最強の呪術師〜様々な術式を模倣できる姉と様々な攻撃を防げる弟〜 作:黒谷月咲
2005年の山の中にて
「あ、茜ちゃん。お久しぶりです」
「浅香!久しぶり」
桜並木を歩く白髪の少女は、桜並木の出口に立っていた少女を見るや、かけだしていく。
「浅香は実家どうだった?」
「妹は至って元気でしたよ。おばあちゃんも同じくです。茜ちゃんは?」
「実家の野郎どもが結婚しろ縁談結んでこいってうるさかったわ」
顔を顰めた白髪の少女は鞄を開けると中から缶を取り出した。
「はい、これ。」
「あ、もしかして“八ツ橋”ですか?」
「そうそう!」
白髪の少女は、名を五条茜という。彼女の実家は京都にあるのだが、わざわざ東京の学校に通っていた。
ずっと敬語を使う少女は彼女の同級生でもある大山浅香。小柄な少女である。
「そういえば、今日から来る“新入生”、弟さんもいるんですよね?」
「そうだね」
二人の通う高校は“呪術高等専門学校”。表向きは私立の宗教系高校とされているが、実際は人ならざるもの…呪霊と戦う術を持つ学生に教育を施す機関だ。
今日は高専の入学式。二人は今日から2年生となるのである。
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「おい、お前ら!なに新学期から大遅刻をしているんだ!」
高専の入り口の門をくぐったところで、叱責が飛んできた。
「あ、そういえば今年の担任って夜蛾さんだったっけ」
大声で叱責を飛ばしたのは夜蛾正道。二年の担任である。
「もうすぐ一年の歓迎会を始める!さっさとお前らも準備しろ!」
「はぁ…やだな」と呟いた茜だったが、結局は浅香と共に校舎の中に入っていくのであった。
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「わたしは夏油傑です。お願いします」
「私は家入硝子でーす」
「…五条悟」
新入生が教室で壇上に上がり、とんがり帽子をかぶっていた。
変な前髪の男子生徒と女子生徒は普通に自己紹介をしたものの、白髪の男子生徒…茜の弟だけはむすっとした顔で名前だけ言った。
「茜ちゃんの弟さん、もの凄く不機嫌そうですね」
「まぁ、私がわざわざ実家から引き摺り出してきたからねぇ」
苦笑いをしていてそういった茜は、弟の方を向くとキッと睨みつけた。
「悟、もっとちゃんと自己紹介しなさい」
顔を顰めた弟は、ようやっと自己紹介をした。
「俺は、五条悟。」
些か無愛想ではあるものの、茜は「まぁマシか」といって頷いた。
そのタイミングで、机の上に出ていた茜と浅香のケータイがメールの受信を知らせた。
「…あ、アリアからじゃん」
「本当ですね。でも京都校も今日が入学式だったのでは?」
「さぁ…細かいことはいいんじゃない?」
茜は笑うと、そのまま教室を飛び出した。
「あっ!おい、茜!」
「先生、失礼します」
茜を追いかけて浅香も教室を出ていく。
それを見た夜蛾は、額に手を当ててうめいた。
「あいつらの手綱を握らにゃあかんのか…」