「あめんぼ赤いなあいうえお!童貞の俺は愛飢え男!」
朝起きたらまず5分間の瞑想。ウォームアップにランニング2㎞、それからストレッチ、四股踏み鉄砲すり足、また割り。
腕立て腹筋背筋スクワット20回3セット。
ダンスのかわりに空手の型を行い、ヨガをやった後瞑想10分。
発声練習をして朝の自主練は終る。
ここまで約一時間半、トップアイドルを目指してからこの朝の自主練を欠かしたことは一日も無い。
アイドルってのはな、地味なものなんだよ。
流した汗は裏切らない!
迷ったら体に聞け!
人が信じられない?
自分が流した汗だけを信じろ!
ふーっ、今日も絶好調だぜ。若いっていいなぁ♪
お肌プルっプル。みんな元気?私はみんなのアイドル星野アイだよ!
時々おっさん臭が混じるけど、老けてるとこさえ私のエリア!
…… そう言えば星野アイは愛が知りたくてアイドルを目指したんだっけ?
えらいなぁ、美しくて崇高だなぁ、彼女いない歴年齢プラス童貞の俺とは違うなぁ。
俺は愛についてなんて考えたこともねぇw
ただ年収手取り5‐600万程度の実力派の地味で目立たない中堅所の役者になって、家ではゲームしたり、アニメ観たり好きな漫画読んだりして楽しく人生過ごせたらハッピーくらいにしか思ってなかったな。
あっ、勿論映画とかも観るよ、単純に趣味だから。
彼女は欲しくないかって?二次元があるじゃん!
俺は一人を愛する者なんだよ、一人が大好き!一人って素晴らしい
だからリアルの俺はできるだけ髪形も服装も地味で目立たないようにしてる、立ち居振る舞いも人の印象に残らないように気をつけてる。
一度アニオタの演技の先生に、できるだけ地味で目立たない役者になりたいから、観る人の心に何の感動も与えない演技をしたいです。って言ったらマジで怒られたな。
普段は気安くて優しい先生だからついポロっ本音を話したんだけど、あれは失敗だった、反省。
『そんなのは役者の決めることじゃない!』
って、あの時は本当に怖かったよ、直ぐにいつもの優しい先生に戻ったけど、それからは言動には気をつけてる。
まぁしかしこの夢の世界の俺はアイドル!
アイドルは目立ってなんぼの商売!
俺は目立つことを恐れない!……悪目立ちはいやだけどね。
できるだけ目立たないように目立とう。
……それにアイドルから役者にって芸能界でよくあるパターンじゃね?
この夢がいつまで続くかは俺には予測不可能だけど、この明晰夢の世界で頑張った経験は絶対にリアルでも役に立つ!
という訳で俺は一流の役者……じゃなくてアイドルになる為に基礎レッスン以外にも服装髪形スキンケア、栄養バランスの取れた食事等努力を怠らない。
勿論役者の修行も怠らない。
確か星野アイって将来ドラマに出るよな?
理屈抜きにワクワクするなぁ、これは役者の性だから仕方ないね。
自分の演技を人に見られるって想像するだけで、胸がギュ~ッと締めつけられて、幸せが止まらなくなる。
ただこの幸せのためだけに人生全て捧げて良いと心から思える。
幸せ過ぎて涙が溢れてメイクが崩れる。
それダメじゃんステイ俺ハウス!
そう、俺にとって役者としての戦いは既に始まっている。
俺は誰から見ても完璧で究極のアイドルを演じきって魅せる!
この夢が覚めるその瞬間まで、俺は金輪際現れない、完璧で究極のアイドル星野アイ!
悪いなアクアルビー、俺は君達の母親にはなれないかも知れない。
愛とか興味ないし異性と付き合うのもめんどくさいし、演技さえ出切れば最高に幸せなんだよ俺は!
……ちょっとだけ胸が痛む気もするけど、まぁこれは俺の夢だしな、目が覚めたら終る話だから許してね。
そんな誰にでもない言い訳をして俺の一日が始まる。
日常即役者修行。
今日もがんばろう。おーっ!
パフリン