戦場からこんにちは   作:Aa_おにぎり

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一八一話

統合作戦本部は何度も足を運んだ場所だ。ペッツの総長室で二人は相対し、片方は火かき棒、片方はサーベルを握った瓜二つの顔立ちの男。

 

「ったく、ドッペルゲンガーじゃねえんだぞ…」

 

そこで赤熱した熱々の火かき棒を握る南部は相対するアルレッキーノを見て軽く息を整えてから突進を行った。

 

「「はぁあっ!!」」

 

そしてサーベルと火かき棒がぶつかり合って火花が散る。

この総合作戦本部はまた総長室の壁に銃痕がないので、あのクーデター未遂事件前の記憶だと理解できる。

 

「っ…っ!!」

 

そこで南部は曲がっていた部分にサーベルを引っ掛けて剣を弾くと、直後に走って敵の肩を掴んで総長室の壁に叩きつけた。その時の衝撃で影に立てかけてあった絵画が落ちていく。すると叩きつけられた側はサーベルを持っていない手で南部の顔を殴ると、直後に彼を締めていた手から焦げ臭い香りが漂う。

 

「っ!?」

「かふっ」

 

そこでシューッと音を立てて焦げた香りがすると、南部はアルレッキーノを掴んでいた首元が焼けていくのを見た。直後にサーベルの斬撃があったので、瞬時にその攻撃を避けて後ろに飛んだ。

 

「何だ?今の…」

「さぁな」

 

そこで南部は今の自分の触れたところが焼けた事に驚くと、直後に喉元を焼かれたアルレッキーノはサーベルを持って近づいて斬りかかる。

 

「何だ?」

 

周りの景色は首都郊外の駐屯地の司令室に変わると、少し困惑気味に南部は銃剣でサーベルの攻撃を退くと、グッと手を伸ばした。

 

「っ…」

 

その瞬間、僅かにアルレッキーノは避けた。その警戒の高さと言えばさもありなん。

 

「(なるほど、こりゃあ便利だな)」

 

彼は自分の手が敵に触れた所を急速に焼くことができると分かれば、一気に攻勢に出る。元々細々とダメージを与え続けていた為、両者共にかなり血を流していた。南部が一発腹に蹴りを入れて地面に叩きつけると、景色は燃え盛る古城の地下室に変わる。

 

「何だよ、そろそろ死ぬ頃じゃないのか?」

「私の世界に神殺しなど存在しない。そもそも死の存在が定義されていないからな」

 

二人はそこで銃剣とサーベルで鍔迫り合いをすると、サーベルを持っていた手を南部が握ってアルレッキーノから煙が上がりながらその体を空のワイン樽に叩きつけ、割れた木材の間を縫うように彼は持っていたサーベルで目の前の男の足を切り付ける。

 

「うおっ」

 

腿を斬られ血が出てくると、思わずその痛みで膝をつきそうになったが、それを堪えて彼は銃剣で心臓を狙うと、アルレッキーノはサーベルで剣先を押さえる。

いつのまにか二人は純白のベッドの上で倒れており、共和国で泊まったホテルで二人は激突をする。アルレッキーノは南部を蹴り上げようとするが、彼は後ろに転がって避ける。その手には消音器付き拳銃(ワルサーPPK)を握っており、引き金を引いて発砲する。その攻撃はベッドの上で膝をついた彼によって銃弾を弾かれると、直後に突進をした。

 

「(くそっ)」

 

しかし頭に強く本を叩き込まれたことが災いして頭がくらっと目眩を起こすと、姿勢が崩れて部屋の壁に剣を突き立てた。

 

「っ!!」

 

その瞬間、すぐに南部は部屋にあったボトルを握って投げつけると、そのボトルは掴まれて逆に投げ返された。投げ返されたボトルは彼が投げた時よりも早く、南部は避け切れずに腹に命中してめり込んだ。

 

「…かふっ」

 

そして地面に倒れてしまうと、次に現れたのは潜水艦の船内。

 

「っ、もらった」

 

そこで彼は船内の台所から鍋と包丁を手に取ると、それを使ってサーベルを持ってアルレッキーノの頭を目掛けての中身をぶちまけた。

 

「なっ…!!」

 

その時、熱々に湯気の経つシチューを顔面に被った彼は、直後に空になった鍋を顔面に叩きつけられ、その直後に南部は彼の胸を目掛けて包丁を突き出すその動きを察してサーベルで再び包丁を押さえた。

 

「っ、バケモンかよ…」

 

視界を奪ったにも関わらず防御をした彼は、次に鍋から手を離してアルレッキーノがサーベルを握っていた手を強く握った。

 

「あぁっ!!」

 

すると灼熱に晒され、軍服諸共燃えて肌が瞬時に焼けていく。理由は定かではないが、彼は触れるだけで敵にダメージを与えられた。

 

「ここは俺の領域だ。最後まで付き合ってもらうぜ」

 

そこで彼は敵を見て不敵に笑うと煙の上がる敵を見つめた。場所は潜水艦の機関室で、背中で動くディーゼルエンジンに叩きつけると、逆に蹴り飛ばされて背中を強く打った。

 

「けほっ」

 

そこで視界は潜水艦の船内から転移魔法装置が映る景色が映る。そこで彼は周りに遺体の光景が写り、これが一瞬現実かと思っていたが、躊躇なくアルレアッキーノが攻撃をしてきたので、これが偽物であると確認をする。その手には銃剣付き自動小銃(フェドロフ M1916)の引き金を引いて傷らだけの敵を攻撃する。

 

「っ!!」

 

そこで敵はヒートガードを掴んでその銃口を逸らすと、サーベルを彼の胸に突き立ててくるが、それを彼は左腕を上げてその刺突を貫通させて上に持ち上げることで照準をずらした。そして次に膝蹴りで腹部を蹴り上げた後に頭突きを行う。

 

「くはっ」

 

文字取り頭がカチ割れる勢いで頭突きを受けると、そこで南部は一瞬緩んだ隙を使って右手でアルレッキーノの腕を叩き落としてサーベルから手を離させた。

 

「っ!」

「はぁっ!!」

 

サーベルが手から離れたことに驚くと、南部は奪ったサーベルを腕から抜いて切り掛かった。しかしその攻撃は敵が逸らしたことで額を切っただけで終わった。

そしてその後、体を逸らした彼はそのままバック転で一回転すると、視界はまた変わって河川敷に景色が変わった。小山と初めて出会ったあの場所だ。

 

「ぬぁあああああっ!!!」

 

そこで彼はあの河川敷でその拳を握ると、サーベルを手放した敵から奪った武器を握って突撃した。

至近距離で胸骨に放たれたそれは、額を切られて視界を奪われたアルレアッキーノは対応できなかった。

 

「…がふっ」

 

心臓に強い打撃を受けた彼は、そこで胸骨が折れた感覚を感じ取ると、そのままよろけて仰向けに倒れた。

 

「…見事だ」

 

そこで二人の景色は全て上映を終えた映画館のような静けさを感じさせてアルレッキーノら自分の胸に突き立てられたサーベルを見ると、その柄を握って引き抜いた。倒れた彼は立ち上がると、傷らだけの体を見せる。

 

「だが私に死の定義がない。このまま永遠と戦い続けることになるぞ?少年」

 

彼はそこで傷だらけで、至る所から血を流している南部を見ながらその手に新たにサーベルを作り出した。南部はその様子を見て鼻血を拭って答える。

 

「だろうな…」

 

彼はそこで今まで一度も崩してこなかった顔が、薄ら笑みを浮かべていた。

 

「だかな、お前は一つ忘れていることがあるぜ?」

 

彼はそう言うと、立ち上がったアルレッキーノに言う。

 

「あんたは俺を蘇ったアンデッドのようなものと言ったな?」

「?…っ!?」

 

すると彼の周りに無数の赤黒い人形が構築されていく。そして次々とその人形は現れていく。

 

「これは…」

「人ってのは、蘇った時に何らかの変質をしちまうらしい…」

 

そこでこの赤黒い人形の中心に立って彼は言うと、その人形は少し屈めた姿勢でその両腕を広げていた。

 

「異界の神。何のために俺が船に乗った兵士を皆殺しにしろと言ったと思っている?」

「っ!まさか…!」

 

そこで彼の顔が青くなる。その赤黒い人型は次々と南部を囲うように出現する。

 

「血を使って傀儡にしたか」

「おお、さすが長生きしているだけはある」

 

そこで感心したように南部はアルレッキーノを見る。

 

「『魔術』と勝手に俺は呼んでいる。血こそ俺のエネルギー源だ」

「…吸血鬼(ノスフェラトゥ)か…!」

「ああ、大当たりだよ」

 

そこで彼はニヤリと笑って手をあげる。

 

「さぁ、一〇〇〇人の兵士と戦う覚悟ははできてるか?異界の神」

 

彼はそう言うと腕を前に伸ばす。するとその赤黒い人形は一斉にアルレッキーノに飛びかかった。サーベルを持ったアルレッキーノは突進をした兵士に向かって剣戟を振って一人を始末するが、魔法が使えない状態で次にまた別の兵士が飛びかかって腕を掴んでくる。

 

「くそっ…うわっ!」

 

背後からも飛びかかられ、サーベルを奪われると、四肢にしがみついた人形は次々とアルレッキーノにまとわりついてくる。

 

「死なない神様なら、身動きを封じて仕舞えばいいだろう?」

「お、おのれ…」

 

そこで彼は四肢や胴体にしっかりと掴んで身動きを取れなくしていく。

 

「俺の国には、最強を謳った完全生命体を宇宙に飛ばして手の届かないところに放逐するって言う有名な対処法があるんだ」

 

彼はそう言うと、赤黒い液体のようなものに囲まれていくアルレッキーノを見る。

 

「南部…茂…!!」

 

四肢を掴まれ、一切の身動きがで見ないように囲まれる彼は鬼の形相とも言える憤怒に満ちた顔で南部を睨みつけていた。

 

「私は死なないぞ!こんな愚かな方法で私に勝ったつもりか!!」

「お前はどうなるかは知ったことないが、俺が死ぬまでそこを動くんじゃねえぞ」

 

その叫びに彼は興味もない様子で耳をかくと、目の前で最後の人形が取り付いたことで巨大な赤黒い球体が完成をした。もう彼の声すら聞こえず、南部は本当の意味で静寂となった空間を確認すると、そこで仰向けに倒れてゆっくりと目を閉じた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

ゆっくりと目を開けると、そこで真っ先に鉄の香りを感じた。

 

「…終わったか」

 

そしてその香りからここが現実の光景だと認知し、直後に感じた身体中の痛みがその認識をさらに強くさせた。

 

「ははっ、あっけない最後だぜ」

 

最後に対処したその方法に彼は苦笑しながら、そこで彼は自分の周りに転がった同級生たちの遺体に一瞬驚く。

 

「マジか」

 

なにせ今の状況はほぼ直角に部屋が傾いており、至る所からギリギリと軋む音を立てていた。水がいつ入り込んでもおかしくない状況だと思っていると、早速部屋に海水が流れ込んできていた。

 

「…終わらせねえとな」

 

そこで彼は立ち上がって背中を振り返ると、そこで今でも光り輝いている水晶球を確認してからその足元にあった制御盤に触れて、直感的に感じた方法で操作を行う。よく見ればこの制御盤には自分たちが持っていた携帯が繋げられており、中の集積回路は計算機として魔改造されていた。

 

「これで…終いだ」

 

そして最後に回路を繋ぐと、スパークが飛び散っていた部屋に強い光が当てられた。

 

「…」

 

全ての工程を完了させて自爆装置が起動したのを確認すると、そこで彼は海水が次々と入ってくる部屋を見た。同級生たちは全員が遺体となってこの一箇所に積み上げられ、船が沈降をしたことで海水が彼らの血と混ざり合って赤い池が出来上がっていた。

彼はそこで最後に自動小銃の銃剣を抜いて、その銃口を自分の顎に押し当ててその引き金に自分の親指をかけた。

 

「…自殺なんて、するもんじゃねえな」

 

彼はそう言うと、引き金を引いて銃声が部屋に静かに響いた。




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