戦場からこんにちは   作:Aa_おにぎり

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七三話

今日は涼やかな快晴の日で、恐ろしく冷える日であった。木枯らしが吹き付け、下では車や人が闊歩して居た。

そんな人達を眺めながら建物の屋根裏で蓮子はラジオを聴いて居た。

 

『ーーーでは、次のニュースをお送りします。

現在、帝国と共和国の両国で起こる複数のテロ行為に対し、両政府は会談を行い。抵抗軍に対する特別対策班を設立する旨を昨日発表しました。フェリップ大統領は次のような声明を発表しました。

『抵抗軍に告げる。君たちの行動は国民の日常生活を脅かすものであり、危険な行動である。我々はこれを許すことは無い。したがって……』』

 

ラジオを聞き、蓮子はふと茂から聞いた計画を思い返して居た。

 

「うまく行くと良いけど……」

 

茂の計画の為に今殆どの人員を連れてルテティアを離れている茂の安否を案じていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

一一月一〇日

 

その日、ルテティアを離れてトラックが走って行く。

 

「痛っ!!」

 

砂利道を走り、トラック全体が揺れる。その揺れで乗っていた横田が頭をぶつける。すると舞鶴が運転をする茂に文句を入れる。

 

「ちょっと!もう少しまともに運転できないの?!」

「仕方ないだろう。ここは不整地なんだから……」

 

そう言い、五台のトラックは共和国の海岸を飛ばすとそのままとある崖上で停車する。

 

「あそこだな……」

「あぁ、俺たちが住んでいた屋敷だ」

 

視線の先には半年前にも訪れたあの煉瓦作りの屋敷があった。前来た時は遠くから見ただけで終わったが、今日は違う。

茂は車から降り、手に針金を持つとそのまま門にかけられた鍵穴に入れてものの十秒ほどでピッキングをして鍵を開ける。

 

「うわぁ、やり口が車上荒らしだ」

「泥棒し放題じゃん」

「馬鹿野郎、お前らにもピッキング教えただろう」

 

そう言い、門を開けて中に入ると。彼らはそのままトラックと共に屋敷に入る。

 

「うわぁ、懐かし」

「何年振り?」

 

彼らにとっては二年振りほどの帰還だろう。此処は自分たちが初めてこの世界に来た時に住んでいた場所だ。此処で訓練をした後に砲兵として戦線に向かっていた。その思い出を振り返りながら屋敷の捜索を行う。もしかすると此処に転移装置に関する情報があるかもしれないからだ。コンラート大尉達には周辺一体の捜索を依頼し、半島全体で捜索を行っていた。

転移者という強い味方がいる自分達はそのまま屋敷に入るとそのまま連れてきた三沢に聞く。

 

「魔導逆探に反応は?」

「今の所無し。トラップ系とかもないね」

 

そう言い、三沢はPPIスコープに似た装置を乗せた機械を背負い、周りを同級生達に守られながら屋敷を進んでいた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

数日前、ルテティアに集まった同級生達に茂は言う。

 

「近々、俺たちが住んでいたあの屋敷に向かう」

 

そう言うと一気に緊張が高まり、思わず横田が聞いてきた。

 

「……本気なのか?」

「あぁ、転移装置の居場所がある可能性がある場所として最も怪しいのがあの場所だからな。探索も兼ねて行くつもりだ」

 

事実、転移装置を写したとされるあの写真に映るあの機械は恐ろしくデカい。そしてあのデカさの機械を置くには地下に掘るか何かで覆わなければならない。そして、自分達が転移された時の時期や日にちを予想するとあの屋敷らへんに転移装置があるはずと予測していた。

 

「抵抗軍の動きが控えめな今のうちに俺たちは動く。調べられるところは全て調べるぞ」

 

茂の計画を聞いている彼らはそこで頷く。小野寺と言う不安材料が残るも、彼の本性を見た同級生達は『蓮子に片思いのヤバいやつ』と言う印象が植え付けられていた。一種のトラウマに近いが、小野寺と言う化け物相手に彼らはどうすべきかを相談した結果。『小野寺とはもう関わらない』選択を取る事にした。かつては小野寺親衛隊と言われた舞鶴達も、過去とは断ち切り。小野寺を敵として認識し始めていた。

そして、屋敷に調査に行くと言うことで茂は卓上に一個の箱を置いた。

 

「なんだこれ?」

「魔導逆探知機だ。これで室内に転移装置がないかを調べる」

「ほぇ〜」

 

そう言い、背負式の箱を見て横田達は感心した声を上げると舞鶴が聞いてきた。

 

「で、反応がなかったら?」

「それでも痕跡がないか調べるさ。大陸全土の魔力を吸い上げたほどの機械だ。必ず何かしらの痕跡があるだろうよ。一個小隊につき、一個これを持たせる。何か反応があれば報告を上げろ」

 

そう言うと、茂はその逆探知機を適当に選んだ人員に渡して使い方を簡単にレクチャーしていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

建物に入り、一つずつ扉を開けて探索をする茂達は手にフェドロフや突撃銃、短機関銃を持っていた。何かあった時の自衛用だ。もしかすると誰かいるかもしれないからな。逆探知機を持つ生徒は重量的に武器を持てないので必然的に護衛を伴って屋敷を歩いていた。

 

「此処もなしか……」

 

埃まみれの部屋を見て、共に行動していた立川が思わず呟く。

 

「ずっと使われていない感がすごいね……」

「あぁ、お陰で息がしづらいよ」

 

そう言いながら二人は銃を背中に背負い、私服を着て腰や胸にタクティカルベストを着込んでいた。

パンツァーシュレックを担いで走っても笑えるくらい体力をつけた彼らにとってこのくらいの武装は大した事ないのだが、コンラート達に『若いって素晴らしい』と言われてしまった。突撃銃用の三〇発入りバナナ型弾倉を入れたベストに防弾性能は皆無だが、多く弾丸を持てるのは利点であった。

もう完全に現代戦装備じゃんと思いつつも、俺と立川はフェドロフと突撃銃を持って次の部屋の扉を開ける。

 

「クリア」

「クリア」

 

部屋に誰も居ないことを確認し、二人は銃を下ろすと早速探索を始める。

ここは宿舎の一室で使われた様子のベットが置かれていた。ベットを触ったり動かしたりして探索をしている中。茂はふと立川に聞く。

 

「そう言えば、俺たちが着ていた制服とか荷物ってどうなったんだっけ?」

 

少なくともウチの学校はブレザー服だったと思い返しながら茂は立川に聞くと、彼女は思い返しながら答える。

 

「あぁ……確か制服は着替えたわね、砲兵隊の服に。携帯とかは確か……使えないけど技術目的で持っていかれたわ。覚えていないの?」

「そう……だったかな?」

「使えないけど基盤くらいは流用できそうじゃない?」

「まぁ、そうかもしれんな……」

 

そう言い、スマホ関連の記憶を掘り返していると思わず茂は呟く。

 

「スマホって便利だったんだな」

「そうね、知りたいこともすぐに調べられるし。何より娯楽のレパートリーが増えるわね」

「この時代はボードゲームかカードゲームだしな」

「なんかおじいちゃんになった気分ね」

「実際似たような時代だろ。此処は」

「それはそう」

 

そう言い、部屋を漁っていると廊下から築城が走って茂達を呼んできた。

 

「おい、二人とも。こっちに来てくれ。三沢が何か見つけたんだ」

「ん、了解だ」

 

そう答えると二人は探索を一時中断して築城の跡を追いかけた。

 

 

 

 

 

二階から一階に降りた茂達は、厨房に集まる同級生達を見た。

 

「これを見てくれ」

「「?」」

 

そう言い、築城が指差した先には三沢が立っており、彼女の持っている魔導逆探知機が魔力反応を示していた。

 

「この先に?」

 

そう言い、思わずその方向を見ると、そこにはただの壁があった。そんな壁を見ながら築城がやや興奮した様子で言う。

 

「絶対隠し扉だよ。どこかにスイッチがあるんだ。それか謎解きが!!」

「んなもんどこにあるんだよ」

 

そう言い、横田がツッコミを入れると取り敢えず茂は同級生達に何かそう言う系がないかを探すように指示を出して厨房を徹底的に探させる。台をどかしたりして探したが、スイッチや暗号系は一切見当たらなかった。

 

「うーん、どこにも無いのか……」

「『ひらけごま』でもしたら開いたりして」

「そんなんだったら苦労しねぇよ」

 

厨房で舞鶴や横田がそう話している中、三沢と築城が口をひらく。

 

「でもまだ反応が残っているよ?」

「どうやって行くか……」

「ってか南部は?」

 

そう思っていると厨房に茂が入ってきた。

 

「オィ!南部、お前何して……」

「えっ、何その銃?」

「でかっ?!」

 

そう言い思わず肩に身長くらいありそうな程でかい対戦車ライフルを抱えてきた茂に思わず全員が絶句していた。

しかし、当の本人は当たり前と言わんばかりに銃を持って厨房に入ると反応があった壁に銃口を向けた。

 

「入口がないなら、作って仕舞えばいい」

「っ!まさかアンタ……!!」

 

すると茂は全員に叫ぶ。

 

「耳塞げ!吹っ飛ばす!!」

 

そう言うと魔法弾に魔力を込め始め、思わず横田達は耳を塞いで慌てて厨房を出て行く。この威力の銃は絶対ヤバい事になると確信し、爆発魔法に巻き込まれないようにする為に撤退をしていた。そして茂は厨房の調理台にゾロダーンを置き、爆発魔法を展開しながら引き金を引いた。

 

凄まじい銃声と爆発が屋敷を襲い、それを壁に穴が開くまで引き続けた。

一発目で壁にヒビが入り、二発目で壁が砕け始める。三発目にもなると壁に穴が空いた。

 

「おし、終わり」

 

壁に穴が空いたのを確認した茂はそのまま対戦車ライフルを担いで銃床で壁を叩く。爆発魔法で壊された壁は脆くなり、ボロボロと崩れてそのまま人が通れるくらいの大きさになった。

 

「おい、終わったぞ。入ってこい」

 

そう言うと、衝撃でボロボロになった厨房に穴の空いた分厚い壁を見て横田が思わず叫んだ。

 

「パワープレイが過ぎんぞ!!」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

中に入ると、そこは階段で地下に繋がっていた。

ライターを持ち出し、先頭で灯りを灯しながら茂達は階段を降りるとその先で開けた空間に出た。

 

「此処は……」

 

その空間に出ると、薄暗い中。夜目が次第に慣れると、そこはかなり大きな場所であったことが把握できた。

 

「これは……」

 

それこそ、あの転移装置が置けそうなくらいには……

 

「何かしらないか探せ。なんでも良い、集めろ」

 

そう言い、ランタンを照らしながら壁や落ちている資料を探していると厚木が壁にあった変なレバーを確認した。

 

「ん?何だこれ」

 

そう呟きながらレバーを倒すと、部屋全体に警告音と振動が響く。

 

「何やりやがった!!」

「知らんよ!レバー倒したらこんな事に……」

 

立川の叫びにそう答えると、視界が一瞬真っ白になった。

 

「うわっ?!」

「まぶしっ!」

 

夜目に慣れていたが為に視界が真っ白になり、目を覆ってしまうが。すぐに視界が元に戻ると、思わず彼らは声を失ってしまった。

 

「嘘だろ……?」

「まじか……」

「これって……」

 

視界が戻った時。思わず横田達は崖の途中から外のカモメの飛ぶ景色を眺め、驚きの声を漏らしていた。

そんな景色を見ながら茂は呟く。

 

「ここに転移装置があった事は確実だな……」

 

海と繋がっているこの場所を見ながら、この大部屋にあったであろうそれがあったのだと確信していた。

 

 

 

 

 




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