スタッフのディープな愛を感じます
☆☆☆
一瞬で持って行った
キャストも
スタッフも
カメラマンですら
プロのモデルの私ですらも
視線を向けざるを得ない黒川あかねのプクーッ
ただの怒りの表現に過ぎない膨れっ面が─こんなに可愛い等と─私は今までの16年間の人生で、ただの一度も考えたことが無かった─
なんなのあの可愛い生き物は、コアラ?カピパラ?ラッコ?ゴマアザラシの赤ちゃん?
…………違う、あれはコアラでもカピパラでもラッコでも無い、間違いなく私と同じ人間の女!私と同じJK……あり得ない、女の子がこんなに可愛いはずがない!
でもこの人間は存在する。
あのアイという視界に入れるのも疎ましい、可愛い界のインフルエンサーを相手にして、何ら臆することなくむくれている。ただ在るがままにプクーッしてる。
そのむくれた顔がハムスターのように可愛い、あのいつも周囲の目を意識して、完璧なアイドルを演じてるのが逆に可愛いと可愛い界隈で言われているアイが、黒川の前では本当に楽しそうだ、ほとんどアイドルを演じることを忘れている。
周囲から『可愛い』という声がざわめくうねりとなって聞こえてくる。今この瞬間、誰も彼もが黒川あかねに心を奪われている、黒川あかねのプクーに見とれている、黒川あかねの可愛さに魅了されている。
誰も私を見ていない、私には静ちゃんはいない、誰も私を見てくれない。これが疎外感?
「可愛い」「可愛い」
共演者の森本ケンゴ君や熊野ノブユキ君も黒川あかねの可愛さに夢中になっている。
チクリ、心に一瞬痛みを覚える、そこからどろどろとした粘着性の高い気持ちの悪い感覚が、胸いっぱいにジリジリと浸透してゆく不快な感覚に犯されてゆく。
私の視界は熊野ノブユキ君を一瞬映し出した、微笑ましいものを見る暖かい眼差し。
「可愛い」
無自覚に紡がれる言葉は嘘偽りの無い本心を表す。
その熊野ノブユキ君の視線を目で追うと、そこに居るのは黒川あかね。
その事実がどろどろとした、私の醜い感情に火の熱さを加える。
決して光を発することの無い炎が燃え上がり私の脳を焼き尽くす。
思考が止まる。
「何プクーッって、ああいうヒロインヒロインした女って一番女から嫌われるタイプなんだけど」ボソボソ
思わず黒川あかねへの怨嗟の言葉(負け犬の遠吠え)を私の口が呟いていた、大丈夫。みんな黒川あかねに夢中で、私のささやきなんて聞こえて無い。誰も私に興味ない。今なら有馬かなの気持ちがよく分かる。ムギュ
☆☆☆
もともと黒川あかねのように美人で真面目で大人しい性格の子は、女の世界では一番嫌われるタイプだ。
ああ言うタイプは何もしてなくても周囲の女の嫉妬を買い、全く根拠の無い悪口を言われるのが女の世界の常識だ。
たまに美少女同士が仲良く、キャッキャッウフフしながらバンドやったり駆けっこしたりするアニメを見ると、二次元は綺麗だなぁ、と心から感動する。まぁ製作してる主体が男の人だから、というのが理由だろうけど。
リアルな女の世界?嫉妬虐め悪口差別裏切り腹の探り合い陰謀術策は当たり前の地獄だよ?
もちろん悪口は女子の間だけには止まらない、女子達はお互いの利益を守る為に、ことあるごとに黒川あかねの悪口を男子達に吹き込み、男子を洗脳していくだろう。男子達は一人の美人を庇い、他の女子全てを敵にまわすよりも、美人一人を生贄にして、他の女子達と仲良くする方を選ぶ。
その方が費用対効果が高いのは明らかだ。
周囲を全て敵に回しても、ヒロインを救うヒーローなんてリアルには居ない。人は易きに流される。
酸っぱい葡萄の心理も手伝って、男子達の間でも黒川あかねは嫌な女だということが共通合意事項になる。そうなると一本道だ。ポイントオブノーリターン、ポイントモブノータリーン。
やがて、最初は嫉妬から黒川あかねの悪口を言っていた女子達すら、本当に黒川あかねを嫌な女だと信じ込むようになる。
根拠は?だってみんな黒川あかねのことが嫌いでしょ?火の無いところに煙は立たない。こんなに沢山の人間が黒川あかねを嫌っているのが黒川あかねが嫌な人間である何よりの証拠。
私達だっていじめは良くないと思うし、人の悪口も言うべきではないと思うよ?でも流石に黒川さんはねぇ。
あんなにお高く止まって周囲を見下して、人が親切心から話しかけてあげても、愛想笑い浮かべて、そうなんだ、そうですね、私もそう思います、わー面白い。とか表面的な相づちだけうってさ、人の話を無難に受け流すだけで、本音では自分の印象を悪くしないようにして、これ以上いじめの対象にならないように意識してるのが透けて見えてるのよ頭に来ない?
くるくる来ないとか無理!結局黒川って自分が可愛いだけだよね?いつも自分のことばっかり!
どうせ心の中では自分は美人で頭も良くて演技の才能もある、天性のヒロインだと思って周囲を見下してるんでしょ?顔に書いてあるわよ、私は御姫様、可愛くってごめんなさいって。
わーさいあく、でも黒川なら本気で思ってそうで恐い。
実際「ごめんなさい、私演劇があるから、今は恋愛とか出来ないです」って黒川が告白された時に断る決り文句らしいよ、男子の間じゃ有名な話。実際に黒川に告白して振られた男子が百人以上証言してるから間違いない事実だよ。
死ねば良いのに。
激しく同意。
天性の淫乱。
生まれつきの淫売。
きっと劇団じゃ何人もの男を侍らしてるのね。
それじゃあ中学生の男子から告白されても断るのも頷けるわ。
「ごめんなさい、私劇団で男足りてるから、中坊とか相手に出来ないです」ってか?
「それだ」「それだ」「それだ」「それだ」「それだ」「それだ」「それだ」「それだ」「それだ」「それだ」「それだ」「それだ」「それだ」「それだ」「それだ」「それだ」「それだ」
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美人が女の世界で無事に生きていく為には、それなりに努力が必要だ。
常日頃から味方を増やす努力を怠ってはならない。
機会あるごとに相手を褒めて、針の穴を通すような小さな共感事項を見つけては、それを感情や演技を織り混ぜて何倍にも膨らませ意気投合する、常にアンテナを張って周囲との共通の話題や趣味や共感事項を捜し続ける。
そうやって自分という存在を周囲に馴染ませていく努力が美人には絶対に必要だ。それを怠ると地獄を見る羽目になる。
簡単に言うと、『私もみんなと同じだよ、全然特別な存在じゃないよ、みんなと一緒、みんなの仲間、お友達!』
というメッセージを常に周囲に発し続けなければならない。
それが美人に生まれた者の義務であり、私は今までその努力を怠ったことはない。
常に共感者を増やせ。
一言で言うとこれが美人が無事に生きていく為の鉄則だ。朝から晩まで高度な頭脳戦、毎日が政治、私はそうやって生きてきた。
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だからこそ黒川あかねを見てすぐに分かった。
コイツは間違いなくいじめられっ子だと。
更には自分がなぜ周囲の人間から嫌われて虐められるのか、すら理解出来ていないバカだと。
どうしたらこんな人間が出来上がるのか、興味を持った私は『黒川あかね』で検索した。答えは直ぐに出た。
実力者しか居ない演劇集団、劇団ララライの若きエース、プロファイリングによる徹底した役作り…没入型の役者でありながら、多岐に渡って全く異なる性格の役を完璧に演じる演技力…初舞台…初主演…趣味…放課後のすごしかた……
要するにコイツは役者バカだ。
幼い時から演劇一筋に打ち込んで来て、結果的に世間知らずの天才美少女役者という奇跡の存在が出来上がった。何この漫画のヒロイン?
この子には勝てないな、美少女として常に心を磨り減らしながら生きてきた私では、こんな純粋な奇跡の存在には勝てない。
そう感じる一方で、美少女としての生き方を極め尽くしてる私なら、今ガチという番組単体に限って言えば勝てると確信した。その根拠は私は美少女がどう振る舞えば良いか知っているから。
無垢な黒川あかねと違って私は自分を演じるすべを知っている。
他者を演じることは出来ても、自分を演じることが出来ない黒川あかねは、この手の自分を演じてなんぼのバラエティ番組との相性は最悪のはずだ。だからこの番組に限って言えば必ず私が勝つ。
出演する番組を間違ってるよ黒川あかね。
あなたの立つべき舞台はここではない、ここでのヒロインは私。
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そんな私の思惑は、黒川あかねのプクーッにより木端微塵に粉砕された。
推しの子世界で星野アイを演じさせるなら黒川あかねしか居ない
アニメ7話と8話を見た人なら誰もが納得する流れですね