戦場からこんにちは   作:Aa_おにぎり

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八〇話

『マルティーナ・アエルフェルです。カセリーヌ・モンロー様は此処におられますでしょうか?』

 

廃倉庫で隠れていた茂達は突然やって来たマルティーナに困惑していた。なんで此処にいるのか、何で此処に蓮子がいるのが分かっているのか?

様々な疑問が浮かぶ中、茂はシャツのボタンを閉めるとそのまま銃を隠しながら扉に近づく。

 

「俺が出る。銃は隠しておけ」

 

そう言い、全員が頷くと茂が扉を開けた。

 

「はい、何のご用でしょうか?」

 

そう言うと、マルティーナは外に出た茂を見ると彼に言った。

 

「ジョヴァンニ様より皆様をお連れする様、仰せつかりました」

「は、はぁ……?」

 

一体どう言うこっちゃ?と言うか此処まで来れた理由とか色々とお聞きしたいのですが……

いきなり、ついて来て欲しいと言われ困惑しているとマルティーナは茂達を呼んでいた。何かの罠かと思い、茂は一旦マルティーナに言う。

 

「す、少し待っていただけますか?まだ片付けが終わっていないので」

「畏まりました」

 

そう言い、一旦倉庫に戻って茂は蓮子達と顔を合わせた。

 

「どう言う事?」

「さぁ、俺にもさっぱり……」

「ってか、どうやってウチらの居場所を把握したのよ」

「知らねぇし、そもそもどうやって此処の居場所を突き止めたんだよ……」

「……取り敢えず、敵は居ない」

 

そう言い、五人はどうしたものかと思いつつも取り敢えず待たせておくのも無粋という事で拳銃を隠し持ってマルティーナの後について行く事を多数決で決めた。

 

「いざとなったら頼むぜ、黒い天使さん」

「はいはい、何とかやって見ますよ……」

 

機関銃などの銃火器を置いて行くハメになるが、そもそもこんな地図に載っているかも怪しい様な場所をマルティーナが見つけた理由も気になる。それに……

 

『ジョヴァンニ様より皆様をお連れする様、仰せつかりました』

 

ジョヴァンニ様と言った、松島が話しかけたあの少年が気になる。一体何者なんだ?こんなメイドもいるし、様を言われくらいだから間違いなく上流階級なのは間違いだろう。一昨日の事件があったから教国内ではピリついていると言うのに……

なんて考えながら、五人はマルティーナの案内で止まっていた二台の車に乗り込む。車種はフィアット 519S リムジン。所謂高級車だと思いながら、茂達はそれぞれ車に乗り込む。ビートルとサイドカーは倉庫に置きっぱだが、後で取りに行こうと思っていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

移動中、先頭を走る車の中で、茂はマルティーナに聞く。

 

「あの…マルティーナさん。幾つか聞きたいことが……」

「何でしょうか?」

 

すると、茂は幾つかマルティーナに聞いた。

 

「どうして自分達を探していたのですか?」

「ジョヴァンニ様より、国内にいるのであればお会いしたいと言うご要望からでございます」

「では、何故あそこにいたと分かったのですか?」

「それは、ジョヴァンニ様よりお話しさせて頂きます」

 

そう言うと、車は教国内のとある家の前に到着する。それはもう豪邸と言って差し支えなく。車が行き来できるレベルの中庭を持ち、家の中にロータリーがあった。

帝都にある家よりも何倍も豪華な家に驚いていると、車はロータリーで停車した。そして、マルティーナが扉を開けて茂達は車を降りるとそのままマルティーナに案内された。

 

「こちらでお待ち下さい」

 

そう言われ、通された部屋で茂達は落ち着かない気持ちのまま席に座る。すると、大湊が真面目な表情で茂に聞く。

 

「……何やらかした?」

「知らねぇよ。俺に言わないでくれ……」

 

そう言い、五人のうち、窓の外を眺めていた百里が何かに気づいた様子でポツリと呟く。

 

「……此処はいい所。敵対する感じはない」

「お、おぉ…そうか……」

 

いきなりの発言に茂達は返事に困っていると、部屋の扉が再び開き。入って来たのは……

 

「お待たせして申し訳ありません。皆さん」

「「「「ジョヴァンニ(くん)?!」」」」

 

そこにはこの豪華な部屋にはあまり似つかない私服姿のジョヴァンニが居た。

 

 

 

 

 

ジョヴァンニと思わぬ再会をした茂達だったが、部屋に入って来たジョヴァンニに松島がやや震えた声で呟いた。

 

「ジョヴァンニ君って……一体何者なの?」

 

そう呟くと、ジョヴァンニはやや申し訳なさそうに言う。

 

「すみません。あの時は言えなくて…何せ人目につくと色々と面倒な事になるので……」

 

そんなやんごとなき身分なのかと思いながら、茂達はジョヴァンニの話を聞く。

 

「なので、改めて自己紹介させて下さい。僕は、ジョヴァンニ・アウグスタ・モンテーニュと言います。今代の天眼の継承者です」

 

自己紹介を聞き、少し間を置いた後に松島が呟いた。

 

「……てんがん?」

 

すると、ジョヴァンニは分かっていない様子の茂達に納得しながら詳しく話す。

 

「はい、天眼は古くから神より授かった全てを見通すことのできる特殊能力の一種です」

『『『『『(何それチートやん)』』』』』

 

ジョヴァンニの話を聞いて思わず茂達は内心そう感じると、ジョヴァンニはこの能力の欠点も言う。

 

「まぁ、その代わり僕は魔法を一切使えないんですけどね……」

「え?それってどう言う事?」

 

すると、ジョヴァンニはその訳を話してくれた。

 

「天眼は視認した人物の全てを見通したり、一般人では見えない精霊や悪霊を視認することができる代わりに魔法を撃つ事が一切出来ないんです」

 

全てを見通すと言う点で内心嫌な予感が走り、思わず顔が一瞬だけ強張ってしまうが、平常心を保ちながら茂たちはジョヴァンニの話を聞いていた。すると、蓮子がジョヴァンニに聞く。

 

「それで、ジョヴァンニ君。どうして私達を呼んだの?」

 

そう聞くと、ジョヴァンニは答えてくれた。

 

「皆さんをお呼びしたのは、この前のお礼をしたかったからです」

 

すると今度は松島が興味ありげな様子で聞く。

 

「じゃあ、なんで私たちの居場所が分かったの?」

「それは、カセリーヌさんに渡した精霊石のおかげです」

「精霊石?」

「これです」

 

そう言ってジョヴァンニが取り出したのはあの黄金色のアクセサリーと同じ石であった。初めて聞くものに困惑していると、ジョヴァンニは分かりやすく話した。

 

「これは、教国の一部地域でしか採れない魔石の一種です。魔石と感応石を混合し、超高温超高圧によって出来る特別な鉱石です」

「精霊石……初めて聞く物だわ」

「それもそのはずです。精霊石は教国の国営企業が完全管理しています。外部に流出する事が滅多にありませんからね。知らないのも事実かと思います」

 

そう言い、精霊石と言う初めて見た鉱石に興味津々な茂達であったが、大湊がジョヴァンニに聞く。

 

「だが、この石でどうやって俺たちを見つけたんだ?」

「簡単です。僕の天眼の能力を使用すれば、その間は天眼で居場所を確認できます。精霊石は特徴的な波長ですからね。国内にいれば何処にいても場所が分かりますよ」

「へぇ〜…便利な石ね……」

 

そう言いながら天に透かして精霊石を見る松島だったが、茂達は内心またもヒヤッとなった。二人があの禁書指定書庫に入った時にこの精霊石を持っていた。もしかすると、自分達を捕らえるために此処に連れて来たのかと警戒していた。

するとジョヴァンニは精霊石を手にしながらこの石の持つ特徴を話す。

 

「精霊石は魔石と感応石が混ざり合ってできた鉱物なのでどちらの能力も持っているんです。おまけに、どちらも最高純度でないと出来ないのでとても希少価値が高いんですよ」

「と言うと……?」

 

いまいち理解が追いついていない松島が聞くと、ジョヴァンニは言う。

 

「魔石として魔導砲撃や魔力回復が出来る上に感応石としての魔法発動補助が円滑に行えると言う事です。

……分かりやすく言うなら、これ単体で魔力のない人でも魔法を撃つ事ができるんです。おまけに感応石も混ざっているから消耗することも無い。魔力も自然回復する一種の魔導具の様な物です」

 

そう言うと、茂達は改めて精霊石を見る。すると、ジョヴァンニは茂達に言う。

 

「この精霊石を皆さん受け取ってください。この前の御礼に……」

「そんな貴重な物なのに?」

「良いんです。どうせ、使わずに倉庫にどんどん積み上げられていた物ですし……

 

 

 

全く、これを売って外貨獲得すればいいのに……」

 

 

 

若干、本音が漏れて若いのに逞しいと感じながら茂達はせっかくの好意を無碍にするのもと言う事で有り難く精霊石を貰う事にしていた。

 

「じゃあ、ありがたく受け取らせて貰うわね」

「ありがとう」

 

そう言ってマルティーナがトレイに乗せて持って来た精霊石を一人一個ずつ貰い茂達は帰ろうと思った時、ジョヴァンニが言った。

 

「あっ、ディルクさんとカセリーヌさんはもう少し待ってもらっていいですか?」

「?分かった……すまない。外で待っていてくれないか?」

「ん、了解したぜ」

「待っているね〜」

 

そう言い、大湊達三人はマルティーナに連れられて先に部屋を出て行き。部屋に残った茂、蓮子、ジョヴァンニの三人は互いに椅子に座るとジョヴァンニが早速口を開いた。

 

「……初めて見た時は信じられませんでしたが、こうして見ると本物なんだなってつくづく感じます」

「?何を言っているんだ?」

 

すると、ジョヴァンニは茂達を見ながら真剣な眼差しで聞いて来た。

 

 

 

「ディルクさん達はどの様な神託を受けたのですか?」

 

 

 

まさかの問いに驚き、思わず茂はお茶を濁そうとしたが先手を打ってジョヴァンニは茂達に言う。

 

「僕の天眼では、お二人の頭上に神託……つまり神の加護を受けた証である天の輪が浮かんでいるのが見えています。

伝承から得た知識でしかありませんが、お二人が何かしらの信託を受けた代わりに神の加護を受けた……合っていますか?」

「「……」」

 

予想以上の天眼の能力の強さに驚きを感じつつ、茂達は強い確信と言うか断定しているジョヴァンニに諦めた様に言う。

 

「……えぇ、確かに私達は神託を授けられた」

「っ!!本当ですか…!!」

 

やや前のめりになりながらジョヴァンニは茂達を見ると、彼はさらに聞く。

 

「では…一体そんな神託を……?!」

 

そう問われ、二人は一瞬互いに見た後に同時に答える。

 

 

 

「「転移魔法の抹消」」

 

 

 

 

 




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