ある程度星野アイ   作:パフリン

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小説(妄想)書くのは楽しいです


プクーッ

 「あかねさん芸能界ってどんな世界か分かりますか?」

 

 「あっ、またさん付けした。あかねって呼んでっていってるのに!」プクーツ

 

 よし!黒川あかねの生プクーゲット!しっかりと定点カメラに写ってるし、マリンのあかね専用カメラもしっかりあかねのプクーッを捕らえてるぜ!勝ったな風呂入ってくる!

 

 「あっ、すみません、私基本的に敬語キャラで通してて、2歳の赤ちゃんや、お散歩中の犬とか、お昼寝中の猫に話しかける時も敬語なんですよ。あら柴犬さん、今日は、今日も良いお天気ですねって感じで、たまにうっかり郵便ポストや電柱にも敬語で話しかけるくらいで、くせなんですよね、気に触ったのなら私の咎ですわね、ごめんあそばせ」

 

 みなさん黒川あかねの生プクーですよ、想像を絶するくらい可愛いんですけど、至近距離から見るあかねの生プクーのなんと美しい球体!癒されるんだけど、可愛いんですけど!可愛いんですけど!可愛いんですけど!

 

 これ見れただけでも星野アイになって良かったーーーっ!!!

 

 「アイ絶対私をからかってるよね?」プクーッ

 

 「何でばれたんですか?はっ⁉これがもしかして演劇界でも有名な黒川あかねのプロファイリング能力?お見それしました!」

 

 俺は必死で笑いを堪えてシリアスな顔を作り、黒川あかねの人間国宝級のプクーッを堪能する。

 

 「その顔全然笑いを隠せてないから」

 

 あれ?おかしいな?俺の渾身のマジ顔シリアスボイスが演技だと見抜かれるなんて、さっきから腹筋が引き締まり過ぎてシックスパックが出来そうなんだが。

 

 その間定点カメラとあかね用カメラはたっぷりとあかねのプクーを写し続けている。スタッフの誰もがあかねのプクーに見とれている、熊野ノブユキや森本ケンゴなど思わず「可愛い」と本音を漏らしている。

 

 いや、そこかしこから「可愛い」という声が洩れ聞こえて来ている。

 

 

 「何プクーッって、ああいうヒロインヒロインした女って一番女から嫌われるタイプなんだけど」ボソボソ

 

 一部例外はあるが些細なことだ。

 

 今現場の視線は全て黒川あかねが独り占めにしていた。本人が全然気づいてないのはご愛敬だ。

 黒川あかねの可愛さには普通の女にある、自分を可愛く見せようという計算高さが無い、女の狡さが無い。

 

 黒川の可愛さは自分を演じることを知らないその純粋さから来るのだ。

 

 だから黒川あかねは本当に可愛い、黒川あかねに匹敵する可愛い女性芸能人は芸能界に一人もいないと断言出きる。

 

 俺の今回の黒川あかね救済プロジェクトにおける目的のひとつに、如何に黒川あかねが可愛いのかということを世間に知らしめるというのがあった。

 

 あわよくばあかねのプクーッを引き出したいという思いがあったのだが、何回かわざと「さん」付けで呼ぶことによってあっさりプクらせることができた。

 大勝利である。もう今回の目的の9割は達成したと言っても過言ではない。

 

 頃合いだろう、あかねには怒りを沈めてもらい、可愛い負担も俺が半分引き受けよう。

 

 俺はあかねが俺の顔をプク見してることを自覚したうえで、定点カメラが俺を捕らえ、べつのカメラが俺の顔を写していることを分かったうえで……

 

 一瞬だけいたずらを成功させた子供のような笑顔を浮かべ、少しだけ肩をすくめてちょっとだけ舌を出してすぐに引っ込めた。いわゆるテヘペロである。

 

 『おおおお………』

 

 撮影スタッフ達から感嘆とも驚愕ともとれる声が洩れる。

 

 「リアルテヘペロ…リアルテヘペロ…」

 

 「可愛い…可愛い…」

 

 「ありがとう、ありがとう」

 

 「尊い、尊い…」

 

 そんな声が随所から洩れ聞こえて来る。

 

 

 「なにこの地獄……」ブツブツ

 

 

 ちょっとだけ怯えるように黒川あかねを上目遣いで見ると、そこにはもうプクーッ顔は無く、幸せそうに俺を見詰める、聖母マリアかと錯覚するような黒川あかねの顔があった。

 

 「ごめんなさい」

 

 俺はあかねをからかったことを素直に認めると真面目に謝罪した、どうしても黒川あかねの機嫌をうかがうような感じになるのは仕方ない。

 

 そんな俺を黒川あかねは優しく抱きしめてくれた。

 

 「私の方こそごめんねアイ、人には自分なりのスタイルがあるのに、自分の気持ちを押し付けるようなことしちゃって、私、アイの優しさに甘えてたんだ、ごめんなさい」

 

 ピューッと誰かが指笛を吹いた。

 

 『よおおおおおっ!』と声があがり、続いて拍手と喝采が二人を包みこんだ。

 

 何故か互いに肩を抱き合い涙を流すスタッフや踊っているスタッフ。にこやかに談笑するスタッフに真剣な顔で瞑想をしているスタッフまでいて反応は様々だが、みんな楽しんでくれているようで何よりだ。

 

 

 「…………………」

 

 

 黒川あかねのプクーッでテンションが上がった俺も、自分の可愛さを隠すことを忘れてしまっていた。

 

 自分が星野アイであるという自覚が薄れていた。

 

 黒川あかねのプクーッの可愛さに脳を焼かれていた。

 

 完璧で究極のアイドル星野アイを演じるという初心を忘れて、もう可愛い自分を隠さなくても良いや、とすら感じていた。

 

 だって仕方が無い、いくら俺が星野アイとは言え、目の前に黒川あかねがいて、リアルプクーッを見せてくれてるんだぜ?

 

 後で振り返ると俺は黒川あかねに会った時から黒川あかねに夢中で、周囲が見えていなかった。

 

 完全に警戒心が緩んでいた。

 

 自分では嘘の仮面を付けているつもりだった。

 

 ガラスの仮面が割れていることにも気づかずに…

 

 ワクワクしながら望んだ翌週の今ガチ撮影の現場には、鷲見ゆきの姿が無かった。

 

 考えるより先に、血の気が引くのを俺は感じた。




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