私が星野アイなら雨宮先生のことが気になって病院関係者に尋ねまくって雨宮先生に連絡取ろうと必死になる自信があります
これは本物だ。
星野アイに会って有馬かなは一瞬で分かった。彼女は生まれついてのスターだ。スターなんて今まで信じて無かった。それは上手く作られた虚像に過ぎないと思っていた。
だけど違った。この子は作られてスターになるような子では無い。もう既にスターなのだ。
この子が芸能界を選んだのでは無い。芸能界がこの子の為に用意されていたのだ。
歴代のスターと言われる人達は、人類がこの子を受け入れ易くする為の露払いだったのだ。
自分が役者の才能を持ち、今日までなんとか生きてきたのは、全て今日この子に会う為に神が用意した道だったのだ。
ならば私が目指す道はただひとつ。これから結成されるアイドルユニット不動のナンバー2。これ以外にはあり得ない。
現実的に今後の我が身の振り方を考えてみても。
自分のような弱い存在が、自分のような演技の才能しかない駄目な子が、万が一にでも芸能界で生きていける可能性があるとしたら、この子の後を付いて行く以外ない。
この子に頼ろう、この子に依存しよう、この子の腰巾着に成ろう。
この子の周囲を照らす星に成ろう。この子に寄り添って生きて行こう。
この人に仕えたい、この人を支えたい、永遠にこの人の傍にいたい。
ただこの人の傍にいる名も無き星のひとつで私はいい。むしろ、それがいい。それだけでいい。それしかいらない。
有馬かなは一瞬で恋に墜ちた。
☆☆☆
マリンのやったことはエチュードであって、それは彼女(?)の特異な雰囲気と相まって確かに独特の魅力を醸し出していたけど、決して貴女が演技力で彼女に負けたわけではない。それはあり得ない。
星野アイや黒川あかねの説明を有馬かなが理解できなかったわけではない。むしろ、そんなことは有馬かな自身が誰よりも理解していた。
ここにいる全員を騙す為に。星野アイに自分を強く印象付ける為に。星野アイにとって特別な存在になる為に。星野アイにとってナンバーワンになる為の足掛かりを掴む為に。有馬かなは嘘を吐くことにした。有馬かなは自分を演じることにした。
世界じゅうを騙してあげる。それであなたの傍に居られるなら、私は世界一の嘘付きになってみせる。
☆☆☆
そして全員が有馬かなに騙された。単純な性格の星野アイや黒川あかねは元より、不知火フリルやカミキヒカルですら有馬かなに騙された。
星野アイや黒川あかねは論外として、不知火フリルやカミキヒカルは有馬かなの嘘を、単にマリンの気を惹く為の嘘だと見抜いた、つもりでいた。ずいぶんと幼稚で馬鹿馬鹿しい恋の駆け引きをする女だと冷めきった目で見ていた。
それは全部有馬かなの思惑通りだった。
この前のララライの一件で、その場にいたほぼ全員に有馬かなはアクアが好きなのだと印象付けることができた。つまり、自分の恋心を深く隠蔽することが出来た。これは有馬かなにとって大きなアドバンテージである。
有馬かなはもう世の中を信じてはいない。だから自分にとって本当に大切なことを、決して人に知られてはいけないと、本能レベルで感じていたから。
☆☆☆
カッと目を見開くとツカツカとマリンの元に近づき、足を肩幅より広めに開いて立ち、左手を腰に置き、右手の人さし指をマリンの方に向けると、まるで舞台女優のように館内に朗々と響きわたる声で言った。
「今回は私の負けということにしといてあげる、でもこの屈辱は必ずや返すわ、いい?忘れないで、アクア、貴方は今日から私有馬かなの宿命のライバルよ!覚えておきなさい!絶対にギャフンと言わせてやるんだから」
まるで舞台女優のように、そこにいる劇団員達を観客に見立てて朗々と宣言してやった。
ごめんマリン、あなたは何も悪くない。悪いのは私。だからあなたがいつもアイのことを見ていることは見のがしてあげる。だからあなたがどさくさに紛れて、アイに寄り添って抱き締め合ってたことも見のがしてあげる。これで貸し借り無し。
私が怖いのは黒川あかね、演劇界でも有名な天才役者、奇しくも私と同い年、普段は地味で大人しくて目立たないようにしてるタイプだけど、目立ちたがらないタイプだけど。
あの子の演技の才能は間違いなく本物。その辺の顔だけコード演技ドラマ主演女優なんて足下にも及ばない役者。私が純粋に演技力で負けるとしたら、あの子以外に考えられない。そんな予感を感じさせる存在。
だからアイが黒川の演技に見とれていたのは当然のこと。アイは天性の役者バカ一代。才能ある役者に才能ある役者が惹かれるのは当然のこと。
まるで恋する乙女のように黒川を見詰めるアイに一瞬だけイラッとしたけどアイは何も悪くない。
ただアイはあの魔女の魔法にかけられていただけ。
悪いのは純粋で健全な乙女をたぶらかすあの魔女、だから黒川あかねの魔法を解いてあげる為に私は凍てつく波動を出すことにした。テンプレ舞台演技を多少ユーモラスに演じてアイの目を覚まさせてやることにした。
マリンの絶妙のフォローもあって、私の即興舞台劇は笑いと拍手喝采にて幕を閉じた。でもどんな喝采よりも、私を見詰めるアイのいとけない瞳が最高に気持ちいい。
その瞳を惹き付ける為だけに私は毎日修行を怠らない。
だから何時でも私だけを見ていて。
☆☆☆
「お願いアクア、力を貸してよ、アンタしか頼める人がいないのよ」
アクアに演技で負けたと思い込んで、アクアをライバル視してるという設定の私は、アイの目の前でアクアに助けを求めるふりをして、自分が今度ドラマに出演することになったことをアイに知らせた。
アイなら絶対にこの話に食い付いてくることを確信しながら。
一緒に不知火フリルがいたことは多少気に食わなかったけど、この女はこの前のララライで私が演じた即興劇で私がアクアを好きだと思い込んでいる。
案の定チャチャを入れて来たけど想定内。
次々と嫌みを繰りだして来る牝狐に、顔を真赤にして翻弄されるウブな乙女を演じるのは楽しかった。
アイがアクアと抱き合ってぶるぶる震えてる姿は可愛いかったなぁ~、私もアイを抱きしめてよしよししてあげたいなぁ~、と頭の隅で思いながら、私は冷静沈着に、不知火フリルに苛められて、必死に反論するも敵わず、最期はぺちゃんこにされて完敗するバカな乙女を完璧に演じきった。
「とっ!とにかくドラマの件考えてよねアクア!私このままだと本当にヤバイのよ」
最期にフリルとの舌戦に予定通り敗北した私は、涙を流しながらそう言うと、ハンカチで涙を拭いてそそくさとその場を逃げ出した。
「逃げんのぉ~?私にアクア君への恋心を見抜かれて、アクア君の前でばらされて恥ずかしいからって逃げんのぉ~?あ・り・ま・か・な・さ~~ん?」
心底楽しそうに言うお可愛い不知火フリルに、危うく爆笑しそうになるのを必死にこらえながら、私は勝利を確信していた。
もちろんあらかじめ鏑木さんや社長には、万が一B小町のメンバーが撮影現場を見学したいと言って来たら、許可して欲しいとお願いしておいた。これは何の問題もなく許可がおりた。
ところで抱き合って震えてたアイとマリンだけど、あれは意地悪なフリルの冷気にあてられて震えてたんだよね?間違っても私じゃないよね?
雨宮先生の捜索に必死に奔走する星野アイの推しの子二次、あると思います
原作とは大きくストーリー展開変わりそうだけど、その為の二次だと思います
雨宮先生を心配するアイを見かねて真実を告白するアクア
驚愕の事実にあ然とするルビーとアイ
読みたくないですか?
お前が書くんだよ! (豹変)