本日、The・仮面ライダー展に行ってきました!仮面ライダー50年の歴史に触れることができて、とても思い出に残りました。そして明日はギーツ最終話。諸々の事情でリアタイはできないですが、アマプラの見逃し配信で一足遅くギーツの世界に別れを告げたいと思います。
プロローグはこれでおわりです。次回から本編に入っていきますので、楽しみにしておいてください。
それではどうぞ。
フォーゼの当時の最終回の日にちと今日東映公式で配信された最終回の日にちが一緒だったとかなんとか。すごい奇跡ですなあ…。
あ、ギーツの映画も見に行きましたよ。感想は気が向いたらチラシの裏とかで話したいと思います。
春。それは出会いの季節。
この言葉は一般的に聞く言葉だろう。だけど私にとっては、
「かのん。ありあ。今日からあなたたちの兄妹、つまり私たちの家族になる『渋谷澪』君よ!」
「渋谷澪です…。よろしく」
今日から最悪の季節でしかない。
「ちょっとお母さん!私先週から養子には反対って言ったよね!?」
私はたまらず抗議の声を上げる。だってそうでしょ!?昨日まで見ず知らずの赤の他人が今日からお、お兄ちゃんになるんだよ!?
「でも…。ありあに伝えた頃にはもう手続き済ませちゃったものだから…」
「そういうのは先に行ってよ!!」
「かのんも言ってたじゃない!自分と同い年のお兄ちゃんが欲しいって」
「うぐっ…」
言った!確かに言ったよ!?けどあれは子供のころの話で…。あの時とは考え方が違うっていうか、なんていうか。とにかく!この子には悪いけど、出てってもらわないと!!
「けどそれは子供の時の話で!今はその…」
「その…何?」
あぁ…お母さんがず~っとにやにやしてくる…。ホント恥ずかしい…。でも、ここでちゃんと言わないと!
「私は絶対に認めない!!こんな昨日まで見ず知らずの人が今日から家族だなんて!!」
「でももう決まったことだから、仲良くしてあげて」
お母さんがこの現実を受け入れろとばかりに言い寄ってくる。私はそれでも反抗しようと前に出たのだが、
「お姉ちゃん大人げない…。いい加減受け入れなよ。来週から高校生でしょ?」
ありあに言われてハッと我に返る。大人げない…。私はいつから大人扱いされたんだろう。この年になるとみんなそうだ。時と場合によって大人と子供を使い分けてくる。ふとお母さんの横を見ると、男の子が下を向いて体をプルプルと震わせている。
「~っ!?」
笑われているのだ。初対面の男の子に。妹に大人げないといわれた私を、笑っている。そう考えると途端にこの場からいなくなりたくなった。
「かのん!?待ちなさい!!」
お母さんの静止も聞かず、部屋に飛び込む。本当に恥ずかしい話だ。年下の。しかも中学生に静止されている私を、初対面の男の子に笑われた。そう思った瞬間。心の底からふつふつと怒りがわいてきた。そして確信した。
「仲良く?…あんな人と、できるわけない!!」
何度でもいうが昨日まで見ず知らずの赤の他人。そして初対面で人の醜態を笑う始末。その二つだけで、私はあの人を家族として受け付けないという事実を私自身に突きつけた。でも現実は非情だ。家族になってしまった以上、とる行動は一つ。
彼を徹底的に拒絶する。ただそれだけだ。
「よしっ!」
こうして、全く決める必要のない覚悟を決めた私は、『渋谷澪拒絶大作戦』を決行したのだ。
【朝】
「おはようございます」
「おはよう。澪君。昨日はよく眠れた?部屋の数足りなかったから屋根裏部屋になっちゃったけどごめんね?」
「いえ。全然大丈夫です。ベッドは心地よかったですし」
私がリビングに降りてくると、ちょうど彼がお母さんと話しているところだった。お母さんの顔を見た私は、思わず息を呑んだ。
(お母さん、笑ってる…)
あの日お父さんを失ってからというもの、お母さんの笑顔は前と比べて明らかに減った。しかも、私がいくら笑顔にさせようと試みても、帰ってくるのは愛想笑いだけ。心からの笑顔なんて、見たこともなかった。
だが今はどうだ、どんなことを試みても見せることのなかった心からの笑顔を、昨日まで赤の他人だった彼に向けている。
私たちに向けてくれたことなんて…。それほどなかったというのに…。
「あ、かのんおはよう」
「おはよう…お母さん」
すれ違いざまに思いっきり彼をにらみつけてやった。それでも彼は動じない。そういうところがさらにムカついてきた私は、それ以降会話をせずに朝ご飯を胃に流し込んだ。
「澪さん。何見てるの?」
ご飯の最中、彼がポケットからスマホを取り出し動画を再生した。それが気になったありあは彼に近づき、尋ねる。
(ありあはもう受け入れたんだ…)
我が妹の懐の広さに、関心しつつも嫌気がさした。そんな私を無視するように、彼はありあと会話を続ける。
「あぁ。これ?俺のお気に入りのアーティスト。まだ曲も1曲しか発表されてないし、地下で活動中の人たちなんだけどね」
そう言って彼は語りだした。彼が好きなアーティストの名前は『ウェザーハーツ』。施設で見たテレビで地下アーティストの発掘かなんかの企画で出てきていて、それで虜になったらしい。中でも彼の一押しはボーカル&ギターの『晴家ウィン』という人らしい。来週ライブに行くのだとか。
「へ~ッいいわね!」
ありあと彼の間に入ってくるのはお母さん。相変わらず楽しそうな顔で会話に参加している。
ふと、私は感じてしまった。彼らと私の間にある大きな壁を。まるで彼を拒絶している私が、逆に家族から切り離されてるみたいに。
こんなことを感じるのは、あまりにも早すぎるというのに。
「渋谷さん。どうかした?」
声が聞こえ顔を上げると、彼が心配そうな目でこちらを見ていた。なんで寄りにもよって君なのか…。
「別に…。ごちそうさま」
我ながら不愛想だと思った。でも、仕方ない。私は彼が
「バイト見つけた」
「へ?」
ライブを見に行った当日、彼は帰ってくるなりそう言った。その時の私が絞り出した声がこれだ。
「バイト?うちのお店の売り上げだけで暮らせるのになんで?」
「ありあ、そういうことはあまり言わないの」
ありあが少し生々しいことを言い出したので、釘を刺して静かにさせておく。まあ言っていることは間違いではないのだ。私たちのお店が繁盛している今、特に働く必要もない。
「住まわせてもらってるのに何もしないってわけにはいかないでしょ?最低限自分の携帯代とか洋服代くらいは自分でどうにかしたいなって思って」
まただ。またこの感覚だ。彼の言っていることは間違ってはいない。むしろお母さんの負担を減らそうとしているいい行いだ。でも、彼のそんな行動を偽善と思ってしまう自分がいる。思い込んで、嫌いになろうとしている自分がいる。
「でも、高校生になってないのにバイトしていいの?」
そんな嫌な気持ちを静めるために、私は彼に尋ねてみた。もちろん、そっけない態度は忘れずに。
「本部に問い合わせたら、入学式の1週間後まで待ってくれるってさ」
素っ気ない態度を見透かされたのか、彼もまた素っ気ない態度で返してきた。ちょっとイラっとし強めの口調で反撃しようとしたのだが、開こうとした口はそこで止まった。
「入学式?行く学校決まったの?」
代わりに私は尋ねた。いつもの低いトーンの声ではなく、彼と接して初めてであろう普通の私の声で。
「あれ?お姉ちゃん聞いてないの?」
「え?」
ありあが目を丸くしてこちらを見てきた。
「澪さん、お姉ちゃんと同じ結ヶ丘だよ?」
「へ?」
閉じようとした口はそこで止まった。
◇◇◇◇◇◇
「お母さん!!どういうこと!!??」
そのあとの私の行動は早かった。買出しに行っていたお母さんを玄関前で待ち伏せ。そして急いで買い物袋を空にさせたのち、お父さん抜きでの臨時の家族会議へと移った。議題はもちろん
「なんで結ヶ丘に行かせるの!?」
彼についてだ。実は私は正直なところ、彼と同じ学校に行くこと自体は拒絶はしていない。嫌なのは嫌だが、お母さんのためだと思って妥協はするつもりだった。なら何が問題か。それは
「そもそも結ヶ丘って女子高でしょ!?」
そう。私が通う結ヶ丘、正式名称『結ヶ丘女子高等学校』は、名前の通り嘘偽りなく完全なる女子高なのだ。そのことを聞いたお母さんは何かを思い出した後、すぐに罰が悪そうな顔をして少し待ってと言い残し席を立った。1分もしないうちにお母さんが片手にノートパソコンを抱えて持ってきており、何かの画面を表示させて私に見せてきた。
「かのんには後から言おうと思ってたんだけどね。一番上読んでみて」
言われた通り、一番上の太文字を声に出して読んでみる。
「『結ヶ丘女子高等学校、廃校阻止のための共学に向けてのテスト生募集のお知らせ』?」
そのままお母さんのパソコンを奪い取り、画面をスクロールさせて羅列されている文字を読んだ。結ヶ丘女子高等学校は今年新しくできた新設校だ。故に、今年の入学希望者が一定数に達しなければそれはもちろん廃校ということになる。
そこで学校は教育委員会と事前に対策を打ち出した。その結果もし今年の『結ヶ丘女子高等学校』としての入学希望者が一定数にならなかった場合、学校の名前から『女子』の文字を削除。つまり『結ヶ丘高等学校』という共学校にしようという処置をとることになったらしい。
かといって、仮にそうなった場合に上級生が女子ばっかりだと後から入ってきた男子の後輩が多少パニックになるだろうということで、あらかじめ今年から男子を1名のみ入学させようというのだ。
そして、そのいわゆるテスト生なるものに選ばれたのが、
「それがこの人ってこと?」
「そういうこと」
私はため息とともにパソコンを閉じた。
「なんで言ってくれなかったの?」
「言ってたらお姉ちゃんはOKしたの?」
お母さんの代わりにありあが答える。その質問に私は言葉を詰まらせた。
「ほらね」
「で、でも!」
「かのん!」
人はある一つの行動を何度も行われると、次第に怒りがたまってくる。怒りがある程度溜まった時、人はそれを解放するために大声をあげる。つまりどういうことか。
「お母さん…?」
私の抵抗しようと尚も反論しようと口を開いたのを見て、限界だったのだろう。お母さんの目は、まぎれもなく私を睨んでいた。
「1週間ずっとあなたの様子見てたけど、ちっとも彼に寄り添おうとしてないじゃない。いい?私があなたに言わなかったのは、言ってもあなたが嫌だって言うのが目に見えてたから。だからあなたにこれまで内緒にしてきたの!」
お母さんの言葉は、まるでお母さんを別の誰かと思うほどに、私の胸へと突き刺さった。
「家族一人大事にできない子に、お母さんは育てた覚えはないわよ?」
限界だった。
「なに…それ…まるで私が家族じゃないみたいじゃん…」
この時、改めて思った。
「でしょ…?」
「え?」
あの時はまだ多少の迷いがあった。でも、今は違う。
「何が家族よ…」
この人。いや、こいつが来てから全てが変わってしまった。ありあが、お母さんが、そして私が
「コイツなんか…家族でもなんでもないッ!!!!」
捨て台詞を吐き、私はあの日同様部屋へと逃げ込む。遠くからお母さんの怒鳴り声が聞こえた。扉を勢いよく閉めた後、私を襲ったのは悲しみの波。
「ぅう…」
灯りもつけないまま、私の今の心情を体現したような薄暗い部屋の中で、かすかに私の嗚咽だけが響いた。
返して。私の理想の幸せを。
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