オラリオで褐色お姉さんを甘やかすのは間違っているだろうか 作:土鍋で炊くご飯
FG●ヤバない? 性癖にぶっ刺さるんですけど
鈴鹿●前やっべぇよ、石が足らなくて頭バーサーカーになっちまうよ
ちなみに前半サバは当たりました。
次のイベントでワンジナでるやしいけどもう石もなにもないよ…………
みんなも課金はほどほどにネ!…………メリュジーヌ?なにもなかった!!
只今、イベントと並走してダンまちを再度読破しているところであります。
文章の隙間埋めました。
見づらかったら戻します
身体の中から何かが蠢いているような不快感と、爺の観察するような視線にさらされる。
十分ほど前からこの状態のまま進展がとんとない、やはり自分には才能などなかったのだと投げ出しそうになったがそれでもと自分を奮起させ耐え続けた。
それからさらに時間が経過したが一向に変化は起きずただ時が空しく過ぎ去っていくばかりであった。
絶えず感じる苦痛を我慢できるとはいえ、なにも変化がないというのは身体よりも精神にかかる徒労感が重く圧し掛かってくる。いくら考えまいとしていても脳裏にこびりついて拭えない。
「なぁ、コレってホントに意味があるのか?」
「意味ならある、この方法なら短時間で魔力を起こせる。俺の知る中で最も安全かつ効率的な修練方法だ。」
「つっても、かれこれ一時間くらいたってんだけどなにも変わんないぞ。あとすごく気持ち悪い…………吐きそう」
「それについては我慢しろ……フゥーン、にしてもそろそろ安定してくるはずなんだが」
爺はそう言って頭を捻っている。
段々と爺の甘言に乗ったことを後悔しそうになる。
このままでは爺の髪の毛を毛根まで引き抜かなくてはいけなくなるのだが、まだ
「このままじゃ埒が明かねェ……仕方ねェから座学も並行してやんぞ」
「はぁ?この状態のままやんのかよ?つかコレやってどうなんのかも聞いてないんだが?」
「一々聞くなよメンドクセェだろうが、というか
「ホントに使えるようになんのかよ……不安しかねーんだが」
「安心しろ、絶対に使えるようになる、絶対にだ」
断言するように言い渡された。
その自信満々な言葉に何も言えなくなるが、それもそれまでの行いを思い出し台無しになった。
――――――
―――――――
―――――――――
すこしだけ時間をさかのぼる
「焚火はあっちにだゾ」
……………………、………………クソが
視界が切り替わった先にあったのは爺の屋敷だった、あまりの出来事に呆然自失仕掛けていたが横からかけられた声でハッと正気を取り戻すことが出来た。
どうやらまた自分は玩具のごとく弄んばれたらしいが自分が何をどうされてあの山からココまで引き戻されたのか想像もつかないし理解すらできない、だが自分の前にいる男があの現象を引き起こしオレをココに連れ戻したことだけは少なくとも理解できた。
その考えに到ったことで煮え滾るような怒りが腹の底から沸き上がってくる。
そしてその矛先は眼前にいる者に濁った瞳とともに向けられた。
「てめぇの仕業だなクソ爺ィ…………答えろ」
「………」
放たれた憤怒のこもった声が静かな森に吸い込まれて消える。
男はただ仏頂面のまま何も言わないで此方の言葉をかみしめるように口元を歪めた。
それから何かを考えこむような仕草をしてから澄ました表情をつくり、此方を探るように言葉選ぶようにゆっくりとした口調で話し始めた。
「なァ、さっき言ったこと覚えてんだろ?それだよ」
「―――――ッ!はぐらかしてんじゃねぇよ、誰もそんなこと聞きてえなんて言ってねぇだろうが、オレが聞きてぇのはてめぇが、どうやって!オレをココに引き戻したのかだ!!」
搾りだしたような声量が嚇怒に煽られその勢いをあげた。
なにもかもが癪に障る目の前の老いぼれに対し吼える。だがそれでもこの老いぼれは堪えた様子すらなく、すらすらと何かを謳うようにさえ見えるほどに流暢に。
「『竜』の殺し方を教えてやるって言ったろ?だからまず最しょ――――」
「それじゃねぇ!!」
「―――に、って………………」
強引に話を遮ろうとして声を荒げたが少しだけその口を止めたが、それも本当に少しの間だけで次の瞬間には咳込み一つしてまた虫唾が走るような声色で聞きたくもない事を喋り始めている。
あまりの図太さに言葉がつっかえて出てこない。
その人を食ったような態度に頬が引き攣るがこれ以上はもう止めても聞かないことを学んだためできるだけ聞き流し最後にこの森から出させてもらうように交渉しようと決めた。
一度、他人を理解することを放棄し俯瞰してみるとその者の
それでも努めて顔に出さないようにして反応しないことで相手の思いどうりにさせないようにしようとしたが返って顔が強張ってしまった。
「………ゴホン、最初にさっきのことについて上回る“実力”でとはいったが今のオマエには無理だ」
眉を歪ませながらもその瞳は此方を捉えて離さない。
「
そして、その口は不愉快な戯言ばかり垂れ流し続ける。
幾度となく欺いておいてこの期に及んで口先ばかり達者なことである。そも目の前の男に多少強くしてもらったところで自分の村をいとも簡単に滅ぼした『竜』相手にたかがちっぽけなヒューマンが多少強くなったからと太刀打ちできる筈もない。瞬く間に新鮮な死体が一つ出来上がるだけだ。
その事実は覆ることなどない、ただ例外があるとすれば、それは――――英雄譚に出てくるような、そんな英雄、英傑だけだろう。
だが、そんな才能は誰に言われるまでもなくオレにはない。――こんなことになるのなら、あの話受けておくんだったと後悔する。
「………………ははッ、今更なにを」
意気揚々と語る
呟いた言葉を聞き取ることが出来なかったのか、特段気にする様子もなく詐欺師は語り続ける。
なにやら修練の効果で身体が引き締まるだとか、顔が良くなるだとか今どきの
ただそんな
眉を顰めていたが少しして最後の言葉を言い放った。
「…………まァ、あンまゴチャゴチャいっても時間の無駄だしナ、実演してやる………オマエにはコレを覚えてもらう」
口元を三日月に歪めながらそう言って手を空に向け掲げたが…………何も起きない、どうやらまだこの茶番を続ける腹積もりらしい。
見るに堪えない。そういって切り上げさせようとした直後に――――
――――身体が吹き飛ぶかのような突風と耳を劈くような爆音が鳴り響き世界が白く染まった。
咄嗟の事に顔を腕で隠そうとしたが間に合うことはなく、閃光とともに轟く音は自分から一時的とはいえ色彩と音を奪い去った。
あまりの出来事に二重の意味で衝撃を受けたが、時間の経過とともに世界が色づき始めると目の前に先ほどの爆発を引き起こした
さっきまで三日月だった口元が開き、獰猛な
瞠目しているオレを見てひどく楽しそうに哂っている。
だが、笑われたことに対して怒りが沸き上がる。――――ことは微塵もなく、関心の矛先は先ほどの爆発にあった。
眼下にいる男を観察する。
あの爆発が起きた時に何か道具を使った様子はなかった、素人目ではあるが確信がある。
アレは魔石や何かの燃料を起爆剤に使用した程度では到底起こすことなど出来ない、もし起こせるとしたらそれは魔剣や聖剣の類だけだろう、そしてあの爆発の威力ならヒューマンはおろか筋骨隆々のドワーフであれど容易に殺傷できてしまう。ともすればあの日の『竜』ですら負傷を与えることが出来るかもしれない。
……………であるのならば今までの爺の妄言が裏返る、まだすべてを飲み込んで信じることはできないが可能性に賭けてみるだけの価値がある。
今になって教えを乞いたくなったなど欠片も想像もできなかった。
だが、自分の今までの行動がマズい「どうだ?」思い返せば返すほどに取り返しようがないほど失態を重ねている気がする。やはり謝らなければならないのか、あまり気は進まな「おい、聞こえてないのか?」がこの際だ余け………………ん?
「……すみません、先ほどの爆発音で聴覚が一時的に
「ぉ、おぉう……そうか」
どうやら話しかけられていたらしい耳が聞こえなくなるという経験がなかったため反応が遅れてしまった。
一応、今までの失態もかねて言葉遣いをかえたが爺の顔を窺うと口元が引きつっているの確認できた。
会話が打ち切られ両者とも唇が引き締まったまま動けないでいた。
「「……………………。」」
気まずい空気が辺りに充満していくのが手に取るようにわかってしまう。
何とかこの空気を払拭しようと話題を探していると
「~~っ!」
突如として身体のそこから悪寒が這い上がってくる。
慌てて周囲を見渡すが何もなく、気のせいかと己自身の身体を見て、自分が今までどこで何をしていたのかを思い出した。
「……あの、焚火はどちらにありますか?」
「……………。」
…………服濡れてるの忘れてた。
――――――――――――――
――――――――――
――――――
暖かな炎の揺らめきが冷えていた四肢に温もりを取り戻させる。
「…………」
焚火の周りに座り込み暖をとる。
眼前に揺れる暖色とは別に視界の端に老人が佇んでいるのが映っている。
しばらくの間これからの行動について思案していると、パチッパチッと薪が熱を帯び跳ねる音が耳に入ってくる。ようやく聴覚が戻ってきたようだ。
そこで暖を取っている間に考えていたことを行動に移す。
「……あの、今までの私の無礼をお許し「その薄ら寒みィ言葉遣いをやめろ、サブイボが立つ」………………………………わかった」
しかし、渾身の謝罪の言葉は無残にも遮られて形になる前に儚くも散っていった。
マズい。そう思って次の行動に入る前に爺に手で掣肘される。
動きを止められた直後に、眼前の人物は続くように口を開いた。
「今までのことはまァ……………全部、水に流してやる。そもそも俺はオマエを鍛えたくて攫ってきたんだ……今更悪態の一つや二つどうってことはない」
どうやら元より謝罪など不要だったようで、ただの取り越し苦労であった。―――その割には眦が歪んでいるが。――――なら、後は
「さっきやった
「…………?」
まるで質問の意図がわからないかのような表情を浮かべながらも爺はこちらを見つめていた。
「……、…………先に言っておくが、オレには特別な才能とかは全くないぞ?」
「…?…別に誰にだってできるぞ?
最後になにやら不穏な事を口にしたような気がしたがこの際何でもいい、誰にでもできるのであればこれほど好都合なこともない、その他の事など些細なことだ。
一応念のため、再度確認をしておくことにした。
「念のため聞いておくがお前の下で鍛えれば本当に強くなるんだな?」
「なるだろ?そりゃ」
オレの問いに対しまるで他人事のようにすら感じられる声音で返ってきた。
「……じゃぁいい」
その不透明な回答に煮え切らない思いが胸中に少しずつにじみ出で来るが目の前にいる人物がたびたび巫山戯るように態度を急に変化させることは何度か見ているため、いきなり梯子を外されるのにも慣れていく。否、慣れてしまった。
一度感嘆の息を肺からすべて吐き出し、
そんなオレを爺は何やら興味深そうに眺めつつ口をはさんでくる。
「…………オマエは自分に才能がないってェ言ってたがな、あるぞ才能が、オマエにはある」
「?」
よくわからないが肯定されているらしい。
「…………ハァ、わかんないか? オマエは誰よりも強くなれるって言ってンだよ、それこそ
そして、またよくわからないが才能があると断言された。何故だかは分からないが年を食ってくると他人を褒めたくなるのは共通なのか? 何度か同じような言葉を村にいた連中からも度々聞くが、同じこと聞き続けるのは感性がけずれていくのか最初はうれしかったが今ではそれほど喜べるはずもない。
そもそも、なぜ自分ではない他人が己の才能を把握できるものか、オレにはないと、オレが言っているのに他人のくせに繰り返し繰り返し何度も同じように勝手に言いたい放題言いやがる。
下らない。
「あっそ、そんなことよりもさっさとあれ教えてよ」
「………」
渾身の檄だったのか軽々しく流され、なんの
「そんなに落ち込むなよ見苦しいぞ、というかさっさと教えろよ」
「……、はぁ、なら教えてやるから後ろを向け」
「?わかった」
爺の指示に従って背を向けると背中に何かが押し付けられる感覚があった。
「じゃあ、さっきの『
その言葉を皮切りに普通に生きていれば自分が知ることはなかったであろう知識が垂れ流しになった。
「一つ、『魔力』は神を除くありとあらゆる生物に必ず備わっている、これは
例外ではない。
二つ、『魔力』は生物に備わってはいるが、基本的に知覚することはできない。
三つ、『魔力』は基本的に完全に枯渇することはない、なぜならばその前に
が機能し、『
四つ、三つ目の限界を超えて『魔力』を使用し枯渇した場合、身体が崩壊するか死亡する可能性が
ある。
五つ、『魔法』を詠唱中の集中状態が外的要因によって乱されたり、『魔力』の制御を手放すと
『
…………他にもあるが、今は大体これを覚えるだけで十分だ」
「なるほど、覚えた………けど、なんで背を向ける必要が?」
今の説明だけならこの行動に意味などないように感じられる。
特に『魔力砲』とやらを学ぶのに関係ないと思えるのだが。あと嫌な予感がかなりする。
そんなオレをよそに爺は
「ン?あぁ、それはな
瞬間、身体の内側から攪拌されているような感覚と強烈な不快感が襲った。
「ウグッ」
内臓がひっくり返ったような、無理やり引き伸ばされたような今までに味わったことのない感覚が断続的に繰り返し身体中を駆け回っては収まっている。
あまりの衝撃に地面に蹲ったまましばらく動けないでいた。
「思っていた以上に反応が大きいな、この分だと『魔力』の
外側からなにか音がしたが脳内ですらなにかが這いずり回っていて正しく聞き取ることすらままならない、ずっと体の中をでかい蚯蚓が動き回って搔きまわされているようで吐き気が込み上げてきそうだった。
「おい、聞こえるか聞こえてんならこっち向け…………無理そうだな」
しばらくの間蹲ってグルグルと回っていた異物感を耐えていた。
自分の身体に大量の蟲が騒めいていて今にも外に出ていきそうだった。
表皮はおろか指の先までゾワゾワとしたひどく不快な感覚が巡っていたが、ふいに感じていた異物感が軽くなったのを感じた。とはいえ今も不快感は残っている。
「………ぐっ、くうぅ」
多少軽減されたがそれでもぬぐい切れない吐き気を堪えて苦悶の声を押し殺した。
そんなオレを横目に爺は話しかけてくる。
「最初の頃よりかは落ち着いてきたか?」
遮っているものなど何もないはずなのに声がくぐもって聞こえる。だが今度は何を言っているのか理解できるようになっていた。
「……気持ち悪い」
「ハハハハハハ!! ま、そうだろうよ
爺の不愉快極まりない笑い声が頭に響き渡り頭痛が引き起こされる。
痛みによって淀んでいた思考が幾分かマシになるが、それはそれとして件の爺に対して殺意が湧いてくる。けれど爺はオレの濁った目線にも一向に付さない。…………うっぜぇぇ。
「んじゃ、落ち着いて来たようだし、今やっていることを説明すンぞ」
「………ぐ、ああ」
まだまだ収まらないが話を聞き取れるほどには復調してきた。
思考が
爺はこちらを一瞥した後、今体感している現象が何なのか喋り始めた。
「今オマエの身体の中に流れている『魔力』を俺の『魔力』をぶつけて励起……掻い摘んで言うなら澱んで固まっていたものをいったんぶっ壊して液体に戻している最中だ、今感じている不快感は『魔力』が強制的に流動させられたことで起きる副作用なモンだ」
「………ん?………あぁ(なるほど、今まで使ってなかったからこんなになるのか………)」
「今やってるコレの最終的な目的は『魔力』を起こすことによって知覚できるようにすることだ」
「ん?これで知覚できるんじゃないのか?」
先程の説明だと今体感しているこの不快感こそが『魔力』の蠢動だと思われるのだが、他にも必要な過程があるのだろうか。
「今は、な。大事なのはこの後『魔力』が安定してきたときに感覚で動かせるようにならなきゃ話にすらならねェ」
「………感覚、か」
「まァ、今はじっとしてろ安定するまでは何もできねェからな」
この言葉を最後に冒頭へと戻る。
――――――――――――――――
―――――――――――
―――――――
(今思い返しても………ろくでもねぇな)
今までの出来事を振り返っても爺のろくでもない行動しか見当たらなかった。
むしろ、ろくでもない事以外の行動をしたことのほうが少ないのではなかろうか、……なんだか本当にそんな気がしてきた。
「んじゃ、安定するまでの間に『魔力』を扱う上での注意点……これだけは
「………それは?」
「
「………わかった」
爺から脅すように言い渡されるが端からやるつもりもなかった。
話を聞くかぎりそんな人間爆弾みたいな真似はする意味はない。
もしもやるにしても…………それは自分の仇が眼前にいて、自分の死が避けられない物だと悟ってしまったときだけだろう。
「あと他には限界を超えて魔力を使うな、ってことぐらいか」
「…………?、安全装置で精神疲弊するんじゃないのか?」
爺の言い方だと精神疲弊を無視できるように聞こえるのだが、そもそも先ほどの説明で枯渇したら死ぬといったばかりだろうに。
「通常はだな、だが何事にも例外がある。その最たるものでいえば俺やお前がそうだな」
「は?なんでだよ」
心外である。
「いずれ分かる」
「いや今言えよ」
「…………普通のヒューマンはな、魔力がほとんどないんだよ例え大体の生物に魔力が流れているとはいえ成人したヒューマンでも基本的にはそこら辺にいるエルフのガキにすら魔力量では及ばない」
「オレは及ぶと?」
「ああ、それどころか神共の血を受け入れ『
「『恩恵』ね…………」
はたしてどこまでが本当で嘘か分かったものではないが、
「オレの魔力量がたくさんあるのは分かったが、それと精神疲弊を無視できることとなにが関係あるんだ?」
「………………………………チッ、魔力量が膨大であればあるほど基本的に使う魔法は広範囲かつ高威力、故に必然的に使用する魔力も跳ね上がる。そしてソレを連発していると軽々しく一線を超えてしまう。普通はそこで終わり、精神疲弊を避けることなく気絶する。だが稀に精神疲弊を跳ねのけちまうヤツがいる。そんなヤツは決まってさらに魔法を放とうとして本当に越えちゃいけない線を超える……………そこで気絶出来たら生きて帰れるが、万が一魔法を使えてしまったら……………」
「………………しまったら?」
「死ぬ。………四つ目でもイったが魔力が枯渇したら死ぬと思っていたほうが良い。」
「思ったほうが良い?その言い方だと爺も枯渇した後のことは知らないんじゃないのか?」
口頭での説明の中で死んだり、身体が崩壊する
もしかしなくとも先ほどの説明は爺が体感したことを感覚でまとめただけのものなのではないだろうか。…………だとすると鵜呑みにはしないほうがいいか?
「あア、俺も実際には目の当たりにしたことはない、だが身体のなかに当たり前に流れていたものがいきなり全部枯れてしまったらどうなるかなンて考えなくてもわかる。絶対にイイ事なんて一つもない…………………そもそもだ、魔力が枯渇するまで使い切る状況なンて、大抵が使わなきゃ死ぬってェときだけだ。そんな状況で精神疲弊で気絶してみろ真っ先に殺されるぞ」
「………たしかに」
限界云々はたしかに重要ではあるが、精神疲弊で戦闘が続行できなくなった場合は絶望的であるとこは理解できた。
敵と相打ちになるのであればまだマシだが、一対一の状況というのは中々できない。
ならば、枯渇する前に倒しきれるか、できなければ逃げることを念頭に動くしかない。
「まァ、魔力は使っていくうちに増えていく。使い方さえわかればそうそう
「そうなのか?」
「あぁ、そうだ。………………というか気づいてねェのか?魔力が安定してンぞ」
「!」
爺の言葉に急いで意識を体内に向ける。
今まで感じていた不快感が全くない、それどころか万能感みたいな、力が湧いてくるような感覚がある。
身体中を蠢いていた魔力も今では冬の湖面のように静かにとどまっている。
まるで自分の身体ではないかのような錯覚に陥るが、たしかにこれは己の身体であることが理解できた。以前よりも軽やかに体を動かすことが出来る。
澱んでいた魔力とやらを円滑にするだけでここまでの変化があるとは思わなかった。
「すごいなこれ!?」
驚愕が言葉になって出ていく。爺との会話に夢中になっていたが、なぜここまでの変化を見逃したのかと少しばかり後悔しているがそれよりも歓喜が胸中を支配していた。
「おーおー、驚いてんのはイイが少し落ち着け」
「えー……」
爺の制止の声で我に返る。
だが、それを差し引いてもまだ歓喜の渦が荒々しく巻いている。
「喜ぶのはいいが、魔力は感じられるか?」
「ああ」
生まれてからこれまで身体の中に魔力が流れていたなんて信じられないほど滑らかになっているのが手に取るように感じられる。
これは爺の言った通り、言葉で伝えるよりも自分の感覚で学んだほうがわかる。
「なら次だ、魔力を掌の上に集めて見せろ。……………いいか?掌の上だぞ」
「わかったよ、んー? あれ?」
爺の指示に従って魔力を動かす…………思っていたよりも思うように動かすことができない。
腕までは何とか押し込めるのだがその先がうまくできない、なにかが詰まっているような感じがして固まっている。
しばらく試行錯誤していたが、どう動かしても掌の上に集めることが出来なかった。
爺は静観していたが、オレが魔力を動かすのをやめたのと同時に声をかけてきた。
「全体魔力量が膨大にあることの弊害だな、扱う魔力の量が多いと一回ごとの動かす魔力がデカくなるようだな」
「そんなに多いのか?」
「ああ…………というかさっき言ったよな?俺」
「おべっかいってんのかと…………」
「別に褒めてるわけでも世辞言ってる訳でもねェよ、ただ単純にお前の魔力量が多いだけだしな」
「なるほど、理解したけど…………ならなんでさっきのできなかったんだ?」
純粋に疑問が湧いただけなのだが、爺は眉を顰め渋面をつくっている。
先程の現象を自分なりに考えていたが、なぜ掌のさきに魔力を集めることが出来なかったのか理解できなかった。魔力量が多いとつっかえるのか?だが、爺の話だと魔力そのものは圧縮できるようだし、禁止されてはいるがそのままでも身体に流すことが出来ると言っていた。
結果として圧縮自体はできなかったものの、魔力を無理に流したことで腕が膨張するような感覚があった。これが行き過ぎると内側から破裂するというのも理解できる。
まぁそれも爺に説明してもらえばいいか
「フム…………多分だが魔力を外に流す感覚が分かってないんじゃねーのか?そのせいで掌の上に魔力が集まらずにつっかえてたんだろうよ」
「ならどうすんだよ」
「…………」
「…………おい」
「冗談だ…………まずは自分でやってみろ」
「なんでだ?」
「俺がやってやると変なクセがつくかもしんねェだろうが、それに自分でやってできるのは今後に役にたつ…………だから最初は自分だけでやってみろ」
「わかった、が………
「――――――そうだな、掌に穴があるような
そういったのを最後に爺はオレに背を向けて歩き出した。
「どこにいくんだ?」
「メシの仕度だ、少し時間は過ぎたがな…………出来たら声を掛ける、それまでは自分の力だけでやってみろ」
爺が屋敷の中に入っていくのを見届けたオレは自分の掌に目をむけた。
穴がある
(ん~………考えても仕方ないし取り合えずやってみるか)
――――――――――――――――――――――――
そこからはただひたすらに魔力を掌に集めることだけに集中した。
素早く流したり、逆にゆっくりと巡らせるように流したりと速度を流す都度に変えてみたりしたが掌から先には行かなかった。
今度は流す魔力を塊で流したり、逆に少量だけ流し続けてみたりしたがそれでもできなかった。
速度を変えてみたり、量の大小を変えてみたりと色々と試行錯誤していたが結局掌から先には行かなかった。
(速度もダメ量もダメかぁ…………ここまでいくとどうしても自分の力だけでやってみたくなるな)
今度は流す部位を変えて足でやってみたが腕と全く変わらなかった。
(わかりきってはいたが足でもダメかぁー……頭と腹は禁止されてるしなぁ)
万事休す、とはいかないがそれでもこうまで手ごたえがないとやる気がそがれる。
まさかここまで上手くできないとは思わなかった、さっきまでなら何でもできると思っていたんだがこんな初っ端から挫かれるとは想像していなかった。
「穴、穴かぁ~…………」
(穴が開いてるったって実際は穴何てねぇのにどうやってやんだよ)
自分の掌を見つめながら爺の助言について頭を悩ませていた。
何度も何度も爺の言葉を噛み砕く、ただ愚直に自分の武器に向き合っていた。
けれども、簡単に答えなぞ出るはずもなく悩みぬいたことで
「……だぁ~頭いてー…………はぁ」
地面が冷たくて心地いい。
ふと、太陽に目をむけると傾きかけている。
日の光で目が焼かれたがそれすらも疲れた頭に清涼な風を吹き込んでくる。
(あ゛あ゛あ゛~~~~…………疲れたぁ~)
脱力した四肢を伸ばすと程よい倦怠感が体を包み込み凝り固まった思考を
少しの間、目を閉じて何も考えずに風があたる感覚を楽しんでいた。
森の奥深くとは言えどもそれなりに風は吹くらしい、思いのほか強く吹く風に髪の毛が揺れてこそばゆい。
葉擦れの音が心を落ち着かせてくれるのと外の景色を暗闇しか移さない瞼に直接映すかのように木々が生い茂っている様子を彷彿とさせてくれた。
落ち着いた気持ちがさらに弛緩していくのが自分にもわかる。
苛立ちを全く感じないとこうまで緩むものなのかと驚いていた。
それに魔力を動かそうとしていた時は気づかなかったが森の中を進んでいたときに鬱陶しいほどに感じていた精神を削る要因でもあった
屋敷のあたりには視線の主も来れないのか…………それともほかに理由があるのかは定かではないがオレにとってはありがたいことには変わりがない。
だがそれとは別に精神を蝕んでいる原因があったが今は無視していた。いや、できていた。
「…………」
一度、閉じていた瞼をあけ、空を見る。
雲一つない―――――とまではいかないがそれでも清々しいほどに晴れ晴れとしていた。
(まだまだ時間に余裕がありそうだ)
爺が食事の仕度にどのくらいかかるのか分からないが、もう少しだけ横たわっていても気づかれないだろうとこのまま涼むことにした。
(ちょっとだけならこのまま休んでも………いや、なんならこの状態でも魔力を動かすことならできるから別にこのままでも―――だめだな、だらけそうだ)
自分に対する評価は自分自身で下すものが最も正しい、特に欠点の評価は。
疲労感に思考がそれていたがこの状況下で怠けてはいられない、開いていた瞼を落とし課題の解決方法にたりない頭を振り絞ってなにか考えつかないかうねっていた。
(さっき試したのは…………速度と量。あと部位)
爺の話だと他者が介入しても感覚がつかめるかもしれないが変なクセがつくかもしれないから一人で出来るようにしたほうが良い―――――――と言っていたが、逆にいえば自分以外の外部の魔力に干渉ができることになる。それが直接触れなければだめなのか、それともこの修練の“体外に魔力を出す”ことによって、遠隔で行えるものなのかは知らないが、強力な武器になるのは間違いない。
ありとあらゆる生物に魔力が存在するのなら他者の魔力に干渉する術は防ぐ方法がなければ致命的な一撃になりかねない。
であるのならば、逃す手はない。
(それに最初から投げ出してたんじゃ後がつらそうだしな…………)
主に爺が口うるさくなりそうで嫌だ。
もしもそんな状態になったら虫唾が走って修練に身が入らなくなりそうだ。
爺の意地の悪そうな笑みが脳裏にちらつきはじめてきた為、頭を振って追い出した。
「…………っし、そんじゃあやりますか」
意気込みを言葉にして吐き出し、緩んでいた心を引き締めた。
(考えるだけじゃ仕方ないしな)
考察も休息もそこそこに名残惜しいがひんやりとする地面と決別し、力を振り絞り大地に立った。
立ち上がってすぐに視界いっぱいに広がっていた青が青緑に染まる。
一拍、視界に広がる光景に魅了される。
生い茂る木々と草花、そしてそれらから香る匂い―――。
見慣れた風景だが強烈な違和感がよぎった。
自分が住んでいた村の周りの森と大差ない、普通の、特異性のない森であるはずなのに何故だか清涼な空気が漂っている。
目に映るものに特段変わっているものはない、樹木も草も花も普通なのに空気だけ異様に澄んでいるような…………、特に害がありそうではないが違和感だけが強く感覚を刺激する。
「気になることが増えてくな…………」
とはいえ気にしすぎても意味がない、そしてその時間もない。
修練とは別のことに意識を割いても無駄に体力を消費するだけなので魔力の体外操作ができるまでは考えないようにしようと決めた。
「さっさとやらなきゃダメなのに、取っ掛かりすら掴めないのはなぁ」
別に死ぬわけではないのだが、焦燥感ばかりがつのっていく。
どうやればできるのかと考えてもそれらしいものが出て来ない、試行回数が無駄に増えていくのは流石に看過できない。
(爺の助言はあまり理解できなかった…………なんだよ“穴がある
手を凝視しても穴があるようには見えない。
まぁ、だから爺も想像しろといったのだろうが、それを加味しても言葉が少なすぎる。
もうちょっと何かしらの配慮があってもいいと思うのが…………。
「…………。はぁ、とりあえずやってみるか」
今度は速度と量を同時に変えて魔力を操作して変化がないか調べる。
まずはどちらもしぼって少しずつやってから段々と量を多く、早く動かしてみて危ないようなら爺の助けを大人しく借りるとしよう。
軽々にできるとはつゆほどにも考えていなかったがやはり爺の手を借りるのはあまり好ましくない、なによりもオレの精神衛生上よくない。
だが、それで死ぬ可能性が少しでも減るのなら背に腹は代えられない。
まぁ、できなかったらの話だが。
(じゃあ、まずは弱めに…………。)
息を大きく吸い、集中する。
泰然とし、身体の底にある魔力を意識して操る。
漂う霧のような、流れる水のような何とも言い難い感触のソレを少しずつ少しずつ腕から掌まで流れるように動かし続ける。次第に流した魔力が掌に集まっていくのだが、そこから先には一向に流れてはいかない。
それでも魔力を流し続けていると腕にたまっている魔力の感触が変わり、軽く柔らかかったものが重く硬くなっていく。
一旦そこで動かすのを諦め、魔力を霧散させると腕にかかっていた圧迫感が解れる。
(少ない量をゆっくり動かすのはダメか…………)
腕を振りながら今試した方法がなぜダメだったか考えていた。
前回は量と速度を別々で試した結果、無理だった。
量はそもそも動かすのに限度があって一定以上は腕から前で止まった。
速度は固定量で試したが、腕と掌の間を往復させていただけで違和感を覚えたのでやめた。
それを踏まえて今回だ、安全に行うために最小で動かしていたが、やはりと言っては何だが無駄でしかなかった。
分かり切っていたことなのだが量をいくら変えたところで速度が変わっていなければ意味がない。
ゆっくりと流すのなら、量が多かろうが少なかろうがかわらない。
なにせ動せる量に限界があるのだから、掌から先に行かないのであれば溜まっていくのが道理。
結果は変わらない。
(やっぱり、早さを変えないとダメかー…………)
速度には量とは違って慣れさえすればかなり早く動かせるようになったのだがそれでもさらに早くしようとすればできてしまった。
その後何回か最高速を維持いたまま魔力を動かしていたのだが、その途中で腕に違和感を覚えたため慌ててやめた。
確かめてはいないが魔力を動かす速度には限界が無い。そう思っていたほうがいい気がする。
だが、魔力を操作する感覚に慣れればなれるほどに速度が上がるのであれば『魔力砲』とやらの威力が上がるかもしれない。
逆にそれが一番の懸念点なのだが。
「はぁー、やるしかないかぁ…………。いやだなぁ、なんか腕が変になりそうで」
前回試して違和感を感じたからそれ以上は行わなかったが、その時は最高速で何度も往復していたからで実行回数を減らせば実害はないのかもしれない。
(まぁ、前回よりも魔力を絞ればいけるだろ)
けっして安易に考えているわけではないが、動かす魔力を極力小さくして回数も少なくすればそこまでわるくならないだろう。
「…………よしっ、やるか」
操作する魔力を極小に最速で掌に押し出す。
やるべきを簡潔にまとめ意思を明確にする。
(―――――今だ。)
―――――――――――――バシュッ!!
ダンまちもそうだけど一人称と三人称の使い分けができる小説ってすごいと思わない?
――――私は思う。
うーん、話が一向に進まない。
やはり文才がないと上手くまとめられないのか…………orz