背中から木更津を刺すと、奪ったサーベルは今までのように胸を貫通した。その奇襲成功に、築城には後で感謝をしておこうと内心で思った。
「キァァアアアアアアーーー!!」
そこで刺された木更津は今までで一番の悲鳴をあげると、そこで彼女は肩甲骨の辺りからメキリと音を立てて盛り上がると、そこから一対の腕が飛び出してきた。
「っ!?」
その腕に根室は目を見開いて驚愕をすると、直後に両腕で首を掴まれて持ち上げられた。
「かふっ」
そこで彼女は先ほどよりも鋭く指が喉に刺さって彼女の口から血が垂れる。
「チ…チノニオイ!」
そこで垂れた血に背中を向いているはずの彼女は反応をすると、くるっと首だけを回して顔を見せた。
「ひっ…」
流石に彼女はその顔のあり得ない動きに思わず悲鳴が漏れてしまうと、直後に彼女は根室の顔を近づけた。
「チ、タリナイ。チョウダイ、チョウダイチョウダイチョウダイチョウダイチョウダイチョウダイチョウダイチョウダイチョウダイチョウダイチョウダイ…」
「っ…おえっ!?」
その時、彼女の金切り声のような掠れた声に思わず不快感が吐き出た。その一言だけで何が彼女の身に起こったのかを考え必要もなく理解できた。すると直後に木更津は根室の首元に噛み付いてきた。
「っ!拙い…」
その直後、彼女は木更津が吸血鬼のように血を吸い取っていると感じた。この勢いで一リットル以上の血液が抜かれたらたちまち数秒で失血死だ。
首から離そうと頭を殴るが、彼女に痛覚はないのか効果がない。引き剥がそうとすると、深く食い込んだ歯が痛くなった。
「どうする…どうする?!」
そこで慌てて彼女は周りを見ると、そこでは先ほど落とした散弾銃があった。
「…」
そこで血を吸われている中でその散弾銃のスリングに左手を必死で伸ばし、足で木更津を軽く蹴飛ばした。すると木更津も彼女が銃を持とうとしていることに気がついて残っていた腕で彼女の顔を叩いた。
「っ!」
そこで顔を叩かれたが平気な彼女は、頬に爪を立てられながら体を反転させて木更津を下に潜り込ませた。
血を一気に吸われている影響で視界がぼやけてきたが、右手で木更津の頭を殴り、四肢で別の動きをしながら彼女は自分が思いついた限りの体の動きで散弾銃のスリングに手が届いた。そして手元に散弾銃を手繰り寄せると、銃床を床に押し当てその銃口を下敷きにした木更津の後頭部に当てた。
「…」
そしてグッと木更津の頭に押し当てると、一瞬彼女は戸惑いを見せたが残った力を使って親指を押し込んだ。
「頼んだわよ。南部」
そこで引き金を引くと、放たれたスラッグ弾が木更津と根室の頭を貫いた。
頬を撃たれたと認知する直前、彼は顔を上げていた事で脳幹を貫くルートから弾道を回避していた。
「ハッ、狡いもんだな」
そこで頬を撃たれ、血が飛び散った彼は撃った小野寺を見ると、その直後に機関銃で応戦をする。大量の空薬莢が足元に転がると、彼はそれを蹴飛ばしながら小野寺に攻撃を仕掛けていく。
「これでおあいこだ」
そこで拳銃を撃った彼は口で左腕の裾を噛んで握った拳銃の引き金を引く。その拳銃弾はとてもその状態で撃ったとは思えないほどに正確に南部の命を奪おうとしてくる。
「それじゃあ信号拳銃は撃てまい」
そこで彼は地面に落ちたカンプピストルを持って言った。試しに中を見てみると、空薬莢が入ったままだった。そのまま信号拳銃を放り捨てると、彼はそこで質問をした。
「小野寺。いや、ジュール・ファブール。お前はどうやって小野寺の体に侵入した?」
「別に簡単な話さ。まあ、言うことはないが」
そこで彼はサーベルを持ち直しながら答える。
「ならまずはお前の正体を暴くところからだな…っ!」
南部はそこで展開していた障壁魔法を解除すると、彼を中心に展開をし直した。
「っ!!」
そして銃眼のように半円形の最小限の障壁魔法に極小の穴を開けるとそこで射撃を行う。まともな人間であれば回帰不可能な処刑台となる極悪な方法だが、
「っ!!」
小野寺はそこでサーベルを銃弾が飛んでくる直前に銃眼に突き立て、その剣先を左腕に刺した。その時、斬られた事で彼の障壁魔法が切れると直後に小野寺が斬りつけに掛かる。
「今度は私の方だな。南部くん」
「気色悪いぜ。オッサン」
そこでサーベルの攻撃を避け、彼を中心に凹レンズのように障壁魔法を展開してから機関銃を放つ。
ガシャン
そして片方の銃身固定用ラッチを外して赤熱した銃身を床に落とすと新たらしい予備の銃身を挿入する。今までも交換をしていたが、こんな戦闘中に交換するのは初めてだった。交換についても、昔はミリオタとして散々小馬鹿にされてきただけはあるので慣れていた。日本じゃあエアガンだったが。
この世界でも散々同様の機関銃は使っていたので、ラッチを全開にしてバレルジャケットから赤熱した銃身が滑り出てくると、その後に黒い銃身をしっかり多くまで差し込み、向きの確認もしてからラッチを叩いて銃身を固定して引き金を引いた。
この世界に来て思ったことはこの機関銃の使いやすさだろう。基本的に兵器というのは安い・高威力・使い易さの三拍子が揃ったら基本的になんでも傑作兵器扱いである。この機関銃が絶賛されていたのもこういうところから来ているのだとわかる。
「っ!」
そして銃身を交換すると、直後にサーベルが突き立てられて機関銃で応戦をした。すぐに五〇発の弾帯使って新しい弾を発射すると、二.五秒ほどで撃ち切ってしまう。
「機関銃は流石にずるいな」
「その弾幕突っ切ってくる奴が言うことじゃねえ」
そこでもう一丁の銃身を交換すると、恨めがましい目で新しい弾帯を装填する。
「(よかった。まだ弾薬に余裕がある)」
そこで三〇〇発の弾薬箱で纏めて繋げてある弾帯を確認する。
襲撃の序盤で弾薬箱一つ分を使い切っており、新しい弾薬箱を装填して弾帯を繋げる。少なくとも全ての銃弾を発射するまでは壊されるわけには行かなかった。
「っ!」
狙ってサーベルをへし折れないかと銃剣の剣先に加熱魔法で金属を赤熱させると、銃を振るって地面の鉄筋コンクリートに焼跡をつける。
そしてその直後に彼は肩で軽く息をしながら話しかけた。
「魔法を打てないんだろう?アイツの魔力はカスだからな」
「…全く、この身体は不便な事この上ないさ」
彼はそう言うと、撃たれた体ですら修復できていない様子を見て言う。
「改めて自己紹介でもしておこうか」
すると彼は気が変わったようにサーベルを一度鞘に戻すと、そこで南部を見て日本語で挨拶をしてくる。
「アルレッキーノ。それが私の名前だ」
「…」
その名前を聞き、南部は全てがつながった。
「なるほど、神話に出てくる神様かよ」
「ほう、学んでいるのか。この世界の歴史を」
もはや隠す様子もなく彼は感心した様子で南部を見ると、彼はそこで小銃を構えながら言う。
「ああ、あっちの世界じゃあイタリア語で『狡い大食い召使』って意味だがな」
そこで彼は貫通魔法を展開すると銃口から光線が発射された。
「っ!!」
そして魔導演算機に取り付けられた二丁の機関銃を発射すると、銃弾は激しい音を立てて銃撃を行う。
「いくら
「…ちぃ」
そこで機関銃を使って障壁魔法を展開してくる南部に対し、アルレッキーノは持っていた拳銃をサーベルを持って南部を撃ってくる。
キンキン
しかし放たれた拳銃弾は障壁魔法で防がれると、彼はそこで先ほど大規模に魔力を使用した痕跡のある小野寺輝の体に歯噛みをしながら拳銃を引き金を引くと、弾切れで新しい弾倉を取り出す。
「っ!!」
その瞬間、視線が一瞬切れたところを南部は駆け出した。その両手には銃剣が取り付けられた自動小銃を持っていた。
「よくもまあ対決を台無しにしてくれたもんだなぁ!おい!」
そこで彼は銃剣突撃を行うと、アルレッキーノはサーベルでその銃剣突撃を退けると、彼はその銃剣に加熱魔法をかけており、アルレッキーノはそのことに寸前に気がついて回復していた魔力を使って小さな障壁魔法を使うと、その剣先を魔法でずらした。
「っ!?」
その時、急な角度をつけられたことで前傾姿勢であった南部はそのまま姿勢を崩して倒れると、即座に彼はサーベルを降って首を落としにかかる。
サーベル、特に彼の持っていた曲刀型のサーベルは、上から振り下ろすことでその切れ味を最大限に使うことができる。
「くっ…」
その攻撃は流石に命の危険を感じて横に一回転をしながら魔法を斜めに展開して斬撃を床に叩きつけさせると、その斬撃は右側の機関銃を真っ二つに切り落としながら地面のコンクリートにヒビを入れた。
その直後に南部はアルレッキーノの足を横に蹴り飛ばすと、彼もまた不意に足を取られて姿勢を崩して地面に叩きつけられたところを、南部は落とした自動小銃の代わりに切り落とされた機関銃のまだ赤熱していたバレルジャケットを片手で握って叩きつける。
「がはっ」
その時、彼の顔に赤熱した銃身叩きつけられ、痛みで声が出る。火傷もお構いなしに彼は銃身を叩きつけると、上に持ち上げた瞬間にサーベルが横凪に振られて、その斬撃はその銃身で受け止めて弾いた。
「…ちっ」
そこで彼はそのサーベルに魔法が展開されるのを感じると、そのまま横に転がって避けた。
「貴様の目的なぞ予想が付く」
そして彼はアルレッキーノに向かって小銃を放つと、彼はサーベルでその銃撃を弾いて赤熱した銃身を叩きつけられたことでできた火傷跡に触れる。
「顔の傷か…これもまた戦士の誉だな」
「騎士道の時代なんぞ産業革命で霊柩車に乗せられたよ」
そこで弾倉を新しく交換すると、チャージングハンドルを引いて装填を終えると、いつも握っていたフォアグリップではなく、
そしてそこで最小限の攻撃でその銃撃を回避すると、南部はそこで彼に言う。
「この世界には核の概念がないんだろう?」
「…」
その時、わずかにあるレッキーノの眉が動いた。
「この世界にウランやプルトニウムはそもそも存在していない。陸大で元素表を見た時には驚いたもんだぜ」
そこで彼は脳裏に、かつて共和国で潜伏をしていた時に発見されたこの世界の常識を思い出す。本来であればそこにあるべきはずの元素番号92番の物質は未だ未知の物質として空白になっており、そのためにプルトニウムやラジウムなども空白のままであった。
しかしこの世界に花崗岩は存在している。しかしなぜかこの世界は不思議なことに核兵器を作るのに必要な材料がそもそも存在していないのである。
「あんたはこの核技術を手に入れるために、俺たちをここに呼んだんだろう?」
そこで銃口を抜けながら彼は問うと、アルレッキーノは沈黙をして静かに南部を見ていた。
お気に入り登録、高評価をよろしくお願いします。