白煙漂う弾薬庫の戦闘。乱戦と混戦によって誰が死んでいるのか、生きているのかもわからない状況が繰り返されていた。
「撃て!」
「ぎゃあっ!」
抵抗軍兵士たちも加わっていたことで、彼らで同士討ちまで発生する始末だ。
「くそっ!」
その中で今もまだ生き残っている長野は、目の前で予想外の強さを誇る築城に苦戦していた。
「誰からその力をもらったわけよ!」
「敵である以上、教えるわけにはいかんよ」
「はっ、どうせジュール・ファブールあたりでしょうね。あんた達、まるで別人みたいだもの」
円匙を持って彼女は言うと、一瞬築城の動きに鈍りがあったので的中したと確認する。
「私流石に嫌よ?そんな人が変わる魔法をかけられるなんて」
「それは誤解だな。私は初めからこんな感じだったよ」
「うわっ、社会人かっつーの。一人称を私なんて絶対言わないよ?君」
顔を顰めて彼女は言うと、近くで散弾銃が放たれる音がした。
「誰だ!こんなな場所で銃を撃ったのは!」
彼女は築城を見ながら怒鳴ると、彼はそこで持っていたサーベルを腕一杯に伸ばしてから彼女に突進をしてきた。
「ワンパターン!!」
そこで彼女は持っていた円匙を持って斬撃を警戒した。すると彼はサーベルを使って彼女の持っていた柄を切った。
「っ!?嘘っ…」
彼女は鉄の柄が真っ二つに切られたことに驚愕をすると、直後に柄を切った勢いで彼は彼女の腹を横一線に切った。
「っ!ごふっ」
口から血が滴り、彼女は恨めしくギロッと鋭い視線を向けると、そこでサーベルで切った彼はその直後、
「かはっ…!?」
切った後で少し感情的にも、視界でも隙が生まれたところに背中から心臓を長い刀身が貫いた。
「っ!三沢…」
そこで彼を貫いた三沢はニヤリと笑った笑みを見せた。
「これで貴方も終わりです」
そして彼女は散弾銃の引き金を引くと、築城は至近距離で背中に散弾を撃たれて刀身がすり抜けるように斃れた。
「長野さん?」
「三沢さん…」
そこで赤くなった銃剣を持ったまま長野に近づくと、彼女は自分の腹を見て言った。
「大丈夫ですか?」
「この状況でそう思う?」
彼女はそこで深くまで腹を切られた自分の体を見る。
「三沢さん…生き残ったら、南部に『仕事はしたから約束は守れ』って、言っておいて」
「…はい」
三沢は力強く頷くと、彼女は安心したように目を閉じると力が抜けて行ってダラリと斃れた。
まるで地獄のような生死が隣り合っている環境に、南部はかつての戦争を思い出す。
地獄のように一面の泥まみれであったあの世界。あの頃はひたすらに自分の隠れていた掩蔽壕に砲弾が降り注がないかを祈る毎日であった。
しかしあの頃と全く違うのは、ここが海の上で、なおかつ生きて帰ってこようと願っていないことだろう。
「っ!!」
通信室で彼は銃剣を片手に前橋と剣先で刺し合っていた。
「っ!」
「はっ!」
彼女から投げられたダーツを、円匙の匙を使って弾く。そして直後にダーツを放った彼女に魔法を放つ。
ッ!ッ!
破綻寸前の魔法式をぶつけて攻撃をすると、それを彼女は瞬時に展開した障壁魔法で防いでいた。
「超人じゃねえんだぞ。くそが」
そこで彼は前橋の瞳に映っている見たことのない紋様に舌打ちをする。それは前橋達全員の目に灯っており、同様のことは弾薬庫の方でも築城達で起こっているそうだ。
「(加護みたいなもんか?)」
その内心で彼女達がたった数ヶ月でここまで剣術の妙技を体得している事実にそんなことが過ぎる。もしそれが本当なら、この技を与えたのはジュール・ファブール以外は考えられないだろう。彼は多くの禁術を作り、まだ多くが未知の存在であった。
「こっちは魔法が使えるってのによ!」
そこで彼は魔法発動の兆候を感じて障壁魔法を展開すると、魔法が打たれて炎が吹き上がった。
「火焔魔法か」
即座にその魔法を理解すると、彼は水魔法を放って魔法を放った松島の顔面に水球を命中させた。
「きゃっ!!」
すると顔に水を当てられて魔法を思わず切ってしまい、顔を背けてしまった。
ッ!
その瞬間をすかさず拳銃を持っていた小山がその頭を撃った。顎から貫通した弾薬はそのまま頭蓋の頂点まで貫通すると、脳幹を破壊してそのまま地面に仰向けに倒した。
「うっ!」
その直後、彼女は背中を撃たれた。百里の持っていた小銃だった。
「…」
そこで彼女は倒れると、そのままうつ伏せになって血を流した。
「チッ、邪魔だぁ!!」
そして通信室のどこかしこから聞こえる爆発や打撃音で、すっかり部屋の全ての窓ガラスは吹き飛び、その破片が突き刺さって死亡している抵抗軍兵士もいた。
「何人死んだ?」
「さあな。終わったらわかる話さ」
高雄と土浦はお互いに増援で駆けつける抵抗軍兵士を機関銃で応戦していた。部屋の中では南部・小山・石垣・大刀洗が戦闘をしているはずだ。
「来たぞ」
そこで彼らは背中で銃声を聞きながら彼らは階段で山になっている兵士たちから攻撃を受けた。
「うおっ」
「激しいなあ、おい!」
床から攻撃を受け、その一発が床を貫通して土浦の股下を抜けていったのだ。
「っぶねぇ、危うく玉無しになる所だった…」
「気をつけろよ。それじゃあ女も寄って来ねえぞ!」
軽くきつい冗談を言いながら二人は手榴弾を壁に向かって投げると、その手榴弾は壁を反射して死体の山を転がって下に落ちた。そして爆発が起こると下から埃が舞う。
「死んでねえぞ」
「じゃあ来るぞ」
その直後、お返しと言わんばかりに重たい銃声が響いた。
「くそっ、重機関銃かよ!」
その下で生き残っていた兵士たちがかき集めた武器をありったけ用いて上の通信室で戦っている南部達に茶々を入れようとしていた。
「どうする?」
「対応するしかねえだろうが…」
当たり前の質問に疲労の色を見ながらも、彼らは持っていたパンツァーファウストを吹き抜けの反対から飛び出してきた兵士たちのいた場所に撃ち込んで、爆発によって死傷者を出す。
「うおっ!?」
「何だ!」
すると激しい爆発音が真下から響いた。何を狂ったのか、彼らは真上にパンツァーファウストを撃ちこんだのだ。これのせいで最後に支えていた柱が崩壊。限界を迎えて、柱が折れて通信室のあった階層ごと床が傾いた。
「うわぁあっ!!」
「ぎゃあぁあっ!!」
そして南部達の見ていた世界が一気に傾きだすと、そこで破壊をされて残骸となっていた通信機材が横滑りに木造の壁を簡単に突き破って二人の後ろを襲いかかった。
「っ!?」
そして一気に部屋全体が傾き、今まで自分が完全に信用し切っていた重力が失われたことで、前橋達は驚愕をした様子で一瞬の動揺が生まれた。
「(今だ!)」
そこで彼は魔導演算機の両脇のアームから汎用機関銃を向ける。直感的に、彼は周りに横滑りをしていく通信機材はないと感じた。
その動きに前橋が気がついた時にはもう遅かった。
ッーーー!!
両脇にある二丁の汎用機関銃。毎秒一二〇〇発、合計二四〇〇発を誇る高速連射が火を吹き、近距離で前橋の体を避けきれない勢いで貫いていく。咄嗟に彼女は障壁魔法を展開したが、展開した直後に腹に数発が命中した。
「っーーー!!」
そして彼女はそこで魔法式の展開に失敗すると、自爆を起こしてその衝撃波で南部も爆発に巻き込まれた。
「くそっ…」
「不味い…!!」
そして通信機材が横滑りしてくると、その様子を見ていた石垣は百里を見て、この部屋で最後に残った敵対勢力に突進をしていく。
「っ!」
彼は持っていた短機関銃の引き金を引いたまま百里に向かうと、彼女は石垣の攻撃に勘付いて持っていた小銃で発砲を行った。
「っ!」
「ぐあっ、くそっ!」
百里の放った銃弾は石垣の肩に命中をすると、彼はそれでも弾倉を使い切る勢いで突進を敢行する。
「チッ…」
百里は連続して命中をする敵の銃弾に恐怖し、持っていた半自動小銃を構えて発砲をしたが、その銃弾が自分の展開した魔法で弾かれた。
「っ!?」
その事実に、思わず彼女は驚愕して集中力が切れてしまうと、そこで展開していた障壁魔法が切れてしまった。
「っ!しまっ…」
その直後、彼女は石垣の放った弾幕に貫かれた。そしてそのまま勢いで突っ込んだ石垣が彼女諸共と突き飛ばした。
そして傾いて崩壊をした通信室は、壊れた通信機材や仲間達を巻き込んで部屋全体を残骸だらけにした。
「…やったぞ」
そしてその直後、彼は疲れた様子でそのまま地面に倒れた。彼は全身が埃まみれになっており、顔の判別すら不可能なほど汚れていた。
「はぁ…はぁ…」
百里の攻撃で彼は肩と腹、肺に命中をしていた。どうしてもあの接近である。相応の損耗は覚悟していた。そして今の崩壊で、彼は足に木片が突き刺さっていた。すると静寂が訪れ、気味が悪いほどに制約と暗闇が場を支配していた。
「生き残りは…いるのか?」
彼はそこで周りを見回すと、その中で瓦礫が動く音が聞こえた。
「?」
その方を見てみると、そこでは一人の女が立ち上がった。百里だ。
「…ああくそっ、やっぱそうだよな」
彼女は身体中に穴が空いて血を流しつつも、徐に立ち上がって焦点のあっていない目線で命の鼓動を探っていた。足ですら変な方向に折れ曲がっているにも関わらず、彼女はこちらに向かってきていた。死霊魔術によってアンデッドと化した彼女は、そこで心臓の微かな鼓動を感じ取って石垣に近づいていく。
「くそっ…」
彼はそこで近くにあった瓦礫となった小石を投げてみるが、そもそも力が入っていないので点で見当違いな方向に飛んだ。
「…はっ、食い殺されるのか?」
彼はそこでこの後の死に方を想像していると、百里は石垣に手を伸ばしてその血まみれの体で彼に噛み付くためなのか口を大きく開けた時、
ゴポッ
彼らの頭上から変な音が聞こえると、その直後に船内全体に消化用設備のスプリンクラーが吹き出した。
「あ”、あ”ぁ”…」
その水は、臭いから海水であると分かるとそれを被った百里は、そのまま崩れるように石垣にかぶさって糸か切れたように倒れた。
「はぁ、はぁ…良かった…」
消火栓の前で、腹に手を当てて小山は息を荒くしてスプリンクラーによる海水シャワーを浴びて安堵していた。
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