈裟斬りの要領で大湊に致命傷を与えた。

 

「…くそがぁ」

 

大湊は心底恨めしい眼差しをして根室達を睨みつけた。そして仰け反るように斃れると、小樽もまたサーベルに合わせて斃れて勝ち誇った笑みを浮かべていた。




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