ある程度星野アイ   作:パフリン

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書店で星野のアイのポップ絵を見て嬉しくてテンション上がりました


Let it be

 これが明晰夢なのか現実なのか、今の俺には分からない

 

 「えと、鷲見ゆきです、高1です」

 

 もしかしたら俺はたんに

 

 「熊野ノブユキです、ダンスが得意です」

 

 一晩のうちに自分が20

数年間にわたって、男として生きて来たという明晰夢を見た、星野アイ本人なのかも知れない

 

 「黒川あかね、高校2年生、役者です」

 

 ただどちらが現実にしろひとつだけ変わらない事実がある

 

 「私はアイ、高校1年生、インディーズアイドルやってます、社長から社会勉強の為に、ユー、今ガチに出ちゃいなよ!と言われて番組出演を決意いたしました、ふつつか者ですが、どうか末長くお付き合いください」ペコリ

 

 ☆いきなり結婚前提のインディーズアイドルww

 

 ☆いやアイドルが結婚前提の交際始めちゃダメでしょwww 

 

 ☆草

 

 ☆でもこの子可愛くない?

 

 ☆可愛いからアイドルやってんじゃね

 

 ☆誰が正論を言えと、だがこの子が可愛いのは認める

 

 ☆前「今日甘」に20秒くらい出てるの見た

 

 ☆その20秒で番組視聴率20%上げて、番組再生回数を20倍に増やしたのがこの子です

 

 夢だろうが現実だろうが、俺は恋愛未経験者だってことだ

 

 ただし二次元は除く

  

 「森本ケンゴ、バンドやってます、よろしく」

 

 だから安心しろ、黒川あかね、恋愛初心者は君だけじゃない、俺は恋愛初心者のプロだ。

 

 「ねっ、何年生ですか?」

 

 「高2っす!」

 

 「高3です」

 

 それにしてもみんなプロの声優に成れるくらい良い声してんな、ユー、声優になっちゃいなよ!

 

 「アクア・マリン、高校1年生です、凄く緊張してますけど、どうぞよろしくお願いします」

 

 今回は初回ということで自己紹介と軽いフリートーク。次回からは 鷲見ゆきのファッション講座とか、熊野ノブユキのダンスレッスン、黒川あかねの演劇講座やら、森本ケンゴのミニライブ、俺とマリンのユニットライブ等、まぁ要するに各タレントの宣伝イベントが組まれている。

 

 キャンプや動物園に遊園地等のお約束イベントもあるが、この手の番組はけっこう出演者の自由度が高い。

 

 番組の出演者が自分達でイベントを企画するのもありだ。

 

 そして今回の俺の目的は黒川あかねのメンタルケアと保護、そのためには黒川あかねの良い所を視聴者にアピールするのが一番だ。

 

 黒川の長所は演技力、

ならちょっとした演劇をやるのがベストだな、演技が出きるあかねと俺とマリンがメインで、残りの3人には助演をお願いしょうかな、シナリオは原作『推しの子』のあかね回で良いだろう。

 

 元々推しの子ファンの俺としては美味しい企画以外の何ものでも無い。

 

 

 

 

☆☆☆

 

 「本当にこういう番組って台本無いんだね、どんな話して良いか、全然分からない」 

 

 「分かります、それにフリートークって言ってもテレビである以上政治や経済、宗教関係や芸能界の汚い裏話とかは一発レッドカードですもんね」

 

 「それ芸能界あるあるだよね!視聴者が一番喜びそうな面白いネタほど話しちゃダメっていうwww」

 

 「いやいや話しても別にかまわないんだけどさ、ただ次回からは二度とテレビに呼ばれないってだけで」

 

 「アハハハ!IQ30くらい下げないと芸能人なんてやってられないよね」

 

 「それみんな言ってるやつ!」

 

 

☆☆☆

 

 みんなが気楽にオフレコトークを楽しんでいる中で、やはり黒川あかねだけは会話に加わってこない、いや来れないのだ。

 あかねには演劇仲間はいても、同年代の友人がいない。

 だから演劇という話題が封印されると、途端に何も話せなくなってしまう。

 

 本編ではこの黒川あかねの弱点が悪い方向に作用して最悪の結果に繋がった。

  

 今回の俺の目的はあかねのメンタルケアと保護、取り合えずここであかねのメンタルを安定させる行動に出る。

 

 「結局一番無難なのは各人の仕事のことや、それに関連する話題ですよね、例えばあかねなら演劇?あるいは好きな演劇作品についてならけっこう話せると思うんですけど、その方向で話題を作ってく感じで良いですか?」

 

 真剣にメモを取っているあかねに話題を振る。

 

 「あっ、私はそうしてもらえると助かります、ごめんなさい、私多分バラエティー特性低くて、みんなの足を引っ張る気がして……でも演劇関連の話題なら多少は話せると思います」

 

 一瞬ピクンッと肩を震わせた後、とても自信無さそうに、後半はうつむいて小声で話すあかね。抱き締めたい。

 

 気持ちを堪えてあかねを励ます。

 

 「大丈夫だよあかね!芸能人が全員トークの達人である必要も、陽キャラである必要も無いんだから!あかねの地味で目立たなくて、存在感の無い空気のようなキャラは立派な個性だよ!それは黒川あかねの魅力であり武器なんだから!胸を張って堂々と地味で目立たない空気キャラで居れば良いんだよ!」

 

 おお、と感嘆の声がもれて、熊野ノブユキが続く。

 

 「アイちゃん言う通りだよ、真面目で地味でおとなしい努力家の女の子なんて二次元じゃ間違い無く人気キャラなんだから!自信を持つべきだよ!」

 

 さらに鷲見ゆきが畳み掛ける。

 

 「そうですよあかねさん!あかねさんは年下の私から見ても思わず苛めたくなるくらい地味でオドオドした漫画のヒロイン?って言いたくなるくらいに可愛いキャラなんです!そのナチュラルな空気キャラ感があかねさんを守る無敵の鎧だと思っていいんですよ!」

 

 良いこと言うなぁ。流石カリスマファッションモデル!

 

 「レリビーあかね!レリビーあかね!」

 

 おれも声に出してあかねを応援する。

 

 『レリビーあかね!レリビーあかね!』

 

 他のメンバー達もあかねの応援に加わる。

 

 ドン!ドン!ドドドン!ドン!ドドン!

 

 『レリビーあかね!レリビーあかね!』

 

 森本ケンゴが太鼓を叩いてみんなでレリビーあかね!の大合唱だ。

 

 レリビーあかね!レリビーあかね!

 

 在りのままで居なさい。

 このメッセージをあかねに響かせるために俺は両腕を動かし、声の限りにあかねを応援する。

 

 やる気を出さなくても良い、地味で目立たなくてもいい。いつも人の顔色をうかがう、内気で弱気なオドオドしたままの君でいなさい!

 

 壁とか天井とかその辺に生えてる草とか、転がってる石ころのような君でいなさい!

 

 レリビーあかね!レリビーあかね!

 

 「………私は、空気で良いんだ、目立たなくて良いんだ…」 

 

 やがてみんなの応援で勇気を得たあかねがポツリと、どこか安堵したように、か細い声で話す。

 

 はい百点!結婚しようマイアイドル!

 

 俺もアイドルだけど。

 

 俺は優しくあかねを抱き寄せて言う。

 

 「もちろん目立ったって良いんですよ、でも無理して自分を作らなくて良いってことです、あかねは自分を演じることが苦手でしょ?」

 

 「……うん、私は私でいることしかできない…」

 

 俺の問いにあかねは素直に答える。

 

 「でも演技はできる」

 

 「うん出来る」

 

 俺の問いにあかねは素直に答える。

 

 「それで充分ですよ、

あかねには今ガチの中でちょっとヒロインを演じてもらいます。黒川あかねの魅力を伝えるにはそれで充分です」

 

 「本当に?私はただお芝居するだけで良いの?」

 

 すがるような目を俺に向けてくるあかね。そこに浮かぶ真珠のような涙。クッ!可愛い!

 

 俺はあかねを安心させるためにあかねの髪を優しく撫でながら頬ずりをする。頬に当たるあかねの涙が暖かい。

 

 「尊いわ~」

 

 「これで私の勝利確定」

 

 ヒソヒソと囁く声が聞こえるが特に問題はない。

 

 当然俺の指示で黒川あかねの顔はマリンがアップで撮影している。B小町のメンバーで一番優れた撮影技術を持つのはマリンだ。いい絵が取れたことを確信する。

 

 黒川あかね、俺は一生君を離さないぜ、良いだろう?

 

 俺の心の声が聞こえたのか、少しだけあかねが俺を抱き返し頬を寄せてきた。

 

 

 

☆☆☆

 

 一方アイが留守にしている苺プロでは。

 

 「何でアイが黒川あかねと一緒に今ガチに出てんのよ!」

 

 「…鏑木さんから話があって社長がOK出してアイも引き受けたらしいわ、何でも黒川あかねを救えという天の声を受信したらしいわアイ、本人の口から私が聞いたもの間違い無いわよ」

 

 「はぁっ?意味わかんないんだけど!」

 

 「私にも分からないけど、アイらしいと言えばアイらしいと思わない?」

 

 「全然愛らしく無いんだけど!あいつ帰ってきたら説教ね!」

 

 「…そこは解釈の不一致ね、残念」

 

 「残念なのは私よ!な~~~にが『私はかな先輩大好きですよ!今日甘で凛々しくメンバー達を引っ張っていくかな先輩を見て改めて惚れ直しました!』よ!嘘つき!」

 

 「……きっと何か深い訳があるのよ………………多分」

 

 熱くなる有馬かなと、それを冷まそうとする不知火フリルのガールズトークが行われていた。

 

 なお有馬かながアイを好きなことはとっくに気づいている不知火フリルだが、気づかないふりを続けてあげることにした。

 

 意外と優しいフリルであった。




家に帰って推しの子一巻を読んで星野アイが殺されたシーンで悲しくてテンション下がりました
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