前回お伝えしていた通り、今回は本編第2話のAパートです。体調不良の中書き上げましたので、文脈が少々おかしくなっているかもですが、温かい目で見てくれると嬉しいデス。
そして今回、今作初の見てわかる伏線を入れてみました。
それではどうぞ。
「おはよう。お義母さん」
「おはよう澪君」
渋谷澪の朝はいつも母と交わす挨拶から始まる。カウンターの席に座り、用意してあった朝ご飯を食べ、少し後に降りてくる妹のありあを交えての談笑。そして談笑をしながら朝食を食べ終わるころに、いつも彼女は起きてくる。
「カフェオレ 焼きりんご~♪」
だが今日はどうやら談笑ではなく、鑑賞になっているようだ。上の階から聞こえるギターの音色に陽気な歌声。声の主は言うまでもなく、かのんである。
「ハンバーグもいい~!hoooo!!」
「なに?」
「私が聞きたいわよ」
これには実の母と妹も少し引くレベルである。程なくして階段を下りてくる音が聞こえたかと思うと、彼女は現れた。
「おっはよー!!」
昨日とは比にならないくらいのハイテンションで。
「おっ!?今日から2年生だね?」
「いっただっきまーす!」
ありあは今日から中学2年生。彼女より一足先に進学を果たしたハイテンションな姉は現在パンにかじりついている。秒速で食べ終わったかと思うと、すぐさまリュックを背負い例の止まり木の方へ。
「マンマル!いってくるね!」
家族の一員であるコノハズクにも驚かれているが、そんなことは今彼女は気にしてはいない。先ほどの歌を歌いながらドアを開け学校に向かった。しかし、ハイテンション彼女は忘れていた。
「あいつ俺置いていきやがった…」
唖然とした表情の中ドアを見つめる母と妹とは逆に、終始真顔で見つめていた彼の存在を。
◇◇◇◇◇◇
「あ゛あ゛あ゛~」
ルンルンな気持ちで教室まで到着したかのん。昨日人前で歌えたという嬉しき事実を可可と再共有するために彼女の席まで行ったのはいいのだが、いざついてみればそこにいたのはまるでこの世の終わりのような目で虚無という名の天井を見つめる可可であった。彼女は「ダメだったデスぅ~」と机に崩れるように突っ伏した。
「なに?どうしたの?」
昨日のテンションとはあまりにもかけ離れていたので何かを危惧したかのんは問いかける。可可は言葉を一言も返さない代わりに、右手に持っていた一つの用紙を見せた。
「『部活申請書』?提出したの!?」
「やはりスクールアイドルはこの学校には必要ないと葉月さんが」
そこまで聞いたかのんの頭の中には、例の白服ポニーテールがこちらを睨んでくるビジョンが思い浮かんだ。若干怖気づきながら「あの怖い子…」と呟くかのんの言葉が終わると当時に可可が顔だけをかのんの方へ向け話を続ける。
「聞いたところ、部活に関しては暫定的にアノ人を中心とした生徒会が管理するという話になっているみたいデシテ。そこに受理されないと…」
スクールアイドル部を設立するために乗り越えなければいけない壁は多々あると世間では聞くが、どうやらその中に生徒会長の受理という壁もあるらしい。そのことを薄々感じ取ったかのん。覚悟を決め、堂々と啖呵を切った。
「私に任せて!」
◇◇◇◇◇◇
「答えは同じです」
だが、その切った啖呵も目の前にいる冷酷な生徒会長には無意味。易々と言い切られてしまった。
「どうして?」
「同じ説明を2度したくないのですが…」
どうせスクールアイドルはこの学校には必要ないとでも言いたいのだろうか。それだけを告げてその場を立ち去ろうとする生徒会長。だが、今回は簡単に引き下がるわけにはいかなかった。
「分かんないよ!だって部活だよ?生徒が集まって、やりたいことをやって何がいけないの」
「スクールアイドルにも、音楽と言える要素があります」
「それが?」
一向に引き下がらない彼女に対し、なんとかしてスクールアイドル部設立を阻止したいらしい生徒会長もとい葉月恋はまず彼女たちに対してスクールアイドルの根本を語る。
「分からないのですか?音楽家がある結ヶ丘では、少なくとも音楽に関してはどんな活動であっても穂kの学校より秀でていないと、この学校の価値が下がってしまいます」
「つまり、レベルの高いものでないとダメってこと?」
「それなら大丈夫デス。可可とかのんサンなら」
「本当にそういえますか?スクールアイドルは今や、多くの学校で活動が行われています。その状況の中であなたたちがこの結ヶ丘の代表として、恥ずかしくない成績を上げられますか?」
「やってもないのにそこまで…」
恋の言っていることは確かに理念が通っている。音楽に力を入れている学校である以上、ほかのどの学校にも負けてしまうことは許されない。だが彼女の言い方や態度は、明らかに彼女たちを侮辱する発言と等しかった。唇を噛みしめるかのんたちに、その後も嫌味を言うように追い打ちをかけ先日と同じように釘を刺して立ち去った。
◇◇◇◇◇◇
「アノコンチクショウ許すまじ~!」
可可を連れて帰宅したかのん。家に入るとすでに澪がコーヒーを飲みくつろいでいた。そんな彼に触発されたのか、かのんと可可もココアを飲みながら会議…。と行きたかったのだが、可可がココアを一口飲むなりとある用紙を片手にこう言いだしたのだ。
「かのんさんも書いてくだサイ!!」
勢いよくその紙を机に叩きつけるのをみて気迫に少しおびえるかのんであったが、一瞬見えた文字に嫌な予感を覚えたのか恐る恐る可可に尋ねる。
「これって…」
「退学届けデス!!」
「うええ!!?」
素っ頓狂な声を出すかのん。そのすぐ後ろでは澪がタイミング悪く飲んでいたコーヒーを噴き出していた。
「退学!?」
「3日目にして!?」
「そりゃこうなるよ!!」
3日目に起きた急展開に渋谷一家一同三者三様の反応を見せ、当事者であるかのんも驚いている。しかしこの唐可可という少女、目的のためなら手段は選ばなかった。
「こんな学校に居てもしょうがありません。2人で別の学校に行って、スクールアイドルを始めましょう」
「いやいや無理でしょ」
「大丈夫。編入試験で他の学校に行くことも出来マス。家はどこら辺デスカ?」
「ここです」
「そうでした。ではここら辺の学校で…」
「待って待って!」
若干茶番交じりの討論を重ねた2人だが、可可の暴論に押されそうになったので慌ててストップをかける。
「気持ちは分かるけど、さすがにそれは親も許してくれないよ…」
「お姉ちゃん…」
「学校、やめたいの?」
「やめない!大丈夫!!」
急に友達から自分の娘に退学しようと誘われたので、もしかしたら何かあったのかもしれない。心配になり尋ねた2人にそんなわけあるかと言わんばかりに焦り気味で返答を返す。その傍らでその心配させる原因を作った張本人は「どうしてこうなるデスか~」と天を仰ぎ嘆いていた。
「ごめんね。『私に任せて』なんて言っておきながら」
「違いマス!かのんサンは優しいデス。とっても優しい。この学校に来なければ、かのんサンとも出会えていませんでした。だからどうしても、私はかのんサンと一緒にスクールアイドルを始めたい」
負い目を感じたかのんが可可に謝罪するも、すぐさま体制を直し負い目をなくそうと声をかける。可可の言葉を聞き、心が軽くなったかのんは自然と笑顔になり感謝を述べた。可可もそれに対し「こちらこそデス」と返す。
「ですが、スクールアイドルのことをよく思わない人は結構います。可可の周りにも、ばかにして鼻で笑うような人もいて。でも可可はスクールアイドルはとっても素晴らしいものだと思ってマス」
「私も!」
「ほんとデスカ?」
「可可ちゃんが夢中になるのも分かる。まだ、ちゃんと知ってるわけじゃないからはっきりとは言えないけど」
つい最近まで、スクールアイドルに対して興味も関心もわかなかったかのん。だが可可と出会い、スクールアイドルについてより深く学ぶことで、いつしか彼女も、スクールアイドルの魅力を少なからず知るようになっていた。可可は「うれしいデス」と自分が好きなものを共有できる相手ができたことに純粋にうれしがっている。かのんはどうにかしてスクールアイドルを部にできないか頑張ってみると言って、その日は解散となった。
◇◇◇◇◇◇
時は進み数時間後、千沙都がお得意の挨拶とともにかのんの家へやってきた。
「どう?恋って子の弱点、見つかった?」
かのんは千沙都に葉月恋の弱点を内部からリサーチさせていたようで、今回その結果報告にあたるという次第だ。
「弱点は…」
「弱点は~?」
「弱点は~…」
「弱点は~??」
「ないYO!」
千沙都隊員は何の成果も得られなかったようだ。千沙都は真剣な顔つきになると、彼女について音楽科の生徒たちから仕入れた情報をそのまま伝える。どうやら話を聞く限り、音楽科の生徒の中では彼女は中々の聖人として扱われているようだ。それに加え学校の理事長は創立者である葉月花と知り合いである故、彼女が否定したことを実行するのは中々に難しいとのこと。
「あのね?一旦他の部を作るか、入ってみてそこで歌うのはダメ?」
「他の部で?」
千沙都の意見は、他の音楽系の部活なら別に怒られないのでチャンスが来たらスクールアイドルを始めたらいいのでは?というものなのだが、
「それじゃダメ!」
「なんで?!」
この状況のままでは今この学校は生徒会長である葉月恋が牛耳っていることになる。この学校の今後のためにも、その事態はなんとしても避けたい。それに生半可な気持ちで他の部に入れば、その部活に失礼だという旨を千沙都に伝えた。そして彼女にはもう一つ理由があった。
「それに私…本気でちょっと、スクールアイドルに興味があるの」
「お姉ちゃんが…アイドルゥゥゥ!!??」
◇◇◇◇◇◇
「おい嘘だろ」
翌日、朝学校についた彼は目の前の光景に啞然としていた。昨日のかのんのカミングアウトを彼も聞いてはいたのだが、まさかその翌日にこうなるとはだれが予想したか。
「将来スクールアイドルになるやつがデモ行進なんてしねえだろ普通」
目の前ではいつ作ったんだと言わんばかりのかなり大きめのワゴン車。そして涙を流しながらそれを引くかのんにワゴン車の上で何やら演説をしている可可。我々に自由をとかなんとか言っているのを聞く限り、彼の言う通り行われているのはデモ行進の類らしい。
「お前何してんの?」
「一応署名運動…」
どうやらデモ行進ではなかったようだ。とりあえず話を聞く限り、自由に部活動を設立できた方がいいよね?という趣旨のもと行われている署名活動らしい。
「それにしても規模デカすぎんだろ。生徒会長に怒られるぞこれ」
「お願い…署名してぇ~」
署名用紙をこちらに見せつけ懇願してくる彼女だったが、この男は無慈悲だった。
「入学早々に問題児になりたくないんでな。俺は遠慮しておく」
「この無慈悲!」
すたすたと通り過ぎ教室へと向かう澪。その後ろで最後の悪足搔きとでもいうように軽い暴言を吐くかのん。
「どうせすぐに設立できるんだからな」
「え?それってどういう」
言いかけたかのんの言葉は、かのんの友達に話しかけられたことで中断された。
◇◇◇◇◇◇
結論から言うと、生徒会長だけではなく理事長にもばれていた。その結果理事長室で議論を繰り広げ、その後の話で恋には理事長から音楽に興味を持つことを止める権利はないと注意され、かのんたちは恋の言うことは一理あるとして、とある課題が課せられた。それが何かというと
「1位!?」
「ハイ。2週間後にこの近くで行われるスクールアイドルが集まって行われるフェスで」
「それが『代々木スクールアイドルフェス』?」
「その大会に出て1位になれば、活動を許可するって」
スクールアイドルは今や全国的な存在。ましてや日本の首都である東京は、スクールアイドルが数多く集まっている。その現状の中で出されたフェスでの優勝という課題を聞かされた千沙都は
「…ドンマイ」
当事者でもないのにお先真っ暗だったようだ。
「「まだ終わってない!」」
「ごめんごめん。で、どうするの?」
どうするの?と聞いたのは今後の活動方針についてだ。スクールアイドルのフェスに参加するというのであれば、当然楽曲だけでなくダンスも練習しなければならない。
「それでね?私と可可ちゃんで曲を作って練習しようって話してたんだけど、私たち、振り付けとかダンスとか全然だし。最近スクールアイドルのレベルってすごく高いらしくて」
「モシよかったら…」
「もしよかったら…」
「「ちぃちゃん(千沙都さん)にダンスを教われたらと!」」
息の合ったタイミングで幼馴染およ友達の友達に頭を下げてお願いをするかのんと可可。昨日のかのんの発言もあって千沙都は少し考えた後、
「しょうがないな~。ちぃちゃんの授業料は高いよ?」
「いいの!?」
「うん。私でよかったら喜んで!」
まさかの出来ないと思っていた了承が現実になり歓喜の声を上げる2人。彼女たちは千沙都の指示でジャージに着替えると、目立たないところへと移動。本格的に千沙都コーチからの直伝レッスンが始まった。
「よーし!まずは2人の実力を見るよ!じゃ、まずは簡単なステップから」
「「はい!!」」
レッスンを始める事前準備として、まずは2人がどれだけダンスができるかを見ることに。千沙都のカウントに合わせてステップを踏んでいく彼女たちだったが、
「ワン・ツー・スリー・フォー!ファイブ・シックス・セブン・エイト!ワン・ツー・スリー・フォー・ファイブ・シックス、セブン、、エイト……」
異変に気付きふと右を見る千沙都。そこにいたのは地面にべったり這いつくばっている可可の姿が。
「1つ言い忘れてマシタ…。可可、運動苦手、デース…」
そこまで言うと「パタリ」と声に出しながら横に倒れてしまう。残された幼馴染2人は顔を見合わせてこう叫ぶしかなかったとさ。
「可可ちゃん…?」
「「嘘でしょ~!!??」」
スクールアイドル部を設立するために乗り越えなければいけない壁は多々あると世間では聞くが、どうやら友達の運動神経皆無というも越えなければいけない壁らしい。さすがにこのことは、かのんは感じ取れていなかったようだ。
「真的(本当です)」
1位になるために、すべきこと
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『命題』…ある人が行わなければいけないこと
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