戦場からこんにちは   作:Aa_おにぎり

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一七五話

腐敗した遺体が転がっていたこの研究施設で一体何があったのかと困惑しながらも彼らは先を進むと、そこで鍵が破壊された鉄の扉を見つけた。

 

「榴弾で破壊されているぞ」

「小野寺の信号拳銃だろうよ」

 

見事なまでに吹き飛んで開きっぱなしの鉄の扉を見た時、

 

ッ!!

 

風が彼らを凪いだ。

 

「…かはっ」

 

その直後、彼らの斜め後ろにいた三沢から呻き声がした。

 

「…?」

「「「「っ!?」」」」

 

その動きに誰もが驚愕をしていると、訳が分からず混乱している三沢に剣を突き立てた男を見た。

 

「小野寺…ちっ!」

 

根室はすかさず拳銃で三沢を刺したその白い影に銃を放つが、彼はすぐにサーベルを抜いてその銃撃を避けた。

 

「っ!」

 

南部も自動小銃や汎用機関銃の引き金を引いて白い影に向かって動きを予測しながら撃つが、乱数軌道で彼は攻撃を避けた。

 

「っ、化け物かよ…」

 

その動きに思わず息を呑んでしまうとその白い影…白い軍服を着た小野寺はこちらを死んだ目で見ていた。

 

「よく来たな。南部くん」

「…」

 

そこで照準を合わせたままの彼は引き金を引くと、その銃弾はサーベルで弾かれた。

 

「チッ、やっぱりあの目はお前がやったんだな」

「心外だ。自分の身を守りたいと言った彼らの意見に賛同しただけだとも」

 

彼は平然と言うが、彼には違和感があった。

 

「いいや、お前は小野寺じゃねぇな?アイツがこんな俊敏な動きができるわけがない」

 

そこで魔法を打つとその攻撃に彼は身を屈めて避けるが、彼の動きに合わせて魔法が着弾する。

 

「…痛いな。流石に堪える」

 

魔法が着弾したにも関わらず軽く埃を払うように彼は立ち上がって南部を見た。あの爆発で耐えるのかよと内心で舌打ちをすると、小野寺はサーベルで突っ込んできてフォアグリップでその剣戟を受け止めた。

 

「くそが、あの親父の剣かよ」

 

そこで彼はその見覚えのあるサーベルに小野寺を睨みつける。

 

「これを受け止めるとは流石だ」

 

そこで南部はフォアグリップで彼の攻撃を防ぐと、そこで体重を掛けて弾き飛ばすと、彼を室内に叩き込んだ。

 

「大丈夫?」

「いや、もう私はここまでですね」

 

心臓を一突きされた彼女はすぐに自分の容態を察すると、後ろを向いている南部に言った。

 

「南部くん…長野さんから『仕事はしたから約束は守れ』だそうです」

「ああ…」

 

そこで彼は傷が付いて軽く抉られたフォアグリップを確認した後に銃口を室内に向けて言った。

 

「無論だ。任せろ」

 

力強く彼は言うと、三沢は安心した様に息を一旦吐くと、持っていた散弾銃を根室に渡した。

 

「これ使って」

「…」

 

力強く彼女は根室の胸に銃を託すと、そのまま目を閉じて斃れる。散弾銃を渡された彼女は、それに軽く頷いてから銃と弾薬を貰ってサーベルを片付ける。

 

「流石に四人相手は辛いな…」

 

そして全員が部屋に入ると、そこで見ていた小野寺は部屋の中で手を指揮者のように振ると、中にあった液体で詰まったタンクが開いて液体とモノが落ちてきた。

 

「…ああ、くそっ」

 

そこでタンクから出された姿を見て舌打ちをする。

 

「ここにいたのね、舞鶴達は」

 

根室は三沢から受け取った散弾銃を握って睨みつけた。

そこで血の気の引いた青白い肌を持った四人は、生まれたての子鹿のように足を震わせていたが、その後すぐに震えはおさまって体に血管のように刻まれた赤い刺青が僅かに灯った。

 

「畜生、こんなに嬉しくねぇ女の裸は初めてだよ!」

「萎えるか?」

「恐怖だよ。ホラー映画かよ」

 

大泊はそこで出てきたところを軽機関銃で撃つと、彼女達はその攻撃を障壁魔法で受け止めた後に魔法を打ってきた。

 

「っ!?」

 

咄嗟に根室が魔法を展開したが、明らかに火焔魔法では考えられないほどの勢いの炎が命中して火が研究室を覆った。

 

「何だよこの威力…!?」

「やばい、次来るぞ!!」

 

その直後、今度は強い電撃が彼らに命中する。その攻撃に根室の魔法が切れる前に青島が障壁魔法を内側に展開すると、根室と交代して防御をする。

 

「うおっ!?これはヤバい…」

 

目の前の四人は一体どんな技なのか、一撃一撃の火力が桁違いに高い魔法を打ってきた。そのせいで彼らは攻撃する機会すらない。

 

「厄介な…」

 

そこで南部も彼女達に撃つと、四人は一斉に彼に飛びかかった。

 

「ったく、どんな人体改造したらこんなの作れるんだよ」

 

そこで両脇の機関銃で応戦をすると、一人に命中して地面に落ちた。

 

「誰だ?誰が落ちた?」

「香取だ。アイツが堕とされたぞ」

 

攻撃が彼に向かった事で根室達はようやく攻勢に出られた。飛び込んだ部屋の中には巨大なテスラコイルのような機械が立ち並び、一眼でそれが明らかに大規模な魔法を行うための実験施設であることを証明していた。

 

「くそっ、闇雲に撃ったらヤバいぜ」

「どこ壊すか分かったもんじゃないわね」

 

銃剣を持って彼女達はその機械で埋め尽くされた部屋を見ると、そこで散弾銃含めて銃全般が無闇に使えない状況に歯噛みする。

どう考えても部屋全体が精密機器で構成され、どれがどの機械につながっているのかもさっぱり不明な状況では、通信室のようにとりあえず壊しても問題ないわけではなかった。しかしそれは敵も同じこと。あれだけ強力な魔法は流石にこの実験器具にぶつけたくは無いようだった。

 

「仕方ない。安全装置付けるしかないわね」

 

まさかここまで巨大な施設だとは予想外であったので、彼女達は散弾銃を誤射しないように安全装置をつけて銃剣をつけたまま突撃をしていく。

 

「まさか散弾銃で銃剣突撃かよ」

「教本に載ってねぇやり方だよ」

「最終手段なことに違いないでしょ」

 

彼等に、今更部屋を抜けるなんて言う選択肢はなかった。

 

「でやっ!」

「ふぅあっ!!」

 

三人はそこで南部を襲っていた三人に銃を突き立てて槍のように動かして敵を誘引した。目の前の三人はこの改造で色々と頭にされたせいか、この程度の煽りで食い付いてきた。

 

「っ!」

 

銃に噛みついてきた舞鶴を見て、その変貌ぶりに思わず恐怖が優ってしまうが、その恐怖を彼女達は強制的にこの改造をしたジュール・ファブールへの怒りに捻じ変える。

 

「ぎゃあ!痛ぇ!!」

 

すると大泊が小牧に腕を噛まれて出血をすると、直後に彼は銃剣を彼女の腹に突き立てた。

 

「イダイ!」

 

すると悲鳴をあげて彼女は後ろに飛んだ。喋れるのかよと驚いていると青島が聞いてきた。

 

「大丈夫か?」

「今んところはな」

 

そして腕を噛まれた彼はそこでその傷口を見て包帯を巻く。

 

「ゾンビ映画なら、俺は死ぬ奴だぜ」

「同じだと思う?」

「ああ、アンデッドになる魔法があるならな」

 

大泊は彼女に今まで感じてきたこの世界の常識を鑑みて思った本音を口にした。

 

「一人一体で行けると思う?」

「ああ、ここまで来たんならな。俺はやるぞ」

 

そこで彼は笑うと、そこで銃を持ったままヘルメットを外して小牧を照準に合わせる。

 

「死体は残せよ」

「分かってる。先で待ってるぜ」

 

彼はそう言うと、ヘルメットを手に握って走り出す。残った魔力を全て脚の強化に使って飛び出すと、その速度に流石に舞鶴達も間に合わない上に、魔法も反対に実験器具がある為に打てなかった。

 

「小牧、覚悟しろぉっ!!」

 

そこで腹から血を流していた彼女に銃を放り捨てて飛び付くと、そのまま押し倒す形で彼女を上から押さえ込む。すでに踏み込みと加速で彼の両足は骨も肉も破壊されていた。アドレナリンが切れて痛む前に彼は懐から手榴弾の安全ピンと安全レバーを外してそれをヘルメットに放り込んで小牧の胴体に押し付けた。

 

「ッ!イヤダ!シニタクナイ!」

 

そこで彼女は大泊が何を考えているのかを察したように叫ぶと、彼は怒鳴り返す。

 

「黙れ!キーキーうっせえぞ!」

 

必死の抵抗をしてくる小牧に彼はヘルメットを覆い被さるように全体重を掛けて逃げられないようにする。

 

「故郷への片道切符だ。全員で帰ろうぜ」

 

不敵に彼は笑うと、手榴弾が起爆して彼諸共吹き飛ばした。

そしてヘルメットに手榴弾を放り込んでいたからなのかは定かでは無いが、爆発をした時に実験機材への影響は無かった。

 

「大泊…」

 

そこで自爆をした彼に青島は唖然と見ていると、その攻撃に小野寺も少し驚いていた。

 

「君たちも同じ結論に辿り着いたか」

「さぁな」

 

そこで彼を見た南部は銃剣を向けると、そこで機関銃を使って発砲をして敵の攻撃を開始する。

 

「っ!」カンキンッ

 

銃剣とサーベルがぶつかり合い、彼も安全装置を付けて無闇に撃たないように自重する。サーベルを受け止めると足を蹴って姿勢を崩し、転倒させて銃剣を上から刺そうとすると、彼はカンプピストルを向ける。

 

「っ!!」

 

銃口を向けられ、思わず動きが止まったところをサーベルが横薙ぎされて後ろにのけ反った。銃を使うことは味方もそうだが、それは敵も同じこと。銃を使わせないと言うのもまた必要な戦術の内であった。

 

「怖いようだな。この機械が壊されるのも」

「貴様とて同じだろうに」

「また作り直せば良いことだ」

 

彼はそう言うと、カンプピストルに小型榴弾を装填する。

 

「さて、私は壊せば勝てるが、君はどう手を打つ?」

「ありがとよ、おかげで爺さんが小野寺を乗っ取ったってのが理解できただけで儲けもんだよ」

 

そう言うと円匙を持って彼に突進をした。

 

「っ!」

 

そこで彼は円匙を使って斬りつけに掛かると、地面に刺さって傷跡ができる。そしてそのまま追撃で剣先で喉元を狙っていく。

 

「どうした!若い体についていけないか!えぇ!?」

 

そこでサーベルで受ける姿勢を取ると、小野寺は甲高い金属音を奏でて頬を切った。その攻撃に勢いを弱らせる目的で二体の傀儡を呼び寄せる。

 

「行かせるかよ!」

 

そこで自爆を警戒して距離を取っていた二人に青島達は対応をしようとしたが、一人がすり抜けて彼に噛みついた。

 

ガンッ!

 

しかしその攻撃は空中で彼が放った障壁魔法に阻まれ、地面に落ちた木更津は再度飛び掛かったが、それもまた新しい障壁魔法で塞がれる。

 

「獣みたいに動くんだな」

 

そこで彼は血の気の抜けた獣のように四つ足で地面を這いつくばっていたら裸体の女性を見つめると、彼は障壁魔法を展開した。

 

「…」

 

そこで南部は薬剤を口に放り込んでドーピングを行うと、その障壁魔法を展開した後に彼は持っていた自動小銃の引き金を引いた。




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