黒の飛蝗は橙色の夢を見る   作:世界一孤独なチンパン

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 今回のお話は、読者の皆様にとっては読んでいて意味不明な会話や行動が繰り広げられます。なので、すこしでも理解しやすくなるために思い、先に設定などを説明させていただくついでに、多少のネタバレをさせていただきます。


 まずはギーツサイドの設定についてお話いたします。ギーツサイドの時系列は映画仮面ライダーギーツ後の世界です。しかし、何者かによってギーツ本編の25話時点の戦力まで巻き戻されてしまっています。そのため、現時点では景和はブジンソード、祢音はファンタジー、道長はジャマ神の力、英寿はブーストマークⅡ以降のすべての力が失われた状態になります。

 なお、記憶に関してはIDコアに触れたことにより思い出したため、ギーツ世界の原作キャラ同士の関係値は映画時点のままでキープされていますのでご安心ください。

 今回多少急ぎ足で書いたので、文章が滅茶苦茶になっていますが、ぜひとも温かい目で見ていただけるとありがたいです。

 オリ主の変身シーンはこの先の展開で最も目立つシーンがあるので、そこで彼が今後愛用していくバックルとともにお披露目したいと思います。




#9 課題Ⅴ『イレギュラーな世界~慮外~』

 

 

 

「ナイトジャマト鬼ごっこ?」

 

 ツムリによって告げられたデザイアグランプリの開幕。澪にとっての初陣となる第1回戦目の種目は『ナイトジャマト鬼ごっこ』。その種目名に疑問を抱いたのは澪以外の5人も同じである。

 

「ナイトクラスのジャマトと鬼ごっこをするってこと?」

 

 ツムリに疑問をそのままぶつけるのは昼間千沙都のたこ焼き屋を訪れた男性『桜井景和』。彼の答えにいいえと答えた後、淡々とルールの説明を始める。

 

 

「これからあなた方6人には、夜の街に逃げだしたジャマト達を捕まえていただきます」

 

「ナイトは夜って意味の英語だったってわけか」

 

「逃げ出したジャマトは全部で25体。より多くのジャマトを捕獲できた方に、次のステージへと進める権利が与えられます。しかし万が一捕獲せずにジャマトを倒してしまった場合、その方が今まで稼いだポイントは0になり、ポイントがマイナスを下回ってしまうと即脱落となりますのでご注意ください。なお、今回はチーム戦となっています。他のチーム同士で協力することは可能ですが、今回のゲームの目的はジャマトの捕獲なので、他のプレイヤーを攻撃した際にも同様のペナルティーが科せられます」

 

 英寿の呟きに頷いた後詳細なルールと注意事項、それに違反した場合のペナルティについて説明を受ける。最後にジャマトの捕獲方法の説明も加えて行われた。今回はデザグラ初心者の澪がいるためチーム戦になる。恐らく運営側が用意したであろう馬鹿でかいルーレットでペアが決められた。

 

「ペアが決まりました。桜井景和様と吾妻道長様の『タイクーン・バッファデュオ』。晴家ウィン様と鞍馬祢音様の『パンクジャック・ナーゴデュオ』。そして最後に、浮世英寿様と渋谷澪様の『ギーツ・ホッパーデュオ』。以上3組のうち、上位2組が次のラウンドへ進めることとなります」

 

「頑張ろうね!道長!」

 

「ああ」

 

「パンクに行くぜ~!な、祢音ちゃん!」

 

「うん!絶対に勝とう!」

 

「よろしくな」

 

「こちらこそ」

 

 6人が思い思いに意気込みを述べる中、ツムリが始める前にととある紙製のプレートを澪に差し出す。

 

「開始前に、澪様にはこちらを記入していただきます」

 

「これは?」

 

「これはデザイアカード。最後まで勝ち残ることができれば、こちらに書かれた願いが叶います」

 

「へぇ~」

 

 澪はデザイアカードとペンを受け取り、少し考えた後ペンを走らせる。ペンとカードをツムリに渡し、彼女はそれらを受け取ると、これまた運営側が用意したであろうバカでかい銅鑼の横へと移動する。

 

「それでは第1回戦『ナイトジャマト鬼ごっこ』…スタートです!!」

 

 鳴り響く銅鑼の音とともに、一斉に転送が始まる。今回のゲームの舞台は夜の渋谷の街。6人はチームごとに各々違う場所へと降り立った。

 

◇◇◇◇◇◇

 

「都心部というだけあって、やっぱり夜間でも人が多いな」

 

「こんなんでジャマト見つけられるかな?」

 

 どのグループもまず最初にジャマトを見つけないと話にならないので、歩きながら会話をする景和と道長。

 

「ねえ道長」

 

「なんだタイクーン」

 

「あの子のこと考えてるでしょ」

 

 道長はぴたりと歩みを止める。景和の言うあの子というのは十中八九澪のことだ。彼の問いかけに若干気まずそうな顔を見せ、やがて重そうに口を開く。

 

「ああ」

 

「元気そうでよかったね。彼」

 

「そうだな」

 

 まるでそのことから逃げるように歩き始める道長。景和も早歩きで追いかける。景和がおもむろに口を開いた。

 

「英寿の言った通り、今回世界をやり直された影響は大きかったね」

 

 景和はそういいながら、空を見上げる。英寿が気づいた世界がやり直されているという事態は彼自身を通して自分たちに伝えられた。

 

「だが、問題は誰が世界を何度もやり直してるのか…」

 

「今、ギロリが調べてる最中だって英寿が言ってたけど…」

 

「大体1年かかるか…」

 

 道長の言葉に大きくため息をつく景和。これ以上深く考えても無駄なので、今はゲームに集中しようという方向に話はまとまり、散策を続けることにした。

 

「いないなぁ…」

 

「全く、どこに隠れてやがる…」

 

 だが、いくら探してもジャマトの気配1つすらない。

 

 

「ギャァァァ!!」

 

「「!?」」

 

 さすがに道長のイライラが限界に達したのか、目の前に落ちていた空き缶を蹴ろうとしていた時、2人の耳に飛び込んできたのは一つの悲鳴。

 

 

「あっちだ!」

 

「いくぞタイクーン!!」

 

 2人が急いで現場に急行すると、目の前には

 

 

 

「アハハ!そ、そこ!くすぐったいよお!!」

 

 なぜか5体くらいのジャマトの集団にじゃれつかれている1人の少女。景和はそれを見て苦笑いを浮かべる。

 

「なんか…思ってた光景と違うね」

 

「ともかく、こいつらを捕獲できれば一気に大量得点だ。いくぞ」

 

「おっけー!」

 

 道長の言葉を聞き、デザグラへと頭を切り替えた景和。2人はデザイアドライバーを装着し、大型の装着型アイテム『レイズバックル』をそれぞれ構えたのちドライバーにセットした。

 

《SET》

 

 ドライバーから待機音が流れ、変身ポーズを取り叫ぶ。

 

「「変身!!」」

 

 景和は自身の愛用バックル『ニンジャレイズバックル』の持ち手を模した『クナイスターター』を引き、対する道長はこちらも自身の愛用バックルである『ゾンビレイズバックル』の鍵型の『ウェイキングキー』をひねる。ドライバーにセットしたそれぞれのバックルのギミックが発動し、自身をデザイアグランプリのプレイヤーとしての姿に変える。

 

《CLASH OUT!》

 

《NINJA》

 

《ZONBI》

 

《READY FIGHT!》

 

 桜井景和が変身する、狸を模した緑の戦士『仮面ライダータイクーン』。吾妻道長が変身する、牛改めバッファローを模した紫の戦士『仮面ライダーバッファ』。2人のライダーはベルトの掛け声とともに走り出し、少女からジャマトを引きはがす。

 

「大丈夫!?…て、君は!?」

 

 タイクーンが少女の安否を確認しようと振り返ると、そこには昼間自身が訪れたたこ焼き屋で、ひたすらにたこ焼きを焼いていたオレンジ色の髪の少女。もといかのんがいた。先ほどじゃれつかれた不思議な生命体といい、この目の前にいる2人の動物の戦士と言い、何が何だかわからないかのんはその場で唖然とする。

 

「危ないから早く逃げろ」

 

「は、はい…!」

 

 バッファの呼びかけによりようやく我にかえったかのんは、すぐさま身をひるがえして走り去っていった。それを見届けた2人の前で、ジャマト達は焦った様子を見せすぐさま猛ダッシュで逃げる。

 

「あ!逃げた!!」

 

「追うぞ!!」

 

 バッファとともに前に待てーと気の抜いた声を出しながら追いかけるタイクーン。だが彼らはジャマトを追いかけるあまり、無意識に思いっきり人がめちゃくちゃいる場所ばかりを舞台にジャマトと鬼ごっこをしていたため、後日変身後の彼らはジャマト共々一部のネットのユーザーから『コスプレをした不審者共』としてやばい奴認定をされたそうな。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

「やり直されてる!?」

 

 タイクーンとバッファから視点を移し、澪と英寿デュオ。先ほどのペアとは違い、比較的人通りが少ない通路を進む澪は、英寿からこの世界の真相を聞かされた。

 

「じゃあ、つまり…。何者かが俺たちが経験してきた時間を巻き戻したってことなのか?」

 

「ああ」

 

「それで…これまで何回も時間が巻き戻されてたけど、今回に関しては異例中の異例と…」

 

「ああ」

 

「まじか…」

 

 英寿の二つ返事に頭を抱える。だが、混乱した思考はとある一つの疑問によって止まった。頭を抱える手をおろし、英寿に向かって訪ねる。

 

「てかちょっと待て。そうなると俺と英寿さんは何度も顔を合わせてるってことだろ?」

 

「まあさっきの話をもとに考察すれば事実上はそうなるな」

 

「で、英寿さんは俺に関する記憶はIDコアに触れたことで戻った」

 

「正確には俺だけじゃなく、他のみんなもだな」

 

 澪の整理に所々訂正を加えながら答える英寿。

 

「じゃあなんで俺だけ記憶が戻ってないんだ?」

 

「それを今、ギロリたちに調べてもらっている。このイレギュラーな世界を作った本当の犯人と合わせてな」

 

「そのことって今言わなければならないことなのか?」

 

 ここにきて澪が英寿に対しごもっともな質問をぶつける。彼がデザイアグランプリのプレイヤーとして英寿と関わっていくのは目に見えている。話すタイミングなんてこの先いくらでもあるのになぜであったばかりの今なのか。

 

「ああ。デザグラが始まる前に、みんなと相談した。今まで俺たちと深くかかわっていたお前に、このことをいつ話そうかってな。その結果、記憶が戻る前に言った方がいいんじゃないかってことになった」

 

 事前に英寿は目の前で整理をしている彼を除く5人でこの事実をいつ彼に伝えるかという作戦会議をしていた。そして最終案として出されたのが、彼の初陣であるデザイアグランプリ第1回戦、つまり今回のゲーム中に伝えようというものだ。最初はそんな早くに彼に伝えていいのかと戸惑う一同だったが、ギロリからIDコアを受け取った際に記憶が戻らなかったことと、今回やり直された世界が何度も言うがこれまでの世界と比べて異例だったこと。そして彼自身に協力を仰ぐことで、今回こそ世界のやり直しを防げるのでは?という提案がギロリから出されたこと。この3つの理由が相まって、今このタイミングで伝えたのだ。

 

「そっか…。なんか裏がありそうだけど、深いことはあえて聞かないようにしとくよ」

 

「その方が、こちらとしても助かるな」

 

 澪が向けたジト目に対し笑みを浮かべて答える。

 

「その~…創世の力『ギーツⅨ』だっけ?やり直されたことによって消えたのはその力だけなのか?」

 

「いや、それ以前に手に入れた2つの力『ブーストマークⅡ』と『レーザーブースト』。この2つの力もなくなった。今俺たちの手元にあるのは、デザグラによって管理されたバックルだけだ」

 

 実は世界がやり直されたことで変わったのは、現在のイレギュラーな状況だけじゃない。英寿たちが今まで持っていた言わば強化フォームのバックルが根こそぎ消えたのだ。(読者の諸君にわかりやすく言うのなら、いま英寿たちはギーツ本編25話(道長に至っては15話)当時の戦力まで落ちている。)

 

「マークⅡは手に入れようと思えばいつでも手に入るんだがな」

 

「そうなのか?」

 

「ああ。その前に、獲物発見だ」

 

 そう言いながらバックルを取り出す英寿。その目線の先には3体のジャマト。すでにドライバーは装着済みなため、澪は英寿の行動を真似てバックルを構えようとするが…

 

「あ、俺バックル持ってなかった…」

 

 どうしようと頭を抱える澪に英寿はこれを使えと言って持っていたもう一つのバックルを差し出す。

 

「ありがとう!」

 

 澪は英寿に感謝を述べバックルを受け取る。

 

「行くぞ」

 

「ああ」

 

「「変身!」」

 

 2人は掛け声とともに、ジャマト捕獲へと向かうのであった。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

「ゲーム終了です!!」

 

 各ライダーたちが奮戦すること早2時間。ナーゴ・パンクジャックデュオが捕獲した最後の1体のジャマトが転送され終わると同時に、ツムリによるアナウンスが鳴り響いた。

 

「今回の勝者は、ナーゴ・パンクジャックデュオです!」

 

 祢音の巧妙な手口により15体のジャマトの大量捕獲に成功した2人は、喜びのハイタッチを交わす。2位は9体で英寿と澪のペア。そして最下位は景和・道長ペアとなった。

 

「最下位となった桜井景和様、吾妻道長様は残念ながらここで脱落となります」

 

「あーあ。負けちゃった」

 

「次は絶対に勝つ」

 

 新生デザイアグランプリでは最下位になったからと言って強制的に記憶が消去され脱落させられるなんてことはなく、自身が望めば何度でも挑戦可能。そしてデザイアドライバーはもしもの時のために護身用として持って置けるそう。もちろんこれもまた自身が望めばの話だが、記憶を消して普通の一般人として日常を過ごすこともできる。

 

「今回もお疲れさまでした。第2回戦も楽しみにしています」

 

 ツムリの言葉で締めくくられ、今日は解散となった。不便なことにデザイア神殿から元いたところへの転送は出来ないらしく、そのことを知った澪は英寿たちに別れを告げて帰路についた。

 

「作り変えられた世界か…」

 

 澪は英寿に言われたこの世界の状態を今一度把握しようと回想を始める。だが、もう少しですべてが把握できるといったところで

 

「あれ?」

 

「渋谷…?」

 

 なぜか目元が赤く腫れたかのんと出くわした。

 

◇◇◇◇◇◇

 

「ジャマトの数が合わない!?」

 

 それは澪がその場を去って少し後のことだった。ジャマトを管理している者から、捕獲されたジャマトの数と、全体のジャマトの数が合わないというクレームが入ったのだ。

 

「俺たちがツムちゃんから聞かされたのは25体っていう話だったぜ?」

 

 クレームの内容に対し、ツムリのナビゲートを思い出して電話の主にそう返すウィン。

 

「でも、いなくなったジャマトは30体だって」

 

 電話番をしていた景和の報告とウィンの主張。英寿は嚙み合わない2つの意見に頭を悩ませる。

 

「だが無理があるだろ。あんな目立つ外見だ。人間にでも擬態していない限り…」

 

『…っ!?』

 

 ふと呟いた言葉。それは言葉を発した張本人である道長さえも戦慄させた。彼らは見落としていたのだ。ジャマトの中には、人間に擬態ができる高度な技術を持った種がいることを。

 

 

「まずい…急いでそいつらを探すぞ!!」

 

 嫌な予感が胸をよぎった英寿は、すぐさま逃げ出したジャマトの探索に乗り出す。

 

 

 

 

 これが、かのんが勝つと決心した代々木スクールアイドルフェスまで残り5日を切った日に起こった出来事だ。

 

 

 

「ツームラタダラ…テンア…」

 





 ジャマトの中には、人類滅亡の理想を持った危険な種も存在する。


 評価感想。お待ちしております。



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『慮外』…思いがけないこと。また、そのさま。

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